2015年11月4日水曜日

セイザーX・第二十九話

第二十九話「異空間からの脱出」

[ネオデスカル:ネオデスカル]
未来恐獣ディロス登場

 演出:市野龍一    脚本:林 民夫


<想い伝える>

ライオキャリアー内では、レミーがワームホール理論を勉強していた。
シャークからの指示だが、自分の理論継承が目的ではないかとレミーは拓人につぶやく。
そのシャークは、異次元内のアドへ通信中。
自分以外の誰か・・・ 仲間を信じることが今のお前には大切なのだと、脱出に焦るアドに告げていた。

安藤家ではケインが宗二郎の手伝い中。
戦うよりメカニックのほうが性にあってるんだと宗二郎に語るケインは、拓人がF1ドライバーになったら
自分はエンジニアとして働こうという希望を口にする。
そこにシャークが現れる。 ケインにその優しい心を何時までも忘れるなと声をかける。
今は辛い時期だがこの経験はこれからきっと役に立つ、とも。
さらにはブレアードにも、お前がどう思おうと我々の仲間だと声をかけるのだが
拓人には特につたえることは何も無いと言うシャーク。
宗二郎から多くのことをすでに学んでいるはずと付け加えたのだが、釈然としない拓人。


ネオデアーク内では、サイクリードが地球ごとセイザーXを消滅させるための装置はないのかとネオデスカルに尋ねる。
少し前から態度が急変したサイクリードを訝しがるアクアルが問詰めるのだが
サイクリードに殴り飛ばされてしまう。
その様子を眺めるバレーダとネオデスカル。 頭部に仕組んだ催眠装置によって性格が豹変したのだ。
時間稼ぎにはもってこいだ、とつぶやくネオデスカル。


<想い重ねて>

勉強を続けていたレミー。 シャークから休めと声をかけられるが、
出て行った際に気合を入れなおす。 しかしいつの間にか寝ていたパトラが起き上がってきた。
ワームホールによって作られた異空間からの脱出は難しいとこぼすレミーだが、
コスモカプセルによってアドルイーグルが守られているのなら、コスモカプセルの力でどうにかなるのではないか。
というパトラの何気ない一言にヒントを得たレミー。

月面近くで微量なコスモカプセル反応が検出されている。
これを頼りに拓人たちを呼び出し、一路月まで飛び出すライオキャリアーとシャークベース、ビートバイザー、ドリルアングラー。
コスモカプセル同士を反応させれば、アドルイーグルは異空間から脱出できるかもしれない。
アドたちの通信も、地球上で傍受したものと違って鮮明に聞こえつつあった。

ケインが宗二郎と共に作っていたコスモブースターを用いて、コスモカプセルの力を増幅・反応し合わせるべくライオン1をセット。
異空間に繋がっていると思しき空間へエネルギーを照射・それによってカプセル同士が反応すれば脱出できるかもしれないというのがレミーの狙い。


一方ネオデアークでは、ネオデスカルの企みに気づかれたのかと焦るバレーダ。
そこでサイクリードにセイザーX撃退を依頼するが、既に作戦は用意してあるとサイクリード。

そしてライオキャリアーから、増幅されたコスモカプセルの赤いエネルギー光がある空間へ放たれる。
ある地点で光が消えたと思うと空間が歪む。
そこから黄色のエネルギー光が共鳴するかのようにライオキャリアーへ放たれてくる。
異空間のアドルイーグルが、徐々に動き出す。
狙いは当たったかと思われたそのとき、ネオデアークから小型艇が無数に飛び出す。
迎撃するドリルアングラー他だが、小型艇の攻撃は強力でダメージはみるみるうちに蓄積。

いつの間にかネオデアークへ通信が通じていたブレアードの怒号が響く。
それをサイクリードが通信映像をカットしてしまう。
裏切り者に用はないと言い放ったサイクリードの変化にうろたえるブレアード。
そして小型艇による攻撃を一度止め、一箇所へ合流させると・・・
恐獣ディロスへ変化してしまった。


<想い通じた>

マグナビートとシャークリーガーがディロスと戦う間、ライオキャリアーの援護に回るドリルアングラー。
異空間のアドルイーグルが、宇宙空間を確認し始める。
コスモブースターのライオン1も強力な光を放ちだし、ネオデアークでも反応を感知したのだが
意にも介さずサイクリードにシャークたちの始末を任せようとするネオデスカル。
コスモカプセルを無視することを怪しむアクアル。

そしてライオキャリアーでは、コスモカプセルのエネルギーに耐え切れずレミーが吹き飛ばされる。
そこで拓人とアドがそれぞれに装着し、エネルギー照射を引き続き行うことになった。
しかし、エネルギー照射に耐え切れそうに無いアドルイーグルを見てライオは出力を緩めてしまう。
イーグルたちの命を案じたライオだが、イーグルはお前たちを信じて命がなくなるなら本望だと返す。
パトラが、レミーがライオの手を持ち、再度エネルギー照射を促す。
そしてエネルギーの放射を再開したのだが・・・   異空間の出口が消失してしまった。


月面でのディロス戦。
マグナビートのメガロキャノンをものともしないディロス。逆にマグナビートを光線で倒してしまった。
シャークリーガーが剣をディロスのガード隙間に突き刺しチャンスを作ったのもつかの間
逆に肉弾戦によって圧倒、距離をとってディロスの攻撃をかわそうとするが脚部に被弾、さらに胸部にも攻撃を受けて倒される。
シャークリーガーを庇ったマグナビートが光の針でダウンさせられピンチに陥る。

ディロスが二体へ迫る。 しかし。
ディロスの頭上から光弾が降り注ぎ倒れる。
上空から現れたのは  アドルイーグル。 
仲間を信じていたとイーグル。 スプリットキャノンをディロスへ放つと一撃で沈めてしまう。
いつもより威力が増大していることに気づいたイーグルは、恐らくコスモカプセルの力だろうと推察。
アドルイーグルとともに地球へひきあげるセイザーX。


ネオデアークでは、ディロスが倒されたことをなじるアクアルだったのだが
やはり問題とせず、小手調べとしては上出来、むしろセイザーXへダメージを負わせたことを評価するネオデスカルとサイクリード。
本気を出すのはこれからだと不敵に笑うサイクリードだが、目的が読めないアクアルはうろたえるばかり。

セイザーXが去った月面には、謎の建造物・ダークアルマーが隠されていたのだった。


艦内ではアドとゴルドが拓人たちと再会を喜び合う。
そしてアドはつぶやいた。 何度でも言う、助けてくれてありがとう、と。


【レビュー】

アドが異次元から脱出するとともに、ネオデスカルの真の目的と思われるダークアルマーの存在が
提示された回。
現時点ではそれが何をもたらすのかは定かではない。

ドラマ面ではシャークが拓人以外に声をかけるシーンが序盤に入る。
各々に、それぞれ違った言葉をかけるシャークだが彼の本意はまだこの時点では見えない。
拓人に関しては宗二郎に多く学んでいるだろうとして何も言わなかったのが印象的。

一方ブレアードも、サイクリードの異変に気づくのだが・・・
今回、催眠装置によって操られていることが提示された。
もちろんアクアルとブレアードは気づく由もない。 ネオデスカル曰く時間稼ぎとのことだが
セイザーXにダークアルマーを気取られないようにするための傀儡なのだろうか?

今回はコスモカプセルの力を利用しての異次元からの脱出というギミックが目を引く。
そこだけを言うと前作ジャスティライザーのジャスティパワーっぽう思えてしまうが
序盤、レミーがシャークに指示されたワームホールの学習に
前回でも提示された、コスモカプセルの力によって音声通信だけは回復できた描写
そして今回登場したエネルギー増幅装置・コスモブースターなど
明らかに前二作以上にSF色を強めつつ、描写の積み重ねによって説得力を持たせた点が大きく異なる。


【特撮の見どころ】
・小型艇襲撃
・ディロスVSマグナビート、シャークリーガー、アドルイーグル

今回は久々の月面での戦い。
本シリーズにおいては本作特有となったシチュエーションでの戦いだが、流星神とディロスの戦闘シーンは
しっかり強い光を奥側から当てることで月面の雰囲気を出している。

一方月面上空での戦艦対小型艇戦だが、どうしても光源のアンバランスさが気になる。
このあたりはもはやテレビ特撮の宿命なのだろうか?
本シリーズは可能な限り違和感をなくしている部類だとは思うのだが・・・。