2019年9月29日日曜日

レインボーマン・第三話

第三話 「レインボー・ダッシュ・7」


<タケシの帰還>

日本・東京。
タケシの家は飲食店をやっており、その店じまいの最中。
夜空を見上げるたみとみゆき。
大きな流れ星を認めた二人。 もう遅いから寝ようと促すたみ。

寝静まった夜中。
たみの夢枕に突如、ダイバダッタが現われる。
タケシはもうすぐ戻ってくる。 と告げ、タケシを頼むと言い残し消え去る。


翌日。
虹色の光球の中からレインボーマンが現れる。
タケシが日本に戻ってきたのだ。
一年もの間日本から離れていたタケシは感慨深げに街中を歩き出す。

一方、プロレス道場。
謎の覆面レスラーたちとプロモーターらしき男のスカウト試合に挑んでいる男だが
覆面レスラーは完膚なきまでに男を叩きのめす。  タンカで運ばれていく男。
その様を見届ける正造と、川田。
川田は言う。 一人フォールすれば100万円貰える上に世界のレスリング界へデビューできるかもしれない。
そのチャンスを逃したくない川田が続いてリングに上るも、川田もまたノックアウト。

見かねた正造がストップをかけようとするのだが、覆面レスラーに手を出されピンチに陥る。
そこへ、タケシが駆けつけ覆面レスラー軍団を叩き伏せる。
プロモーターはその勇姿を見てスカウトするのだが、プロレスなんかに興味はないと一蹴するタケシ。
せめて連絡先を、と名刺をポケットにねじ込む。


<再会>

正造とタケシは顔なじみだった。
気絶している正造たちを救急車で病院に連れて行った後、タケシは自宅へ帰る。
たみとみゆきとの再会を喜び合う。
みんなの目には涙が光っていた。

どんぐり園。
正造と娘の淑江が戻ってきたところだが、園児と保母達が怯えている。
任侠一家の「ヤッパの鉄」と名乗る男が、借金の取り立てに来ていた。
川田の借金の保証人として、正造の名前が証書に書かれていた。
その額は300万。

正造は一週間待て、その間に金を作って渡すと宣言。
借金のカタに淑江を連れて行ってもいいんだぜ、と手を出す鉄。
ドスを片手に凄み出すが、危ないところでタケシが鉄をひねって投げ飛ばす。
逃げ出す鉄たち。

その一部始終を見ていた先ほどのプロモーターだが。
鉄に声をかけ、自分もタケシに煮え湯を飲まされている。手を貸してほしいと依頼。


公園ではタケシと淑江が会話をしている。
プロレスで川田たちのようにケガをして欲しくないとうつむく淑江に、
もうプロレスラーになる気はないとタケシ。
笑顔の戻る淑江と別れる。    
付け回していた鉄が、何処かへ行く。

続いて堀田の職場へ向かったタケシ。
一年ぶりのタケシに、かつての荒っぽさが抜けたと感想を漏らす。
ダイバダッタに教えを受けたことが、結果的に人間性の変化をもたらしたのだろう。


<戦いの序章>

夜。 タケシの帰りの遅さを気にするみゆきとたみ。
直後にタケシが帰ってこようとしたのだが、鉄に呼び止められる。
車の中へ連れ込まれるが、そこには捕われた淑江の姿も。

港まで連れてこられるタケシ。
倉庫の中では覆面レスラーたちが待ち構えている。
道具まで持ち出され、集団リンチに逢うタケシ。 淑江はあまりのひどさに顔を覆う。
鉄も流石に不味いと感じたのか逃げ出す。

やがてロープで縛られ、車二台で轢き殺そうとする覆面たち。
この危機に際して、緊急にレインボーマンへ変化する。
ロープを解き、レインボーフラッシュで車の進路を変え二台を正面衝突させると
続いてダッシュ3へ変化・燃え盛る車の炎を消す。

破壊された車から覆面レスラーが逃げてゆく。
変化を解くタケシは、淑江のもとに駆けつけ無事を確認。


その翌日、プロモーターの事務所へ乗り込むタケシ。
レスラーのことは、契約を解除したから知らないとしらばっくれる。
一応信じてやることにしたタケシだが、しかし何故日本人レスラーが欲しいのかと問詰めると
日本人は強い、力道山のようなレスラーを求めていたのだとプロモーター。

聞くと、マカオでプロレスショーがあるがその賞金は5万ドル・・・1500万円。
そのショーに出てくれないかと依頼するプロモーター。
1500万円もあれば正造の借金も返せるしみゆきの手術費用も出る。
悩むタケシにすぐ契約書を出すプロモーターであった。


事務所を出るタケシ。
契約することになったのだ。
事務所では、ミスターKなる人物に笑顔で報告するプロモーター。
ミスターKとは何者か。
そしてマカオでのプロレスショー。

図らずもプロレスの試合に出ることになったタケシの行く先に、暗い影がちらついていた。


【レビュー】

レインボーマンへの変化に成功したタケシが、日本へ舞い戻る。
しかしドラマ・ストーリー共に急展開を見せる。
謎のプロモーターの暗躍。 
借金のカタに取られそうになるどんぐり園。
そのストーリーの合間を縫って、タケシの周辺にいる人物たちも改めて提示される。

今回登場した「ヤッパの鉄」はその後も事あるごとに登場するサブキャラでもある。
彼自身にもささやかながらドラマがあることは覚えておいてもいいかもしれない。
こうした奥行きの広さも、本作独自の空気を作っている一端と言っていい。

ダイバダッタの教えに沿ってか、世俗的な野心・欲を捨てたはずのタケシなのだが
それを試すかのように金銭トラブルが舞い込んできてしまう。
終盤、プロモーターから提示された1500万円という額に、「これならどんぐり園も助かるし妹の脚も治せる」と
つい現実を意識してしまうタケシ。

本作ではこのように、度々タケシの高邁なレインボーマンとしての使命や理念に対して
世俗の、しかも切実な現実が突きつけられる展開が見られることが多い。
このあたりも日本のヒーロー物、ひいては東宝作品の中においても特異な点である。
一歩間違えばかなりしみったれた、辛気臭い話になりかねないのだが、
息をつかせぬストーリー展開と、合間を縫ったドラマ展開とがそうさせていないのは流石だ。

とはいえそうした真価が発揮されるのは、第二クールの小シリーズに入って以降でもある。
まだ第一クールである本シリーズでは、その萌芽が見て取れるということだ。


【特撮の見どころ】

・夢枕に立つダイバダッタ

第一話の、炎の中に立つダイバダッタと同様ではあるのだが
中々綺麗な合成をしている。

東宝の特撮ドラマというのは、東映ほどの豪快かつ大雑把さ溢れる合成や演出はないが
さりとて円谷ほどの凝った合成・演出もないという点においてもやや独自の路線を貫いている。
その原初が本作・レインボーマンである。
だが、流石に予算のなさがにじみ出ているピープロほどでもない、とも付け加えておくことにする。