2015年10月7日水曜日

セイザーX・第二十八話

第二十八話「侵入!新たなる戦力?」

[ネオデスカル:ネオデスカル]
ダーゴス登場

 演出:舞原賢三    脚本:林 民夫


<未来から来る敵味方>

前回からの続き。
艦内では拓人がセイザーパッドを使ってアドに呼びかけ続けていた。
しかし反応は無い。 レミーたちに落胆の表情が浮かぶ。
拓人がなおもよびつづけるのだが、背後から謎の女性が拓人からセイザーパッドをひったくり
ゴルドを呼びつけている。
レミーたちはその女性を見て驚くが・・・。


一方ネオデアーク内。ネオデスカルはサイクリードとアクアルに対してうやうやしく挨拶、誉めそやしていた。
自分たちの存在に直接繋がるデスカルの三将軍に対する敬意を口にするネオデスカル。
新たな司令官にアクアルとサイクリードを据えようとする彼の意図は?


ライオキャリアー内ではなおもゴルドを呼びつける謎の女性。
何度呼んでもダメだってと拓人は言うのだが、やってみなくちゃわからないじゃんと返す。
そして――――――
ゴルドの「OK奥さん」という声が、セイザーパッドから聞こえてくる。
喜ぶ女性だったが、ゴルドの妻らしい。

アドルイーグル内。 コスモカプセルの力を用いて通信だけは回復させた。
女性に対して恐縮するゴルド。
異空間に巻き込まれた際、コスモカプセルの力が突如アドルイーグルを包み込んだことで
辛うじて艦の安全は確保されたようだった。
ライオキャリアーでは通信が回復したことで安堵と驚きが満ち溢れていた。
そこへシャークが現れ、女性の存在に驚愕する。

彼女の名前はパトラ。
セイザーXの偵察員でもある彼女は、ネオデアーク内部に侵入して2005年に合流したそうだ。
隠密能力の高い彼女だが、唯一ゴルドだけはパトラの気配を察知できたらしい。
パトラは一同に大学芋を振る舞い、仲間達を見回すのだが庭先にブレアードが居た。
ジャッカルが亡くなり、サンダーラに逢おうと湖の扉を探そうとしたブレアード。
さりとてネオデスカルと合流するわけもなく、ただ彷徨っていた彼は
人生の中ではじめて安らぎを得た安藤家へ戻ってきていたのだった。

パトラがそんなブレアードに同情し、抱き合う。
あっけに取られる一同。春子が納豆ご飯をブレアードに差し出していた。


シャークベース内では、レミーがシャークに稽古をつけてもらっている。
さらなる激闘が予想される中、自分単独でも戦えるようになる為のものだが
その力の差は歴然としている。
何度もいなされ、倒されるレミーにシャークは叱咤する。どんなときでも諦めるなと。
しかし中々立ち上がれないレミーを見て、シャークは稽古終了とばかりに指を鳴らし、立ち去る。


ネオデアークでは、自分の居場所を手に入れたと喜ぶアクアル。
一方サイクリードはまるで望まない状況に頭を抱える。
そこへネオデスカルが現れ、自分たちに力を貸していただきたいと懇願する。


<未来を変える力で、未来を変えるしかない>

シャークベースへ訪れた拓人とブレアード。 シャークにあることを提案していた。
ブレアードがアクアルとサイクリードを説得して宇宙へ変えればいいのでは?というものだがシャークはあっさり拒否。
コスモカプセルによって創られた歴史は、コスモカプセルの力を用いて変える以外に無い。
仮に三将軍が地球から去ったところで、何らかの力が作用して同じ未来になる可能性が高いと述べた上で
ネオデアークへ行くことは非常にリスクが高いということで却下されてしまう。

素直に従う拓人を見てブレアードは、以前の闇雲に突っ走る拓人は何処へ言ったんだとなじるが
成長したと言ってもらいてえなと一蹴する。

他のメンバーをよそにツインセイザーは何かを作っていた。
一体何を作っていたのだろうか。


夜の安藤家。 由衣と春子が、戦いはこのままじゃ終わらないだろうなと
寂しがるパトラをながめて話し合っている。
そこへ宗二郎が戻ってくる。 また徹夜して何かを作っていたようだ。 
シャークからの依頼ではあるのだが。 春子たちが出迎えたのだが眩暈がしたのか壁にもたれこむ。
大丈夫だ、と家に上がっていく宗二郎だったのだが・・・。


翌日、アクアルとサイクリードがコスモカプセルを手にしてセイザーXをおびき寄せる。
そこへ現れるブレアードとセイザーX。 アクアルたちの説得を試みるのだが
全く意に介さず、ダーゴスを呼びつけ臨戦態勢へ。
更にシャークも現れ、戦いが始まる。
それを見たネオデスカルはシャークに憎悪を向ける。

水属性のダーゴスに対してピジョン10を転送させ、ピジョンカッターを放つライオだったが
高速移動により回避されてしまう。
うろたえるレミーとライオだが、 アクアルがレミーを捕らえてしまう。
最初からレミーを標的としていたらしいが、そこへシャークがダーゴスへ斬りつける。
人質のレミーを無視して戦うシャークへ脅しをかけるアクアルだがやはり無視される。
怒り心頭のアクアルが、レミーへ杖を振り上げたのだがその時・・・。

はるか上空からパトラが、アクアルへ飛び掛った。
不意を衝かれたアクアルだがパトラを振りほどく。 しかし油断の生じたアクアルの足元を
レミーが踏み抜き、更に投げ飛ばし自力で解放。
そしてシャークも、ダーゴスを倒す。

あっけにとられるアクアルにシャークが告げる。 俺の全存在をかけてでもネオデスカル達を消滅させると。
だが一方のネオデスカルとバレーダは、まるで意に介していないどころか
コスモカプセルは眼中にないとまで言い切る。
バレーダが、例の計画は進行中であると告げていたが・・・?


<未来からの新たなる陰謀>

戦後、安藤家ガレージでは拓人と宗二郎がカウンターで語らう。
昔に比べたら周りを見ることが出来るようになった反面、以前のがむしゃらさが無くなった。
パトラを見ているとそう感じるんだと拓人が話す。

拓人にもいずれ、仲間達のために闇雲に突っ走るかどうか決めざるをえないときが来る。
それまで悩め。 まだお前は成長途上なのだから。
そう告げる宗二郎。

ケガの手当てを受けるパトラが、ゴルドとの通信を楽しんでいる中
アドルイーグルが異空間の圧力を受け軋みだす。
このままでは持たないだろうとアドは一人つぶやく。

そしてシャークとレミーも稽古に勤しんでいた。 もっと強くなれと心中で願うシャーク。


ネオデアークでは、三つのコスモカプセルを眺めていたアクアル。
そこにサイクリードが現れるのだが・・・ 明らかに態度が豹変している。
瞳が赤く光る彼の傍らにはバレーダ。 

ネオデスカル自らが現代に現れ、更に戦いは激化の一途を辿ろうとしていた・・・。


【レビュー】

ネオデスカル当人が直々に現れてのラストシリーズスタート。
と同時にパトラが本格合流する回。
パトラはゴルドの妻であり、簡素ながらなれ初めも描かれていた。
諜報員である彼女だが、一方割と自由なキャラクターであることもこの回で描写されている。
後半、レミーを上空から助けに入るシーンは特に象徴的でもある。
#日本では2005年正月に上映されていた「カンフーハッスル」のイメージポスター風の登場および衣装に注目。


ドラマとしてはレミーと拓人主体で進んでいるといえる。
レミーに関しては前半、シャークとの稽古シーンを踏まえた後半の展開を見ても判る。
アクアルの足を踏みつけ、投げ飛ばす一連のアクションは稽古での動きそのものでもある。

そして拓人。
サンダーラ登場回から徐々に拓人の性格が変質していくのだが、それを周囲でいち早く気づいたのはブレアード。
このあたりの関係性は面白い。
デスカル編終盤から僅かずつ変質はしていたのだが、今回からはより拓人自身の変化に伴い
ドラマも大きく動いていくこととなる。

拓人自身が大きく変わった部分としては「仲間など周囲を見られるようになった」分、「自分勝手に動くことが減った」ところにある。
これは終盤の宗二郎との会話が象徴的である。


ストーリー上では、シャークが述べていた
「コスモカプセルで創られた歴史は、コスモカプセルでしか変えられない」という言葉。
既にネオデスカル自らが2005年に襲来してしまうまでに、3000年の状況は大きく変化してしまった。
最低でも12話あたりの時点で三将軍を宇宙へ帰していれば、いくつかの可能性は残されていたのだが。
だからこそ、もはや三将軍が宇宙に帰ったくらいでは大勢に変化は無いという判断だろう。
そして戦いは、いかにコスモカプセルを早く12個手に入れて未来を変えるかという話へ収束していくこととなる。


演出的にちょっと引っかかったのは、パトラがネオデスカルの艦に潜り込んで2005年に来たと安藤家で説明しているシーン。
そこでの回想の映像は、今回一番最初に出たネオデスカルとサイクリードたちの会話シーンを別アングルで捉えていたもの。
#サイクリードのそんなに頭を下げるな、余計気持ち悪い というセリフに注目。

OP明けの本編序盤の流れは
①ライオキャリアーで呼びかける拓人→②後ろからセイザーパッドを掻っ攫うパトラ→③ネオデアークでのネオデスカルとサイクリードたちの会話→④パトラの呼びかけが通じる
というもの。

回想ではパトラはネオデアーク内部でサイクリードたちの会話を盗み聞きしていたというものだが
実は会話の内容を見ると③の会話そのものである。
前回と繋げてみればそれほど違和感もないのでは?と思われる方も居るかもしれないが、
前回終盤の会話では単にネオデスカルはサイクリードたちに跪いて挨拶していただけに過ぎない。
それを眺めるパトラというカットで前回は終わっていた。

細かいことを気にしなくても・・・ と言われそうだが、回想として使うシーンとしては間違ってる気がしなくもない。
③の別アングルとして回想を入れたせいで、後から見返すと①・②の繋がりがおかしなことになっているとしか感じられなかった。
当時は勢いで見れてしまった部分だったのだが。
#今回と前回の演出は舞原監督によるもの。


【特撮の見どころ】

・前半の、レミーとシャークの稽古シーン終了時の演出

シャークが指を鳴らしたとき、壁面が変化していくのだが
稽古は真っ白な部屋で行っていた。 それに伴って照明が相当強く照らされており
終了時に指を鳴らすと同時に壁面がVFX処理により変化(いつもの艦内のセット)していく。
この時、照明がシャークの顔を強く照らしていたものが徐々に消えていくのだが
やはりVFX合成ということもあってか、うまく照明が落ちるタイミングを合わせて変化している。
#まさか照明までVFXじゃないだろう。

こうした、現場やセットで出来る画作りの補助的にCGやVFXを用いているカットを見るのは楽しいものがある。
何でもかんでもCGやVFXがあればいいという誤解が、受け手の大多数にあるようだが
個人的には実際のセットや情景、人物あってのVFXであるべきだろうと思う。


さて、今回久々に登場した宇宙海賊側怪人のダーゴス。
前作ジャスティライザーのサイバーナイト(どれかは不明。ザウラスっぽく見える)を改造しているようにも見えるが・・・?