2013年12月9日月曜日

グランセイザー・第四十三話

第四十三話「絶滅者ボスキート」
●<グランセイザー>弓道天馬、獅堂未加、獅堂剣、伝通院洸、雨宮涼子、秤谷仁
○<関係者・ゲストなど>堀口一郎
★<敵>ボスキート、マリウス星人・ルカ


<ボスキート対グランセイザー>

前回からの続き。
風のトライブとボスキートの小競り合いが続く中、ボスキートがおもむろにレムルズトルネードのような技を繰り出す。
やはり他のトライブの技も使えるようだ。
埒があかず、三人同時に装着し自分達がグランセイザーであることを見せ付ける。
しかしボスキートは取り合わず、なおも風のトライブと戦う。

山小屋。
一人きりで天馬が目覚める。
ルカは何処かへ去っていったようだ。

そして村ではなおもボスキートと戦う風のトライブ。
ヴェルソーイリュージョンでボスキートの動きを止めたヴェルソー。
それを橋の上で眺めるルカだが、ベルゼウスからの指示によりボスキートを開放してしまう。
再び動けるようになったボスキートは、ダイルを吹き飛ばしてしまった。
すかさず放ったレムルズのアイアンゲイルの一撃によってボスキートを倒したかのように見えたが・・・。

橋の上では、やや体力を失っているルカ。
それを見つけた未加と剣に捕まるが、天馬がそれを見つけて制止する。
ボスキートの攻撃で瀕死の重傷を受けた天馬を助ける一方で
そのボスキートを先ほど助けたルカ。
彼女の目的を問質そうとする天馬に答えられないまま、ルカは体力を使い果たしたのか気絶してしまう。




<ルカが語る「四億年前の地球とボスキート」>

山小屋。
だいぶ衰弱しているため、病院へ連れて行こうと提案する洸だがそれを拒むルカ。
そして、何故私を助けるのだと問う。私の知っている地球人はそんなことはしないはずだ、と。
ウォフ・マナフに間違った知識を植えつけられたんだと言う天馬。
自分達の知っていることは話すから、その代わりルカの知っていることも話してくれと話す。

場所は変わっていつもの研究室。
博士も交えて、ルカがボスキートについて語る。
ボスキート・・・四億年前の地球に生息していた、「地球人の子孫」であると。
それならばグランセイザーの技が全て使えるのも道理であろう。

しかし何故ウォフ・マナフがボスキートを復活させたのか?
ルカは答える。地球人を絶滅させるために。
たった一人しか居ないボスキートだが、他の人間の生命エネルギーを取り込むことで増殖すると言う。
放っておけば増殖の果てに人類全てを食い尽くすであろうと。

博士は、遺跡の洞窟にあったカプセル・・・天馬が手をかけたあの球体を持ち出し、
これがボスキートを封印したカプセルであるならば、また封印も出来るはずだと語り
その方法を調べ、解明できるまでは無理はするなと天馬に念を押す。

再び兜村へ赴いた炎のトライブ。
村中を探し回る三人。だが例の如くボスキートの姿は見えず。
天馬が登山道を通ると、登山客の服装が落ちているのを見かける。ボスキートに捕食されたのだ。
そこへ涼子から連絡が入る。 少し目をはなしたスキにルカが消えてしまった。
何かに怯えていたようだと言う涼子との連絡を終え、何処かへ駆け出す天馬。


<命の光・霧散>

山小屋。ルカが戻ってきていた。
ウォフ・マナフへ帰る事も出来ないルカは、自らを使い捨ての兵士であると言う。
天馬が「これからは自分自身の人生を生きればいい」と問いかけるが
ルカは逃げ出すように外へ飛び出していく。
川辺で立ち止まるルカに天馬は約束する。俺がウォフ・マナフの手先から守って見せる、と。
そして、この自然と動物達も守りたいとルカに語る。
ルカはそれを聞き、何かを決心したような表情を浮かべつつ右手のブレスレットを外し、川へ投げ捨てる。

研究室では遂に博士がカプセルの使い方を解明。
もうすぐ合流すると涼子が未加に連絡した次の瞬間、剣がボスキートに投げ飛ばされた。
急襲を受けた未加と剣は装着して立ち向かうことに。
しかしミトラスとリオンの二人がかりでもボスキートは軽くいなしてしまい
終いにはデ・ストームを放ち二人を流してしまった。

そこに駆けつけた天馬が装着し対峙。
その戦いの最中に博士達が駆けつけ、ボスキートへカプセルをかざし封印を試みるも照準が合わせられない。
ようやく合ったと思いスイッチを押すとミトラスに誤射してしまい、装着が解けてしまう。
再度カプセルを使おうとするも再起動に時間がかかるのか手間取る。

ボスキートが博士へ向かっていくところを、ヴェルソーが立ちはだかると同時にカプセルを受け取る。
次いでリオン、タリアスへとカプセルをリレーするが結局ボスキートの手に。
レムルズがボスキートへ攻撃を仕掛けようとした時、カプセルを盾にしたためカプセルが破壊されてしまった。

それを見てバーニングファルコンを撃つタリアスだったが、体の周りに風を起こしバーニングファルコンを逸らしてしまう。
木陰に隠れていたルカめがけて飛んでいくところを、タリアスが庇ってまたもや重傷を負う。
ルカがまた自分の生命エネルギーをタリアスに与え、三度立ち上がるタリアス。
今度はリオン、レムルズ、ヴェルソーとの合体必殺技により、ボスキートを撃破することに成功した。

戦後。ルカのもとに駆けつけた天馬だが既に息も絶え絶えのルカ。
地球の自然と生き物への言葉をつぶやいた後、彼女は光となって消え去ってしまう。
天馬は一人、夕暮れの空を見つめてルカに思いを馳せる。
未加が側に近寄り、もっと何かしてやれたんじゃないかなぁ、と天馬がつぶやく。

後日。ハイキング客が兜山登山口に立ち寄る。
その背後には・・・!


【レビュー】

ルカの口によって、ボスキートが四億年前の地球に生息していた生命体であること、
さらにボスキート自身の危険性が語られる。
人間の生命力を捕食し増殖するボスキートは、ウォフ・マナフにとっても脅威であるはずだが
どうやらベルゼウスはその習性を利用して、地球人を滅亡させようと目論んでいるようだ。
そして、ボスキートは地球人の祖先であるとルカの口から語られる。
と同時に今回はルカとの別離も描かれている。

しかし今回は、どうにも話のテンポがおかしい。場面転換というか、人物配置がおかしいように感じた。
具体的には後半の山小屋に現れたルカと天馬。
前半終り際に涼子からルカが消えたという連絡があったばかりなのに、もう山小屋にいたのはさておき
なぜ天馬がそこに駆けつけたのかが今一歩わからない。
(一応、前回の天馬が治療された際、ついでに咲いた花がひとつの伏線にはなっているのだが・・・)

そして後半、カプセルをめぐる小競り合いに至ってはレムルズやルカもごく普通に居たことと
カプセル破壊からバーニングファルコン誤爆→ルカによるタリアスへの生命力注入と
話の展開をただ並べているだけにしか見えないのが辛い。
注入後、すぐにタリアスたちが勢ぞろいして啖呵を切るカットも唐突過ぎる。
今回の後半は悪い意味で「勢いで人物を配置してしまっている」ように見える。
ルカをさっさと退場させてしまった意味もあったかどうかも疑問であり
どうも話の盛り上がりだけを重視した結果、ゴチャゴチャした展開になってしまった感が否めない。

しかし一方ではボスキートの脅威そのものは表現・提示できている回でもある。
つくづく描写のアンバランスさがこの回で露呈してしまったのは残念である。


【特撮の見どころ】

・レムルズトルネード
・ヴェルソーイリュージョンのような技で吹き飛ばされるダイル
・デ・ストーム
・四人の合体必殺技

今回もVFX,CGのみ。
吹き飛ばされたダイルは割合、悪くない吹き飛び方をしているように感じた。
前回も放たれたレムルズトルネードに、今回のヴェルソーイリュージョンと
風のトライブ固有の個人技が堪能できる回だ。
ただ、今回は技関連のVFXやCGばかりなために見どころとしてはちょっとバラエティに乏しい。

ひとつ気になった、というより前々から気になっている点として
本作は殺陣そのものが「七星闘神ガイファード」のそれと似通っているように思える。
アクションスタント担当の会社は本作とは違う会社のはずなのだが
どうも地味な攻防の部分でガイファードとの関連性を感じずにいられない。

相手のローキックを立膝で防いだり、逆にローキックを織り交ぜて攻め込んだり
ボディブローやフックを多用した格闘シーンなど、かなり細かくはあるが
やはりこうした部分でも東映の殺陣と東宝の殺陣で随分違いが見受けられるように思う。
東映は見栄え重視、東宝は現実感重視といえばいいのだろうか?
ただ、その一方で水面蹴りのような足払いのような大きな動きが見られる攻撃を大胆に取り入れるなど
東宝も東宝なりに見栄えは考えていることが伺える。

もっともこうした要素は、ジャスティライザー、セイザーXと経ていくにつれて薄れていくのだが。