2013年7月31日水曜日

グランセイザー・第十二話

第十二話「決戦!超星神対大星獣」

●<グランセイザー>弓道天馬、獅堂未加、獅堂剣、伝通院洸、雨宮涼子、秤谷仁、松坂直人、神谷豪、早乙女蘭
○<関係者・ゲストなど>堀口博士、御園木篤司
★<敵> アケロン人(佐伯カリン) 


<アケロン大星獣戦 その①>

遂にアケロン人との最終決戦を迎えたグランセイザー。
大星獣と化したアケロン人戦の先鋒はガルーダかと思いきや、横からドルクルスが割り込み
ドルクルスも合流して戦うことに。
だが、相手の強力な攻撃の波状攻撃の前には如何ともしがたいようで
ドルクルスはパイロットのレムルズを放出するほどのダメージを負い
ガルーダも倒されたものの、ミトラス・リオンが作ったスキを突いての攻撃により一矢報いることに成功。

液状化して地中にもぐり逃げるアケロン大星獣。 第一戦は痛みわけ。
だが戦いの後レムルズが何処かへ消えてしまう。
また、戦いの最中に病院から直人が抜け出してしまった。 足並みが乱れだすグランセイザー…



<洸の行方と、グランセイザーの結束>

街中のオーロラビジョンにて湾岸地区の戦いが報道されている。
それを、研究所で見つめる一同。
「当局の指示により、超星神は人類の味方ということにしてもらった」という。
人々の混乱を最小限に収めるための御園木の計らいなのだろう。

その御園木から「アケロン人の行方がわかった」として全員を国防省へ呼ぶよう要請が下る。
探査衛星によりおおよその位置だけはつかめたものの、地熱との判別が難しいことから
グランセイザーにより現地・ハザマ丘陵にて探し出すことに。

アケロン人捜索。
炎・大地・風のトライブがそれぞれ丘陵内を探し出す最中
それぞれのグランセイザーとしての会話が交わされている。
とりわけ涼子の、アケロン人に騙されていたことに対しての気負いは今なお消えないようだが
そんな中涼子たちがアケロン大星獣の一部を発見。全員に知らせる前に
直人が「自分でケリを付ける」とそれをさえぎる。
それを涼子が嗜め、憮然とする直人。

一方、アケロン大星獣の体内にいつの間にか閉じ込められていた洸。
「カリン」との口論の果て、ついにアケロン大星獣が再起する。
宇宙船からのエネルギー供給により体力を回復させたようだ。


<アケロン大星獣戦 その②>

やがて他のメンバーが集まり、天馬のナックルライザーに洸からの通信が入る。
「オレもろともヤツをやっつけろ」と言う洸に 「俺達は仲間だ、絶対に死なせないからな!」と叫ぶ天馬。
また直人からも、先ほど涼子に言われた叱責… 自分のプライドに拘っている人間にグランセイザーの資格はない  …一緒に戦おう、と諭される。

そして洸が体内で装着し、残りのグランセイザーも大星獣へ立ち向かうべく装着。
レムルズが内部から攻撃を行うも中々内部破壊に至らず、諦めかけていたところに
陽の光が差す。 どうやらヒビ割れが生じていたようである。
そこへファイナルジャッジメントを叩き込み、小規模な破壊に成功。
それを外から見たタリアス・タウロンがバーニングファルコンとマタドールバーストを撃ち込み、ついにレムルズが脱出に成功。

こうして揃った九人のグランセイザーにより、三大超星神が勢ぞろいすることになる。

宇宙船からエネルギー供給が行われていることに気づくタリアス、 堀口博士の助言を受ける前から察しがついたようで
ガルーダによる吶喊攻撃で宇宙船をまず撃破。

そして大星獣との戦いには、三体ともにセイザーギアを装備しそれぞれの必殺技(の融合した攻撃)をヒットさせ
最後にはガルーダのファイヤーバード・クラッシュにより撃破に成功。

三体の超星神が並び立ち、九人のグランセイザーが並んで歩むところでEND.


【レビュー】

アケロン人編最終回。
洸への未練を断ち切り、アケロン大星獣として対決に踏み切るカリンと
グランセイザーとしての真の役割… 地球を守るための戦士であると悟り
他の8人と戦うことを決めた洸。

だが、前半戦において突如消え去ってしまった彼はなんとアケロン大星獣の体内に取り込まれてしまっていた。
カリンはまだ洸に拘っていたのだが、洸は未練を断ち切っており毅然とグランセイザーとしての使命を優先。
ここだけ見ると、洸だけがオーソドックスなヒーローものの主人公のようにも見えるから不思議だ。

洸に目を向けて第一部を見ると、洸がグランセイザーとして最後に合流することで
本格的にグランセイザーがまとまっていくドラマが見える。
よく本作は古臭いヒーローものという揶揄に晒されることが多いのだが、こうした点を見るに
どちらかと言えば過去のヒーローものよりは丁寧にチームとして纏まっていこうとするドラマを描いていると言える。
ある意味王道的なドラマの流れと言えようか。

東映作品と比べて地味な展開とストーリー重視の作劇が災いしているが故に上記揶揄が飛び出すとも言えるが、こうした地味ながら話に注力した部分はもう少し見直されても良い。


前半部ではさらに、直人と涼子のドラマもこの時点から発生しだしており、これが後々ああいう展開になるとは・・・と思わされる。
#どういうことかは、最終回まで一気にこの作品をご覧いただければと思います。

そしてアケロン大星獣と化したカリンとの激戦。
第一部のラストを飾るには良いバトルが展開されている。
前半戦と後半戦でロケーションが異なっているのも、従来の作品でのイベント戦と比べても
似た印象の土地で延々戦うことによるテンションのダレを防いでいて良い。
#前半は市街地、後半は森林というもの。



【特撮のみどころ】

・巨大アケロン人VS三大超星神

今回は第一部の最終話ということもあってか、見所は多い。
大星獣と対峙するドルクルスはカメラを横に流してスケール感を表現しているが、手前側の
破壊による土砂の隆起がなんとも生々しい。
第八話と同じく、川北紘一の本領発揮ともいえる光線の応酬も申し分ナシ。
ドルクルスやガルーダへ攻撃が当たったとき、火花のほかにエフェクトを追加しているのは
ややうるさいように見えるが、単に火花だけよりは「どの攻撃で、どうダメージを受けたのか」がわかりやすくていい工夫だろう。

ドルクルスが倒された後にガルーダもまた倒されるのだがここでの吹き飛ばされ方も非常に派手で
ワイヤーで後ろへ吹き飛ばされつつ、ジタバタした足のカカトで土砂が舞い上がり
次のカットでは大通りに滑り込むように倒れるガルーダという映像が見られる。
実に心地の良い?ダメージシーンなのだが
しかし第八話といい今回といい、ガルーダはやたらめったらやられるシーンのほうが印象に残りやすい気がする。 主役機の運命か?

そのガルーダが一矢報い、大星獣が退散するシーンはCGにより液状化されるのだが
次のカットではその液状化された大星獣が道路を割って撤退するシーンも、異形感が高くかつインパクトも十分。


後半戦は大星獣の体の一部の合成カットが先に目を引く。
この頃の特撮番組は割と実景とCG合成との差に違和感が薄くなってきつつあったが本作は特にその違和感が薄い部類だろう。

大星獣との第二ラウンドの前にて、ガルーダが宇宙船へ突撃して破壊する下り。
上手から下手へガルーダが突き抜けていく映像を、カメラも横へ流れて見せていくのだが
この宇宙船へ突っ込んでいる最中の、宇宙船の中から赤い光が漏れているのに注目。
この際ガルーダは紅く発光していたので当たり前といえばそうなのだが、やはり東宝らしく「引き」で
しかし内部でナニが起こっているのか一目でわかるようにしたのは見事。
宇宙船の爆発および破片はCGである。

さて肝心の戦闘だが、実はそれほど特筆するような部分はない。
ないが三体の必殺技が融合し大星獣へ向かってぶつかっていくカットや
ファイヤーバード・クラッシュによる突撃でフィニッシュを決めるカットなどは文句の付け所はないだろう。

ただ、折角仲間として三大超星神が揃ったんだからもうちょっとハデに見せても良さそうなのだが
こういうアッサリ流して見せるところも、東宝ならではといっていいのではなかろうか。
映像的ケレン味よりも「特撮」を選んだ結果と言うべきだろうか。