2015年11月10日火曜日

セイザーX・第三十二話

第三十二話「激闘!トリプル・コアブレイバー」

[ネオデスカル:ネオデスカル]
アルティメット
メカ巨獣メガリオン登場

 演出:池田敏春    脚本:河田秀二


<つかの間の日常>

冒頭。アドはモデルに、ケインは研究所、レミーはファストフードショップのアルバイトをしている。

その一方秘密のドックでは、シャークが以前の月面戦に関してネオデスカル側の狙いが読めず渋い顔を浮かべている。
宗二郎は、戦艦3隻はまだ修理に時間がかかるとぼやく。

バイトが終わって一同がライオキャリアーへ戻る。
バイトの意図・・・前回の温泉宿といい、今この時期にどうして?とレミーがこぼす。
すると、コスモカプセル反応を検出。 現地へ向かうセイザーX。

そこにはサイクリードが製造した「最強の怪人」アルティメットが居た。
セイザーパッドで属性を調べるも属性が検出されない。 驚くビートルの背後に回ったアルティメットがビートルへ抱きつくと
雷エネルギーを吸収し、雷属性へと変化してしまう。
雷エネルギーをイーグルへ放つアルティメット。 ダメージを受け装着が解除されるアド。
どうやらアルティメットは属性エネルギーをコピーできる能力を持っている。

続いてライオに取り付き炎エネルギーを得る。 次はビートルを狙おうとしていた。
しかし、突如コスモカプセルがひとりでにカプセイザーG2から転送され、ビートルの眼前へ静止。
炎エネルギーの攻撃を、カプセル自らがバリアを張ることで防いでしまった。
レミーも、ライオたちもあっけにとられているとシャークが登場。アルティメットを撃破した。


戦闘後、拓人とアドがケインのもとに駆け寄る。
ケインは呆然と、しかし涙を流していた。
カプセルが突如現れ、バリアを張った時にケインは家族と食事をしている映像が浮かんだと言う。
レミーもまた、シャークからシャーク4を受け取った映像が現れたと言う。
コスモカプセルが意思を持ちだしたのか・・・? レミーはつぶやく。


ネオデアーク内では、月面に突如現れたダークアルマーに驚愕するアクアル。
バレーダが内密に願いますぞ、と言いのこし立ち去る。
闇の侵蝕装置と称されたダークアルマー、完成まであとどれくらいかかるのか・・・?


<月に潜むもの>

サンダーラの封印された扉のある湖へ現れたブレアード。 アクアルが呼びつけたのだが
思わせぶりな話―――――― サイクリードがネオデスカルに騙されているがその意図は言うわけに行かない。
あんたは敵なんだから。 そういい残して立ち去るアクアルを訝しがるブレアード。

ライオキャリアー内では拓人とレミーがくつろいでいる。
そこへブレアードが現れ、また月に行こうぜと提案する。
シャークの命令がなきゃ動けないと拓人が言い、 シャークを探そうとするブレアードなのだが突如ライオキャリアーが発進しだす。
操縦者はパトラ。 行って見なきゃわかんないでしょ?と彼女は操縦桿を操作しながら言う。
そうして成り行きで月面へ行くことになった。

月へ向かう途中、レミーとパトラが闇に侵蝕されつつある月の一部分を認める。
何かが月にあることを示唆していた。


月面。
ライオとブレアードが降り立って捜索してみると、以前無かった建造物・・・ ダークアルマーが二人の眼前に現れる。
レミーが愕然とした表情でそれを確認すると、突如地面からメガリオンが現れる。
ダークアルマー防衛のために配備されていたものだ。
サイクリードは彼らが現れることを察知していたのだろうか?

ライオキャリアーが合神しグレートライオで応戦するが、遠距離攻撃に長けたメガリオンに苦戦。
ロケットドリルでダメージを負うと、離脱してコアブレイバーで戦うことになる。
重力制御がきかなくなるのかコアブレイバー内で浮くライオ。 だがコアブレイバー自体も身軽に月面で動き回る。

コアブレイバーに構わず先にライオキャリアーを破壊しろと指示を飛ばすサイクリード。
メガリオンはライオキャリアーへ向かう。
そこへシャークベースが登場、間一髪でフォロー。
ライオが戦艦で援護してくれと言うのだが当然まだ修理中で使えない。
ならコアブレイバー2機を出して戦おうと提案、アドとケインが出撃する。


<激闘・勇者の中核>

さすがのメガリオンも、俊敏な三機のコアブレイバー相手では分が悪い。
とりかこまれ、三機同時のコアバスターにより葬られてしまう。
続いてダークアルマーの撃破に成功するセイザーX.

それを眺めるアクアルたち。 白々しくどうしてアレが判ったのかしらとアクアルはつぶやくが
そんなことはどうでも良いと吐き捨てるネオデスカル。
破壊されたダークアルマーはダミーだったのだ。
本物は別の場所にあることを知らずにいい気なものだとも言うネオデスカル。
うろたえるアクアル。


そして戦後。
戦闘中に気絶したレミーだが、別条はないようだった。
無断出撃をシャークに詫びる拓人。 しかしそのおかげでネオデスカルの計画を潰すことが出来たと返すシャーク。
裏があるかもしれない、とも付け加えたが。

さらに拓人は問う。 何故旅館の手伝いなどをやらせたんだろう?
シャークは答えた。 戦いが終わればレミーたちは地球人として暮らすことになる。
だから今のうちに、地球で自分たちが何をして生きていくのか決めてもらいたいと。
レミーを頼むぞと立ち去るシャーク。


シャークは別の部屋で、地球をながめている。
宗二郎が、あのことを黙っておくつもりなのかと問う。
コスモカプセルを12個集め、未来を変えたのならば・・・  シャークの存在も消滅することになるというもう一つの未来を。
彼らに迷いが生じる恐れがあるとあくまで秘匿するシャークに対して
黙ったままで居なくなればあいつらの気持ちはどうなる?と返す宗二郎。

だが、宇宙の未来という大局のためには自分の存在が消えても構わないというシャーク。
青い地球と、それが存在できる宇宙。
これらの未来を守るためにシャークは存在を賭していたのだ。



【レビュー】

ダークアルマー(のダミー)を破壊するという、一見ストーリー上では無駄と見える話だが
実際はキャラクタードラマ・・・   この戦いが終わってからの、レミーたちの身の振りようを考えさせたいという願いがシャークにはあり
それを更に印象付ける話として、 コスモカプセルが全て揃って未来を変えれば自分自身も消滅するという問題が背後に潜んでいた。

コスモカプセルで作られた未来・・・ 宇宙海賊とその子孫・ネオデスカルが蔓延る未来には
当然宇宙海賊の子孫たるシャーク自身も含まれている。
これは前二回分でも、ネオデスカル側がはっきりシャークの存在も消えることを示唆していた描写があるため確定であろう。
ドラマ面でのシリアスさが徐々にかもし出されていくのがこの三クール目であるが
その象徴がシャークと言っても過言ではあるまい。
ネオデスカル以外では現代の友人・宗二郎はそれを察していたのもまた良い。


今回の戦闘は、序盤早々に退場したアルティメットはさておいてメガリオンとの月面戦。
月面では重力が地球上より弱いと言うことで、身軽に飛び跳ねるライオやブレアード、果てはコアブレイバーが見られる。
三機でメガリオンに立ち向かうコアブレイバーの活躍が見せ場であり、なるほどサブタイに偽りなしの娯楽回という側面もある。


さて今回からの三回は河田秀二最終三部作であるが、それと同時に今回は
同じくグランセイザーから三作全てに関わった唯一の演出家・池田敏春のラスト演出回である。
この池田監督、軽く検索をかけてみるとテレビドラマの経験は本シリーズが唯一である。
基本的には映画・Vシネマが主戦場のようだったのだが本数は決して多い監督ではない。
そんな池田監督がテレビのヒーロー物を手掛けるという事実が不思議なものだ。
#これについてはジャスティライザーDVDBOX特典ディスクでの、石井てるよしインタビューでも触れられておりいかに不思議な起用かが伺える。
と、同時にテレビ作品においては今回が遺作ということになる。

前二作では若干不慣れなのかやや余計なカットもあったが
本作に関してはコミカルな作品世界に可能な限りあわせきっていたのも印象的だ。
いずれ「考察?」で演出家について触れるので、これ以上はそちらに譲ることにする。


【特撮の見どころ】

・メガリオン再登場
・メガリオンVS三機のコアブレイバー

月面での戦いは、ジャスティライザーから再起用されたメガリオンと三機のコアブレイバーの戦いが目を引く。
ストーリーの流れ的にもライオキャリアーとシャークベース(の甲板部分)以外が使えないため
こういったシチュエーションがが登場しているが、中々見ごたえのある戦いとなった。


本作劇場版においてはデストボーグ・ブルガリオが大量に登場したことが知られているが
本作本編においてもメカ巨獣・メガリオンが再登場(後の回でも登場)している。
もっとも本作初期OPアバンにおいても既にメガリオン軍団が居たので、ようやく本編に登場と相成った。

川北はブルガリオを気に入っていたのだが、メガリオンも気に入っていたのだろう。
個人的にはこういうサービスは好きである。
また本作におけるメガリオンは、最初からネオデスカルが使っていた巨獣ということもあってか
一種制圧用の切り札という印象も受ける
#最初というのは、くどいようだが本作序盤のアバン参照。

ジャスティライザーからの再登場というのは結構嬉しいものがあるし当時の自分もやっぱり喜んでいた記憶がある。
グランセイザーからはガダル星人が宇宙商人ということで再登場(別個体?)しており
スタッフ的には本作がシリーズの集大成という気持ちで製作していたのかも知れない。


本作で気になるものとして、ライオキャリアーを初めとした戦艦類の移動時カットなどは
ミニチュアを合成して見せることが多いようである。
グランセイザーやジャスティライザーではCGモデルも多用していたのだが、本作はどちらかというと
戦艦のミニチュア合成のほうが比率が多い。
ただ、違和感を可能な限り無くそうと風景と合成モデルの境界にエネルギーフィールド状の光を帯びさせるなどして
若干工夫をこらしていることが伺える。 今回メガリオンが登場した際のライオキャリアー登場のカットなどが特に判り易いだろう。
前二作にはない工夫ということで、改めて紹介させていただいた。