2017年9月29日金曜日

ヒーローものの現状から、超星神シリーズを振り返る試み


今回の更新は、2017年現在のヒーローものの現状を
「既にヒーローものに興味が無くなった人間」なりに俯瞰してみたものであることを予めお断りしつつ
本シリーズの考察?を行いたい。


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まずはいまでも戦隊とライダーが続いている東映。

東映作品の場合は、よくヒーローものオタクの間では昔から聞かれる「基本1年契約の枠」という話がある。
噂レベルなのでどこまで本当かはわからないが、少なくとも東映にせよスポンサーのバンダイ、
果てはテレビ朝日に至るまで長く続けている作品である以上はブランド性を大事にしているとは思うが
それでも、特に局の事情で枠が消滅・変更することすらあるのだから
東映側は常にそれなりの緊張感を持って作っているんじゃないかとは思う。

事実、戦隊シリーズにせよメタルヒーローシリーズ~平成ライダーシリーズまでの流れにせよ
その30年以上の枠の変遷は、興味をもって調べたことがある人間にはよく判っていることだろうし
その経験があるからこそ、少なくとも東映だけは緊張感を今でも持っているんじゃないだろうか。
#東映が大株主とはいえ、テレビ朝日の意向が変われば今後どうなるかは読めない。
#バンダイはともかくとして・・・。


もっともここ10年ほど、新規で枠を開拓しようという意思が見えないのは、東映も案外限界なのか?とも思うし
他のテレビ局やスポンサーも乗り気じゃないのだろうかとも思える。
こればかりはいくら東映がヒーローものに強いブランドイメージがあっても覆せないものだろうし
だからこそweb配信などの路線を開拓してもいるのだろう。

そして元ライダー・戦隊役者をメインに据えた映画という試行錯誤もしているものの
こちらは成功しているとはお世辞にも言いがたいようである。
別の更新でも述べたが、テレビ作品の劇場版以外はとんと弱くなった東映の現状を思い知らされる一面である。
#その点については深作監督没後に看板監督を擁立できなかった東映に問題はある。
#松竹ですら山田洋二監督がまだ看板として存在しているが・・・。 時代遅れと言えばそうなのか?
#そこを無視しても、東映の映画興行に対して他社より振るわない点ははなはだ疑問符が付く。


映画興行といえば、映画館の上映前予告。
東宝と松竹は、自社の興行番組予告の前に必ずロゴを出す。
ワーナージャパンは忘れたが、大体海外の映画でも一部作品は制作会社のロゴが今でも出る。

が、東映だけは何故か出さない。
シン・ゴジラ上映中のことだが、上映前に相棒4だったかの予告が流れていた。
それはいいのだが、東宝や松竹他と違って東映のロゴを全く出さずに予告だけ流していた。
テレビ番組の劇場版はそういう方針なのか?
それにしたっておかしい気がする。
穿った見方をすれば「テレビであれだけ有名なんだからウチのロゴ出さなくてもいいだろ」という怠惰な態度も見える。

まああの大時代感溢れる「岩に打ち付ける波と共に東映ロゴ」はちょっとギャグに見える気もせんでもないが。
#そう考えると、松竹がある時期から現行ロゴに変えた理由もなんか判る気がする。
#ちょっと大時代的なんだよね。いかにも「日本です!」アピールが強すぎて。


さておき。
東映はどうもテレビにかまけすぎて本来の映画興行がちょっと・・・。
映画の番組自体テレビ番組の劇場版が目立つせいもある。
映画やりたいというプロデューサーが居なかったりするのだろう。


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円谷は親会社がこの10年で、少なくとも2回は変わりながらも存続。
しかし一方でウルトラマンの新作映画はちょいちょい作っていた上にテレビシリーズもテレビ東京と組んで以降は
ある程度はコンスタントにつくれるようになっている。
スポンサーであるバンダイもウルトラマンという商材を未だに重要視しているということでもあろう。

円谷は最初こそ東宝の出資で独立したものの途中で一族経営に舵を切り
やがて別の会社資本に入り、さらに他社資本によって今に至るわけだが、
このあたりの苦労は、ある意味ウルトラマンに助けられているといっても過言ではあるまい。
2000年代以降は様々な企画にウルトラシリーズのヒーローや怪獣を使うことで
幅広い層に受け入れられているようであり、このあたりはキャラクターコラボに慎重な東映と比べても
会社戦略上出色ではないかと思える。
#東映の場合は石森プロとの絡みもあるせいだろうとは思うが・・・。
#毎日放送制作のライダーとゴレンジャーは例外的にダイドーの清涼飲料水やパチスロでも使われている。

コラボについては東映が慎重すぎる、と評したが
円谷が積極的すぎるだけ、というとそうでもない気がする。
何せ拙blogの主役の一人・東宝ですらゴジラの新作のたびに様々なコラボでアピールしている事実もあるのだから。
#直近ではシン・ゴジラ公開前後が記憶に新しい方もいらっしゃることだろう。

で、改めてなんで東映ってこんな慎重なの?とは思う。
同じテレ朝の新日本プロレスくらいは露出しててもおかしくない気がしなくもないが。


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で、主役である東宝。ついでにコナミ。

長期に渡るシリーズを持つ東映ですら現在新しいテレビヒーローものは作れていない。
円谷も一族経営の頃と比べるといくぶん大人しくなった。


そんな上記の状況を踏まえれば、本シリーズが3年も枠が保障されている中での制作というのは
今見てもかなり奇蹟と言える出来事である。
2000年代前半のコナミの好景気が要因とはいえ、3年枠を抑えての特撮ヒーローもの制作、という事実は今の世の中を思えば誰が見ても驚く事柄だろう。
コナミが当時タカラを傘下に加えていたからこその新規参入という側面も無視は出来ない。


しかし、現実はコナミにも、東宝にも厳しい。

グランセイザーの終盤からホビー誌に載っていた情報だが、3年もヒーローものが作られることが少なくとも当時年長の視聴者側からも認識できていた以上
1作目は不慣れという部分で大目に見られていたし
だからこそ2作目は重要だったのだが・・・。
そして3作目にいたってはあまり期待もされていない状態のスタートに逆戻りする本シリーズ。


一応テレビ東京のネット局などでは特集を組んでもらったりもしていたのだが
それもグランセイザーの時のみ。
ジャスティライザー以降は特集自体あったっけ?という有様であった。
#制作発表会自体はやっているが。

もはや忘れ去られていても仕方ないのだが、本シリーズはジャスティライザー以降は
メディア展開が急に疎かになっていったのである。
自分も放送当初は「なんかやってたっけ?」というくらいにジャスティライザー・セイザーXともに
周辺で取り上げられていたのを覚えていない。

グランセイザーの時は写真集もあれば小学館の超全集も出たりと信じられない賑わいだったのだが。
#ここについては当時の東映ヒーローものの役者の写真集が出ていた流れをそのまま受け継いでいると見ていい。
あとは先述のようにネット局での特集番組や、ジャスティライザーまでやっていた
講談社・マガジンZでの漫画連載と
他社とは違うやり方で、新規シリーズを頑張ってアピールしていたのが本シリーズであった。
#なおネット局の件は、グランセイザーDVD全13巻(セル・レンタル共)の特典映像に2、3収録されている。
#このDVD、今思うと全巻特典映像満載でかなり嬉しいものなんだけどなー。


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そうして、2017年の時点でヒーローものから離れて11年経つ東宝。
コナミも今や「そんなのやってたっけ・・・」と言わんばかりの態度である。
#もっとも2000年代のコナミは、本シリーズに限らずアニメでも色々暴れていたのだが。
#その頃を思うと今のコナミの静けさは不気味に映る。

コナミに関する更新でも述べたが、新規で特撮ドラマ・ヒーローものに出資しようという大会社など
今後はありえないと見ても差し支えない。
過去にはソフトバンクやブシロードがそれぞれ手掛けていたのだが
前者ですら1年が限界だったのだから、資本があればよいというものでもあるまい。
ケータイ捜査官7が当時では割りとマシなSF特撮ドラマだったことを考慮しても、である。

また、今後は金もかかれば数字も取れるのか読めないジャンルのドラマに枠を空けてくれるような
テレビ局もないんじゃないか?と思わなくもない。
時代劇や刑事ドラマですら今となっては寂しい状況である以上、
特撮を使ったドラマにかけようという局が出てくるとも思えない。
だからこそ東映はアマゾンプライムでライダーの新作を、という試みをやっているとは思うが・・・。


これに対する一つの反論としてクラウドファンディングは?というのもあるだろうが
そもそもどういう作品が上がってくるのか判らない状態で金を出す人間は居ない。
コナミも過去に似たようなことをやってたが、あまり良い結果じゃなかったのを思うと無理があるだろう。
しかも30分で何千万かかるとも言われる特撮ドラマである。
東宝が赤覚悟で1000万出したとして、他の数千万クラウドファンディングで募って集まるわけもない。
1クール13回分としたら総額数億を個人から募らなければならないのである。
#試みとしては面白いとは思うが、予算額から言って現実的ではないのは自分でも判る。


タカラトミーも今は特撮ヒーローにバクチ打つほど余裕はないし、
現在のゲーム業界も、TCG方面込みでお世辞にも賑わっているとも思えず。
では玩具関係ないスポンサーばかりではどうか?と言っても
「特撮ヒーローねえ」でソッポを向かれる可能性は高い。


以上のようなことで、金のかかる上に客層を限定するジャンルに金を出す会社も無い現状では
東宝の新規参入はまあ、無理なのだろう。
以前、もしも「次」があるのなら? および ヒーローものに拘る理由はない にてヒーローもの以外の特撮ドラマの可能性を箇条書きと予想込みで探り、かつ
東宝が今後特撮ドラマに参入するとしたらどうあるべきなのだろうか、素人なりに思いつきを述べたものの
結局のところ、再参入は無理なんじゃないかなぁ、とも思わないでもない。
そもそも東宝側にやる気がないような気もするし・・・。
映画興行も好調続きだし、東宝アニメーションも順調とは言わないまでも続けられている状態なわけで。


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恐らく現状は、向こう10年は少なくとも新規参入ナシでウルトラ・ライダー・戦隊だけで
ヒーローものは展開されていくのではないかと思われる。
ごくたまに東映か円谷が新規作品をやるかも?と予想できそうなくらいで。
ヒーローもの冬の時代、とされた時代は何度かあったが、それらに比べると今は
上記三シリーズが健在の時点で、少なくともヒーローオタク側はそう感じていないとは思う。

多分このまま特に大きなムーブメントもなく、地道に続いていくのだろう。
#ヒーロー村の中のみの大きな動き、はあるのかもしれないが・・・
それがいいことかどうかは知らない。 もうヒーローものに興味が無くなった人間としては
現状をただ傍観するほかない事実は、寂寞を覚えるが仕方ないことかもしれない。