2022年2月27日日曜日

玩具メーカーたろうとしたコナミ、その足跡を振り返る。大雑把に。

 来年は超星神グランセイザー20周年である。

そんな節目が見えているにもかかわらず、拙blogではレインボーマンのレビューが一番思い入れのある「一億人を救え!」を最後に止まってしまっている。

ちなみにレインボーマン50周年というめでたい節目ともなるのも来年。

来年にはレインボーマンのレビューを全て終わらせたいものである。





さておき、ここからはコナミについての話になる。

今となっては武装神姫の権利だけを持ってゲーム作ったりコトブキヤがなんか作ってるらしい、という程度でしかない、コナミの玩具事業の話。

そもそもコナミが玩具事業に「どの程度力を入れるつもりだったのだろうか」、これが全く見えない。


まず、玩具メーカーとしてのコナミが歴史上初めて登場した時期をどこに置くのか?

この場合遊戯王のTCGを置きたくなりそうだが、拙blogでは(非ビデオ・コンピューター)ゲームのカテゴリに入れている為

必然的に2000年代初期の、食品玩具に参入した2001年頃からを、コナミの玩具事業事始めの時期とすることになる。

つまり今から21年前である。

前史としては2000年に旧タカラと資本提携を結んでいるのだが、

インプレス社の「PC WATCH」に掲載された当時の記事を見ると

「両社の業界領域でのノウハウを交換し合い、有力コンテンツを獲得することにも繋げたい(要約)」とある。

実際、この提携が無ければ食玩事業に参入することも無かったろうし、玩具事業をも手掛けることは無かっただろう。

特にタカラとの提携は、玩具事業において重要な流通網の確保および開拓という意味では大きかったと思われる。


食玩ミニフィギュアにおいてガメラを筆頭とした日本作品やサンダーバード、エイリアンといった海外作品、それも特撮作品のイメージが強いのがこの頃。

ネット上で軽く検索をかけるとミニカーや実在のスポーツ選手のミニフィギュアなども手掛けていたが、こうした細々した玩具を出していたのが2006年頃までのようであった。

2006年と言えばセイザーXが終了した年であり、枠がおとぎ銃士赤ずきんにシフトした年でもある。

そして同年、武装神姫のリリースとその展開持続によりようやくそれなりに認知されたのがコナミの玩具事業なのだが、数年後には展開が終わってしまう。 具体的には2011年を最後にリリースが止まった。

武装神姫当時は、海洋堂のリボルテックに端を発したハイエイジ向けアクションフィギュアのムーブメントが勃興していた頃であり、

コナミにしては珍しくこの動向に巧く乗っかれたように傍目には見える、のだが。

#武装神姫の場合、実際は早い段階でドールオタクの文化が流入したせいもあり、独特なウケ方をしていたのが後々に良くも悪くも響いている。


こうして雑に概観してみると、実のところコナミの玩具事業は10年で終了したことになる。

この点、武装神姫を玩具に入れたくない人間も居るかもしれないが、自分は入れた。 可動フィギュアとしては色々扱いに神経使いまくるが。

さらにそのほぼ10年の軌跡を見ても、食玩フィギュアや本シリーズなどをやっていた頃と武装神姫とフィギュメイトの二本柱で展開していった頃で見事な断層が出来上がってもいる。 2006年だ。

このあたり、コナミそのものがお世辞にも玩具事業を自社の柱にしようという意気込みが最初からあまり見えないような感じもある。


そもそも最初期の食玩参入も、実はその2年前から起こっていたチョコエッグによるハイエイジ向け食玩の流れあってのことでもあったろう。

#チョコエッグ自体対象年齢は当初4歳以上だったようだが、実はもっと上の年齢層が買っていた事実がある。

#まるで特撮ヒーローの玩具を買い漁る大人の構図を先取りしているともいえる。

またチョコエッグにより、後々高年齢層向け可動フィギュアブームの火付け役ともなる海洋堂の名が広く知らしめられることにもなった。 だがこれは余録。


こうした事情を考えると、コナミの玩具事業は「今ウケている物に安直に乗っかかっているだけ」と言えてしまうフシはある。

食玩ミニフィギュアに、可動フィギュアというそれらハイエイジ向け二大ムーブメントは、2000年代を歩いた玩具者であればよく知っていることである。

それを踏まえて考えると、やっぱりコナミ自体に玩具事業を永続させる気がほとんど無かったんじゃないのかしらん、と訝しがりたくもなる。


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本シリーズに関わる流れも、「超星神シリーズコンプリーション」を読めばかなり疑問の残る部分である。

これより前なら、東宝側が企画したと思われるケース(流星人間ゾーン、メガロマン)か、外部の制作会社が持ち込んだケース(レインボーマン、ダイヤモンドアイ)とがあり、

更に玩具メーカー主導の企画、というものもある。 これはサイバーコップが判りやすい。

ガイファードはカプコン主導と思われるが細かい話が残ってないので留保。


この玩具メーカー主導というのは、子供向け番組の中でも特に特撮ヒーロー物やかつてのロボットアニメ、そしてビデオゲーム原作アニメといった物が判りやすい。

しかるに本シリーズの場合、「コンプリーション」を読むと実はコナミ主導の企画ではなかったという証言が出ている。

実際は制作会社持ち込みのケースであり、しかしレインボーマン他と違い製作委員会形式により制作されている。

この製作委員会の中にコナミが入っていないという事も再三述べた。

これが既におかしい。


だってそうだろう。 メインスポンサーが一番多くカネを出すのがテレビ番組の不文律となっているのだが、ということは発言力も当然それなりにある。

特に関連商品を売ることで利益を上げたいタイプの番組であればなおさらだ。

これはバンダイスポンサード作品の、関係者証言で割とバンダイに言及する発言が多かったり販売スケジュールが組まれている事実を思えば判りやすい。

だが、「コンプリーション」を読む限りでは、コナミ側が本シリーズの制作に何処まで関わっているのかが判りづらい。

というか、全くかかわりが無いように読める。


雑な言い方を許されるなら「商品化権を持っていて、カネ以外は何も出してない」ということになるのだろうか。

と、同時に、ジャスティライザー以降ゼネラルエンタテイメントの発言力が強まっていた事も何処となく了承できる。

#本シリーズのスポンサーとしてコナミを引っ張り込んだのが、ゼネラルエンタテイメント。

# グランセイザーの時同社は「TOYプロデュース」に留まっており、ここが一つのヒントになるのだろうか。

ただし、「コンプリーション」では、コナミに代わって玩具が売れる為に制作に口出ししまくったゼネラルエンタテイメント、という像は中々出てこない。

というか、ゼネラルエンタテイメント側はそこはあまり意識してなかったように読める。


となると、コナミの玩具事業21周年にあまりめでたくない事実を述べざるを得ないのだが、

ありていに言えば本シリーズにおいてコナミは「うまいこと担ぎ出された」という以上の存在意義が見えない。

せっかく旧タカラとの資本提携に伴う玩具企画・製造及び流通のノウハウを得たにも関わらず、もっとも当てるのが難しい特撮ヒーロー玩具、しかもオリジナル作品という

異常なハードルの高さを持つコンテンツに参入したのは、コナミ最大の不幸と言えるだろう。

そもそも今でもそうだが、当時も特撮ヒーロー界隈はウルトラマン・仮面ライダー・戦隊の三つで異様に凝り固まったジャンルであるわけで…。

#拙blogで再三申し上げている「マイナーな趣味ジャンル」の弊害と言えばそうなのだが。


しかも先にも述べたようにもとからコナミの企画ではない。 ゼネラルエンタテイメントに引っ張り込まれた形でスポンサーになっているのだ。

当時の東映作品が巻き起こしたイケメンヒーローブームによる特撮ヒーロー物の活況に乗ろうとしたゼネラルエンタテイメント及び東宝と、

当時の食玩ブームで地歩を固めようとしつつ、しかし旧タカラと組んでいたと言えど先がイマイチ見えない当時のコナミという、

これらのある意味不運なクロスオーバーによって生まれたのが、本シリーズと言える。

その結果は悲惨ではあったし、ずいぶん後になって墓碑としての「コンプリーション」が残された今、

遺憾ながら本シリーズを改めて評価する向きが一切居ない。


マイナーな趣味ジャンルである特撮ヒーロー物の、また更にマイナーな作品である以上、オタクが全く顧みないというのは仕方ないとはいえ。


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さて、ここまで玩具事業してた頃のコナミを概観しつつ、本シリーズとのかかわりを「コンプリーション」を基に述べてみた。

こうした理由はただ一つで、「コンプリーション」では、コナミの証言及び本シリーズへの関与の話が殆ど見当たらなかったからである。

もっとも、先述した流れでスポンサーになったせいもあってか、コナミが今の今までノーコメントを貫いているのも致し方ないのだが…。

運がいい、と言うか当然なことにコナミ自身は玩具事業の失敗によって痛手を被っているわけでもない。 

#このへん、玩具事業は思いのほか金をかけずにやれたのだろうか、とは思うが。

実際会社としては健在だし、ここ数年はビデオゲーム事業も順調に黒字だと言うコナミ。


かつて手掛け、事実上失敗事業だった玩具についてコナミ自身が語ることがないのは、仕方ないのかもしれないのだが

それでもかつて本シリーズを夢中で追いかけた身としては、それでも、コナミ側の証言は欲しかった。

そして、自分の認識を改めるほどの証言が欲しいとも未だに思う。

たとえお飾りのスポンサーであった、としても。