2020年8月1日土曜日

差別化というもののワナ

超星神シリーズに対して、今でも自分の中にある評価のひとつは
「メインストリームである東映・円谷との差別化に苦心していた」
というものがある。


それは例えば、特撮ヒーローというジャンルの要と言える「特撮」そのものであったり
殺陣であったり、本編であったり、あるいはOPおよびEDの構成であろう。
OPに関しては以前の更新で述べたとおりである。



今回はその中の一部である、EDについて述べておく。
と同時に実際の所、これが本シリーズそのもののウィークポイントを強調している。




グランセイザーとジャスティライザーのED後に実施していたもので、後々東映作品や円谷作品でも導入されたとされるものがある。
それは「ヒーローの各種情報を小コーナーで紹介する」というもの。
これは大抵
・ヒーローそのものの紹介
・ヒーローの武器および必殺技
・超星神および幻星神(星神獣も込み)の紹介
というパターンであった。


これは、12人もヒーローが居たグランセイザーなら多少効果はあったのだが
3人+αになったジャスティライザーでは、終盤の小コーナーでの紹介そのものが
ほぼ意味をなさなくなっていた点を考えると
正直なところ巧く作用していたコーナーだったとはいいがたい。
セイザーXに至っては、ミニコントコーナーに変化してしまった事を考えてみると
とりあえずシリーズの特徴の一つを変形させてでも残した、という感じしか持てなかった。




そしてなによりグランセイザー・ジャスティライザーで実施したこの小コーナーは重大な欠点もある。
「そもそも本編で描写していれば問題ないものをわざわざコーナー化している」
というものだ。
ようするに、本編でのヒーローの活躍の印象や描写の弱さを補うための措置でしかない。
しかも、この小コーナーの場合は本編映像の流用+専用映像・テロップ追加という
なんとも手抜き感の強いものであった。
♯だったら本編でしっかり描写・紹介できたところではないのか?せめて小コーナーだけはスペック紹介だとしても新録にすればいいものを。


これ自体は例えば幼児向けテレビ誌でもある程度補えるはずの部分でもある。
が、わざわざ放送でこれを導入したことを考えると、そして本編自体のヒーローの戦いがまるで印象に残らなかったことを思うと
当時の東宝側がどういう意図をもって作ったのか知らないが、あまりいい手法だったようには思えない。


そもそもが本編でも普通に描写できた情報では?というのも多かったのが問題でもあった。
事実、セイザーXだけ小コーナーでのスペック紹介などはせず、本編のナレーションで処理したり
一部回で改めて視聴者に本編で紹介していたことを考えれば、本シリーズに
おいてはやはり良い手法であったとはいえない。






で、先ほど「東映や円谷も導入したとされる」と書いたこの要素。
実のところ、少なくとも東映に関しては先にやっていたことでもある。
忍風戦隊ハリケンジャーにおけるジャカンジャ怪人紹介コーナーがそれだ。


一見すれば本シリーズの小コーナーとは違うのは判る。 怪人紹介コーナーだし。
ただし、自分が過去の更新で散々触れていたように東映という会社は
「主役至上主義」の会社であり、本編において主役側の描写をキッチリミッチリやる点は、その当時でも健在であった。当たり前だが。
が、毎週使い捨てのごとく出ては消える怪人たちの印象が薄くなりがちな弱点もあった。
今はどうだか知らないし、過去作品でも「超人機メタルダー」のように敵側でもいくつも印象深いキャラがいるのも事実ではあるが。


そこを補うかのように、それまでの戦隊ではやらなかった怪人のスペックなどの情報を提示した小コーナーを、ED後に挿入していたのがハリケンジャーだった。
これが当時の多数の視聴者にはどう映ったか知らないが、自分個人の感想としては
中々抜け目ないなあ、という印象も持った。




自分が本シリーズで小コーナーを見たときに「なんかハリケンジャーでもやってたねこういうの」という感想を持ったりもしたのだが。
しかも主役側の細かい情報提示であった上に本編自体の印象が弱いのも相まって
極端な話、悪目立ちしていたとも思った。


確かに本シリーズで実施したこの小コーナー、円谷においては「マックスボックス」や「メビナビ」という形で導入されたし
東映はもうちょっとヒネった形で導入している。直接競合した戦隊のみだがEDの最中に小コーナーを流すというものだ。
もっともこの形、自分が認識しているだけでもデカレンジャーとマジレンジャーくらいなものだが。
このへん、いかにも「いくらなんでも東宝と同じことなんかしたくない!」という、東映のプライドが見え隠れするではないか。
♯実は昭和期の怪獣映画ブームですら相当ヒネった怪獣の出し方を唯一していたのも東映であるが。


ほぼ無味乾燥な情報提示でしかなかった本シリーズと違い、ある程度はキャラ描写の一助として使われていた印象も強かった。
このへんもまた、主役至上主義である東映ならではと言えようか。




せめて本編でもヒーローの活躍できっちり見せ切れていれば、この小コーナーも別な活かし方もできたのかもしれないのだが。
それはまあ、セイザーXで結果的には出来たことでもあったし。
しかし、どうにか単なるスペック紹介ではない形に出来んかったもんかね?