2015年11月4日水曜日

セイザーX・第三十一話

第三十一話「対決!ブレアードVSサイクリード」

[ネオデスカル:ネオデスカル]
合体恐獣レイミラード登場

 演出:池田敏春    脚本:瀧田 哲郎


<友達との隔絶>

安藤家の食卓では、拓人がブレアードと会話中。
急に仲が悪くなった三人のことが気になったのだろう。話かけてきた拓人のからかいを否定しつつ
自分の剣を眺め、これはサイクリードが作ってくれたものなんだとつぶやいた。

そのサイクリードはネオデアークで何かの装置を製造中。

一方秘密のドックでは、未だ完璧なコンディションまで修理しえないビートバイザーなどを眺める宗二郎とシャーク。
起動はともかく変形・合体は不可能な状態と告げる宗二郎。
今攻めてこられればひとたまりもないだろうなとつぶやくシャークのコマンドパッドにレミーの通信。

各地に現れた恐獣。その能力は以前倒したウィンミラーのものだとブレアード。
装着し、三手に分かれ対応することとなったセイザーX。
山岳地帯と湾岸地域の恐獣は消滅。市街地の恐獣・・・レイミラードが本体のようだ。
一度倒したなら楽勝だろうと言うライオだったが、サイクリードが不敵に笑う。
謎の装置に腰掛けると、なんとサイクリードがレイミラードと同調・サイクリードの能力も手に入れてしまう。

高速移動でライオキャリアーの砲撃をかわすレイミラード。
グレートライオへ合神するがあまりの機動力に追いつけない。
ライオジャベリンの攻撃も鋏で防がれ倒されてしまう。
ライオの指示によりドリルアングラーが援護に入る。 スキが生じたレイミラードへグレートライオが砲撃を行うと、若干ダメージを負ったのか怯んでしまう。
のだが・・・  ネオデアーク内のサイクリードも同じ部位にダメージを負ってしまった。

その事実に気づいたブレアード。 追撃に移ろうとするも剣が手元に落ちてしまいうろたえてしまう。
レイミラードの攻撃が浴びせられる瞬間、合神解除により脱出するライオだったのだが
追撃を喰らい墜落してしまうコアキャリバー。
まず一匹・・・ と不敵に笑うサイクリードの声とともにレイミラードは撤退。


<ためらいを切り捨てる>

安藤家では頭に怪我を負った拓人が寝かされている。
シャークは宗二郎に詫びるが、それくらいは覚悟していたさと返す。 とはいえ道具を落とすほどうろたえていたのも事実。
居ないブレアードを責めるレミーたちだが、拓人は友達を倒せるほど冷たい奴じゃねえよとフォローする。

そのブレアードだが、ジャッカルの墓へ来ていた。
墓には花が置かれていたことに気づく。
背後からはシャーク。 戦いに参加できないならしなくていい。昔の仲間を倒せるのか?と問詰める。
そんな彼の手には花がにぎられていた。 腰を落としてジャッカルの墓に手向け、お前まで同じ目に逢う必要はないと、ブレアードの肩を叩いて立ち去るシャーク。


安藤家に戻ったブレアードだが、拓人はもう大丈夫だとアピールする。
しかしレミーが拓人をビンタで張り倒してしまう。 今度あんな真似をしたら許さないと怒鳴る。
あっけに取られたブレアード。 ケインは、間違ったことをとめるのも友達の役目だからとつぶやく。
いいなぁお前等は、とつぶやいたブレアードにケインもアドも仲間だろ?と言って受け入れる。
拓人は、張り倒されたまま気絶していた。


戦艦内では、シャークによる月面奇襲作戦が告げられる。
セイザーXの全戦力を月面に向けようというものだが、ケインが恐獣が地球上に来たらどうするのと反駁。
しかしアドがフォローする。 月の裏側に秘密があるのなら、そこを守るためにレイミラード本体が現れる可能性は高い。
合流した拓人とブレアードを交え更にシャークが説明する。
分身戦法を取らせずに、むしろ自分たちが本体をおびき寄せてやろうという作戦である。

ダークアルマーの完成までに撃破することも付け加えて。


<友達を救うために>

やがて月面へ到着するセイザーX。 バレーダはうろたえるが、落ち着きはらったネオデスカルは
サイクリードに攻撃を依頼、レイミラードが出撃する。
グレートライオへ合神し、残り四体は援護に移る。
しかし地球上同様、高速移動で攻撃をかわすレイミラード。
肉弾戦でも圧倒されるグレートライオ。レイミラードを眺めたブレアードは、ジャッカルの最期を思い出して援護を躊躇してしまう。
それを見逃さず光線をドリルアングラーへ浴びせ墜落させてしまう。

ブレアードまで殺す気?と駆け寄るアクアルに当然だと返すサイクリード。
あまりの変容ぶりにアクアルもたじろぐ。
そしてビートバイザー、アドルイーグルにシャークベースも墜落させられ、残るはグレートライオのみ。
レイミラードがエネルギーを蓄積しグレートライオへ止めを刺そうとしたその時・・・


地中からドリルアングラーが、レイミラードの背後目掛けてドリルで攻撃する。
ブレアードは叫ぶ。 サイクリードお前はそんな事をする奴じゃないと。
変形し、背後から押さえつけるドリルアングラー。
体勢を立て直したグレートライオ他がレイミラードへ向かう。
それを見たブレアードは、アクアルへ叫ぶ。

何かを察したアクアルが、サイクリードを装置から引き離す。
するとレイミラードとの同調が切れたのか力を喪うレイミラード。
ハウリングクラッシュを浴びせられ爆破四散した。

辛勝した一同。 シャークとジャッカルのようにはならねぇとブレアードがつぶやいた。
そして、月面のクレーターの陰に何かが見える。
それはブレアードたち三将軍の隠れ家。 宇宙海賊である彼らにとってのもう一つの拠点だったのだろう。
そして拓人は改めて、地球を救うことを誓うのだったが・・・。


ネオデアークでは、危うく自分たちも消滅するところだったとつぶやいたバレーダ。
念のために仕組んだ安全装置によって同調を解いたのが幸いしたのだとネオデスカル。
闇の侵食装置ダークアルマーの完成は、近い。


【レビュー】

ダークアルマーの存在がシャークから語られる回ではある。
あまりにあっさり名前を出したためにいまいちわかりにくいのだが・・・。
そして、既にネオデスカルがコスモカプセルに拘っていない点は前回語られたとおり。
ダークアルマーさえ完成し、地球を闇に包み込んでしまえば結果は一緒なのだから。
これが、以前の回でシャークが述べていた「コスモカプセルで作られた歴史はコスモカプセルでしか変えられない」という理屈とぶつかることになるため
全く違う未来が作られる可能性がここから生じているが・・・。

また今回はブレアードとサイクリード、アクアルの三将軍の友情ドラマも合間に走っており
ブレアードの剣がサイクリードによって作られたものであるという序盤の提示から
ちょくちょく剣が現れていたのが印象深い。
池田監督も本作で覚醒した監督と言っても差し支えなかろう。


さて前回と今回担当した脚本家は瀧田哲郎なる人物。
調べてみると、本作がTV脚本デビューということだ。
以降は劇場映画「GOEMON」などで脚本を手掛けているが、基本的には共同脚本という形で活動している。
そして瀧田氏は1982年産まれ。 つまり本作参加時点で24歳である。
脚本家をはじめ、文筆業(漫画家含む)はだいたい20代デビューが多いとは言え、20代前半でしかもテレビヒーロー物が事実上テレビドラマデビュー作というのも中々珍しい例と言えそうだが、
瀧田氏自身寡作な傾向の作家であり、この二本分だけを見た印象としてはやはり
グランセイザーの野添梨麻氏と同じく、それまで出てきた要素をうまく料理できる人という感じも受ける。
野添氏とは逆で、せめてジャスティライザー、いやグランセイザーから参加していたら・・・と思う人ではある。


本来なら「特撮の見どころ」に挙げてもいいのだが、本編にも関わる部分として触れたいものがある。
それは、本作はやけに戦艦の修理描写が目立つという点。
戦隊シリーズやウルトラシリーズなど巨大メカが登場する作品ではたまに見られた描写だが
本作に関しては5大戦艦全てが何かしらの理由で修理しており
第一部の、ビートバイザーの故障からちょくちょく差し込まれているものであった。

グランセイザーではクラウドドラゴンが不思議な力で修理していたり
ジャスティライザーでもやっぱり不思議な力で修理していたことを思うと
本作はケインや宗二郎、またはジャッカルが直接修理に携わっているシーンが入っており
こういったさりげない部分でもSFテイストはより強まっていると評して差し支えないだろう。


【特撮の見どころ】

・レイミラードVSグレートライオ(市街地)
・レイミラードVSグレートライオ他(月面)

序盤のレイミラード戦は市街地戦。 前二作でも見られたものだが明らかに変わった部分としては
積極的にカメラが動き回ったり、ミニチュアワークでも断面図の如く崩壊したビルを作るなど
明らかに前二作から進歩・変化したものが多く見られる。
破壊されたミニチュアの細かさが、より状況を演出しており素晴らしい。
(グレートライオが一度レイミラードに倒されたカット以降で、その崩壊したビルが確認できる)
川北紘一をはじめとした特技スタッフ一同も最終作ということで再度気合を入れなおしたことが伺える。

月面での戦いだが、第三部になってからはダークアルマーがあるということで多く挿入されることとなる。
これは次回も同様だ。

今回に限らないが、戦艦が恐獣の攻撃をかわすカットなどで、やけに回避がスピーディーなのが気にはなる。
一応それなりのサイズである以上もう少し重さがあれば・・・と思ってしまうことは何度かあった。
元々空中戦を得意とするアドルイーグルや偵察用でありサイズも小さいコアキャリバーはさておいて。