2020年4月29日水曜日

レインボーマン・第十九話

第十九話「空転!ムササビ殺法」


<さらなる刺客>


前回からの続き。
老婆の亡骸を布団に寝かせたのちも、その死を受け入れられずに枕元で泣く若。
窓からの視線に気づくタケシが振り向くと、そこには第五の刺客・ジェノバード。


既に死ね死ね団からの刺客が送り込まれたことに危機感を募らせるタケシ。
いつまでも泣いてはいけないと若を激励するのだが、今度は天井裏から現れるジェノバード。
麻酔ガスを投げつけ、なし崩しに戦闘に入る。
変化し応戦するが麻酔ガスが効き出し、屋外へ逃げ出すレインボーマン。


徐々に体の自由が利かなくなるがとっさにダッシュ2へ変化し火炎の術を浴びせる。
マントについた麻酔ガスに引火し、たまらず離脱するジェノバード。
追撃しようとするのだがいよいよ体がしびれてしまい動けなくなるレインボーマン。




一方参覚寺。
贋札配布が順調に進んでいた。 
日本各地の御多福会支部で同じ光景が繰り広げられているのだ。
裏でクイーンが仮面を取って一息つくと、ジェノバードが現れる。
既に4人殉職しており、M作戦の進行にも影を落としつつあることが知れる。


贋札は日本各地の御多福会支部へ補給されていた。
貨物船で、貨物列車で、あらゆる方法で輸送・補給が進み
結果日本全国に贋金が横行することとなった。
やがて引き起こされるインフレには、さらなる贋金を民衆が手にして使えば良い。
そうして、インフレはハイパーインフレへと変化していくことになる。


ヤッパの鉄がある支部へ乗り込み、居並ぶ人々の目の前でこれは贋札なんだとタンカを切るも
すぐさま会員に押さえつけられた上麻酔注射で眠らされる。
酔漢の戯言と一蹴した幹部に同調する人々。  




そして隠れ里でも、老婆の敵討ちのために村から三人を選抜してタケシに協力することが決まる。
ここまでほとんど一人で戦ってきたタケシにとっては何よりうれしい助力。
山を登っていくにつれ、三人のうち一人がワナにかかってしまい居場所が死ね死ね団に知れてしまう。
ワナを解いたタケシだが、三人に急いで山から下りるよう指示。
仕方なく別れることになった三人だったのだが、直後に死ね死ね団により射殺される。




<進行と経過>


参覚寺でもすでにタケシが向かっていることが把握され、クイーンの命により
ジェノバードが阻止のために出動する。
団員たちがボウガンで狙撃するが、すぐにダッシュ7に変化しそれをかわすと
ダッシュ4へ変化し、木霊叩きによって団員を一網打尽にしてしまう。


直後、ジェノバードのチェーンにより木にしばりつけられてしまう。
ナイフにより殺されかかるところで、木遁の術により間一髪回避に成功。
しかししばりつけた木に隠れているのだろうと見抜いたジェノバードが
大量に麻酔ガスを焚きつけたことでたまらず脱出。
再度のピンチとなったが、ジェノバードに対し枯葉を大量に吹き付けることで怯ませ離脱に成功。


またも麻酔ガスを大量に浴び、そろそろ体力は限界に近づくタケシは
地獄谷に入り込み、その中でヨガの眠りについてしまう。




どんぐり園では、生活が逼迫しつつあった正造と叔江。
物価はますます上がっていき、それは一般家庭の台所にダメージを与えていた。
憤慨する正造だったが、御多福会は金を作っているんじゃないかと推察。
さらに源吉にも言及し、昔は腕のいい製版工であったとも話す。
御多福会は源吉に本物そっくりの金を作らせているのだろう、と。


しかしそんなことをして何のためになるのかと叔江は首をひねるのだが、
これは死ね死ね団が絡んでいるのではないかと見る正造。
タケシは勘がいいからもう調査しているのだろうが、ことによると・・・と言い出したところで
叔江がそれを打ち消して駆け出してしまう。




<クイーン決戦>


一方夜の地獄谷。
ヨガの眠りに入ったタケシだが、地熱に温められた体からは汗とともに麻酔ガスの成分も抜けつつあった。
その一方延々と探し続けるジェノバード。


叔江は流れ星の降る夜空に、神にタケシの無事を祈る。
愛するタケシの無事を祈る叔江。




そうして一夜明け、体力を回復させたタケシを発見するジェノバード。
ダッシュ7へ変化し、麻酔ガスへ対し遠当ての術で応戦。
一度離脱するジェノバード。
追い詰めるレインボーマンだが、 ジェノバードは分身の術を用いて形勢逆転。


しかし分身ならば必ず本体がある。 布擦れ、靴の音などで見分けられるはずと目を瞑り気配を読む。
やがて本体を見つけ、遠当ての術で麻酔ガスを爆発させジェノバードを倒した。




そして参覚寺へ侵入するタケシ。
死ね死ね団員をなぎ倒し、屋内に入り込む。
ある一室へ入り込んだ瞬間、クイーンのサブマシンガン掃射を浴びせかけられる。
ギリギリで回避し、再度室内に入るとクイーンはいない。
金庫に気づき、ドアを開けるとそこにクイーンが居た。


御多福会による贋金バラマキ作戦。
それがハッキリレインボーマンにも知れることとなる。
お前がいくら一人で頑張ろうとも私たちの強大な力に勝てっこないわと豪語するクイーン。
サブマシンガン掃射をかわし遠当ての術でクイーンにダメージを負わせるが、
彼女は「あの世で私の奴隷になるのよ」と言い放つと、証拠を隠滅すべく自爆装置のスイッチを押す。
それに気づいたレインボーマンだったが既に遅く、証拠となる贋金を手に入れることなく脱出せざるを得なくなる。


やがて爆発・炎の中に飲まれる参覚寺内のアジトだったが。




【レビュー】


第五の刺客ジェノバードとの戦いが描かれる一方で、贋金によるインフレの進行が描かれた回。
その結末も、御多福会の総本山と言える参覚寺の爆破で締めることとなったのだが・・・


今回の終盤では、死ね死ね団員のサブマシンガン掃射に対して、別の団員を盾にしてかわすレインボーマンが特徴的。
東宝作品は時折妙なリアリティのある殺陣や演出をする傾向があるのだが、
このあたりも東映や円谷とも異なる部分としておぼえられてもいいかもしれない。
♯その結果あまりヒーロー自体が強くみえないという欠点もないでもないが。




【特撮の見どころ】


・ジェノバード爆散
・参覚寺内部爆破


前者はマネキンの爆破であろう。 案外本作では珍しい爆発パターンである。
♯あとは第六の刺客・エルバンダとの決着くらいか。


後者は、こののち度々バンクとして使われることになる爆発カットである。
今見ると爆発する場所が決まり切っているのがかえって安直さも感じるが、
予算も人数も割けない状況下での精いっぱい頑張った結果であろう。


あと強いて言えば、ジェノバードの分身の術における分裂描写か。
重なり合っている部分が黒くなっている点は案外それっぽさを感じる。