2019年4月14日日曜日

ここ最近の東映のキャラクター展開

拙blogでは、とりあえずメインに据えるのを避けていたものだが思うことがあってメインに取り上げることになった。

先に断っておく。
今回は東宝ではない、東映だ。
拙blogでは、たびたび東宝との比較で持ち出してきた会社でもあるが、とうとう更新のメインに持ってくることになった。



では本題。

2019年に入ってから、妙に「東映に映像化権のある作品達」が、他企業の宣伝用にかりだされていることを
恐らく多くの人も気付いていると思う。

ドコモ → 一休さん、ゼニクレージー(コンドールマン)
バファリンルナ → セーラームーン
劇場版コナン → 北斗の拳

まだこの程度、といえばこの程度でもある。
もっと前から宝くじにてドラゴンボールやワンピースのキャラクターが用いられているのもある。
もう少し細かいことを言えば、ゼニクレージー以外は全て東映アニメーション制作でアニメ化されているものばかり。


なんでそんなことで更新を?と思われる人も多かろう。
ただ、自分から見ると今年の東映はいろんな意味で今までの方針から変えてきている、と感じている。

というのも、東映という会社は自分から見たら
「肝心の映画興行を犠牲にしてでも、テレビ作品に注力する」
「聖地・テレビ朝日ある限りどうとでもなる会社」
「東宝や円谷と比べても、他企業への広告用コラボでキャラを出し渋る会社」
と、若干皮肉も混ぜたが、こんな会社だという印象が強い。
#一応、最後のは原作者との兼ね合いもあるというのは理解できるのだが・・・。


が、しかし。
今年からのキャラ展開の前から、東宝に東映の太秦映画村が依頼して実現した
劇場版コナンの広告コラボ(というかタイアップ?)以降、徐々にではあるが東映は
他企業との連携を強めつつある事実もある。
その前は、ダイドーと組んでゴレンジャーと毎日放送時代の仮面ライダーを用いた清涼飲料水も展開していた。
ある意味、2000年代から少しずつ他企業への歩み寄りを行っていたといえる。

特に東宝との関係が微妙に近づいているのがポイントか。
先述の劇場版コナンの2例もそうだが、シン・エヴァンゲリオンではとうとう共同配給という異例の事態まで引き起こすこととなる。
シン・ゴジラでも、東映資本の特撮研究所も協力している。


さきに述べたとおり、東映自体は他企業にキャラを貸したり、組んだりということを極端にしない企業でもある。
東映独特のプライドというか、社風がそうさせているのかもしれない。
がしかし、ここ最近・・・ 2000年代を経て、2010年代は特にちょくちょく他企業広告に
東映が映像化権をもっているキャラクターが出てくることも目立ってきた。
今年2019年は、そうした流れの総決算的な状況になるのではないか、と睨んでも居る。

不思議と聖域化している戦隊や仮面ライダーまでも、今後は他企業の広告で見かける可能性もあるのだろうか。
#前述のダイドー以外ではほとんど見かけない。


一方、こうした流れに乗れて居ない映画会社としては松竹がある。
だがこれは理由がある程度読める。 
芸能関係のほうでなんとかやっていけている松竹としては、東映と違ってコラボにがつがつしなくてもいい事情もある。
まあ、それ以前にコラボで使えるキャラクターが寅さん以外居ないのだが。
それすら渥美清が亡くなって20年も経つ現在、使いようがないという実情もある。

松竹芸能としては長らくのライバルである吉本と、番組で共演することが90年代から多くなっても居るし、
歌舞伎興行もほぼ松竹が一手に引き受けているためでもあろう。
東宝や東映と組まなくてもよろしくやっていける、という自負も見える。
そもそも戦前からのライバル・東宝とは特に組まないだろうことは自分でも判る。

が、もし東宝と松竹が何かしらの形で組むことがあったら。
割合話題を呼ぶんじゃないのかしらん、と思う。
既に東宝は実写版ジョジョ第4部でワーナーと組んだり、前述のシン・エヴァンゲリオンでも共同配給という形で東映と組もうとしている。
角川映画とは昔から配給で組んでいる。
となれば、日本国内で東宝が組んでいないメジャーな会社としては松竹くらいしかない。
松竹に関しては、このまま東映以上に他社と関わらない方向に行くのかどうか。


話を東映に戻す。

スポンサーの要求、つまり製品さえ売れれば続けられるヒーローものやアニメは考慮しないとしても
実質東映やテレ朝が一番の主力と見做しているのは「相棒」くらいしかなかろう。
このへんを考えると、東映としてはなにがなんでも会社の利益を追求する方向に舵を切りたい気分なのだろうか。
視聴率という形で評価されてしまうテレビ番組においては、実質「相棒」が東映の稼ぎ頭となっている。
とはいえ、ヒーロー物ですら新規枠を他局で作れず、アマゾンプライムで新作という形もどう転ぶのか解らない状態を思うと
同じく普通のドラマでも、東映制作のドラマが中々開拓できていない状況は
東映そのものにおいても相当に厳しいはずだ。

映画ファンやオタクに散々バカにされつつも映画興行でトップを走る東宝だが、これだってほぼ40年にわたる長い長い投資の結果があってこそ。
その一方でテレビへの注力は細々続けるという事態は、東映や松竹と好対照を成している。
そして東映も松竹も、不動産に注力するにはバクチ要素が強すぎる現状を思うと
東宝のような方向にはどうしても行きにくいのだろう。
#東宝が先見の明がある、と言いたいわけでもない。 ある意味当然だったとは思うが。


となれば、今の東映としては自分に映像化権のある作品達のキャラクターを広告用に貸し出したり
他社と組んででもどうにか利益を追い求めたり、生き残りにかけたい気分があるのだろうか。

ジャンルものだけが頼みの綱となる会社・東映が今後どういう変革をしていくのか。
TOHO VISIONを掲げ、会社としての方向性を提示していく東宝と同じくらい気になる。


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しかし今年(2019年)のコナン映画とのコラボは色々思うところがある。
神谷明とかは表層的なのでそれはともかく。

北斗の拳→フジテレビ、東映(アニメーション) 名探偵のほうのコナン→日本テレビ(系列のよみうりテレビ)、配給:東宝
という関係を思うと、2000年代までは想像もしえなかったあらゆる関係の歩み寄りが垣間見えて面白い。
小学館と集英社は同じグループだし、まあねえ。

あとは劇場版でコナンVS金田一少年くらいしかなさそうだなぁ、とも思う。
局の関係こそ同じ系列になるだけで、後は小学館・講談社の関係に変わるだけだし。
今の東宝と東映なら多分、この企画は普通に通せる気がする。
まあ、問題は映像をどこが作るの?ということなのだが。
#CAPCOMVSSNKシリーズみたいな形もあるんじゃないだろうか。
#「コナンVS金田一」→ トムス 「金田一VSコナン」→東映アニメーション みたいな。


それにしても、たかだか劇場版コナンの宣伝用コラボに過ぎないネタだけで
ここまで書ける自分も自分である。
よく考えたら予告ナレーションをケンシロウの声でやってるっていうだけなのに。
#映像までやってればよかったんでしょうけどね、東映アニメーションだしね。