2015年3月22日日曜日

ジャスティライザー・第三十二話

第三十二話「激突!勇者VS戦士」

[カイザーハデス]

監督:鹿島 勤    脚本:稲葉一広


<ジャスティパワーは地球の力>

冒頭。ハデス戦艦内では前回捕らえられた澪がハデスと直接対面。
ジャスティクリスタルをもぎ取られ、中にこめられたジャスティパワーを吸収し始めるが
やがてジャスティパワーが反発、ハデスの手元からクリスタルが吹き飛ぶ。

澪は言う。ジャスティパワーは地球人の持つ正しい心にしか反応しないと。
ではジャスティライザーもろとも澪を始末することでその力を使えなくするまでと言い切るハデスに
たとえ自分が倒されてもジャスティパワーと地球の意思が必ずハデスを打ち砕く。
そう言い返す澪だったが、その後で山中の独房へ幽閉されてしまう。
その独房内では、神野と会話を交わす澪だが最中にジャスティクリスタルと神野の左腕のクリスタルとが反響しあい神野は頭を抱え込んでしまう。
しばらく後にザコールによって他の場所に澪が連れて行かれるが、神野はそれを見送る際に神妙な表情を浮かべる。

それを戦艦内で見ていたハデスは、不穏な一言をつぶやく。


病院。傷ついた麗香は病室で眠っている。
待合室では、マグネシールダーを自分達から離すための陽動作戦として澪を捕まえたのだろうと真也は分析。
そこで真也は単独で澪を助けに、翔太とユカにマグネシールダーを調査させるよう告げると一人で出て行ってしまう。
いつもと違い落ち着き払っている真也の様子を見て、源太郎はあれじゃ危ないかもしれないぞと翔太達につぶやく。


病院から出て行き、マグネシールダーの調査に出ようとした翔太たちだったのだが
真也一人に任せておけない。澪さんも自分達の仲間だしな、と翔太が翻意しユカと共に病院へ戻り
麗香に澪の居場所を聞き出す。
真也は既に、麗香を病院に連れて行く際に「竜王山」という呟きを聞いており、一人で急行していたのだが
場所は翔太たちにも知れるところとなる。 自分も連れて行くようにと言う麗香だが
傷ついた体で出てって何になるんだと、看病していた源太郎が制止する。
真也に次いで、竜王山へ急ぐ翔太とユカ。


<ソニッククラッシャー発射前>

ハデス戦艦へもどったデモンナイト。
なぜ澪を生かすのかと問うデモンナイトに対し、あれはジャスティライザーに対するオトリであり
本命であるマグネシールダーの防衛がお前の仕事、その中でグレンを倒すことだけに専念すればよいとハデスが命じる。
それを受け立ち去るデモンナイトだったが。
一方その澪は、連れ出された先で魔人像の中に入れられてしまう。この意図は一体?


竜王山では、先に澪が囚われているらしい壕に真也が来ている。
続いて翔太とユカが現れ、自分がオトリになって表のザコールをおびき寄せるから
真也が澪を助けるようにと提案。ユカのフォローもあってその提案に乗ることになる真也。
三人がそれぞれに装着し、早速グレンはザコールをおびき出すことに成功。
ガントが壕に入っていくと、次いでカゲリが外の残りのザコールを相手。
これで内部の守りのみとなった。

地球の大気圏外では、遂にソニッククラッシャーが射出。
それは謎の隕石飛来としてアメリカ国防省が発表。テレビニュースで伝わるところとなる。
伊達電器店ではニュースに慌てる健一と、翔太たちを案じてバックヤードでおにぎりを握り続ける源太郎の前に、病院を抜け出してきた麗香が現れる。
しかし怪我は治りきっていないため、結局ベッドで寝かせることに。


竜王山ではおびき出したザコールを倒しきったグレンの前にデモンナイトが現れる。
最後の戦いとばかりに斬りかかるデモンナイト。
その中で、魔人像の中に入れられた澪のことと、それを処刑するのはお前達ジャスティライザーだと不気味な発言をするデモンナイトだが・・・。

壕の中ではガントが、落とし穴に引っかかってしまい落下。
地下には魔人像が。 ガントを認めるやいなや光線を放つ。
デモンナイトの言う処刑とは、ガントが魔人像を破壊することで澪を殺すことにある。
魔人像に向けてバーサスカノンを放とうとする真也だったが
撃つのをためらっている内に、魔人像の中にいる澪と心の中で交信するガント。

ジャスティクリスタルが投影した映像には、魔人像の起動装置を動かすザコール。
それに気づいたガントが、装置を破壊することで魔人像を停止させることに成功し澪を救出する。

グレンとデモンナイトはなおも戦い続けるが、その最中異次元の中に二人入り込み・・・二人とも装着が解けてしまう。
その中で、殺しあうだけの力なんて悲しすぎると叫ぶ翔太と、その感傷的な部分が地球人の弱さだと一蹴する神野。
だがこの戦いを終わらせることがジャスティライザーの使命なんだと言う翔太。
そのバックには、地球の光を浴びる翔太と・・・神野のバックには緑の星が砕けていた。

やがて異次元から放り出される二人だが、その前にカイザーハデスが現れる。
神野を殺そうと切先を向けるハデス。しかしそこに澪たちも合流する。
光弾を放つハデスに、澪のクリスタルからシールドが張られるがこれは突き破られ、カゲリがダメージを負ってしまう。
続いて二発目を放つが、その時澪と神野のクリスタルが共鳴し、さらに強力なシールドが
張られ今度は防ぎきる。

それに狼狽したハデスだったが・・・
一方、ソニッククラッシャーは既に大気圏内に突入。最終決戦の行方やいかに?


【レビュー】

カイザーハデス最終決戦・前編。
澪はあくまでジャスティライザーの目を引くための囮で本命はあくまで地球破壊のためのマグネシールダーにある。
さらに澪をジャスティライザー自らに殺させるという策略を仕込むなど、クライマックスに向けての緊張感はピークに達する。

ドラマ面も、前回から引き続いて真也と澪、ハデスとデモンナイト、そして翔太と神野という三つの要素もさらにテンションがあがっていくが
とりわけハデスとデモンナイトの関係が完全に決裂。ジャスティライザーもろとも始末される対象となっていくが、次回以降にその真相が明らかとなる。

そして、ここまで本筋に大きく関わっていないものの源太郎の存在がアクセントとして作用しているところも見逃せない。
今回までの間にも、いつのまにか一人前として成長していった翔太たちに寂しさを覚えるカットや
健一には翔太たちがジャスティライザーとして戦っていることを教えなかったり
今回でも、麗香を制止したりバックヤードで炊き出しを作る等して
可能な限り「翔太が帰るべき伊達電器店の日常」を守りつつも、「ジャスティライザーのサポート」に徹する源太郎は
実のところ本作の人物ドラマ面に多大な貢献をしているといってもいいだろう。

ザコール戦でのグレンの殺陣も、集団VS1人という構図がスピーディーかつテンポよく仕上げられている一方で
アクロバティックな戦いを見せるなど、戦闘シーンもそれまでのモタモタ感が弱まっていて良い。
セットの大道具などでマイナスポイント(電飾が何故か途中で切れている、澪が連れ去られる時の壁面が揺れている)はあるものの、それを考慮しても中々見ごたえのある回である。


【特撮の見どころ】

・石化したライゼロス
・魔人像破壊の際の、マスク越しに見える真也の顔

前者は、前回でも見られたがライゼロスを中心に公転するカットがポイントか。

後者はそのままの映像だが、わりとガントのマスクと真也の顔の位置に違和感がない点が目を引いた。
本シリーズは、他社ではサラっと流すようなカットにさりげなく合成を仕込んだり
単に状況説明のためのカットでもちょっと凝った画にしてみたりするのだが
今回はそういう部分が比較的いい方向に作用した回だろう。

また、本作では特に多用される「引きの情景カットの中で、ジャスティライザーや敵が飛び交う」
という合成は今回も見られたが、これもしっかりと跳んでいるカゲリの影が岩などにかかっている点もあいかわらず細かい部分ではある。
もっとも今回はその影については、若干光源の考慮が甘かったりもするのだが。