2015年7月5日日曜日

セイザーX・第二十話

第十九話「ケイン、裏切りの刻!」

[ネオデスカル:ガレイド]
ゼオリア登場

演出:舞原賢三    脚本:林 民夫


<捕虜交換>

冒頭。前回の続き。
ケインは宗二郎が攫われたことについて、戦いの最中に捕まったため、対応できなかったと漏らす。
あまりに説明がぎこちないことに気づいたブレアードだが。
じいちゃんが捕まったのにそのままにして帰ってきたのかよ!と激昂する拓人をなだめる春子。
宗二郎を返してほしければ今日午後三時に、大岩谷までブレアードを連れてこいとグローザに言われたことを告げるケイン。
ケイン自身はまだうろたえている。 帰りたくないとつぶやくブレアード。


ガレイド艦内では宗二郎を連れて来たグローザが帰ってきた。
ガレイドには、次の手は打ってあると報告。
宗二郎のためだけにセイザーXが来るのか?と訝しがっていたがサイクリードが仲間のためならば必ず奴らは来ると断言。


シャークとジャッカルはまだ戦いの最中。
シャークを倒すまで戦いは止めないつもりのようだ。
レミーの通信応答も出来ない状態が続き、いらだつ拓人。
ついに、シャーク抜きで宗二郎とブレアードの捕虜交換を決意することになる。

ブレアードを連れ出そうとする拓人。 ブレアードの傍らには納豆ごはんを食べ終わった食器が置かれている。
またいつでも来ていいのよと春子はブレアードへ告げる。
俺の人生の中で、初めてのやすらぎの時だったとつぶやくブレアード。
春子たちとのふれあいを決して忘れない。 そんなブレアードの頬に涙が伝った。


大岩谷。
約束の午後三時に来たセイザーX。
ブレアードは拓人に、ケインには気をつけろと忠告するがそこにネオデスカルの面々が現れる。
果たして、宗二郎は拓人たちの元に返されたが次はブレアードを渡す番。
グローザが促すと同時に、ケインへ目配せをした。
表情が一気にこわばるケイン。 手元には銃。


実は、グローザからはラディ星へ向けてネオデスカル艦隊が向かっていることが告げられていた。
うろたえるビートルに対してグローザは、そのスキに宗二郎を捕縛。
宗二郎を返して欲しかったら、捕虜交換の間にセイザーXの誰か一人を倒すように持ちかけた。
ラディ星への攻撃中止と引き換えに。


<信じ続けたから、運命が動いた>

結局、ブレアードを返すことにしたセイザーX。
再会を喜ぶアクアルとサイクリード。 それをよそにグローザはケインへ促す。
セイザーXの誰か一人を撃ち殺すことを。
ケインは目に涙を浮かべていた。 振り返る拓人たち。
絶叫するケイン。 グローザは早く撃てと叫び、銃声が谷間にこだまする。

ヒザから崩れ落ちたのは、グローザ。
みんなを裏切れず、結局グローザへその攻撃を向けたのだった。
デスメードとゼオリアが前に出てくる。 ライオとイーグル、ゴルドにツインセイザーが立ち向かっていく。
その場に膝を付くケイン。かあちゃんごめんと落涙。
しかし・・・  
彼には涙に暮れる暇はない。目の前のネオデスカルと戦うために装着。ライオたちに合流した。

あたしを撃った意味はわかっているわね?
と吐き捨てたグローザ。ビートルはうなだれたが・・・ しかし、ゼオリアへビートスラッシュを放ち撃破。
三将軍とグローザも退却する。


シャークベースへ戻っていたシャーク。
拓人が怒りを露に突っかかるが、シャークは謝ると同時にジャッカルと戦っていたことを話す。

シャークとジャッカル。
1960年の地球へ訪れた際、シャークと共に戦艦に乗り込んでいた仲間同士だった。
不時着の際に重傷を負い、長らくコールドスリープさせていたのがジャッカル。
無事だったシャークは、地上に降りた際に宗二郎と出会い、地球に対する考えを改めるに至ったのだ。
ネオデスカルとの戦いに挑むこととなったシャーク。そしてジャッカルは仲間だった。
つまり、シャーク自身が元からネオデスカルの一員であったことも、セイザーXの面々に改めて知られた。

ジャッカルは裏切ったシャークを許せないから、個人的にシャークをつけ狙っているのだろう。
シャークもそれを感じ、セイザーXを巻き込まないことを告げる。
ジャッカルとの戦いは個人的なもので、俺自身がケリをつける。

拓人はさらに怒りを露にする。
皆仲間なら、なんで何も相談しないんだよとケインに突っかかる。
俺には、言ってくれなきゃわかんねぇよと拓人は苦い顔をしてうなだれる。

安藤家へ戻る拓人。 
宗二郎に未来から来たほかのメンバーの気持ちが、平和に暮らしていた自分には判らなかったとこぼす。
確かにそうかも知れないが、だからこそ判ろうとする気持ちが大事なんじゃないかと諭す宗二郎。
拓人の表情が、少し引き締まった。


ガレイド艦内では、久々に揃った三将軍を喜ぶサイクリード。 はやく宇宙へ帰りたがっていた。
傍には治療用の光線を浴びせられ、先ほどの銃撃の怪我を治していたグローザ。


ライオキャリアー内では、ケインの星を救うためにすぐに三将軍を探し出すべきだと主張した拓人だが
ケインはその申し出を、この時代に来た以上は覚悟しなきゃいけないことだからと諦観した様子だった。
何事も絶対なんてことはない、僕は奇蹟を信じると言うケインの表情はまだぎこちない。

そこに未来からの通信が割り込んでくる。トビーが泣きながら、ラディ星はネオデスカルから
守られたことが告げられる。
数隻で攻めたことが結果的には守り抜くことに繋がったのだろう。
ルーエ星の悲劇を繰り返すなという決意が、ラディ星を皆で守ったのである。
絶対なんてことはない。
ケインの言葉通り、未来の運命を一つ変えることに成功できたことを喜ぶ一同だった。
モニターに映る、ケインの家族たちの笑顔を眺めながら――――――


【レビュー】

ここでブレアードはネオデスカルへ合流することになったが、その策謀のために
ケインを利用するグローザの悪辣さが目立つ回。
しかし、それでも絶対の未来なんてものはないという言葉を信じるケインの芯の強さを伺わせるドラマが展開されていた。
一度はラディ星の未来を悲観したもののあらゆる状況が重なり、結果的には守られたことが
今回のカタルシスの解放へと繋がっており見ごたえもある。

一方ではシャークとジャッカルの因縁がここでセイザーXにも伝わるところとなる。
第七話でシャークが宗二郎に話をしていたもう一人の仲間が、そのジャッカル。
コールドスリープの最中であった彼は、地球で1年以上過ごしていた間にシャークが心変わりをしていたことなど気づくわけもなく
その上で、シャークはジャッカルとの戦いをあくまで個人的なものと断言し
他のメンバーには一切手出しさせないこととした。
一切相談せずに離反したシャークへ憤るジャッカルと、シャークやケインに対して怒りを表す拓人がダブって見えるのはそれほど間違いでもない気がする。
ジャッカルにしろ拓人にしろ、感情が先走ってシャークを冷静に見れていないのだから。


ドラマ面では改めてシャークとジャッカルの因縁が描かれるなど、さらにうねりが伴うが
一方のストーリーは、実は停滞していた。
コスモカプセルが一つセイザーX側へ動いた以外は特に大きく話が動いていたわけでもない。
強いて言えばビオード星と地球の過去の経緯が、ストーリーの発端として提示されていたくらいだろうか。
キャラクタードラマに集中していたのがここ3話分なのだが、一見そうと感じさせないのは
林民夫によるドラマ展開の妙が大きい。


【特撮の見どころ】

・なし

精々、終盤にガレイド艦内で治療中のグローザくらいだろうか。