2016年3月3日木曜日

コナミと東宝に蜜月ありや?

(2019/2/9 追記)
最近、この更新だけを見る人が多いようですが、
ハッキリ言わせていただくと、ココだけ見たってどうということはないのですよ。
どうぞ他の更新も見て、「ああこいつはこういう視点を持ってるのか」と確認した上で本更新を観たほうがいいかと思われます。

なお、個人の受け取り方はともかくここに書かれた話を引用した事に関する諸々に対しては
当方は一切責任を負わないものであります。 それはあなた個人の問題ですので。


レビューや考察?でも時折触れているものの1つにスポンサーがある。
それが本シリーズのために3年も放送枠を抑えたという話だけが一人歩きしている印象が強い
「コナミ」である。



このコナミに対する個人的感情は、東宝に対するもの以上に複雑である。


自分としてはビデオゲームにハマっていたころ随分夢中にさせてもらったメーカーのひとつであることに間違いは無い。
とはいえそれは90年代最初期までの話。 格闘ゲームブーム期のコナミはコンシューマに足を向けながらも
アーケードでは90年代後半の「ビートマニアシリーズ」まで大いに苦戦していた印象が強い。
続いて遊戯王のカードゲームシリーズで大きく飛躍しつつ、
2000年代に「麻雀格闘倶楽部シリーズ」に代表されるオンラインアーケード対戦ゲームの流れを作るまでは
どことなく影の薄い老舗ビデオゲームメーカーという色彩もあった。

そんなコナミだが、2000年代からは食玩で特撮作品のフィギュアなどを出していた。
恐らく遊戯王で当たって以降、事業領域を拡張する一環でフィギュア・玩具事業にも乗り出したのだろう。
そうして2003年には「超星神シリーズ」を立ち上げることになったコナミ。


このようなblogを立ち上げるほど、本シリーズに思い入れのある自分としては
超星神シリーズのコナミと呼びたくはある。
確かにグラディウスシリーズのコナミ、ゴエモンシリーズのコナミなど
ゲームタイトルを軸に語るほうが多くの賛意を得られるのは間違いないが、
自分としてはどうしてもこのシリーズのために骨を折ったコナミに対して敬意を表したい。


なぜならば、散々「考察?」ラベルの更新で述べたように、ヒーローものなんていう特殊なドラマジャンルに
新規で金を出してくれるような奇特な会社は居ないという事実を鑑みればそうもいいたくなる。
関連商品を定期的に出せるほどに企業体力のある大スポンサーなどそうそういないからだ。


まあ、ゲームオタク側の「そんなムダなことするんじゃねえ!」という否定意見も判るが・・・。
#これは実際本シリーズ放送当時も、それ以後も言われ続けていた評価の一つでもある。
結局、本シリーズ展開後に立ち上がった武装神姫も含めて玩具に関しては終始苦戦していたことを思えば
そうした意見には遺憾ながら否定しうるほどの理論を組み立てられないと認めざるを得ない。
#武装神姫に関しては最初からコアな層に的を絞っていたのと、ドールオタク的文化が入り込んだおかげで長生きできていた側面は無視してはいけない。

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さて、本シリーズのスポンサーたるコナミだが
ヒーローものへ出資したという事実自体は高く評価する自分でも、その商品および展開自体は首をひねりたくなる所がある。

特にグランセイザーで顕著だが、商品点数が妙に多い上に第三部の時点であらかたの商品を出しつくしたせいか
「スタートダッシュの勢いだけはある」というパターンがこの時点で出来上がってしまったのが辛い。
これは本シリーズのみならずアムドライバー、はては「おとぎ銃士赤ずきん」に至るまで見受けられる。
#もっともアムドライバーに関しては終盤まである程度は商品展開していた分、それ以外よりはマシなのだが。


ここからしばらくはそのシリーズ製品の内容について触れる。

まずウリと言える巨大ロボ
よく玩具オタク界隈では「ダイセイザーの玩具が、最初に出た超星神と合神する形ではない」ということが叩かれるのだが
個人的にはこれはどうでもいい。 あの合神プロセスじゃ四体分のプロポーションに破綻をきたすのは間違いないし
(特にガルーダ以外)
むしろ川北紘一監修と銘打っただけあって、わりと劇中のイメージに近いものにしたことは評価できる。
おまけによく動かして遊べるのもポイントはでかい。  

ジャスティライザーは合神のギミックとしては無難にまとめられているが
コアロボであるライゼロスのプロポーションが微妙に厳しくなったのは惜しい。 
合神後のプロポーションありきの設計なのだろう。
もっともこの問題、セイザーXでは逆の方向へいってしまう。
なにせマトリョーシカ合神としか形容しようのないものになったせいで
ボディ自体が箱っぽくなったのだから。
(同時に、ドリルアングラーのドリルの件がこれまたよく言われるのだが・・・)

そのジャスティライザーだが、幻星合神セットが個人的にはちょっと足を引っ張った気もする。
本作に限って言えば、ライゼロス他をバラで売るほうがまだ訴求力があったんじゃないかと思う。
あとライト&サウンド幻星神は明らかに蛇足じゃないかなあと・・・。
可動もそう大した物じゃなかったわけだし(全身動くわけじゃない)
そんなギミックならハナっから合神タイプの方に織り込めよ、と当時首を捻ったものだった。


そしてヒーローアクションフィギュア・・・バンダイの「装着変身シリーズ」と真っ向競合したのが
アクショングレードシリーズ。
これも、12人のうち発売されたのは5人に留まった一方、なぜかロギアまで商品化されていた。
#ロギアはホロスナイパーまで発売されており、当時では異色といえば異色の待遇。

炎のトライブから2人(タリアス、リオン)、あとは1人ずつで、前述の超星神へのギミック・セイザーギア用のヘルメットパーツ付属というオマケは
玩具間連動と、劇中での使用例を考えればしっかり結びついており好感はするのだが
いかんせんセイザーギアギミック自体、本編ではさほど使われているものではなかった為、アピールにうまく繋がっていないことと
肝心のアクション部分はそれほどでもないのが悔やまれる。

もっとも後者については、ロギアとジャスティライザーでだいぶ改善された。
特にロギアは今でも高評価を得ているアクションフィギュアでもある。発売時期を考えたら後のジャスティライザーと込みで今でも遊べないことは無いクオリティだ。
そのジャスティライザーに関しては初期三人とデモンナイト、シロガネまで出たがどれも今遊んでも充分問題ないデキと言える。
細かいギミック(グレンソードの鍔が動くギミックと、シロガネのジャスティアームズの変形)が省かれてはいるがそれは仕方ない。
現在のアクションフィギュアと比べ足首可動が単純すぎるのと、手首が持ち手1種類しかない点だけは今見ると少し寂しいが、2000年代アクションフィギュア史の過渡期の商品としては充分じゃないだろうか。

しかし、セイザーXだけアクショングレードが発売されていないというのは大きな問題と言える。
個人的にはセイザーXでどこまで進歩したのか楽しみにしていただけに惜しい。


なりきり玩具に関してはジャスティライザーのインローダーが三色分という売り方は当初から疑問視されていたし今でもどうかと思うものではある。
コナミ側が商品数を増やすために苦心しているようにも見受けられる。
前後作みたいに共通アイテムにすればいいのにとは10年経った今でも思う。
セイザーXの時に、ライオブレイカーのおまけでついてたギグファイターのお面などはいいアイデアのようにも思うが。
グランセイザーの、ファルコンボウとアケロン大星獣のフィギュアセットなんかも、割合面白いギミックではある。


ソフビについてはまあ無難な出来ではあるがトピックとして挙げられるのはセイザーX。
ゴルドまで出した本作だが、放送終了後にコナミのオンラインショップで発売(受注)されたデスカル三将軍ソフビが特に注目できる。
この当時のヒーローもの玩具の売り方としては中々先進的な商品展開であったと言える。
ゲームやアニメのオリジナルグッズをオンライン販売していたノウハウが転用されたと考えられるが、
のちにバンダイやタカラトミーがオンラインショップを手掛け、特にバンダイは通販限定商品などを発売することを思えば、それらに先駆けたという意味でも覚えられてもいいかもしれない。

他二作もそう変なものはないし、グランセイザーは唯一12人全員揃っていることは覚えられてもいいとは思う。
もっとも、ユウヒやダイロギアンのソフビまで出してたのは今振り返ってもやや謎だが。


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本更新冒頭に書いた「本シリーズのために三年枠を抑えた」という話だが、川北も後に自伝で触れている上に
当時もフィギュア王やハイパーホビーなどホビー誌で触れられていた情報である。
しかしご存知のように三年全部を使って展開されたわけではない。

セイザーXは企画当初から9ヶ月に縮められていた上、余った3ヶ月に半年を追加して
「おとぎ銃士 赤ずきん」という、女児向けといえば女児向けのアニメに枠が変化。
当時ヒットを飛ばしていたバンダイの「ふたりはプリキュア」を意識した方向転換だろう。
この赤ずきん自体元々フィギュアイベントで売られていたフィギュア付属のアニメであったが、それを無理矢理女児向けに改変したものである。


本シリーズを含めた流れを見ると、コナミのやり方と言うのは「その時ウケているものに乗っかる」と言いきれるし
ようは節操がない。
もっともこれは過去の玩具メーカー・・・ バンダイでもタカラトミーでもやっていたことなのだからそれ自体は別に問題はない。
ただ、コナミの玩具事業自体がこの時点で3年ちょっとしか経っていない上に、コナミの玩具事業というイメージそのものが全く定着していないため
コナミに限って言うと本当の意味で節操が無く、印象は悪い。


遊戯王のTCGはまだ「ゲーム」のカテゴリとして語られるほうが強く、玩具というイメージはそれほど無い。
ということは、この超星神シリーズが事実上コナミの玩具事業初めという事になる。
そして、フィギュア王などで当時のコナミ側スタッフが述べていた「(グランセイザーは)売り上げ目標には達せなかったが手ごたえは感じた」というコメントを思い返すと
その割にはいまいち反省点が活きているようにも見えない・・・ というか、何故目標到達できないのか、どうすればいいのか?という分析がないと感じる。
これはその後のジャスティライザーやセイザーXを見ると一目瞭然だろう。

その上で女児向け玩具へ方向転換したところで売れないのは当たり前だ。
女児玩具というのはヒット自体が難しいと、プリキュアヒット当時よく聞かされた話である。


もちろん作品制作に関わった会社の問題は無視出来ないが
作品を売るための具体的戦略に乏しかったコナミの責任は、彼らより重いだろう。
関西の企業らしい「そないガツガツせんでも・・・」という部分は、あの当時非常におおらかに感じたものだし、今もそれなりに評価できるものだが。
ただあまりにおおらかが過ぎて、制作会社側がどうすればいいのかもてあましていた感すら受ける。

これでせめて、玩具のヒット作を本シリーズより先に作りだせていたのなら
玩具メーカーとしてのコナミの命脈はまだ続いていたんじゃないかとも思う。
ようは、そうしたタメもないのにいきなりキャラクター玩具に手を出したのが運の尽きであろうか。
しかもあの当時はバンダイも旧タカラも旧トミーも、それぞれにキャラクター(またはロボ)玩具を出して群雄割拠の状態だったのだから。


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ここはコナミも若干関わっているだろう部分なので、一応取り上げる。
メディアミックスをこの当時、本シリーズでは講談社と組んで行っていた。
今でも少し珍しい、放送中のヒーロー番組漫画化などメディアミックスだがグランセイザーの時点で行っていることは出色と言える。
年長の視聴者を増やすor興味をつなぎとめるための工夫とも言えようか。
#のちにリュウケンドーの漫画も放送中に作られている。
※この件、幼児向けテレビ誌のコミカライズという要素はあえて除外しています。


グランセイザーの漫画をマガジンZで、本シリーズにデザイナーとして関わった西川伸司が描いている。
グランセイザーは本編ではいまいち弱い構成の部分を再構築したような内容に化けていたのは、流石プロの漫画家ではある。
♯ジャスティライザーも同誌で漫画化してはいたものの、作家が違った上に読んだ記憶はあるが内容が思い出せない。


そういえばアムドライバーの時、小学館のコロコロコミックで何故かギャグ漫画にさせられていたが
このあたりも先述したコナミのおおらかさがヘンな形で発露した例だろうか。
作者は小西紀行。 ドタバタギャグの名手なのだが、正直アムドライバーをギャグにした意味が・・・。
#本シリーズで講談社と組んでいるため、ワリを食ってしまったという見かたも出来なくも無い。
せめてコミックボンボンであれば、割合まっとうなストーリー漫画になってたのかも知れない。


また、ゲームメーカーのコナミらしくジャスティライザーと、同時期のアムドライバーはゲーム化されている。
ジャスティライザーはGBA、アムドライバーはGBAとPS2。
#ジャスティライザーに関しては同じくPS2も予定されていたのだが・・・。
まあこれはゲームメーカーとしては老舗になるコナミなのだから、当然注目はされていたが
それは「コナミだからそりゃやるだろうね」レベルの注目度に過ぎない。


さてメディアミックスを積極展開している割にはどうも印象が弱いというか、
アナウンスだけで盛り上がって後は・・・ という気もするのは
そもそも本シリーズもアムドライバーもさほど人気がないからだろう。
メディアミックスはその大元の人気が高くなければ注目度が弱いのは当然である。

なにより、先ほども指摘した「玩具メーカーとしての知名度のなさ」にくわえ
「そもそも新規メーカーのくせに仕掛けだけいっちょ前」なせいもあってか
悪い意味で、話題だけで終わってしまっている。
やはり先行してヒット商品を出して、受け手側に玩具のコナミというイメージを作れなかったのは大きな失策であろう。
#くどいようだが、ここでは遊戯王TCGは除外される。

ゲームオタクの古老から見たらこういったコナミの展開方法はかつての「ときめきメモリアル」や「(90年代前半の)ツインビー」といった
ゲームを軸にしたメディアミックスで鳴らしたコナミらしいと見えることだろう。
ただしそれらと大きく違うのは、やはりそもそものコアたる本シリーズに人気が無かったからだ。



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さて、拙blogでも散々引用している川北紘一「特撮魂」にも当然コナミについての記述があるが、川北は当時のコナミは
「何も言ってこなかった」
という感想を述べていた。
これが実は、コナミそのものの甘さを露呈している部分と言える。

恐らく東宝、しかも平成VSシリーズに携わった川北紘一というブランド性をもって
本シリーズのウリと見做していたのではないかと思えるほどに、コナミが放任しているようにも見えるが
それゆえグランセイザーは玩具展開を考えずに作れた結果、独特な作品世界とストーリーを持てたものの
東宝側が欲目を出したジャスティライザー、コナミ側で方向転換を図ったセイザーXにいたるまで
イマイチ消費者に訴求するものが弱かったのは事実で、
東宝や実際制作に関わったスタッフの力不足もあるだろうが、それ以上に
コナミ側の「これを売りたいからなんとか売れるものを作ってください」という意思が終始薄いのが三作全てに漂っている。


よく言えば現場スタッフに自由にやらせているとも言えるが、ヒーローものに不慣れな東宝に任せた時点でコナミ自身の読みが甘かったと言える。
#これが東映か円谷なら、自分たちの持っているノウハウを援用した、しかし商売っ気はバンダイスポンサードよりは薄いヒーロー作品を作ることも出来たんじゃないかとは思うが、しかし・・・。

わざわざ新規シリーズ用に三年も枠を抑えてくれた以上、普通は最初からそれなりに力を注ぐはずだし
少なくとも川北率いる特技班の力の入れ方と、巨大戦の挿入パターンに関してはそれを感じさせてくれたがそれ以外で及ばなかった。
ようは本編班で終始足を引っ張られていたとも言えるのが本シリーズでもある。
セイザーXこそヤケクソが実って、マニアックながら人気作ともなったものだが。

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東宝側はコナミからの仕事を単に請けてみただけのようにも、今となっては感じる。
ようは映像制作に乗り気じゃないというか。
#これはサイバーコップからの体質ともいえそうだが
#東宝という映画会社の歴史を、後追いレベルでも調べてみればまあ仕方ない気もする。

コナミ側の発言が本シリーズ終了後出ていないことを思うと、コナミ側はあまりいい印象を持っていないのだろうし、
受け手側から見れば、コナミも東宝もすれ違いのまま終わったようであり
もっと言えばコナミサイドはアテが外れてふてくされているようにも感じる。
しかし。

それでも、本シリーズを東宝と組んで作ってくれたことに関しては個人的には感謝の気持ちすらある。
既に消えかかっていたヒーローものへの「心地よい幻想」が失せていた自分にとっての、最後にして最大のブレイクスルー足りえたのだから。
ヒーローものの興味は今無くなっても、やっぱり特撮映像そのものにはまだ興味が残っているのも、本シリーズのおかげと言いきれる。
そういう意味では東宝にもコナミにもありがとうとは言いたい。


その上で、もしも本シリーズを東映や円谷が手掛けていたとしたら、ここまで熱中していたのだろうか?と自分に問えば
それは無かったんじゃないかとも思うのもまた辛いところだが。