2016年1月24日日曜日

超星神シリーズと特撮とオレ【10】

全話レビューおよびシリーズ総括的感想も終え、後は色々思っていたものや放送当時の視聴者サイドとしての諸々を
小出しにしながら書いていこうと思います。


(ここから本編)


今回は、今までレビューなどでちょこちょこ触れていた実況について、当時の自分の向き合いかたなどを書いてみる。

超星神シリーズ放送当時、感想をUPしている個人サイトやblog、掲示板などを見る行為を自分も行っていた。
とりわけ各所にあった「実況スレ」というものは、放送時間時にリアルタイムでスレ参加者が雑を述べる場所であり
これのログを放送終了数時間後に眺めてはなるほどなぁ、と思うこともあったり
参加者の中に色々創作能力のある人間がその日の放送を題材にネタを仕上げてUPしたりと
そのカオスさと、率直な感想がないまぜになっている空間はある意味刺激的ではあった。



と、こうして他人事のように書いているところを見れば判るように自分自身は
「(放送時間帯では)実況スレにはほとんど参加していない」 のである。
さっきも書いたように、放送終了数時間後に覗いている程度である。
土曜日朝9時は仕事の疲れをグッスリ寝ることで癒している時間であり、録画を後から見るというスタイルで本シリーズを追いかけていたから。

ただしごく稀に実況スレを放送時間の際に、視聴しつつ閲覧することもある。
だが自分が放送時間に書き込むことは全くない。
精々EDが終わり、9時半の番組が始まったタイミングでスレで感想を述べる程度であった。


視聴スタイルとしては自分は、皆で見ながらワイワイ騒いで見るというスタイルは採らない。
それは実際友人を集めて自宅で映画やドラマを見ようとも変わらない。
ようは視聴スタイルの違いが如実に出ていたからだろう。
そんな自分なので当然、実況で語られる感想や放送のネタっぽく見える部分をイジられている流れを他人事というか
「何言ってるんだろこの人たち」という、一種冷めた感じで見ていた。

だが、そういう見方で定着した評価がいまや本シリーズの評価のベースとなってしまった。


このblogを立ち上げた当時、そういった評価手法・・・ 実況至上主義的、実況ベースの評価に反感を抱いていたものだが
レビューを進めるにつれてやや考えが軟化していった。
彼らの見方もある意味致し方ない部分があるからだ。

レビューや総評などでも度々触れているが本シリーズは極端に注目点が薄いしヒーローものとしてはいまいち爽快感がない作風である。
ただ一方で、ヒーローものを作りなれていないが故に東映作品などと比べて天然気味に感じられる描写も多く、
それが実況と言う手法によってイジられ、ネタとして昇華されてしまうことが多かった。
今でもよく言われるグランセイザーの伝通院洸、ジャスティライザーの神野司郎、セイザーXのブレアードなどがこれである。


そしてその一方、本シリーズを全て見た上で各話レビューを行い総評も行うというサイトはほぼ無く、
また掲示板などでもそういう話の流れになることすらなかった。
まあ仕方は無い気もするが・・・。  するのだが、
自分が一番違和感を覚えたのがそこで、実況でネタにされる状況以上に諦めきれない部分であった。


-----------------------------------------------------------------------------------------------------

テレビ番組の放送中にネットの掲示板やSNSなどを用いて実況しながら見るというスタイルが定着して10年以上経つ。
古い人間に言わせると、パソコン通信時代では思いもよらなかった出来事であり
この行為自体がインターネット時代を象徴する事象の一つと見做していいかもしれない。
なにせテレホーダイの時間帯でもない限りは実況しながら見るというのも金銭的な意味で相当辛いものだろうから。


不特定多数の、顔も名前も知らない他人たちと同じ番組を見ながらあれこれ雑を述べるという
コミュニケーションを楽しめること自体が冷静に考えたら不思議ではあるが
同時に、テレビ番組というものがそもそもコミュニケーションのネタとして機能している側面を改めて思い知ったものだ。
この場合、その番組の内容のクオリティは問わないものとする。

ネットがない時代だったら自分の友人たちと会って番組の雑を述べるパターンが主流ではあるが
その集まりの中の多数が見ている番組の話題がメインになることが多いわけで、
裏番組やその集団の多数が興味の無い番組などになれば当然、話に出しにくいのも致し方ないところだろう。
だがネットの実況であればそんなことを気にせず、自分の好みに合った内容の番組の感想を述べやすい環境内で思う存分ながら見で話を楽しめるわけだ。


つまりは「テレビ番組(に限らずあらゆる事象)を題材に他人と雑を言い合ってコミュニケーションすること」が楽しいという人たちにとっては
ネット実況というスタイルはまさにうってつけのものだったろう。
これはこれで刹那的で、後腐れのない遊びとも言えるのだが、その割にはその実況時の感想がそのまま作品の評価になってしまっているという問題も抱えているようだ。
それは、この超星神シリーズの評価を見ても判る。

実況から外れての個人サイトやブログでのレビューなどを見ても、実況ベースで語っている人と
そうで無い人とでだいぶ温度差があるというか、観点がそもそも違っているのも特徴的か。
これはこれで、色んな見方があると言えるし
なんともいえない所ではある。


とはいえこの更新序盤でも書いた、実況から生まれた諸々のネタが生まれる瞬間というのは
さぞかし刺激的で、だからこそ止められないという人が多いだろうことも想像がつく。
gifアニメーションが作られたりコラージュが作られたりと、作っている人たちもまた
番組をネタに自分の創作欲と、成果物を楽しんでもらいたい欲を同時に満たせるのだから言うことはなかろう。


-----------------------------------------------------------------------------------------------------

評価として、放送当時に定着した評価は中々覆らないだろうし今後もそうだろう。
それは本シリーズに限らず、インターネットによって個人の感想や
掲示板で不特定多数によって作り上げられた空気の中での感想というものは強いところがある。
たとえ冷静に見返したらおかしいところがあるにせよ・・・。
今の時代は特に、上記のようにネット実況をはじめインターネットを用いることで放送当時の評価がそのまま絶対視されやすい時代でもある。

これがいいことなのかどうかは自分には判らない。
そしてなにより、自分自身「実況で楽しんでいた人たちの思い出」を否定したり貶す気すらない。

今の自分がネット実況、そしてそれを楽しむ人々に対して思うことは
「不特定多数の人間と、忌憚無く楽しめるスタイルの中で遊ぶことが出来て良かったね」
ということだけだ。
何せ2000年代に入るまではそんな時代が訪れることすら夢想だにしていなかったのだから。


レビューを全話終え、当時の本シリーズの周辺を思い返してそんなことをふと思った。