2018年11月24日土曜日

ブラウザゲーム界における「復活」から思うこと

タイトルからして本シリーズとまるっきり関係が無い。
無いのだが、多少は関係するようなことも書いておきたいと思って記事にしてみる。

ここからはヒーローオタク諸氏には「なんのこっちゃ」というような話しか出てこない。
が、
違う娯楽ジャンルの話とはいえ、決して無関係とも言いづらいところがある。
何せ特撮作品全般、「復活」ということを繰り返してシリーズを続けているものもあるのだ。
その上で本編へ。



「刀と女子高生」というありきたりな組み合わせのゲームが、2015年にブラウザゲームで登場していた。
そのタイトルは「しんけん!!」。
一応の評価としては「ダークな世界」で人気を集めていた、ということになる。
そのゲームは2017年にサービス終了している。
時期にして二年とちょっと。
ゲームそのものの寿命が短いことの多い(一年持たないこともザラ)、ブラウザゲームにおいては比較的長生きだったため、メディア発表でも「惜しむ声」という具合の
紹介のされかたも多かった。

今時の時代らしい点としては、SNS内のコミュニティによってある程度ファンを繋ぎとめていたり、
現代のビデオゲーム界としてはこういう形でゲームそのものの注目をそらさない工夫をしているようにも見える。


が、このゲームの「内容」・・・・ 特撮作品で言えば文芸そのものなのだが、それは高評価を得ていたものの、
肝心のゲームそのもの、つまり特撮作品で言えば映像やアクションという、見たままの点においては
甘く見てもギリギリ及第点くらいのできばえでしかなかったという事実もあった。
ビデオゲームが内容もそれなりに求められるようになって久しい時代ではあるが、
大元のゲームシステムやら運営手法などに関してはやや首を捻るところもあった。
個人的には本シリーズにだいぶ近しいものがある。

内容を無視しても、褒められる点はミニキャラの戦闘時アニメーションのみ。
それ以外の部分は、「特定エリアでレベリングする前提」のゲームバランスに偏っていたためか
ブラウザゲームではおなじみの定期イベントに関しては、他ゲームと比較しても
「充分にキャラクターを育てきらないとイベントを進められない」上に
「周回数がやたら多いイベント」もあったためか、良くも悪くもコアなプレイヤーに向きすぎた作りになっていた。
(周回数の件は、製作者側は別に無理してやる必要は無いようなことを言っていた気もするが、しかし・・・)

つまり、プレイ時間だけはやたらかけないと楽しみようがない割には
ムリしてやってみたところで、ストーリー進行に影響しているのかどうかわからないエピソードの解放程度でしかなかった為か
イベントを開催するたびに「本当に内容だけが好きな」プレイヤーだけが残る状態に陥ってもいた。
そして肝心の内容自体も、二年もやってる割には話自体がまるきり進んでない・・・
強いて言えばゲーム世界の発端の説明以降はキャラエピソード程度のものに留まっていた。
そもそもゲームのストーリー自体も、色々大仰そうな設定を匂わせたり救いがなさそうな雰囲気だけは出している割には
面白みも無い、というのもあったし、そのへんも好みが大いに分かれる部分であった。


そもそも大半のブラウザゲームというのは、キャラクターを核とした商売で成り立っているところはある。
それは見た目そのものや、キャラクター性の部分においての話ではある。
特撮作品で言えばまんまヒーローや怪獣の見た目や、本編での活躍に金を落とす・・・関連商品を買う、という具合。

ブラウザゲームでは、キャラクターの入手方法がおおむね三種類あり、本作では
「抽選用アイテムの数次第でキャラクターのタイプをほぼ特定して抽選可能」
というシステムをとっていたのだが、これもわざわざ「ブラウザ画面をひたすらクリックする」というシステムを採っていたりと
「刀匠(プレイヤーの、ゲーム内の呼称)が、実際の刀匠と同じようにキャラを手に入れる」
という、なんだか理屈でしかないシステムを投入していた部分も、多くのプレイヤーからはハードルが妙に高いイメージを持たれていた。
#作業を自動化するアイテムこそあるが、これだと製作側の意図していたコンセプトを否定することになる。


このゲーム、サービス開始直後からいきなり同人誌のオンリー即売会の企画や
実際の刀展示会とのコラボ企画など、最初の勢いだけは異様に強かった。
何故か動画サイトに四コマ漫画を載せる、早い段階でキャラソンが作られる、など。

それはいいのだが、かんじんのゲーム運営自体がお世辞にも良くない。
最初の一年間はとにかくゲーム起動までたどり着くまでが長く、ローディング途中で止まることもザラだったり
各種バグもあってか、最初の一年で脱落したプレイヤーも多かった。
先述のキャラ抽選方式も、そうした脱落の状況に拍車をかけてもいた。

開発担当が替わった(とされる)二年目以降ではどうかというと・・・
べつにシステム面など改善されるわけでもなかった。
イベント以外、つまり通常のシナリオもよく育てないとなかなか進められない割には
育成にかなり手間取るゲームデザインのまま。
二年目からは特定エリアの常時解放があり、そこで育てさえすればなんとかなる程度までは緩和したものの
そこを充分周回できるようになるまでもまた長い・・・ という悪循環も重なっていた。


つまりは、話題性やゲーム全体の一部であるストーリー内容しか評価されず、
肝心のゲームそのものの出来はお世辞にもよろしくなかったが為に、コアなファンしか残らず衰退して終わった、というのが
自分のこのゲームへの、偽らざる感想ではある。
第一、二年目からはDMM内のゲーム順位も10位台~20位台を行ったり来たりの体たらくだったのだから。

そのゲームが、2019年にアプリゲームとして復活すると聞くと不安しかない。
現在は復活の一報が出て間もない頃なので、今後どう転ぶのかは判らない。
もし当時と全く変わらないゲームデザインであれば、それはそれでファン向けゲームとして命脈を保てる気もするが
その代わり各種欠点もそのまま残るため、いかんともしがたい。
そもそも一年間を置いての発表ということもあるので、色々変えてくる気もしないでもないが。


この「復活」は、ヒーローものや怪獣映画、はたまた「続編もの」として作られる漫画やアニメなどでも御馴染みだが
大半のそれらは数年、十数年くらいスパンをあけて行われるため、自分が今言ったような危惧が感覚的にピンとこない人も多い気もする。

そもそも考えて見たらわかるが、人気が無くなって終わらせた作品を一年充電させてから「復活させます!」と言われたところで
ファン以外からしたら「そんなに人気あったんだね」くらいのものでしかない。

実はその、一年ちょい間を空けて続編ないし復活という形は、過去のアーケードやコンシューマゲームでは散々見られた形ではあった。
あったのだが、大体がマイナーチェンジ版だったり、ナンバリング作品であればシステムにいくらか変更を加えてみたりするなどして
「前作にあった不満点や問題点の解消、追加して欲しい要素、目新しい要素」を織り込んでリリースされることが多い。

元ブラウザゲームのアプリゲー化、またはブラウザゲーム自体のリブートなどといった「復活」が、いまいちファン以外からはピンとこなかったり
過去のコンシューマゲームの続編とも違う扱われ方をされがちなのは、
そもそも一度終わってしまったゲームである以上、何かしらの問題があって終わったからという見られ方もされるからではある。
#第一ブラウザゲームというのは、毎日プレイする前提の作りの割には、バージョンアップしてもそう劇的な変化がない。
#つまりほぼ毎日同じようなことをし続けることが半ば宿命化している。
#となると、プレイ状況・・・ 常に何かしらの事情でマトモにプレイできない、などの問題がブラウザゲームにとっては致命的なものとなりがちである。


で、本シリーズも同じ問題を抱えていたわけ。
話題性と、本編の一部分が評価される形が非常によく似ていた。
そして開発力というか、製作者側の技術的な問題も同様である。
これは、言ってはなんだが悪い意味でプロデューサーや制作スタッフのオタク気質が過ぎるからではあろう。
自分の好きなものしかつぎこめてない。
#もっとも、先行していた艦隊これくしょんなど、それで巧く行く製作者も居るからこういう人間も後を絶たないわけだが。 

また、残ったファンといってもそれは色々居るのも当然ではある。
ゲーム終了後、SNSに篭ってたタイプはさておいても、最初の一年で辞めたり
自分のように最初の半年くらいで辞めてから二年目くらいに出戻ったり、
二年目に入って辞めたというプレイヤーも多かったことだろう。
やることに変化がなければ当然そうなる。 たとえ内容が良いとされたところで。

途中で辞めたプレイヤーの中でも、内容だけは好きという人も多かったようで
復活に関してはそういう層もそれなりに興味を引いたのだろうとは思う。
が、だからこそゲーム全般の完成度や運営・管理は一度辞めたときを上回って良くしないと
完全に見限られることは間違いない。
内容だって、少なくとも以前のように遅々として進まないようではやはり困る。

そして一見むりやりこじつけたように見える超星神シリーズも同様で、
「特撮だけはいい」と、かつて実況していた年長のオタク連中の評価はまんま、このゲームの
「ストーリー(というか世界)だけはいい」という、ようは一点のみの評価で留まっていることからも伺える。
と、同時に。
毎週放送のテレビ番組であれ、ブラウザゲーム・アプリゲームであれ、
ただ一点だけが褒められたってどうってことはない、というのが大勢の受け手の偽らざる本音である。
たとえファンが「あれはいい、ここはいい」と、いいとこ探しをしたところでこれはもうくつがえしようがない。


・・・ まあ、相変わらず最初の話題だけは振りまいているようだが。
まだモノがないうちからコミカライズの話が出てきたりして、うーん・・・。
ビデオゲーム業界っていうのが基本的に不景気な話を聞かない世界とはいえ、なんだかなぁ。
今回取り上げた某ゲームのプロデューサーを初めとした制作陣は、もうちょっとしんけん!になって考えてもらいたいものである。
復活するにしても、ちょっと話題だけ振りまくという小手先のテクじゃダメ。
それで一回失敗してるんだから、ねえ。 

そして仮に東宝がヒーロー物をまた作るとしても、本シリーズと同じことを繰り返すようでは困る。
かつて本気になって追いかけた人間としては特にそう感じるのだ。