2016年3月12日土曜日

コナミだけでなく、バンダイもやらかす事がある。

(2016/7/23追記)
このblogはタイトル通り「超星神シリーズ」についてのblogです。
この更新は、たまたま自分が追いかけたことのある某ホビーについて言及しているに過ぎません。
よってそれらの情報を期待して来ても困ります。 また画像もありませんし今後も用意はしません。
#この更新の趣旨は「コナミとバンダイの失敗ホビーから見た、共通する失敗パターン」です。

また、本更新の内容を引用した際の諸々については当方は一切関与しませんのであしからず。
それは、あなた自身の問題として処理して下さい。


考察?タグなどで度々自分が発言しているものとして
「似たようなものなら別に、先に出てるものでいいじゃん」
というシビアで現実的な考え方がある。
もちろんこれは、先に出ているものが知名度・人気ともに高いものでなければならない。


これは基本的には無自覚に、大多数の受け手(買い手)が価値判断基準のひとつとして持ちえているものでもある。
一方でこれは送り手(売り手)からすれば一番頭を悩ませる判断基準となる。
競合他社となってしまう後手側としては、いかに差別化を図るかが命題ではあるのだが、
残念なことに先行している方も手をこまねいているわけでもなく、年毎に、または突如新機軸を持ち出して
「自社内差別化」によって、自分たちの製品ないし作品を受け入れてくれている大多数の受け手へ訴求しているのである。

よって、後手側としてはどうしても「先手にはない新機軸と、先行技術からの変化」という部分で勝負せざるを得なくなる。
これはホビーに限らず、世の中に出回っているあらゆる商品ないし創作物に求められているところでもある。
もっとも、競合の激しい商品などに関しては価格競争という部分での戦いも出来ようものだが
競合に乏しい商品・創作においてはどうしても見た目や内容を厳しく問われやすい現実もある。



さてここまで書いた内容を踏まえ、表題の話に移る。
※ここからは他ジャンルの話メインで展開されますのでご了承下さい。


東宝とコナミが放った超星神シリーズは、自分が先ほど指摘した後手側の戦法を愚直に、または日和ながらも採用したものである。
その結果は歴史が証明しているので今は問わない。
それだけ東映・バンダイのコンビが強固だったとも言える。

その強力なスポンサー・バンダイだがヒーローものやロボットものは強固でも、
実はそれらキャラクターもの以外は大いに苦戦したり、後手に回って競合商品を出しては失敗に終わることも珍しくない。


その象徴と言えるのが表題にあげた「パチ四駆群」である。
そもパチ四駆とは何ぞや?  まずは一大ジャンルと言っても過言ではない大元「ミニ四駆」を交え、そのブームとパチ四駆の大まかな流れを追憶形式で述べたい。


自分の幼少期は丁度第一次ミニ四駆ブーム華やかなりし頃。
タミヤが廉価なモーターライズ玩具(というかプラモデル)として当初売り出したミニ四駆だったが、
これは実写のデフォルメものが多かった。
同社「レーサーミニ四駆」という別シリーズでは、タミヤリリースのラジコンボディをミニ四駆用にサイズダウンした「Jr」シリーズを売り出すが、この時大ヒットとなったのがかの有名な「アバンテJr」であることは、当時を知る人間には周知の事実。
このタイミングでコロコロコミックで連載されていた「ダッシュ!四駆郎」のヒットと同作に出た「ダッシュ軍団(ウォリアーズ)」の各マシンもキット化され大いに売れたが
時期的には1988~1990年くらいが、この第一次ブーム期で最も盛り上がっていた。


当然これは、タミヤ以外の模型メーカーが黙ってはいない。
各社そのタイミングで、後年俗に言われる「パチ四駆(パチモンミニ四駆の略)」を多数発表。
アオシマ、マルイ、エルエス、グンゼ産業(のちクレオス)、アリイなどそうそうたるメーカーが立ち並ぶ中、バンダイも模型メーカーとしてのプライドからか参戦。

このパチ四駆たちの特徴としては、大体が先行しているミニ四駆とは違う機構や要素を前面に押し出していたことが挙げられる。
そして、現在のミニ四駆界隈ではもう見られない要素も幾つか導入されていることが興味深い。


三本電池、2WD4WDの切り替え、アルミローラーやメッキホイール、スポンジタイヤの採用、火花を飛ばす、高性能モーターを最初から封入、シャーシ中央にプロペラシャフトが通る(ミニ四駆は右側。なおパチ四駆の一部は左側に通しているものもあった)、
クリヤボディ、ボディのキャノピー部にのみクリアパーツ使用・・・。

以上の要素は、それぞれ組み合わせが異なりつつも「キットの標準装備」として封入されていることに注目していただきたいが、
各社、モロにタミヤ製品を意識しつつ、それと差別化を図ってタミヤの牙城に挑んだのだった。

もちろん上記要素のせいで値段も1000円になったりという弊害もあったため、売り上げ的には苦戦を強いられていたようだ。
#タミヤのレーサーミニ四駆は600円(モーター付き)。強化用グレードアップパーツは別売


さて、バンダイ。

実はバンダイのパチ四駆、この時期のものは他社同様、上記のような差別化も図っていたが
さらにガンダムやシュラトなどの、当時自らがスポンサーとして手掛けたキャラクターのマシン化という、いまいちピンとこない展開を行っていた。
仮面ライダーBLACKRXでも、販売しなかったがパチ四駆ライドロンが劇中に出ていたくらいなのだから
当時のバンダイおよび東映の意識のほどが窺える。 それだけミニ四駆は爆発的なブームであったのだから。
無論オリジナルマシンも手掛けていたものの、上記キャラクターのマシン化のほうが印象に残るという皮肉な結果に終わったのが第一次ブーム期。

第二次ブーム期は、アオシマやアリイ、フジミは相変わらず作っていたがバンダイは静観。


そして2004年。 ミニ四駆ブームも冷めたが細々売られていた状態であり、
タミヤ自身もこれより以前に話題となっていたボブスレーを意識した「ダンガンレーサー」を出したものの、パッとしない状態であったこの頃。

バンダイ「バクシード」の登場である。
ミニ四駆が沈静化していたタイミングに攻め込んだバンダイの戦略眼は悪いものではないが・・・。
このバクシード、第二次ミニ四駆ブームのマシンを意識したデザイン(フルカウル)であったものの
ボディデザインがごちゃごちゃしているだけな上に、肝心のマシンが重く大きい、
シャーシやボディへ手を入れまくらないとスピードが出せない一方、強化パーツ自体への改造不可という問題を終始抱えていた。


ところがこのバクシードのトピックは、そういった基本的な部分以外にある。
まず、全国のコースを設置している店でラップタイムを計測・WEB上でタイム登録することにより
全国のユーザーと擬似的にタイムアタックが行える仕組みを取り入れたことが一つ。
そして、それまでバラバラにリリースしていたアオシマ他各社に声をかけ、さながらF1などのモータースポーツのように
他社マシンを、バクシード公式マシンのフォーマットに沿って作らせるなど
タミヤ一社で成立していたミニ四駆の世界に多大なインパクトを与えたのである。

なお他社マシンはアオシマのほかにWAVE、ミツワモデル、クレオス、そしてタミヤとはラジコンにおいて長らくのライバルである京商が参戦するなど
当時バクシードを白い目で見ていた自分もさすがにこの戦法には度肝を抜かれたし、自然バクシードを追いかけることとなった。

ちなみに展開当初は、新規シリーズにも拘らずほぼ毎月1台のリリースというバンダイの体力が窺える発売ペースであった。
そのバイダイ製マシンも、前輪ユニットと後輪兼モーターユニット、シャーシという三分割形式を採用。
後にモーターユニットを前後差し替え可能なシャーシを出したり、ボディによっては実車よろしく
ボンネットを開けて前輪ユニットにアクセスできるなど、玩具メーカーらしいアイデアも投入していた。
これら新機軸を以って、ミニ四駆沈静期にバンダイがシェアを強引に奪い去ろうとしていたことは当時を知る人間にとって印象に残っている。
何せダンガンレーサーがミニ四駆の後釜たり得なかったのだから。


しかし。
バンダイの思惑とは裏腹にこのバクシード、今一歩どころか二歩は盛り上がりに欠けていた。
コミックボンボンとのタイアップに情報番組、全国にサーキットを置くなど積極展開を行っていたにも関わらず、知名度的にはむしろマイナー側に属してしまっていたし
他社製はさておきバンダイ製マシンはどれも似たような印象のものばかりになったのも痛い。
#既に沈静化していたフルカウルミニ四駆を意識し過ぎたのも良くなかった。 F1マシンを意識したボディも一部あったものの・・・。

さらに2005年には「ミニ四駆を越えるものは、ミニ四駆だけ。」という揶揄をこめた挑発的なキャッチコピーを引っさげて
「ミニ四駆PRO」をタミヤ自らリリース。 それまでのシャーシと違い三分割形式なのはバクシードを一見意識しているようだが
モーター位置がシャーシ中央にある上にモーターもダブルシャフト形式となり、本家ならではの圧倒的な存在感と話題性を発露していた。
# もっとも上述のダンガンレーサーの時点で、三分割シャーシ自体は先行していたのだが。

ちなみに揶揄については自動車の世界でもかつてあったものでもある。
「名ばかりのGT達は、道をあける。」 が、それだ。
どうやら車輪つきの商品は競争がドギツイ世界のようである。
かつて短期間トミカと競合したブーブといい。 あ、これもバンダイだ。
#これはトヨタがかつて打ち出したコピーだが、トヨタといいタミヤといい自身満々である。


また、第一次・第二次ブーム期と違い高校生以上の年齢も参加できる大会のクラスも創設したため、
それらブーム期のユーザーを呼び戻すことにも成功していることが大きい。
この時期、コロコロコミックとの協調体制はほぼ瓦解していた状態だったにも関わらずである。


同年バクシードは二年目にして失速。 この頃丁度アオシマ他他社製マシンも展開していた時期だったのだが・・・。
三年目には、実車コラボシリーズで展開を続けたものの結局2009年には公式HPを閉鎖し終了。
製品リリース自体は2008年に入るころから止めていた。
なおこのバクシード、噂レベルでは元々三年計画の企画だったそうで、こういったところにも
超星神シリーズとの共通点を感じずには居られない。
製品の販売が正味三年程度で終わったところを考えると、コナミにおける超星神シリーズと同じような展開期間であったのだから。


そして両者に共通していることといえば。

・先行他社との差別化を可能な限り模索していた(特撮映像で攻め入ろうとした超星神シリーズ、Webタイムアタックや他社参戦という話題のバクシード)
・一方肝心の見た目や宣伝・メディア攻勢では訴求するものが弱い(両者とも一年目は大々的だったが・・・)
・内容面において厳しい評価を下されていた(超星神シリーズは本編そのもの、バクシードは公式レギュレーションや改造など)
・そもそも不得手なジャンルへの挑戦だった

というものがある。
特に一番下は致命的でもある。  コナミは当然だが、バンダイはこういった「競技系ホビー」については昔から弱い。
ヨーヨーやガンプラなど、良くも悪くもひとりで楽しむホビーには滅法強いのだが、不特定多数との大会、知人同士でのレースなどを行うホビー・・・
要するに対戦型は全くといっていいほど苦手であった。 クラッシュギアが辛うじて知名度が高い部類ではあるが・・・。
#競技系ホビーについては逆に旧タカラが得意としていた。 ビーダマンやベイブレードなど。

大会ルールの頻繁なマイナーチェンジと、本体やカスタムパーツの不自由さのせいでミニ四駆で遊んでいた層を全く取り込めなかったというのも、バクシードの敗因ではある。
後者のパーツに関しては「WGPマーク」のついているもの、かつそれ自体への改造がダメというものが問題だった。
コアユーザーは一応対処していたとは言うが・・・。
つまり、タミヤを意識し過ぎて逆に受け手側で楽しむ余地が無くなっていたのである。
これは超星神シリーズの失敗パターンと若干被るところがある。
東宝やコナミが、東映・バンダイを意識し過ぎてイマイチ見どころに欠ける作品群を作ってしまったところだ。


巨大戦を毎回入れないという差別化だけはたかく評価する自分だが、それ以外の部分・・・
特に本編において終始苦戦していた超星神シリーズと
意欲的なギミックと、他社製品参入という飛び道具は見るべき点がありながらも、
肝心のマシン自体の問題と、大会レギュレーションによる問題でユーザーを伸ばせなかったこのバクシード。


最大の共通点は
「差別化に腐心し過ぎて、そのジャンルに本来求められているものへの注視や何故受けているのかという分析・結果の反映が足りていなかった」
と言うことであろう。
東映・円谷らとのタッグによってヒーローものにおいては強固な土台を築いているバンダイでも
やはり中途半端に欲目を出して不得手な世界に飛び込めば火傷をするということだ。
(バンダイという会社が、幾度と無く火傷しても問題ない体力のある会社とはいえ)


荷物整理の中、物置から出てきたミニ四駆とパチ四駆、そして超星神シリーズの玩具などをながめながらふと思いついた更新である。
コロコロコミック派なんだけどなぁ・・・。
#そういやバクシードも超星神シリーズも講談社が関わっていたっけな・・・。

と、ここまで書いて思い出したこととして第一次ブーム期に出た「レーサーミニ四駆ジャパンカップ」というファミコンソフト。
これコナミが出してたんですね・・・。
つくづく妙な縁を感じる自分である。



<後述>
なお、ミニ四駆は2005年に新シャーシ投入で徐々にブレイク、現在は久々にジャパンカップを行うなどしており
主に第一次・第二次ブーム期のユーザー中心で盛り上がっているのだが、この布石としては
過去車輌の復刻販売(レーサーミニ四駆メモリアルボックスなど)により、主に第一次ブーム期に子供だった人々を掴みこみ、
後々過去マシンのリメイクを矢継ぎ早に投入した結果、現在に至る礎を築いている事実がある。
またPRO展開中に自らフリーペーパーを発刊したり、Web上でミニ四駆コミュニティやオンラインゲームなどを積極展開して更なるユーザーの掘り返しと、ユーザー間の繋がりの拡大を狙ってもいた。
公式レースも、過去と違い大人層も参加可能にしたのも大きい。 
現在も新型シャーシの投入や各種コラボレーションによって、過去のような「ブーム」からホビーとしての「定着」への転換を図っている。


こういった、ミニ四駆PROの初期の盛り上がり方を見ると東映・バンダイが仮面ライダークウガによる復活の前にプライズ等様々な形でグッズを展開したり
テレビ朝日の援護射撃(トゥナイトⅡ、とび蹴りゴッデスなどで放送直後に取り上げられる)もあって、仮面ライダーが息を吹き返した状況と酷似している。
その前に放送されたロボコンの時もまったく同じ流れだったので、古いファンを掘り起こすという行為によって現在盛り返しているという現状は
ミニ四駆も仮面ライダーも同様と言いきれる。
もちろん新世代のファンを獲得しているという点も無視できないが、大人が参加しても問題ない環境をタミヤも、東映・バンダイも作り上げていることを注目したい。

実はゴジラもそのパターンで蘇った事実もあったそうだが・・・(84ゴジラの時)