2022年12月21日水曜日

実はまだ疑問がある、コナミと東宝の関係

 前回前々回の更新を読んでいただけていれば判るが、今の自分は「コナミは被害者」とも読める論旨を一応ながら提示している。


しかし、実のところこれもまだ疑問を持ちながらではある。





では何が疑問なのか、というと…

「コナミがほぼ一方的に超星神シリーズのスポンサーから降りて、おとぎ銃士赤ずきんに無理矢理シフトさせた」

と、もう一つの仮説が自分の中にはあるから。


そも、コナミを被害者としている論の根拠はコンプリーションを読んだ上のことでもあり、

劇場版セイザーXの併映がムシキングであり、ビデオゲーム及びアミューズメント業界の関係を無視した東宝のデリカシーの無さにも首を捻っていたのもあった。

そしてコナミ自身、またはテレ東についても、セイザーXの放送短縮に関しては

元々東宝の発案であるうえ、テレ東自体が難色を示したことも語られていた。


がしかし。

これらの発言はよく見たら、全てが東宝側・ゼネラルエンタテイメント側の発言なのだ。

つまりこの両者に都合のいい証言で記事が構成されていると思われる。

一つ言っておくが、本シリーズの話に限らずあらゆる物事において証言者に都合のいい発言はごく当たり前のことでもある。

だってそりゃそうだろう。


ある程度自分のやらかしを茶化しながら、受け手にも笑っていただくみたいなやり方はここ二十年ほど散見されるし、「しくじり先生」なんていう番組が成立してる現状を思えば

「実績茶化し型」のトークが一定の評価を得ているのは事実なのだが、これも良く見ると

そういう証言が出来る人間は、どれだけ貶されてももはや地盤が揺るがないほどの地位や名声を得ているから出来ることであって。


だがよくよく考えたら、それが出来る、またはそれを受け入れてもらえるというのは

パイの小さいジャンル(プロレスや特撮ヒーロー等)であれば効果はでかいのだが、それにしたって需要のありそうな人間などそういない。

#もっと言えば、小さいジャンルのムラの中でしかウケないという致命的な問題もある。

まあ、オタク受けしている現状を考えたらそういう番組なのだろう、し、実績茶化し型のトークを好む層に対して暗いウケ方をしてる、というのはある。

#過去のやらかしは、オタクなら大抵情報として持っていることでもある。 その答え合わせを当人にやらせるのだから当然ウケ方は暗くなろう。


さて、では話を戻すと。

自分に都合のいい証言をする、というのは誰でもやることである。

 #この更新をお読みいただいている貴方方にも自分自身の発言で思い当たる事はあるだろう。

そして、コンプリーションの場合はコナミ側の証言が不自然なまでにない。

この辺を踏まえて、先の「コナミが一方的にシリーズから降りた」説を少し深く語ってみると

「コナミ側が全くのノーコメントであることに甘えて、東宝・ゼネラルエンタテイメント側が自分達に良いように証言している」

のだが、これを穿った見方をするならば

「コナミ自体はセイザーXの企画キックオフ後2004年度中(=ジャスティライザー放送2クール目まで)の何処かで、実は既に本シリーズを止める意向を固めていた」

「理由は前二作の売上が、コナミの予測未達であったから」

そしてそれは結果として

「コナミが半年枠を追加で確保し、その上で赤ずきん製作に踏み切った」

「どのみちセイザーXで止めるのだから、東宝側の意向(放送期間短縮)は最初からどうであろうと関係なかった」

と考えれば、前々回更新で自分が抱いていた

「なんで玩具の企画や製造体制があんなに速く整えられたのか?」

という疑問に対して無理のない説明が出来る。

仮にセイザーXを一年全うすることになったとしても、半年であれど「赤ずきん」をやるのは変わりなかったのかもしれないし、

当初囁かれていた噂通り、深夜アニメとして作られていたのかも知れない。


あくまで釜、船田両氏は自分達の当時の立ち位置を鑑みて、かつ今の自分達の立場を踏まえて発言しているのは間違いない。

#ついでながらグランセイザーだけプロデューサーだった石井も加えたいところだが、本シリーズのこの結果については淡白な所が目立つのであえて除外。

#製作の思い出話以外は一切しない点に、無責任な態度を感じるので。

そしてそれは、コナミの証言がないことに起因する甘えというのもあるだろうが、ふつうは自分達の傷を掘り下げる行為は余程のことでないとしないものである。


恐らく超星神シリーズ以外の販促作品・・・少なくともアムドライバーや赤ずきんは、ほぼコナミ主導なのだろうと仮定しておく。

本シリーズの場合、コンプリーションを読めば判る様にコナミは単に連れてこられただけのスポンサーであり、最初から本シリーズに本腰を入れられる状況でもない。

せめてジャスティライザーでコナミが設定していたであろう売り上げ目標をちゃんと達成していたのなら、本シリーズの運命はもうちょっと明るかったのかも知れない。

それこそ河田秀二が大昔の日記で触れており、コンプリーションでその実在が明らかになった「四作目の企画」が、実際の作品として結実していただろう。

ちなみに河田は、当人の見込みが甘いのもあったろうが「まだまだ続くと思っていたヒーローものシリーズ」としていた。

#こういう部分にも、製作側とスポンサー側の埋めがたい溝やズレを感じる。


製作側スタッフの思いとは裏腹に、金を出す側のスポンサーたるコナミは本シリーズに早々と見切りをつけていた、というのが本更新の論旨でもある。

セイザーX自体が、当時の年長の視聴者から評価が高い作品に昇華出来たのは、恐らく早い段階・・・既にコナミが本作でスポンサーを降りる事が

企画の段階で知らされていたのではないか、そしてそれは「どうせ終わりなんだから好きにやっちまおう」とスタッフ全員にそうした気持ちが充満していたとしたら。

#これはこれで、四作目の企画書を作っていたことに対して答えを得られない気もするが、

#コナミが翻意することを踏まえて四作目はとりあえず企画作った、という見方は出来る。少なくとも自分はそうだ。

#あるいは、コナミ以外のメインスポンサーを引っ張ってくるということを当時の東宝やゼネラルエンタテイメント側が考えていたのかも知れない。


コンプリーションでの釜プロデューサー発言では、セイザーXの売上を見てコナミがスポンサー継続を断念した旨が語られている。

それを踏まえたら自分の説は一見矛盾しているように見えるが、しかし考えても見て欲しい。

コナミがスポンサーを降りる判断を下したのがセイザーXの売上を見て、というのはちょっと遅すぎる。

本シリーズの次作企画立ち上げは一年ほど前から行われていることは、コンプリーションでも書かれている通りである。

四作目企画の草案作成がセイザーX放送開始直後なのは間違いない。

#四作目の企画そのものがブラフというかでっち上げ、の可能性もないでもないのだが、

#河田秀二は過去存在していた自身のファンサイトの日記で四作目の企画に触れていたのだ。 しかも'06~'07頃。


実際はジャスティライザーがグランセイザーより更に売り上げを落としたことが、コナミ側の心証を悪くしたのが大きかろう。

そしてセイザーXでは劇場版やりましょう、劇場版の併映はセガさんのムシキングです!となって、決定的に仲がこじれたのではないか、と。

これらの動きは全てジャスティライザー放送時のものであり、セイザーXの企画についてスポンサー就任したのは、単にコナミが3年枠を押さえていたからそうなっただけの話だろう。

当のコナミは、3年分既にテレ東に金を支払っていたのかも知れない。

ジャスティライザーの途中・・・セイザーX企画製作中に、コナミ側で「もうこのシリーズ続ける気はないです」と言っていても不思議ではなかろう。

その後の「赤ずきん」の体制が早く整ったことを思えば特に。

そしてこれらの動きは、連れてこられたスポンサーだからこその気楽さもあったのかも知れない。


じゃあなんで「赤ずきん」やったの?というのはあるだろうが、それについては本更新では答えない。

ただ推察できるとすれば、せっかく立ち上げた玩具事業で当たる企画を一つでも作りたいと当時のコナミがあがいた結果なのか、とは思える。

アムドライバーも当たったのかどうかは不明で、本シリーズは言わずもがななのだから、玩具事業部が自分達の前途を明るくするために頑張っていた結果、というのはあり得る話だ。


本シリーズ展開当時に居た年長の特撮ヒーローオタク(ことに仮面ライダーシリーズ、特にクウガ~ファイズから入って来たタイプ)がよく言っていた

「コナミの嫌がらせ」「コナミの税金対策」などという妄言はバカバカしいにもほどがある。

#これを彼らが言う時点で実は特撮ヒーローというジャンルに対して興味も関心も無いんじゃないかと自分は認識している。

#プロレスといい、マイナーなジャンルはどうしても排他的になりやすいのはどういうことなのか。


そもそも本当に税金対策なら玩具事業なぞやらずにビデオゲーム事業の拡充やTCGの新シリーズを立ち上げるなどしたほうが余程それらしいだろうに。

出版業界に倣えば、税金対策なら「また雑誌作るか」とするように。


さて本更新の話に戻すと。

せっかく立ち上げた玩具事業をなんとか軌道に乗せたくてあがいた結果がジャスティライザー~赤ずきんまでの約2年だろうと自分は認識している。

そして武装神姫やフィギュメイトでよりハイエイジ向け狙いに的を絞ってから小成を収めたものの、細々とした展開に終始して結果玩具事業を畳んでしまっている。

以前の更新でも述べたが、「オリジナル玩具で成功を収めてから特撮ヒーローやってればもうちょっと違ってた」としているのは

コナミの玩具事業そのものに対する、今更ながらの意見ではあったが

今こうして終わったものを概観していると、なおも意見が変わらない。


本シリーズに関しては、元々玩具プロデュースという形でゼネラルエンタテイメントが入っていたせいもあってか

コナミ自身が積極的に手綱を引けていなかったようでもある。

これはゼネラルエンタテイメントがコナミをスポンサーに引っ張って来たが故の力関係でもあるのかもしれないが、しかしコナミもちょっと及び腰過ぎるのではないのか、とも思う。


コンプリーションにおけるグランセイザー当時の、「現場でヒーローの原型がコロコロ変わっていくのを逐一カメラに収めて帰っていった」くだりといい、

現場とスポンサーを繋ぐというか、緩衝材になっていただろうゼネラルエンタテイメントの存在によって結果的には本シリーズのスポンサーとして発言力が弱くなっていただろうことがうかがえる。

流石にジャスティライザーでは「ギミックはコナミで決めて、外側のデザインをデザイナーに発注」という形に落着したものの。

ただ、当時から玩具者に首を捻られていた「セイザーXでは子供達に試作品を触らせて、あまり使われていない部分をオミットしたりした」結果の

一部玩具におけるギミックの簡易化やデザインの変更などは、コナミ側も本シリーズに最初からガッツリ関われてないが故の失敗ではあった。

それこそせめてグランセイザーの頃から、デザイナーに発注しつつギミックはコナミ側で詰めるという経験さえ積んでいたなら。


コナミ自身もなんとかプロジェクトを、せめて売れるものにしたいと祈念してセイザーXでは色々やっていたのだろう。「ムギュッ!と愛情」というキャッチといい。

#ただ、玩具封入の小冊子に環境問題の話を入れるのはちょっとどうなのか、とも思ったが。

#今でも工業系の産業では、環境配慮というアピールを欠かさないものの、玩具でそれをやるのはいまいちだったように思った。

#なんせ玩具はドライな事言うようだが「あってもなくてもいい物」でしかないのだから。


しかしそうしたコナミの藻掻きは、東宝他の製作委員会とはズレがあったのも事実。

ジャスティライザーの時には装着アイテムの玩具を、同一デザインにも関わらず3人分3色に分けたり、幻星合神セットと別にライト&サウンド幻星神を出すなど

商品点数を無暗に増やす施策をしたせいで玩具者からも、対象客層のはずの幼児からもあまり欲しがられていなかったわけで。

コンプリーションでは釜プロデューサーの「ジャスティライザーで(グランセイザーから)更に落とした」という証言が残ったほどである。

#この時平均視聴率はグランセイザー同等というデータが残っており、ここに視聴者と購買者の埋めがたいズレも生じている。

それは製作委員会自体が「おもちゃが欲しくなるような作品」を作れなかったことにも起因はしているのだが、

コナミ側の商品展開の拙さも相まっている、というのがかつての視聴者の一人が抱く感想だ。


この拙さはセイザーXでも継承してしまっており、同じく釜氏は「セイザーXは若干持ち直した」とも言うものの

なんとも大味な流星神のプロポーションとギミックに、アクショングレード他を削除した結果の商品点数の絞り具合と

当時でも「ああもうこれで終わりなのかなあ」と感じたものである。

一応3年計画なのは前々から知られていたものの…。

ずっと追いかけていた自分としては、せめてアクショングレードは欲しかった。 もう詮無き事だが。


思わずコナミの商品展開に手間取ったが、セイザーXでの放送期間短縮を飲んだのは

「別に四作目をやるつもりもないから、好きになすったら宜しい。ただしこの枠は追加で買った上で別のプロジェクトに回す」

というコナミ側の意向もあったんではないか、という別の仮説が自分の中にあり、

それはジャスティライザーで売り上げを更に落としたが故の方向転換であり、しかし次作セイザーXの企画も既に進んでしまっており

恐らくテレ東側も本シリーズを3年は最低やる前提でコナミの枠買取を飲んでいたがために

致し方なくセイザーXはやろう、となったのではないか、と睨んでいる。

そのへんのやる気の無さが、実際の商品展開に現れているとも見ている。


釜氏や船田氏の証言とはズレが生じる仮説だが、これの理由は前述したので繰り返さない。

ただこの仮説通りだとしたら、そら両氏ともに製作委員会側としてのメンツは守らざるを得ないだろうな、とも。

と、同時に。

やはりコナミ側証言が欲しい。 それこそグランセイザーからセイザーXまで関わった主要スタッフ諸氏と、赤ずきんに関わったスタッフの証言が。

何故短縮を飲みつつも赤ずきんにシフトさせたのか、そこまで知りたい。


ここまで長々、コンプリーションと現象面を基に考察してみたものの、イマイチ決定打に欠けている自覚があるのだが、

それに起因するモヤをいくらかスッキリさせるためにも、今更ながらであっても当時のコナミ側主要スタッフの証言が欲しい。

#何せネット上であってもコナミ側証言がほぼ無いと言って差し支えない状態なのだから。


当時、あれだけ熱を上げて追いかけて、やがてその熱狂から覚めて冷静に本シリーズを俯瞰したかつての視聴者としては、

本シリーズに残された興味はコナミ側の動向や証言のみである。