2015年11月4日水曜日

セイザーX・第三十話

第三十話「受け継がれる想い」

[ネオデスカル:ネオデスカル]
グルナーダ登場

 演出:市野龍一    脚本:瀧田 哲郎


<温泉宿でのアルバイト>

トビーからの通信が、パトラのネオデアーク侵入をゴルドに伝えていたのだが
それを聞いていたのはカプセイザーG2のみ。
一同はどうしたのかと言うと――――――
温泉宿でアルバイトに勤しんでいた。
何故こうなったのかと言えば・・・。


前回の戦闘によって著しい損傷を受けたビートバイザーとシャークベース。
それは異空間に長く居た影響で、アドルイーグルも同様であったが特にダメージが大きいようだった。
徹夜で応急処置をして、早急にネオデスカルを叩く必要があると拓人たちは言うのだが
シャークが現れ、特別任務を拓人たちに与える。

それが温泉宿でのアルバイト。
不審に思う拓人だったのだが・・・。


ネオデアークではネオデスカルが、月の裏側に建造中のダークアルマーさえ完成すれば
地球は闇に覆われ、コスモカプセルが無くても目的は達成されると言い放つ。
だがバレーダはシャークが本気で未来・・・ デスカルによって闇に覆われた地球という未来を変えるつもりではないかと不審がる。
未来を変えるということはシャーク自身の存在も消滅する。だが・・・奴ならやりかねん。そういう男だろうと語ったネオデスカル。

シャークベースでは月の裏側に何かしらの反応をみとめたシャーク。
ネオデスカルの企みに気づいたのか?


<>

温泉宿ではブレアードまでついてきていた。拓人は無理矢理仕事を手伝わせる。
その一方で、サイクリードがデスメードを引きつれ何かを捜索中。
シャークもそれを察知し尾行していた。
やがてデスメードが何かの破片を見つけ出すのだが、もっと小さくしろと叫ぶサイクリード。
それを眺めていたシャークが何かに気づいたのだが、グルナーダの奇襲をうける。
装着して対峙することになるのだが、そのスキにサイクリードたちが撤退してしまう。
グルナーダに追い詰められ、フィンガーショットの連打により瓦礫の下に埋もれたかに見えたシャークだが、ピジョン10によって間一髪守られていた。


仕事終わり、拓人たちが温泉を楽しんでいた。
自然に囲まれた温泉宿でのくつろぎにケインは、これが全部地球なんだねとしみじみつぶやく。
拓人たちをよそにサンダーラへの想いがまだ残っていたブレアード。
後ろから声をかけられ振り向くが、声の主はアクアル。
ブレアードを呼びに来た拓人が二人と落ち合う。

一方、サイクリードたちを見つけたツインセイザーがケインへ通信を入れる。
イーグルとビートルがサイクリードたちを発見するが、何かの破片を集めている最中だったようだ。
やがてサイクリードが、拓人たちのいる浜辺へ現れる。
様子の変わったサイクリードを見たブレアードがうろたえながら前に出ようとするのだが、グルナーダの攻撃を受けてしまう。

セイザーXが合流してグルナーダに立ち向かうのだが、堅牢なボディと強力な攻撃によって手が出ない。
ゴルドとツインセイザーと戦っているデスメードごとふきとばすほどであった。
シャークのように始末してやると叫んだその時、海からシャークが合流する。
スピア8の能力・スピアーシェアでライオたちの武器に水属性の力を与えグルナーダの攻撃を弾かせる。
シャークが翻弄したスキにライオファイヤーを浴び撃破されるグルナーダ。


戦後。晩御飯を食べるセイザーX。
レミーは団欒の最中につぶやく。 自分たちが何のために戦っているのか・・・
おいしいご飯を食べられる幸せ、そんな小さなことでもそれを守るために戦っているんだと気づいた。

それを気づかせるためにバイトをさせたんだなと宗二郎。
ネオデスカルを倒すためだけではなく、地球と未来の平和を守るための戦い。
この時代の地球の素晴らしさを、自分たちで肌で感じて欲しい。 今のうちに・・・
そうつぶやいたシャーク。


月面裏側では、何かを隠しているであろうと推測を一同に告げるシャーク。
そして今回サイクリードたちが集めていた破片を分析すると、以前倒した恐獣のものであることも判明。
その企みが何かはまだ判らないが、俺達のやるべきことは地球と未来の平和を守るために戦うことだと拓人は決意を新たにする。

サイクリードが、破片を機械にかける。
そして生まれたものとは・・・?


【レビュー】

ダークアルマー建造と、その最中にサイクリードが行っている何かの破片採集。
これを察したシャークによる闘いが描かれている。
他のセイザーXの面々は温泉宿でバイトをさせていたのだが、その意図は終盤の宗二郎とシャークの会話で語られることとなった。
そして集めた破片は、第二話のレイザースと第三話のウィンミラーの破片。
これらを集めていた理由は、次回明かされる。

前回からの、シャークによるセイザーX各員に対して話しかけたり
今回の温泉バイトを通じて、拓人たちをヒーローとしての戦いの原点を見つめさせたりと
シャーク自身が若い彼らに対して何かを遺してやろうとしている態度も見逃せない。


今回は温泉宿でバイトするセイザーXたちというシチュエーションのためか、一見コメディテイストが漂っているし
実際拓人たちのパートは途中までかなりコメディ色が強い。
女将にこき使われる拓人たちが笑いを誘うが、演出上注目したい場所としては
アドが女将から出迎えの挨拶をレクチャーされているシーンとその後の拓人とブレアードの会話。
拓人とブレアードの会話は別カットになっている(陶器のタヌキを交えた会話)のだが、よく聞くとバックでアドの「アリガトウ・ゴザイマシタ」がうっすら聞こえている。

仕事終わりの温泉シーンではアドがうろたえたり、一度拓人たちに強引に入れられてからは腑抜けてしまったりと今回はアドで笑いを作る傾向のようだ。
ラストでご飯を山盛りにするアドにも注目したい。 当初は苦手としていただけに。

またブレアードも、拓人とレミーが仲良く歩いているシーンで羨ましそうにしていたり
サンダーラへの未練がまだ残っていたりと、哀愁を誘う。

さらに今回終盤、女将が横切っていった際にアップになった写真を見ると若い宗二郎とシャーク。
つまり女将もまた過去にかかわりがあったと言うことがよく判る。
そしてこの序盤からのネタの拾いっぷりは、グランセイザーにおける野添梨麻脚本回を彷彿とさせるものがあるが
あちらと違って様々な要素をしっかり積み重ねている分、より余韻が増している。


【特撮の見どころ】

なし

強いて言えば序盤のグルナーダによるフィンガーショット乱れ撃ちくらいか。
壁際に追い詰められたシャークへ放ったそれだが、横から見せているシーンとはいえ
漏れ出している爆炎などは悪くない。