2020年5月1日金曜日

レインボーマン・第二十一話

第二十一話「電流人間(スパークマン)をやっつけろ!!」


<混戦!秘密工場>


前回からの続き。
エルバンダの電撃で痺れて動けないレインボーマンだが、念力移動の術で岩を動かし
電撃を遮ると同時に、岩が爆発しエルバンダとともに吹き飛んでいった。
ダメージを負いながらも脱出に成功するレインボーマン。
レインボーマンは他の場所へ退避し、体の震えを止めるために治癒の術を使う。

一方エルバンダは、不審な入り口を発見しそこへ突入。
そこは秘密工場の入り口であり、カモフラージュされた壁を破壊し侵入。
防衛のため待ち構えていた死ね死ね団員と交戦に入ってしまう。
これをモニターしていたミスターKの叱責で、同士討ち自体は止まったものの
お互いにレインボーマンが来たわけでもなく、ここに居ないことを不審がる。


そして独房では、源吉がマー坊の名前をつぶやきながら良心の呵責に苛まれている。
死ね死ね団員があわただしく警戒態勢に移っている。
ある団員を呼びつけ、水をもらうフリをして後ろから首を絞め、独房のカギを奪うと
メイジャーボルトの居る部屋まで殴り込みをかける。
工場もろとも吹っ飛ばす考えのようだが、拳銃を持っているボルトに幾度となく銃を撃ち込まれてしまう。


しかし、コントロールパネルに自爆装置のスイッチと思しきものを発見した源吉は
その気迫に気圧されたボルトを尻目に、最後の力を振り絞りそれを押す。
やがて即座に大爆発を起こす秘密工場。 吹き飛ぶエルバンダ。
痺れから回復したタケシも、誰がやったのかわからないまま感謝の祈りを捧げる。
顔も、名も知らぬ正義の人に。




<混乱!日本経済>


エルバンダが母イグアナの助けを求める叫びをあげると、イグアナは即座にワープによる帰還をさせた。
大ダメージを受けたエルバンダを治すのが先決であった。
ミスターKも、レインボーマンが爆破したものと思い込み怒り心頭。
第二工場建造指揮者のダイアナを呼びつける。
順調に完成に近づいているという報告に怒鳴り返す。 それでは遅い、第一工場は既にレインボーマンに爆破されたと。
徹夜の上資材の不足分は戦闘機でも潜水艦でも潰して作るよう指示したK。


そしてミッチーには、きっと工場のあった場所にまだいるはずであると推測の上
団員による捜索を命じる。


やがて現れた捜索ヘリを見止めたタケシは、うっかり足を踏み外し崖から落ちる。
だがそこに、ダイバダッタが現れ再度命を助ける。
タケシはうなされていた。 家族や人々が贋札で苦しめられていると。
だが今はゆっくり体力を回復させるべきだ。 そうしてダイバダッタはタケシをヨガの眠りに移らせた。




一方、街中では・・・。
贋札によって引き起こされた極度のハイパーインフレにより、経済は完全にマヒしていた。
日本政府の対策委員会はここに到り、対策プランを実施する。
曰く。


一万円札の使用を禁じる。
日本銀行発行の一万円札と思われる札を、政府指定の場所へ提出。
窓口で本物の一万円であると判定された場合、額面分の千円札に両替。
贋札を全て回収するまでこの措置は続く。


そうして速やかに対策が実施されたのだが、思いのほか贋札が流通していたのか贋札ゆえ両替不可能であると言われる人も当然のように現れる。
両替の為に銀行まで立ち寄ったたみと正造。 自分の札が自分で使えないなんてバカな話があるか、と正造は毒づくのだがいかんともしがたい。
そんな折、正造の知人である辰雄を見つけしばらく話をする。
娘のヤエに、列の順番を取るように頼む辰雄。


大人はやせ我慢できるが、子供はそうはいかねえよなあ、とこぼす正造であった。
タケシも今頃お腹を空かせてるんじゃないかしらとたみも心配するのだが、
一方そのタケシは、ヨガの眠りに入った上ダイバダッタによる治癒も同時に受けていた状態であった。
今はゆっくり休み力を蓄えよ、さすれば母を安心することにつながるであろう、とダイバダッタ。


死ね死ね団の捜索は夜を徹し行われていたが、それを覚ったダイバダッタは
タケシをかばい、姿を隠してやった。




夜の街では、とうとう銀行が閉まってしまい札の両替ができなかった辰雄。
ヤエが父を嘘つき、嫌いよと泣きわめくとすっかり困り果てる。
八百屋では、正造とたみが買い物をしていたのだがやたらと高騰した野菜の値段を見て悩む二人。
レタスを1/4玉、ニラ一把しか買えない二人だったのだがそんな折、
泥棒!
の叫び声が聞こえる。 表に出てみるとその泥棒らしき男は辰雄だった。
正造に呼び止められ足が止まった辰雄をパン屋の主人が捕まえ、交番に連れようとする。


それを正造が説教しつついさめようとするのだが、こっちゃ慈善事業じゃねえんだと言い返すパン屋。
じゃ金さえ払えばいいだろ!と正造が値段を聞けばパン二つで千円だという。
千円を投げ渡すと、憤然としつつも立ち去るパン屋。
力なくうなだれる辰雄にヤエが駆け寄る。


タケシの家のおにぎり屋で、正造が辰雄に説教をしていた。
ヤエに嘘つきと言われてついカっとなって万引きをしてしまったと弁明。
たみが見かねて制止する。
そうして辰雄が、いくらかたみから借りて、明日には一番に並んですぐ返す旨伝え、家へ帰ることに。




<決戦!エルバンダ>


朝の山では、ヨガの眠りから目覚めたタケシが師匠・ダイバダッタに感謝の叫びをあげていた。
だがそれを見つけた死ね死ね団員により直ちにミスターKに報告される。


同じく回復を遂げたエルバンダが再度の戦いに挑む。
エルバンダを見止めたタケシが即座にダッシュ7へ変化し対峙。
今度は剣も三叉槍も持っており、強化されていた。 電撃も強化されていたようだがそれを軽くかわすと
ダッシュ1へ変化し、草原へと移動。


ダッシュ1が阿耨多羅三藐三菩提とつぶやくと、一転にわかに掻き曇り・・・
風と雨とが彼らに吹き付けてきた。
ダブルスパークでダッシュ1の足元を燃やすエルバンダだったのだが、強雨を呼び寄せ即座に消してしまう。
再度電撃を行おうとしたが、雨でぬれてうまく発射できず。


なおも襲い掛かろうとするエルバンダを、天地稲妻落としによる倒木で怯ませ、
さらに立ち上がってきたところを脳天稲妻落としにより絶命させる。
やがて爆発するエルバンダの爆風に巻き込まれるダッシュ1.


ここに6人の殺人プロフェッショナルを全て倒したレインボーマンだったが、
M作戦はまだ完全に潰えたわけではない、どうするレインボーマン?




【レビュー】


エルバンダとの最終決戦と、M作戦への対策を描く回。
しかし白眉はAパートの、源吉による贋金工場爆破だろう。
まずこれで、贋金の供給は一時的とはいえ完全に遮断することに成功するのだが
タケシは誰かがやってくれたのだと思い、ミスターKはレインボーマンがやったのだと思い込む。
このあたりの双方の食い違いと、実態のギャップが凄まじい。
と同時に、ヒーローものらしからぬ決着でもあった。


源吉自身が贋札製版にかかわった事実、その罪の意識はずっと付きまとっていたことはここまでの回でじっくり描いている。
マー坊は無事であり、もはや思い残すこともなくマー坊には真人間として生きて行ってほしいと願って工場もろとも自爆してしまう源吉。


このあたりの、日本人の美徳というかウェットな面としての罪の意識をじっくり描きつつ
最終的には己の罪の清算の為に命を懸けてすべてを無くそうとした行動は
本作成立時点ですでにそうした美徳が消えていたであろう日本人に対する一種のカウンターとなっていたのではなかろうか。




更にはM作戦の進行によるインフレの進行。対策としての贋金回収の実施。
正造が「自分の金が自分で使えないなんてなぁ・・・」と愚痴をこぼしていたが
金は天下の回りものであり、絶対権威の一つである日本人にとってこの異常事態も到底我慢ならないものであろう。
これがやがて次回の暴動へもつながっていくのだが。


野菜すら異常な値段がつけられ、ほんの少量しか買えなかったり
なんてことないパンが一つ500円という状況は確実に庶民生活を圧迫している。
この時、娘に嘘つき呼ばわりされカっとなって万引きに及ぶ辰雄の情けなさも、
こうした状態の描写の一助になっている。
その後、辰雄がたみにお金を借りていく流れも含めると
庶民は庶民なりになんとか助け合って生きあうほかない現状が、見ている側にもよく伝わる。


しかし、こうした助け合いというものも放映当時にはもう失われていきつつあったのであろう。




そしてエルバンダとの最終決戦。 個人的に好きな戦闘である。
天地稲妻落としと脳天稲妻落としのコンビネーションもさることながら
これまでの鬱憤を晴らすかのような荒天下での決闘というシチュエーションが深く印象に残ったのだ。


さまざまなものが決着しつつある。 しかしM作戦の後遺症は深刻である。
日本全国を回復させるための戦いが、次回へと続くことになる。




【特撮の見どころ】


・最終決戦のエルバンダ
・エルバンダ爆砕


Bパートでは三叉槍と剣をもって現れるエルバンダ。
電撃を放つのは相変わらずなのだが、ちゃんと三叉槍のミツマタ部分から放電されている合成がなされている。
もっと雑にやるところなのだろうが、ちゃんと実態通りに合成している点は好感が持てる。
地味だが、こういう実態に沿った合成こそクオリティに直結するのだ。


そして天地稲妻落としと脳天稲妻落としによるエルバンダの爆砕。
これもマネキンなのだが、ダッシュ1のマネキンもちゃんと吹き飛ぶようにしており
ラストカットにそのまま繋がっていく構成となっている。
レビューでも書いたように、荒天下での決戦というシチュエーションのおかげで自分にとってはかなりなインパクトのある戦いとして記憶されている。
今見ても感想が変わらないのは流石だ。