2015年3月21日土曜日

ジャスティライザー・第三十一話

第三十一話「戦慄!地球壊滅計画」

[カイザーハデス]

宇宙巨獣グラスター登場

監督:鹿島 勤    脚本:稲葉一広


<澪の思い、真也の澪への想い>

冒頭。伊達電器店では澪と真也の言い争いが行われていた。
ジャスティクリスタルを使ってカイザーハデスの居場所を見つけ出せないかと提案する澪だが
しかしそれはイコールで、澪も戦いに巻き込まれることを意味している。
そのため真也は激しく抵抗するのだが、自分もジャスティライザーと共に戦いたいと願う澪は
どうしても納得がいかないため、外に出て行った真也を追いかけさらに言い合う澪。
戦うための自分達三人は、地球を守るための戦いで手一杯だから
澪まで護って戦えるほど余裕はないと言い放つ真也だったが、
護ってもらいたくて言っているわけじゃない。苦しみも悲しみも「あなたと」乗り越えて行きたいと澪。
それが、私のもう一つの戦いだからとも。


ハデス戦艦内では、ドクターゾラとゼネラルバッカスの二大幹部を喪ったカイザーハデスによる作戦指揮が行われていた。

宇宙巨獣・グラスターとマグネシールダーを魔界谷へ一緒に降下させるが、このマグネシールダーは
先端から振動波を地球の中心部へ放射することで地盤を弱めさせる能力がある。
その後にソニッククラッシャーをジョイントさせ、強力な超時空振動波を送り込むことで地球全土および地球の中心核へダメージを及ばせる。
その結果―――――― 地球を破壊せしめんというのがカイザーハデスの作戦。
その最中、グレンとの決着を付ける猶予をデモンナイトに与えるハデスであった。

その二つの落下を察知するように、ジャスティクリスタルが輝く。
ジャスティライザーの三人が魔界谷へ向かおうとする。澪も付いていこうとするが真也に止められる。
真也と澪の関係をそれとなく察していたユカは、置いてけぼりを食った澪をなだめ、翔太と共に出て行く。


<魔界谷の激闘>

その魔界谷では、巨獣グラスターがジャスティライザーを見下ろしている。
ライゼロスを召還し乗り込もうとするが、グラスターが先に攻撃を仕掛けることでダイヴインを阻止。
ライゼロスは自動で戦うことを余儀なくされ、胸のディスクソーで立ち向かうのだが
グラスターが組み付いた時、ライゼロスが石化しだしてしまった。
その直後グラスターが自爆してしまう。 どうやらライゼロスそのものの足止めが目的の巨獣だったのだろう。

唖然とするジャスティライザーだが、その後にマグネシールダーの存在に気づく。
何かをたくらんでいるに違いないと睨んだ三人はその元へ行こうとするのだが
目の前にザコールの一団が現れ、さらにデモンナイトが登場する。

伊達電器店では、澪と麗香の押し問答。皆が澪を心配しているのだが
皆と同じように戦いたい澪の熱意に負けて、麗香も共に魔界谷へ赴く。
しかしザコールの群れに取り囲まれ、逃げ惑う麗香たちだがやがて麗香が倒れ、澪が取り囲まれてしまう。


その最中にグレンとデモンナイトの戦いが繰り広げられていた。
つばぜり合いの際、突如インローダーの中のクリスタルとデモンナイトの左腕のクリスタルが反応、
デモンナイトの脳内にあるヴィジョンが浮かんでくる。
やがてデモンナイトが悶えだし、空の彼方へ吹き飛ばされていってしまう。

ハデス戦艦では、吹き飛ばされたデモンナイトがハデスへ問詰めるも
その頭上に手をかざし黒いオーラを浴びせるハデス。
余計な事を思い出されては困ると言い出すハデスだが、デモンナイトは一体何者なのか?

そして戦後。ザコールたちを追い払った翔太達だが
今度は麗香の口から澪を攫われてしまったことを知る。

だから付いてくるなと言ったのに、そう悔しさを露にする真也だったが
翔太はむしろジャスティライザーと同じくらいか、それ以上に重い使命を与えられた澪だからこそ
ジャスティライザーと共に戦いたいと澪自身が願っているはず。
戦いたくないけど、戦わないと地球を滅ぼされるから、せめて三人だけじゃなく自分もそばにいて戦いに加わりたいんだと推察した翔太。

そんなジャスティライザー側の事情をよそに、カイザーハデスによる地球壊滅計画は
順調に進行しつつあったのである・・・。


【レビュー】

カイザーハデスとの最終決戦、その序章。
まず地球の地盤を緩め、その後に強大な振動波をぶつけることで地球のマントル(劇中では核)および地上を撃砕することで地球を破壊することがハデスの目論見である。
その中で巨獣・グラスターによってライゼロスを石化し戦力を封じるなど
ジャスティライザー側の行動力を殺ぐ戦術を取るなど、山場への盛り上がりも早くから作り出されている。

ドラマ面では二つ。
ひとつは今まででも繰り広げられていた澪と真也の関係性。ここではさらに澪が前に出ているのだが
それがアダとなって、今回ついにハデスに囚われてしまう。
実は恋愛感情的なものがあるのでは?というのは冒頭でユカが翔太との会話でほのめかしていたのだが
第二十話以降、この二人のバックボーンなどが語られる中で少しずつ親密さが増していた点を考えれば納得のいくところかもしれない。

一方、ヒーローものにありがちな「状況や人物を引っ掻き回すキャラ」的部分が若干見えていたのも
その二十話以降なのだが、放送当時はあまりそういった点で語られていなかったことが思い出される。
それは視聴者から見ても判るポイントとして、ジャスティクリスタルを持ってジャスティライザーへアドバイス、およびシロガネへの力の解放のキーパーソンとなっていた部分が
それまでの中でしっかり描かれていたからで、だからこそ物語上ではジャスティライザーと同等の重要人物として見做せる為にそうした否定意見が少なかったのだろう。

そしてもう一点のドラマ・・・ デモンナイトの本当の正体についてのドラマもここから色濃く出てくることになる。
ヴィジョンの中では、ハデスと思しき人物と切り結んでいたデモンナイト。
しかしそのデモンナイトは今、ハデスによって洗脳されているようでもある。
ここらへんがどう転ぶのか、興味を持てるポイントが地味に増えている部分も特徴の回だろう。

しかしやっと話が本格的に進んだといっていい回でもある。
何せここまでの約10話分(デモンナイト初登場回から数える)、ストーリー上ではむしろ停滞していたのだから。
その間、シロガネという存在とその扱いについて懊悩するジャスティライザーというドラマで進み過ぎてしまったのはいかんともしがたい。
ともかく、ようやくこれで本格的に地球破壊計画が進んでいくことになる。


【特撮の見どころ】

・魔界谷へ落下する隕石
・グラスター対ライゼロス

前者の隕石だが、生前川北紘一が「特撮魂」で触れていた「妖星ゴラス」のプロップがそのまま使われているようだ。
川北いわく「当時のものは作りがいいから、ちゃんと今でもつかえるんだ」と語っていたが
なるほどしっかりと燃え盛る隕石という風体で、アクセントとなっている。

後者はかなり短い。久しぶりに胸のディスクソーで戦うライゼロスだが
それがグラスターに当たってしばらくしてから石化していく様は中々見ごたえはある。
CGによる、完全に石化したライゼロスはもうちょっと質感があれば・・・とは思うが。