2014年3月25日火曜日

ジャスティライザー・第三話

第三話「第二の戦士 カゲリ参上!」

[敵幹部:ドクターゾラ]
サイバーナイト・モルギレス登場

監督:鹿島 勤     脚本:上代 務

<日常>

ユカの自宅では母が朝食の準備を終え、ユカと弟・タカシを呼び出している。
食卓には先日の戦いを伝える新聞。
ユカの父は新聞記者で、今回の件で社内は大忙しとのこと。
「人間サイズの怪物同士が戦っている」
そんな一文を目にし、表情を硬くするユカ。

カイザーハデスの封印されている場所では、
ドクターゾラがジャスティライザーを「ノルンの過去の遺物」と吐き捨てた上で
サイバーナイト・モルギレスへ翔太を倒すよう指示を出す。
ゾラたちが見つめる投影映像には学校から急いで帰ろうとしている翔太の姿が。
それは光学迷彩を用いて監視していたザコールから送られていたもの。
急ぎ帰宅した翔太はどこへ向かったのだろうか。

伊達電器店では、父・源太郎が帰宅してすぐ何処かへ向かった翔太を追いかけていく。

神社。翔太が竹刀を持ち一人で稽古を行っていた。
その姿を隠れながら見つめる源太郎。
稽古中の後姿を竹刀で軽くはたかれる翔太。源太郎は翔太の焦りを気取ったようだ。
もっと気楽にやれと源太郎は言い放つのだが。

稽古の後、翔太は一人つぶやく。自分ひとりで地球を守ることにプレッシャーを覚えているようだ。
その前に、ユカが現れる。
相談があるということで翔太が話を聞くと、以前(第一話)湾岸に怪獣が現れたときの話。
大暴れする怪獣から逃げ惑っている最中、ユカは蒼い光を見たと言う。
ここから、二人の微妙に食い違う会話が始まる。
自分がまさかあんなことになるとは、と言う翔太に対して
私も、と同意したようなことを言うユカ。
翔太自身は自分がグレンであることがユカにばれていると勘違いしていたようだ。
そんなユカに振り向いた瞬間、空間からモルギレスが現れる。


<蒼い光>

すぐさまその場から逃げさる二人だったがすかさずザコールを召還。
一人でザコールをひきつけユカを逃がす翔太。
少し後に橋の上から飛び降りてザコールから逃げる翔太だったが
行く先でモルギレスのワイヤー攻撃に捕まってしまう。
ユカから借りていたラクロスのスティックも叩きおられ、追い詰められる翔太。
やむを得ず装着しモルギレスへ立ち向かう。

装着後はモルギレスにスキを見せることなく戦いを進めていくグレン。
ラチがあかず、ひとまず退却したモルギレス。
戦いが終わり装着を解いた翔太だが…
戦闘の一部始終をユカに見られていたことは気づいていなかった。


夜、ユカの自宅。
部屋の中で物思いにふけるユカだが、おもむろにカバンから何かを取り出す。
それは──────── 蒼いインローダー。

ユカもまた、翔太と同じく湾岸に怪獣が現れたとき、蒼い光を浴びてインローダーを手に入れていた。

だが、今朝の新聞の一文が気にかかっていたのか・・・ 
自分が翔太と同じジャスティライザーであろうことを認めたくない様子でもあった。
認めてしまえば人々から「怪物」扱いされるのだから。

翌日。登校中に翔太と出くわすユカは、その翔太から昨日壊されてしまったスティックと
同じ物を手渡される。
部活では浮かない顔をして佇むユカ。理緒たちに呼ばれても反応せず。
ついには部活を途中で抜けてしまう。

一方の翔太は自宅から走りこみへ出かけていく。
その姿を車で尾行する真也。彼も何か気にしているようだが。

走っている最中、モルギレスの奇襲を受けた翔太は
装着しようとするも足に絡みついたワイヤーを振られ装着もままならない。
そんな翔太を見かねて、ついにユカが装着する。
自ら名乗りを上げ、助けに入ってきたユカは ジャスティライザー・カゲリへと装着を果たす。


<蒼の翳>

カゲリは身軽な動きでザコールを倒して行き、モルギレスの手に渡っていたグレンのインローダーも
ダガー投擲で弾き出し翔太の手に戻す。
そうしてジャスティライザーが2人になったところで戦いは優位に。
ワイヤー攻撃をグレンが受け止めているスキにカゲリの必殺技・ファントムショットによって
モルギレスを撃退することに成功する。

戦後。翔太とユカがジャスティライザーの力を得たことについて話しこむ。
やはりまだジャスティライザーとして戦うことに戸惑うユカ。
部活も、目前に迫っている受験もある彼女にとっては地球のことより
今自分がやるべきことのほうが大切なのだ。
普通の女の子でいたい、そう言いのこして立ち去るユカ。
それを見届けていた真也の存在も気にかかるが・・・
翔太もまた「自分に出来ること」のために今は走り出すことしか出来ないのであった。


【レビュー】

カゲリ初登場回。
ヒーローものにおいては昔から姿かたちを変えて語られてきた「現実にやらなくてはならないことと、地球の平和を守ること」
へのせめぎ合いがユカを通じて描かれている。
高校生である翔太とユカだが、ユカのほうが流石に女性というべきか
現実的な方向を選んでいるかのようでもある。

本作はキャラクター描写を密に行うというコンセプトが当初からあったのだが、
それ以上に等身大の高校生を、ヒーローものとして可能な限り描こうとしている点は興味深い。
ユカで言えば友人でもある理緒たちラクロス部の仲間が、ヒーローの側面以外の視点をもたらしている。
翔太なら第一話に出てきた友人だろうが、全編を通して「普通の高校生」としての描写はユカのほうがやや多く描かれている。
(さらに言うなら友人がよく登場するのもユカのほうだったりする)

また、細かいところだが翔太がスティックを返すときの「同じメーカーのものを探したんだけど…」など
普通なら無視されるような部分をあえてセリフに出してしまうあたりも面白いところだ。
翔太が気遣いしているという点でも、興味をひく部分だ。

ここまで特に本筋に関わって居ない真也だが、彼だけを見ているとちょっと昭和のヒーローもののようなテイストを感じるのは
自分だけだろうか。


【特撮の見どころ】

・デフロッグ大暴れ その3
・モルギレスのワイヤーアタック

デフロッグについては第一話の映像に若干のつけたしを行っているようだ。
光線を浴びせられて破壊される電車と線路のカットも入っている。
電車はせめてその場で止まらずに慣性で脱線するくらいしてもよかったように思えるが
流石にそれは求めすぎというものだろうか。

モルギレスについては、初遭遇の際の空中に浮いているシーンが少し目を引く。
というのも、似たようなシーンをとる場合大抵足元をトリミングするか
足元も見せるにしても立っている人物なりキャラクターを、カメラが真正面から撮った素材を用いて
遠景に切り貼りするような映像になることが多いのだが
ここでは(恐らく)わざわざワイヤーで吊るした上でアオリになる構図で撮影した画を合成しているようだ。
本当に、判りにくいところで凝った映像を見せるスタッフである。