2019年11月6日水曜日

レインボーマン・第十三話

第十三話 「レインボー大作戦」


<一大決意>

前回からの続き。

病院へ淑江を送った後、死ね死ね団アジトでもあるファッションショップ・ケイへ駆けるタケシ。
父からの手紙には、私はある場所で生きているが、この事件から手を引くように、と
まるで死ね死ね団の一味のような内容であった。
それを訝しがったタケシが、ケイへ向かって何かしらの情報を得ようとしたのだが。

ひょっとしたらミスターKの策略かもしれない。
そのような疑いも頭を掠めるが、ダッシュ1へ変化し裏口の排気口から蛇変化の術で入り込む。
アジトには誰も居なかったが、かわりにデスクの下に時限爆弾があった。
このまま爆発させては関係のない人まで巻き込んでしまう。

再び蛇変化の術で外に持ち出し、爆弾を投げ捨て爆破。
その一部始終を別のビルから監視していた団員により、タケシ爆殺失敗が報告される。
途中参加した女性隊員・キャシーにミスターKは一筋縄ではいかん相手だから用心せよと注意をうながす。
と同時に、これよりレインボー大作戦を実施する旨が告げられる。


レインボー大作戦。
それは、ヨガの眠りが約5時間あることを踏まえたレインボーマン抹殺作戦。
あらゆる手段によりレインボーマンの体力を奪い、ヨガの眠りに入らせさえすればアッサリ殺すことが可能である。
そこで直ちに戦闘機部隊・陸上部隊を編成するよう各幹部に指示するミスターK。


<一大ピンチ>

タケシの家では、たみがタケシと話をする。
ひょっとしたら死ね死ね団に追われているのか、悪くすれば捕まっているのではないか。
たみは心配する。 しかしきっと生きているはずだと言うのだが、
夫は行方不明で、タケシも死ね死ね団によって命が危険にさらされ続けている。
なんとか手を引くわけにはいかないのかね、としみじみつぶやく。

タケシは突如外に飛び出す。
そして苦悶する。
母や妹にもいえない自分の使命を、父は止めるのだろうか?いや止めない。
精一杯戦え、一億の命の為につくせ。 父ならそういうはずだとタケシは納得。
父の写真を破り捨てると、レインボーマンへ変化しダッシュ5となり、一路東京湾へと飛び立つのだった。

ここに、レインボー大作戦を実行する死ね死ね団との決戦が繰り広げられる。


全ての戦闘機を発進させ、まずはレインボーマンとの空中戦を繰り広げる。
戦闘機部隊の銃撃をかわし続けるダッシュ5。
ミスターKは空中戦を長引かせれば、飛ぶ分だけ体力を消耗するから続けさせるよう指示。

しかしこのままではラチがあかないレインボーマンは、まずは地上スレスレまで降下し一機墜落に成功。
続いて光線を浴びせ、もう一機撃墜するのだが、残り三機に囲まれてしまう。
ここに至って相手の作戦に気付くレインボーマンは、光線によって早期決着を狙うのだが
中々当たらない。

一方、地上ではメイジャーブルらによるレインボーマン追撃のための配置に成功。
あとはレインボーマンが下りてくるのを待つばかり。

ようやく二機撃墜したものの、エネルギーの損耗も激しい。
残り一機の追撃をなんとか避け、海の中へ逃げ込むほか無いとして海へ飛び込む。
そうしてやっと残り一機を撃破したが・・・。
変化が解け、海の中を泳ぐタケシは、体力がもはやなくなっていた。
母と妹を、海の中で呼ぶ。 淑江の声も聞こえる。
やがて、水没するタケシ。


<一大決戦>

メイジャーブル・メイジャーチルに檄を飛ばすミスターK。
仕留め損なえばお前達も処刑する、と退路を断たせてまでのレインボーマン抹殺作戦である。
海岸をしらみつぶしに探す団員達なのだが。

一方のタケシは、海中でヨガの眠りに入ってしまった。


ブル・チルの部隊はなおも捜索を続行するもまるで見つからない。
ミスターKは苛立ち怒鳴り散らす。
しかし、ある仮説がKの頭に浮かぶ。 まさか海中で眠っているのでは。
いやしかし、そんなわけはない。 と打ち消したところで、とうとうヨガの眠りが終わってしまう。

やがて海中で目覚めたタケシは、ダッシュ7へ変化し海中から飛び出す。
それを認めた団員達がマシンガンで応戦するも全く当たらず、砂浜での最終決戦へともつれ込む。
あっという間に全員倒したレインボーマンだったのだが。

後一歩のところまで追い詰めながらも失敗したブル達に、地獄へ行けと怒り心頭。
処刑を実行し全隊員を消滅させてしまったミスターK。


戦いは終わった。
父の忠告を無視して戦い、勝利したレインボーマン。
レインボーマン抹殺に失敗し、結果キャッツアイ作戦も潰えてしまったミスターK。
しかし彼は、次なる作戦を既に計画していたのだった。

レインボーマン対死ね死ね団の戦いは、第二ラウンドへと突入しようとしている。


【レビュー】

キャッツアイ作戦ラスト。
ここまで、残りのキャッツアイのことについて言及がなかったが、恐らく十一~十二話にて
アジト内でガス状キャッツアイとして使い果たしたのではないかと推察される。
つまり、残りのキャッツアイを用いてレインボーマンを完全に殺そうということだったのだろう。

前回ラストにてミスターKが気付いたレインボーマンの欠点・ヨガの眠りにチャンスを見出し
レインボーマンの消耗を狙うべく徹底的な攻撃を実施・体力が無くなりヨガの眠りに入ったところで
地上部隊によって殺害しようとするレインボー大作戦。
結果は本編のとおりなのだが、ヒーローの弱点を衝くという展開自体はよくあるパターンではあるものの
今回のようにジックリと攻めるパターンも案外珍しい。

キャッツアイ作戦が終わると同時に、タケシの父という新しいドラマのラインが提示される回でもあった。
このドラマラインは、第二部「M作戦編」で本格的に展開されることとなる。

キャッツアイ作戦編に関しては、淑江との恋人同士としてのドラマと家族とのドラマが、
レインボーマンであることを告げられずに孤独な戦いに邁進することとなるタケシを軸に進んでいく。
その一方、ストーリーとしては麻薬・キャッツアイによって日本人を狂い死にさせようとする死ね死ね団との戦いが描かれていくが、
同時にレインボーマン対策を進めていく死ね死ね団の柔軟な対応も無視は出来ない。

本作はストーリーラインがじっくりと展開されると同時に
いくつかのドラマも展開されていくという、ヒーローものとしてはかなり複雑な造りをしている。
これは、本作が一話完結の形を採らずに1クール分13話全てが連続しているからこそ可能なつくりであったし
本作の一つの到達点が第二部「M作戦編」にて訪れることとなる。


今回はさらに、死ね死ね団との戦いに邁進していくことになるタケシを案じるたみにも注目したい。
この後彼女は終始、タケシの身を案じ、タケシの戻ってこれる家を守っていくこととなる。
こうした精神的支柱として母が存在している作劇は、川内康範らしくもあるが
なにより日本人の精神構造を考えれば、中々にシックリ来るものがある。

#本作レビュー及び拙blogでは深く突っ込まないつもりだが、母性というものが今尚日本人にどれほど強く作用しているかは、
#日本人であれば無意識であっても何となく認識していることと思われる。
#本作では、日本人的な母性のポジティブな部分が強調されているのを認識しても良いだろう。


【特撮の見どころ】

・戦闘機部隊

特に三機になった戦闘機が、ダッシュ5を囲むカット。
ややスケール的には大きめに見えなくも無いが、モデルの造形の限界でもあろう。
とはいえ、可能な限り人間大のレインボーマンと戦闘機のスケールを合わせようとしているところは感心するところだ。

また、戦闘機から撃ち出される光線も中々綺麗で悪くない。