第九話 「タケシを狂わせろ」
<死の手前で>
前回ラストからの続き。
ダイアナは完全にタケシを殺せたと確信したものの、鉄骨をどかしてみれば団員のみが死んでいた。
訝しがるダイアナたちだが、タケシはとっさにダッシュ1に変化・蛇変化の術を用いて脱出に成功していたのだった。
ただちにタケシの捜索を指示。 堀田のいるガソリンスタンドへも張り込ませることになった。
堀田は、数日の間に100人近く死んでいることについて、タケシの言葉を思い出し
一人では任せられないと、知人である城西署の北村刑事へ連絡をとる。
そのタケシも、街中を移動中に死ね死ね団の探索に引っかかる。
車で尾行するのだが、なかなか殺害のチャンスを作れない。
やがてタケシはある喫茶店に入る。 その情報を受けダイアナ、ミッチーともに急行する。
死ね死ね団の女幹部四人が、タケシの席を囲むように座り拳銃を準備するが、殺害のタイミングがなかなか掴めない。
喫茶店内。 堀田と刑事・北村と落ち合うタケシ。
堀田からあらましを聞いていた北村は、現段階では動くことが出来ないと説明する。
更に続ける。
政治家や有名人などの特定の人間を殺すというならまだしも、一般の日本人を殺してもなんら利益に繋がらない。
暗に陰謀とするにはあまりに茫洋な目的過ぎて警察も動けないと言っているかのようだ。
<発見と発作>
一応下調べをするとは言うが、遺体の解剖をしてもなんら異状がない為警察も動きようがないと北村。
一方ダイアナは、警察の介入を気にしミスターKにこれからの指示を仰ぐ。
キャッツアイをなんとか飲ませておけば、気狂いの言うことなど誰も信用しないし殺せるしで一石二鳥である。
指示を受け、ダイアナたちがどうにかキャッツアイをタケシのジュースに溶かし込むことに成功。
とうとうタケシはキャッツアイを飲んでしまう。
喫茶店を出るタケシたち三人。
死ね死ね団も尾行を開始することになる。
北村にも見せたマッチ箱の店、ケイという店を探すつもりだとタケシは言うが。
そこには既にダイアナたちが居た。
店の奥にいるダイアナが女性隊員に、店の中に入ってきたらうまく追い払うよう指示。
軽く眩暈を覚えながらもタケシは、ケイという店を見つける。
北村、堀田を店の前に待たせ入り込むが、女性隊員が変装した店員とのやりとりにしどろもどろになり出て行ってしまう。
北村は、特に変わったところはなさそうだが一応マークはしておくと言い残し、堀田たちと別れる。
その直後・・・
タケシにキャッツアイの発作が起こり、道行く人々につっかかって行ったり
うわごとを言ったりと狂人の振舞いを呈するようになる。
やがてビルの屋上で飛び降りかけるところを、堀田に助けられるのだが
疲れすぎなのでは、と心配する堀田に、病院へ連れて行かれることに。
<精神病院>
病院へ連れて行かれ診断を受けるタケシ。
医師は、堀田だけを連れ出し「おそらくノイローゼだとは思うが、精神病院を紹介するからそこで診断を受けるように」と提案。
松尾精神病院への紹介状を貰い、一路向かうことになる。
隊員からの報告を受けたダイアナは、先に松尾精神病院の川島医師へ連絡を入れる。
ヤマトタケシという男がそちらに向かう、と。
その後ダイアナは不審がる。 キャッツアイの効果が出るのが遅いのでは、と。
特異体質なのか、それとも。
一方病院では、特別病棟へ連れて行かれるタケシ。
川島の診断の結果は、精神異常であり精密検査を要するとのことだったが。
その特別病棟では、牢屋のような部屋に幾人ものキャッツアイで狂わされた人々が居る。
既に到着していたダイアナは、川島と落ち合う。
タケシが完全に狂うのを見届けるためである。
その会話は、タケシには断片的に聞き取れていたようで、ダイアナはまだ完全に狂ってないじゃないかと叱責するのだが、
特別室での「処置」によって、完全に狂わせると宣言。
実際その処置が行われる・・・。
診断室で待っている堀田に、看護婦に変装したダイアナが
異常波が認められるため、精密検査に時間をかける必要があるので今晩一日泊めたい旨伝える。
翌日迎えに行くと堀田は告げ、帰っていく。
処置の最中、日本人一億人の命を救うために負けられないと念じるタケシ。
しかし非情な機械が、冷酷な目たちが、タケシが狂うのを見届けていたのである。
【レビュー】
タケシ殺害への策動回。
その方法も拳銃による暗殺からの変更で、キャッツアイによる狂い死にを企図したものである。
しかし念には念を入れ、精神病院で更に狂わせてしまおうという流れが描かれる。
ここまでジックリとヒーローを陥れようとする展開も中々珍しいものがある。
もっと言うと、今回レインボーマンに変化したのはダッシュ1としてのみである。しかもAパート序盤の数分であり、
ヒーロー物としてはこの回もかなり特異と言える。
ただ、本編の展開自体はかなり強引なきらいもあり、具体的にはダイアナ他が
不自然なくらいに次の行動に移るのが速すぎる、という点が引っかかる。
・序盤、タケシが逃げたことを受けて次のシーンでもうアジトに居るダイアナ。
・中盤、喫茶店に入り込んだ報告を受けて、次のシーンでもうその喫茶店にミッチーと共に居るダイアナ。
・喫茶店から出た後、すぐにアジトに戻っているダイアナ。
・精神病院で、看護婦に変装しているダイアナ。
この四点が、どうにも引っかかってしまう。
見ようによってはダイアナが全体的にフィーチャーされた回とも言えるのだが・・・。
#これをヒーローと敵の立ち位置を変えてしまえば、普通にヒーローものではありがちな本編展開なのだが。
#つまりこの回のタケシを敵、ダイアナをヒーローとして見ればわりと良くあるものではある。
細かく見てしまえばそのように疑問がないでもないのが今回ではある。
せめてミッチーとダイアナの二班体制で動かせば良かったようにも思えた。
【特撮の見どころ】
・なし
強いて言えば、ダッシュ1の蛇変化の術。
初見では中々インパクトのあった術である。
頭蓋骨大の穴さえあれば全身の骨を外して移動可能、ということで恐らく全身の筋肉のみで動いているのだろう。
それっぽい、じれったい動きをするダッシュ1の動きが宜しい。