2013年12月22日日曜日

グランセイザー・第四十六話

第四十六話「終末の始まり」
●<グランセイザー>弓道天馬、獅堂未加、獅堂剣、伝通院洸、松坂直人、早乙女蘭、神谷豪、魚住愛
○<関係者・ゲストなど>堀口一郎、御園木篤司、沖田総一郎、アケロン人・ルビー
★<敵>ベルゼウス、ブライトン、アルゴウル


<調停者現る>

蘭の家にて。
睡眠中の蘭がなにかにうなされている。白装束の女性に問いかけられている夢を見ているようだ。
汗だらけになり起きる蘭。 どうやらここ最近同じ夢を見続けているそうだ。

国防省・統合参謀本部。
御園木と沖田が国防省の監視衛星から送られた映像を見ている。
月の軌道上にて、非常に大勢の宇宙船艦隊が観測されている。
正体不明の艦隊を前に思案する御園木たちの後ろに、スーツ姿の男が語りかける
それは、ウォフ・マナフの攻撃艦隊。 地球総攻撃作戦の為に派遣されたものだ、と。
彼は自らをブライトンと名乗り、地球を破滅から守るために派遣されたと言う。

自分の提案を受け入れれば、ウォフ・マナフの総攻撃を中止させることも可能と言う彼だが
御園木は降伏しろと言うのかと問質す。そこでブライトンは付け加えた。
ウォフ・マナフは連合組織であり、自分のような平和主義者も居る
争わずにすむ結論が導き出されるよう、最高会議に3日間の猶予をもらっており
その間にウォフ・マナフが提示した条件を満たせば攻撃は中止されると告げる。
その条件というのは・・・?


<再び現れるアケロン人>

国防省に呼び出された炎のトライブと洸、愛、そして蘭。
博士に呼び出された六人は、ブライトンや御園木の居る部屋に入り一人ずつブライトンの前に立たされる。
その際、ブライトンの手の中にある謎の球体によりスキャンされているのだが
蘭の番が回って来た時、屋外に蘭の夢に出てきた白装束の女性────名前はルビー、彼女が蘭の意識に直接語りかけてくる。
それを無視してブライトンが蘭へ球体をかざしたとき、球体から強い光が放たれた。
結果を見て不気味な笑みを浮かべるブライトン。彼の目的は何なのだろうか。

蘭以外のグランセイザーが追い出され、釈然としない顔で駐車場へ戻っていく。
その際、洸が白装束の女性・ルビーを見つけ追いかける。
アケロン人であろうと誰何する洸だが、ルビーは洸の問いかけを無視するように「お前ではないらしい」とつぶやき
次いで愛の前に立つもやはり違うといい、消え去る。
再び目の前に現れたアケロン人に苦い顔を浮かべた洸だが、彼女の目的もまた謎である。
洸は、蘭を狙おうとしているのではと怪しむのだが。


<蘭=ボスキート?>

いつもの研究室へ戻った五人。
洸は、さきほど出くわしたアケロン人について話をするが
国防省で検査していたブライトンもアケロン人と関係があるのでは?と炎のトライブが勘繰り、
蘭を救う為に急いで戻ろうとする。 そこへ沖田が現れるが・・・。

一方先ほどの部屋ではブライトンが蘭に、蘭自身がボスキートであることを告げた。
あの球体はボスキート探知機だという。
彼は言う。地球人は元来戦いを好まない気質だったのだが、蘭が好戦的な種族に変えてしまったのだと。
戦いの原因は、すべて蘭にあるとさえ言い切っている。

和平の条件はひとつ。 蘭の身柄をブライトンへ引き渡すこと。
蘭をウォフ・マナフ最高会議へ連行して、その上で対処を決めるということだが
ボスキートである蘭が居なくなれば地球へ攻撃する理由が無くなるとも言う。
この判定と申し出に疑問を隠せない博士と御園木に対して
たった一人のボスキートの命と引き換えに、地球への攻撃はなくなるのだとブライトンは言うのだが・・・。

蘭は自分がボスキートなのではないかと、自分自身を疑ってしまっている。
そんな自分がブライトンとともに最高会議に行けば地球は救われるのだろうとも言い出す。
自分に特別な能力・・・超古代の記憶を引き出せる能力、これのために蘭自身は悩んでいたのだが
今回はさらに自分がボスキートであるとまで言われてしまい、混乱をきたしている。
その能力は地球を救うための力だと博士が力説し、蘭を思いとどまらせるのだが・・・
直後、ルビーが再び蘭の意識へ交信。またも苦しむ蘭を見て博士は早く逃げ出すようにと勧める。

そのブライトンは御園木によって拘束されている。 地球時間であと2日と8時間少々。
それまでに結論を出すと御園木はブライトンに告げた。
個室の中に押し込められるブライトンの前に、ベルゼウスのホログラフィが現れる。
じきに連れて行くと言うブライトンに対してベルゼウスはすぐに蘭を殺せと命令。
「交信者」が目覚める前に確実に殺すのだと念押しして消えたベルゼウスだが
「交信者」とはどういう存在なのだろうか?
ブライトンは外に居る仲間・・・アルゴウルへ出番だと叫ぶ。


<逃げ出す蘭>

再び国防省敷地内。研究所から沖田と共に五人が戻るが今度は直人と豪も敷地で合流している。
急いで蘭を救い出そうとするのだが、洸はルビーの気配を察知し、一人だけ別の方向へ駆け出す。

博士とともに逃げ出そうとする蘭だが、そこへアルゴウルが立ちはだかり博士を気絶させる。
装着して戦おうとするのだが、ブライトンの言葉────自分がボスキートであるという言葉が頭をよぎり
装着を止めてしまう。
御園木が分隊を引き連れてアルゴウルから引き離そうとするが謎の衝撃波で一掃。
グランセイザーたちが直後に駆けつけたが、その目の前で蘭を捕まえて消え去ってしまった。
天馬と直人、豪はただちに蘭を追いかけるために装着し駆け出していく。

森林内。蘭を抱えて歩いているアルゴウルへ追いつく三人。
蘭を取り返すべく立ち向かうのだが衝撃波と強固なバリアーによって傷ひとつつけることも出来ないどころか
窮地に立たされてしまう三人。
その目の前で蘭の首を絞め、殺そうとするアルゴウルの背中に紫の光線が浴びせられる。
ルビーが助けたのだ。
駆けつけた洸がルビーへ問いかける。ウォフ・マナフの仲間なのかと。
ウォフ・マナフではあるが自分は奴ら・・・アルゴウルたちとは違うと言うルビーは
再びアルゴウルへ光線を放ち蘭を救い出す。

逃げ出す蘭を追いかけるルビーと、それを追う洸。
蘭が居なくなったことでひとまず撤退したアルゴウル。
何処かへ逃げ出していく蘭には、天馬たちの呼び声は聞こえているのか・・・。


【レビュー】
ここから最終回まで、ウォフ・マナフの地球総攻撃作戦が物語の大きな軸となって行く。
つまりはここまでの話が大詰めに差し掛かったいうことだ。
地球攻撃を指揮するベルゼウスは、前四話分から名前だけは登場しており
今回はホログラフィと言え初めて姿を現すこととなる。
その配下であり、最初は平和主義を標榜して御園木たちに近づいたブライトンと
戦闘を担当しているアルゴウルの三人が一気に現れ、ようやくここに来てウォフ・マナフの
地球攻撃勢力が前面に出てきたわけで、話が大きく動き出そうとしている回である。

それと同時にアケロン人・ルビーの存在がひとつのアクセントともなっている。
かつて風のトライブを騙してグランセイザーを内部から壊そうとしたカリンとのこともあり
洸たちは訝しがっているわけだが、彼女はそれを意に介さず
蘭だけを探し回っていたようであるが・・・まだこの時点では何故蘭に拘っているのか不明。

ここでの最大の焦点は「蘭=ボスキート」という新たなる謎だが
蘭自身が自分だけにある能力・・・超古代戦争の記憶を引き出せるという
ストーリー上もっとも重大な能力を持っていることに思い悩んでいることは前の四回でも描かれており
また、第三部でも断片的に(主に蘭個人回)描写されていたところに
追い討ちをかけるようにボスキートそのものであるといわれた蘭。
ボスキート自体の脅威は蘭も引き出した記憶で既に知っているわけで、
自分がそのボスキートと同一であるという宣告は受け入れがたいものであったろう。
そしてここからは、蘭もキーパーソンとして最終回まで関わっていくこととなる。

ストーリーの盛り上がりがここで出てくるが、蘭の葛藤などは恐らくここまでの10回分を見て居ないと
いまいち伝わりにくい部分はあるかもしれない。
また、洸が一方的にルビーが蘭を狙っていると考えるところもややおかしくみえてしまうが
グランセイザー側はほとんど状況が判らないまま御園木たちの指示に従って
ブライトンの検査につき合わされていたため、こうした点を考えずに評価するのは早計だろう。
つまりは、それまで自分達が経験した状況から判断していると言える。

もっとも、それはそれで御園木たちが説明しなさ過ぎると言えなくも無いが・・・。


【特撮の見どころ】

・月軌道上に展開されている地球総攻撃軍艦隊
・蘭に走る頭痛のエフェクト
・紅い球となって消えるアルゴウル

今回はVFX・CGのみ。
一番目はこの当時にしては中々綺麗なCGモデルであり、今見返すと太陽光のあたり具合の強さにより
質感が巧く出ているのは好印象。
二番目は二回繰り返されるが、一度目はフチにダイヤカット状の割れるエフェクトが入り
二度目はガラスが四角に割れたかのようなエフェクトとなっている。

超星神シリーズは全体的にVFXによるエフェクトが綺麗目な部類であり
鮮やかな発色と伴ったそれは、観る人によってはややギラギラした印象も与えそうではあるが
これはVFXを担当した会社(どうやらドリームプラネットジャパンだけではないようだが)のクセでもあろう。