2013年12月10日火曜日

グランセイザー・第四十五話

第四十五話「ボスキート最終決戦」
●<グランセイザー>弓道天馬、獅堂未加、獅堂剣、伝通院洸、雨宮涼子、秤谷仁、松坂直人、早乙女蘭、神谷豪、反町誠、魚住愛、三上辰平
○<関係者・ゲストなど>堀口一郎、沖田総一郎
★<敵>ボスキート


<ボスキート包囲網>

前回からの続き。
他の六人が合流し、十二人集まるグランセイザー。
ヴィジュエルが天馬に「超古代の戦争と全く同じ状況だ」と語る。
超古代人は、ボスキート対策の為に作り上げた超星神をそのボスキートに乗っ取られてしまったのだと言う。
となると、ウォフ・マナフの宇宙船に突っ込んだガルーダなどは、実際はボスキート操縦によるガルーダの攻撃ということになる。

ガルーダを取り返さなくてはならないが、どうしようもない天馬。そこで剣が
「ガルーダを倒して、ボスキートを追い出させればいい」と提案。
超星神は、自身へのダメージにより操縦者に危害が及びそうになると操縦者を強制排出する能力がある。
それを逆手にとって追い出そうというわけだ。

なおもユウヒとガルーダの戦いは続くが、ファイヤーバードスラッシュの連打により遂に倒されてしまう。
そこへガンシーサーとリヴァイアサンが現れ、戦いは二対一へもつれこむがコンビネーションでガルーダを倒す二体。
倒れたガルーダから飛び出したボスキートは、地面に大穴を空けて逃げてしまった。

戦いの後、蘭の口からボスキートへの対処と、グランセイザーの真実が語られる

ボスキートは徹底的に破壊しなくては何度でも蘇る。それを知っていたウォフ・マナフは
それゆえ地球に対して総攻撃を仕掛けたのだと言う。
グランセイザーの力を合わせれば、ボスキートを完全に倒すことも不可能ではない。
そしてグランセイザーは、ボスキートに対抗するべく作り上げられた戦士であり
ボスキートに似ている点はただの結果論であると博士が付け加える。
これでボスキートの子孫=地球人という説は否定されることとなった。

さらに、古代人はボスキートによって滅ぼされる前にクラウドドラゴンへ自らの遺伝子を残したと蘭が語る。

しかしひとつ謎が出てくる。 古代人はウォフ・マナフと交信できたようだがその方法が判らない。
もし方法さえ判れば直接ウォフ・マナフに真実を問質せるのではないかと言う豪。
また超古代戦争の時みたいに助けてもらえば?と軽く言う仁だが
地球のことは地球人で対処すべきだと天馬がそれを否定する。

そしてまだ残っている謎として、危険なボスキートをそれと知って何故ウォフ・マナフが復活させたのか。

全員が思案する中、機械音が鳴り響く。
博士がボスキートへ対抗するべく、カプセルのデータを参考に作り上げた装置からの音だった。
ボスキート探知機としての機能も有しており、どうやらそう遠くないところにボスキートが潜んでいることが判る。
しかし、これを使えるのはこの場に居るメンバーの中では博士のみ。
何故ならグランセイザーが使えばスーツに反応してしまい、前々回のミトラスのように
グランセイザーに何かしらの悪い影響を及ぼす可能性があるからだ。

そのボスキートは草木から生命エネルギーを吸収・徐々に生命力を回復しつつあった。
完全回復する前になんとしても叩いておかなくてはならない。
グランセイザー全員で手分けしてボスキートを探索することに。




<ボスキート最後の戦い>

蘭は自分の能力について思い悩んでいた。
水晶板から、超古代の記憶を呼び起こせる特殊能力。
このせいで過度のプレッシャーが蘭にかかっていたのだ。

そんな蘭に、グランセイザー全員は励ましの声をかける。
誰一人欠けても駄目なグランセイザー、皆大切な仲間だと各々が蘭を励ます。
やっとプレッシャーから少し開放されたのか、蘭の目から涙が見える。
天馬も、博士も互いに頷きあう。

しばらく後、誠が望遠鏡を覗き林の異常を確認。ボスキートが再び活力を取り戻したようだ。
装置をかざすと、やはりボスキートが近づいていることが判る。
だがボスキートは三体に分裂していた。
各トライブが分散して三手に分かれて戦うべきだと誠が提案。
それを受けて全員が三チーム、トライブを分散して挑むこととなった。

三体のうち二体はあっさり撃破、のこる一体も合同必殺技により大打撃を与えられたのだが
倒された二体から遺された紅いコアが、その一体へ集まり・・・
ボスキートはその姿を巨大化・怪獣へと変貌させてしまった。
タリアスたちのチームへ攻撃を浴びせる巨大ボスキート。
どうやら12人分のエネルギーが、巨大ボスキートへ集まってしまっているらしいと推察した博士は
エネルギーが集まっているコア…紅いコアを狙えとタリアスに指示する。

リオンから剣を受け取り、単身巨大ボスキートへ挑むタリアス。
それをレムルズたちが援護、そして胸のコアへ何度も剣を突き刺しダメージを与えることに成功するタリアス。
ついで首元へも攻撃を加えるが、電撃による抵抗を受けタリアスは地上へ落ちる。
その直後、ボスキートが羽を生やし空中から地上へ向けて攻撃を浴びせ窮地に立たされるグランセイザー。

そこで超星神を呼び出し、ダイセイザーへ合神。戦いは巨大戦へ移行した。
空を飛び回り攻撃の切欠を与えないボスキートに苦戦するダイセイザー。
地上戦ではレムルズトルネードのような技を巨大化しても放ち、圧倒され続ける。
さらにクロスボウナックルも放ちダメージを与え続け、ダイセイザーの腕を取り攻撃を封じるなど
戦いはボスキート優位に進んでいた。

地上の博士は、そのボスキートに対して装置をかざし、胸のコアへ光線を打ち込む。
その反動で吹き飛ばされる博士。
だが光線を浴びせたことでボスキートが弱ったようだ。
すかさず砲撃を食らわせ、ハイパーバーストによりトドメを指したダイセイザー。
光の粒となって消えたボスキート。 超古代からの因縁を、ここで断ち切ることに成功した。

倒れたテントの中から博士が出てきて、勝利を博士とともに分かちあうグランセイザー。
打ち上げでもやるか、と博士の提案に皆が大喜びする中
天馬は河原に咲いている花を見て、ルカに勝利を報告。
天馬を呼ぶみんなの声にこたえみんなの元に合流したのだった。



【レビュー】

ボスキートとの最終決戦。
遂に過去の因縁・・・超古代の地球を滅ぼした元凶との決着を見た。
しかし、その一方で危険な生物として認識しているはずのウォフ・マナフが何故ボスキートを現代に蘇らせたのか
そして古代人はどうやってウォフ・マナフと交信したのかという謎は残された。
#もっとも前者は、ある程度四十二・四十三話で推察できるのだが

なにより現代の地球人がボスキートの子孫であるという推察が否定されたことは天馬達の悩みも払拭するなど、ここまでの謎がこの回で決着を見ている。

ボスキート中心で進んだこの前後編だが、これまでの話を受けた描写が幾つか出てきており

・豪の先輩刑事、澤村からの連絡
・第三十二話で描写された「超古代の物質と反応することで、新しい情報が引き出されるようになる」という設定
・沖田が博士に対して、民間人に全面的に協力してもらうのは忍びないと語るシーン
・超星神は過度のダメージを受けると、操縦者を守るために操縦者の強制排出を行う設定
・ボスキート捜索時の、涼子と直人、仁のトリオ
(※今回のEDテーマ序盤の映像もこの三人に注目しても面白いかもしれない)
・蘭が沈んでいるシーンで、辰平が中々覚醒できない自分をネタにして周囲を和ませる部分
・ラスト、ルカが山小屋で咲かせた花と同じ花を見かける天馬

など、設定の部分や登場人物、それまで描かれた要素などをこの四十四・四十五話で再登場させ
モノによっては伏線としても取り込んでいるなど、それまで本作を見続けた視聴者なら
割と得心のいく描写が多いのが最大の特徴と言えよう。

この二話および三十八・三十九話を手がけた野添梨麻が脚本を手がけているのだが
終盤近くからの参加にしては自分が関わっていない話のネタを拾い上げ、なおかつメインの話(ボスキートとの決戦と、超古代戦争の真実)に活かされており
また、ここまでやや散漫な印象もあったストーリーを、この前後編で一気に引き締めにかかっているのを見るに
グランセイザーの隠れた功労者と言ってもいいのではなかろうか。
(ちなみに野添氏脚本回は、演出も鈴木健二氏が全て手がけており、相性のいいタッグのように思う)

この前後編は文句のない出来…と言いたいのだが、強いて苦言を呈するなら
ボスキートの存在はもう少し早い段階で提示されていたほうが、より話の説得力が生じていたんじゃないかと思う。
超古代戦争の真相がボスキートそのものに原因があるという話であれば
やはり観ている側としては第四部になって登場されるよりはせめて第二部あたりから存在が匂わされている方が
もう少し納得の行ったところではあったのだが。
もっとも、第四部はこのボスキートがキーパーソンのひとつともなっている為
最終決戦を前にした真相の解明という点においては非常に有効なキャラクターであることに違いはない。


【特撮の見どころ】

・草木の生体エネルギーを吸い尽くすボスキートと、その現象
・二段変形する巨大ボスキート
・空飛ぶ巨大ボスキート
・巨大ボスキートVSダイセイザー

一番上は、誠が望遠鏡で見つけた現象などが顕著だが
その前のシーンで、そこらに生えている雑草類からもエネルギーを吸い取っているボスキートと
それを俯瞰で判るようにCGによって変化させている点に注目。

巨大戦では、本作では珍しく人型(正確には半怪獣型?)のボスキートを吊り上げて空を飛ばしており
目からの光線でグランセイザーやダイセイザーを圧倒するシーンが描かれた。
地上での戦いも、カメラを横移動させて戦いに動きをもたらすなどそれまでも行われた画作りを今回も採用している。


さて、巨大戦で気になることがひとつ。
本作の巨大戦は、ユウヒやダイセイザーなどの重量級メカがしばしばダイロギアンや今回の巨大ボスキートなどに圧倒される光景が描かれており
かつて平成ゴジラシリーズにおいて「怪獣はプロレスをしないだろう」と言い切って光線主体の戦いを見せた川北紘一らしい現実感を覚えさせる。
つまり、鈍重な重量級メカは素早い動きを見せる同程度の全長のメカに圧倒されるのではないか。
こういう思想が本作の巨大戦に現れているように思える。

#ただし実際の格闘技などを見れば判るが、軽量級が重量級に勝てるかというとほぼ無理筋なので
#こういう演出はフィクションの手法として受け取るべきだろう。
#現に漫画やアニメでも、重量級のキャラがそれより小さいキャラに負ける図は珍しいことではない。