2015年12月8日火曜日

セイザーX・第三十三話

第三十三話「信じあう仲間」

[ネオデスカル:ネオデスカル]

 演出:米田興弘    脚本:河田秀二


<カプセルの意思とは>

ビートル3を眺めながら、前回コスモカプセルによって見せられた映像の意味を考えるケイン。
そこへパトラが現れる。 彼女はどうやらゴルドと喧嘩してしまったようだ。
一方別の部屋では拓人とレミー。 意識が戻ったが左手を怪我していた。
レミーを眺めてつぶやく拓人。 俺は戦う以外に何かできないのかな?と。


シャークベースではセイザーXを集めシャークが今後の方針を告げる。
ダークアルマーを破壊したのはいいが、まだ月面に何かがあるかもしれないとシャーク。
そこへ拓人は、再三三将軍を宇宙へ帰そうと提案する。
それは許さんと一蹴し、 やはりコスモカプセルによって作られた未来はコスモカプセルでしか変えられないとシャーク。
そこへケインが、前回カプセルによって自分たちの身に起こったことを告げる。
コスモカプセルが意思を持ち出していることを把握しているシャーク。 何が起こるかは判らないぞと改めて注意を促す。


ネオデアーク。
ダークアルマーは別の場所で作っているようだが、そのダークアルマーによって作られた闇を誘導する装置を作り上げたサイクリード。
だが、問題はそれを設置するのに時間がかかる。 途中でジャマされなければいいのだがと危惧を口にするサイクリード。
バレーダはアクアルに不穏な動きがあると忠告、既にアクアルの場所は把握していると付け加える。



そしてシャークベース。 ドックでの作業中に宗二郎が倒れたことを聞きつけ治療室へ駆け込む拓人。
ケインと共に、連日徹夜で戦艦の修理をしていたのが祟ったようだ。
自分の家族まで消耗していく様を見て、いつまで戦いが続くんだよとこぼす拓人。
シャークは、ただ宗二郎と拓人に心の中で詫びるしかなかった。

戦艦から飛び出した拓人はブレアードと説得の件で相談していた。
誰も傷つけずに未来を変えられるはずだしなとブレアードも同意、サイクリードはさておいてもアクアルなら説得できるかも知れない。
危険すぎるからとシャークは反対していることをブレアードも知っているのだが
宗二郎もレミーも傷ついていく様を見て我慢できない拓人は、それに賭けるほかなかった。

そこへアクアルが現れる。
攻撃を浴びせかけるアクアルに説得はムリだなと拓人。装着するのだが
彼女はブレアードと切り結び、宇宙へ帰りたいと愚痴をこぼす。
ようやく素直になりつつあったアクアルだったのだが、さらにサイクリードが現れる。
裏切りは許さんと凄むサイクリード。
スワン6を召還・高速移動でサイクリードと対峙するライオなのだが
そこへアドとケインも合流。 分が悪いと引き上げるサイクリード、続いてアクアル。


説得は出来ないんじゃないかと気の迷いが生じる拓人。
そこへパトラが現れ、最初からアクアルを信じていないから説得できないんだと叱る。
相手を信じないのにどうして説得できるのか?
闇雲さを思い出せと更にブレアードが追い討ちをかける。
そこで、もう一度信じて説得してみると拓人。 シャークも説得すると決意するのだが・・・。


<コスモカプセル争奪の真意>

やはり拒絶されてしまう拓人。 シャークはやはり前提条件を繰り返すのみだった。
それに業を煮やした拓人は、それなら12個集めてコスモカプセルが消滅するように願えばいいじゃんと閃く。
脳裏にはサンダーラがかつてつぶやいた、コスモカプセルなんかがあるから争いが終わらないという言葉が蘇っていた。
願いが叶うという都合のいいものがある限り戦いは終わらないのだから。


拓人の言葉は、一同の表情を強張らせる。
レミーは言う。私たちは元からそのつもりでやってきたのだと。
元々の使命はそれだったとケインが告げる。
今の今まで黙っていたことに憤慨する拓人だが、それを最初の時点で言った所で理解したのか?とアドが返す。

だが、その願いをコスモカプセルがかなえるのかは判らない。それでも誰かがやるしかないとシャーク。
だからこそ三将軍を説得して手持ちのコスモカプセルを貰えばいいじゃないかと拓人は食い下がるのだが
ネオデスカル側の狙いもわからない以上、勝手な行動は許さないとシャークは返す。


安藤家ガレージでは、拓人がなおも憮然とした態度。
チームとして纏まることを優先しているアドに対して八つ当たりする拓人を追うレミー。
縁側で拓人と話すレミー。
なんとなく三将軍を説得することで戦いを終わらせようとする気持ちが判ったと告げるレミーだが
そこへブレアードが現れる。  

ネオデアークは地球上に居る。 説得するなら絶好のチャンスだ。
拓人を誘いに来たのだが、拓人はシャークになおも相談しようとする。
しかし、既に仲間がいやな目に逢っているブレアードとしてはすぐにでも説得したい構え。
イヤなら俺一人で行くぜと拓人に迫る。 ちょっと時間をくれよと拓人。 まだ覚悟が決まっていないようだった。


<もう一つの、未来を阻止する道筋>

シャークベース内ではパトラに何かを指示しているシャーク。

そして、医務室では拓人が宗二郎につぶやいていた。
以前みたいに突っ走れなくなった自分は、臆病になっちゃったんだろうか。
それに宗二郎が返す。
これまでの戦いで仲間達の背負った使命と運命の重さを、拓人も知った。
つまり戦いの重さを知った拓人は臆病になったのではなく成長したのだ、と。
今の拓人に何も言うことは無いと、拓人の成長を認めた宗二郎。

そして決意した拓人はブレアードと共に月夜の晩、ネオデアークへ向かった。


ゴルドを呼びつけ、女性の感性は男とは違うんだと諭すシャーク。
そこへパトラが現れ剣呑な雰囲気になる。 しかし意にも介さず任務を告げるシャークだった。
その内容とは・・・?

日が昇り、ネオデアーク近辺まで近づいた拓人とブレアード。
しかしそこにアクアルが攻撃を仕掛けてくる。
攻撃を避けた拓人がアクアルを説得する。
三人そろって宇宙へ帰りたいんだろう?と切り出す。 
お前はもう俺達と戦う必要はないだろう、俺はブレアードを信じているし
ブレアードの仲間であるお前も信じていると説くと、
どうなっても知らないわよ・・・ とアクアル。


それをモニターしていたネオデスカルたちが、現地へ赴く。

アクアルから、サイクリードが山の頂上に居り何かの装置を仕掛けていることが伝えられる。
ネオデアークへ戻ってネオデスカルの注意を引いてるうちに、サイクリードをなんとかしてくれと言うアクアルだったのだが
突如拓人とブレアードが後ろに引き込まれ、木に縛り付けられてしまう。

ネオデスカルとバレーダだ。
既にアクアルが裏切りつつあるため、このタイミングで現れてアクアルがワナを仕掛けたように見せかけさらに仲間割れさせようと目論んでいる。
拓人がそう啖呵を切るが、アクアルが杖の切先を拓人たちに向ける。


ライオキャリアーでは、ブレアードがもっているらしいスタッグ7の位置を検索しているが成果なし。
だが突如カプセイザーG2からライオン1が飛び出し、ひとりでに転送されてしまう。
転送先の検索によって場所が割り出せるかもしれないとアド。ケインとともに飛び出す。
命令違反を気にして留まるレミーだが・・・。


ブレアードが叫ぶ。お前までおかしくなっちまったのかよ?
拓人たちに向かうアクアル。 不敵に笑いながら見つめるネオデスカル。
絶叫し、得物を振り上げるアクアル!


【レビュー】

今回は命令を無視してでも、三将軍を宇宙へ帰そうという拓人の
自分が出来る手段を可能な限り試そうとする姿勢が話の軸となっている。
その一方で、ダークアルマーを地球上に設置しようと目論むネオデスカル。
後半ではアクアルの離反?を描いているが、ここでネオデスカルがひっかきまわしているのも
ダークアルマー建造の時間稼ぎかと思えばなるほど腑に落ちる。

今回は拓人の成長に合わせての、セイザーXの現代へ来た本当の理由・・・
つまり、コスモカプセル自体を消滅させるということがここで明かされる。
すわグランセイザーのようなストーリーの転回がここで発生しているが、確かにアドが言うように最初からそのつもりだったことを拓人に言ったところで
それがそのまま伝わるとは考えにくい。

だが拓人も、別の可能性に賭けようと奮闘しようとするのが今回の話ではある。
なにせカプセルはまだ3つネオデスカル側に存在しているのだ。
戦艦がダメージを負い、宗二郎まで過労で倒れるほどに消耗する戦いをこれ以上強いられるのならば
もう一つの可能性に賭けたいというのが拓人の心情だろう。


終盤へのストーリーのうねりが大きい今回だが、若干おかしい部分が見える。
序盤、ケインがシャークに前回の件を告げたシーンでは「ブレアードにカプセルが付きまとう」という発言があったが、そういったシーンは前回までになかったはず。
#ブレアードが勝手にカプセルを持ち出したことは二度ほどあった。

第二部以降ではブレアードがカプセルに関わった描写はネオデスカルからの離脱以外見られず、第三部になってもやはり蚊帳の外。
恐らくここまでの脚本ではそういうシーンがあり、なおかつ撮影もしたのだが編集時に切られたのだろうか?
それとも今回の脚本側の暴走か・・・?
ブレアードの手元にスタッグ7があるという描写が一切ないため、奇妙なところだ。
今回後半、拓人たちの位置を確認するためにスタッグ7の反応を検索しているのだが・・・。

今回はカプセルがらみの展開の雑さが残念だと思わされた。
せめて前回まででブレアードをスタッグ7が選んで、ずっと持ち続けることになる描写があったらなぁ。


【特撮の見どころ】

・なし

第三部においては特撮もここが箸休めといっていいのかもしれない。
最終四話にむけて力を貯めていると解釈できよう。