2015年3月21日土曜日

ジャスティライザー・第三十話

第三十話「バッカスVSデモンナイト」

[幹部:ゼネラルバッカス]

監督:石井てるよし    脚本:河田秀二


<不協和音>

冒頭。ハデス戦艦内では前回の戦いで
デモンナイトが作戦途中で退却したことなどをハデスに報告するゼネラルバッカス。
ますます対立を深めるバッカスとデモンナイトだが、その怒りをジャスティライザーへぶつけろと
その場を収めるカイザーハデス。
バッカスはその場を立ち去る。 デモンナイトは何かを考えているようだが。

病院では、澪が医師から絶対安静にするように告げられる。
やはりシロガネになることが体への大きな負担となっているようだ。

早朝。翔太とユカがジョギングの真っ最中。
シロガネにならなくても戦えるような肉体改造を主眼としているようだ。
やがて長い階段に差し掛かる二人。 ダッシュで階段を10往復と言い放つユカ。
スポ根じゃあるまいしとこぼす翔太だが、そんな階段をウサギ跳びで登っていく一人の男。
どうやら真也のようだ。
声をかけようとする翔太を制止、デリカシーに欠けるだのいいたい放題言って翔太と別れるユカ。
三人とも、可能な限りシロガネに頼らないように自らを鍛えるところで一致していたようである。

途中、ユカは翔太からもぎ取ったタオルで汗を拭いて休んでいたがそこにザコールが。
装着して戦うが続いてバッカスが現れる。


<戦いの原点>

伊達電器店では、ジョギングから帰った翔太が遅刻しそうになっていた。
急いで家を出ようとすると、ユカの母から翔太に電話が来る。
どうもまだユカが帰ってきていない為、気になって連絡をしたようだ。
そこへ続いてカゲリから翔太と真也に通信が入る。

そのユカは、バッカスとの戦いで装着が解け倒れてしまった。
とどめを刺そうと歩み寄るバッカスの後ろに立つのは、神野。
卑怯な真似で自分とジャスティライザーを倒そうとしたのかと詰め寄ると、バッカスは神野へ剣を向ける。
装着して対峙しようとするデモンナイトだが、そこへ翔太が駆け寄りバッカスが立ち去る。
翔太は事情を知らないため、デモンナイトへ怒りのまなざしを向けるが次いで真也が駆けつけると
デモンナイトまで消えてしまう。


伊達電器店へ引き返す一同。ユカは戦いのダメージが大き過ぎたのかバックヤードで倒れこんでいる。
翔太は怒りを隠さず、伊達電器店を飛び出すが澪に止められる。
ジャスティパワーを憎しみのために使うべきではない。ノルンや地球はそれを望んではいないと翔太に告げるが
無言で立ち去る翔太。

しばらく歩き続けていると、翔太の目の前に神野が現れる。
場所を変え、グレンとデモンナイトの戦いが繰り広げられる。
剣戟が繰り広げられている最中、またも背後からバッカスの攻撃。これを浴びて倒されるデモンナイトは装着が解けてしまう。
倒れている神野に向けてグレンソードを振りかぶろうとするグレンだが
目覚めたユカがグレンに駆け寄り、グレンを制止する。

大事な人たちを守る為、人を助けるのがヒーローなんだと以前翔太は言った。
だから私も戦う決心がついたのに、今の翔太は翔太じゃないとユカ。
今の自分に気づき、力が抜けたグレンが膝を付くとバッカスの攻撃がグレンへ。
装着が解除され、倒れてしまう。

そこへ駆けつけた真也が合流し、ユカとともに装着してバッカスと戦う二人。
澪の腕の中で翔太はつぶやく。憎しみだけで戦っていた自分を悔やんでいた。
その有様を見た澪は、自分の体の危険を顧みずシロガネの力でバッカスを倒さなくてはいけないと決意。


<強大な力>

やがて翔太も立ち上がり装着、ついにシロガネへ変化。
バッカスとの決戦は、圧倒的にシロガネ優位で進む。
ジャスティアームズによる斬撃であっけなくバッカスを葬り去るシロガネ。
炎に包まれ、カイザーハデス万歳と最期の声を上げて爆発。

戦後。
いつの間にか気絶していた翔太が目覚め、ユカたちに心配をかけさせないようにおどけてみせる。
そんな騒がしいやり取りの横でもう一人、倒れていた人物――――――澪がいた。
シロガネの力に頼らないようにするためにも、この戦いを早く終わらせなくてはならないと決意するジャスティライザーだが
まだカイザーハデスが残っていた。果たしてハデスの次なる一手は?


【レビュー】

ゼネラルバッカスとの最終決戦。
ストーリー上では重要な戦いとなる話のはずだが、驚くほどにアッサリと終わっている。
実際、バッカスの最後の戦いにしろユカへの不意打ちのような戦いで幕を開けるなど
バッカスそのものに着目した場合、正直地味を通り越してしょっぱいとしか言えない。

またここまで度々出てきた「シロガネへ変化することのリスク」については三人の間で
自らを鍛えることでシロガネを使わなくても戦うという空気も序盤にあったものの
結果的にバッカスをシロガネで倒してしまう点は安直感が否めない。
#三人ともに鍛えている成果か、翔太以外の二人は気絶しなくなっていた終盤に着目すると決して意味のない鍛錬というわけでもないのだが・・・。


今回はこんな大ネタではあるが、むしろ話の比重としては翔太とユカの距離が少し縮まったかのようなドラマに、
シロガネの力に頼らずに戦うことが難しいのなら、シロガネの力を使ってでも早く決着を付けるべきという結論のための回と言っても過言じゃないだろう。
後者は以前から出ていた話ではあるが、前回はシロガネの欠点(澪に多大なエネルギーの消耗を強いる)克服の手がかりを探る話だったにも関わらず
結局何も得られなかったことを考えれば、妥当な結論とも言える。

前者については、これまでの話の中でも度々出てきた翔太とユカの関係の話にまた少しの進歩が見られたところだ。
それは、装着の解けた神野に対して斬りかかろうとしたグレンへ言ったユカの言葉
(言葉自体は、実際初期回で翔太がユカに言ったことである)も大きなポイントだが
序盤の翔太のタオルをもぎ取るユカ、終盤倒れた翔太を膝枕して見守るユカなど
本当にじっくりと二人の関係を親密に描いている点が目を引く。

一応敵幹部でありながら、影の薄い退場をしてしまったゼネラルバッカスについてはご愁傷様としか言えない回であることに変わりはないのだが・・・。


【特撮の見どころ】

・なし

今回、カゲリとガントの装着バンクで気になった点がある。
いつものように画面二分割なのだが、従来と異なりカゲリの名乗り口上の後に、ガントのそれが加わっている。
それまでは二人一斉に名乗り口上をあげるだけに、ちょっとした演出上の進歩が見て取れる。
ただし次回以降も同じ演出に戻ったりしており、安定感がない。
本作の演出スタッフ間で意思疎通が出来てないのではと思わせる一部分である。