2014年1月12日日曜日

グランセイザー・第四十八話

第四十八話「龍の記憶、天の意思」
●<グランセイザー>弓道天馬、獅堂未加、獅堂剣、伝通院洸、雨宮涼子、秤谷仁、松坂直人、早乙女蘭、神谷豪、反町誠、魚住愛、三上辰平
○<関係者・ゲストなど>堀口一郎、御園木篤司、沖田総一郎、アケロン人・ルビー、ロギア
★<敵>ベルゼウス、ブライトン、アルゴウル


<雲海の龍>

前回からの続き。
ルビーを担いでいる天馬たちと落ち合う未加。
天馬はルビーを国防省へ連れて行こうとしていた。
とりあえず未加の車に乗り込み、一路国防省へ。

トロイアスと戦っているドルクルスは、攻撃をたくみにかわすトロイアスに苦戦していた。
戦いが進むにつれて、じょじょに当てられるようにはなっているものの
トロイアスの反撃も激しく、戦闘はややトロイアス有利に傾いていた。
この戦いの現場には博士のいる大学が近くにあり、その状況を研究室の窓から眺めてつぶやいていた。
どうしたらこの戦いは終わるのか…。

ユウヒが援護に向かい、にわかにグランセイザー側に有利に立ったかと思いきや
トロイアスの雷撃によりドルクルスは倒されてしまう。
続いてユウヒも大破、分解してしまった。
ギャンズのグランビークルも大破し、辰平が重傷を負う中ようやくガルーダが合流する。
心をひとつにしなければ勝てないと叫ぶレムルズだが、ダイセイザーになるには他の超星神も居なくてはならず
そうこうしているうちにガルーダも撃墜してしまった。

グランセイザーの足並みが乱れている中、クラウドドラゴンとガントラスがトロイアスに立ちはだかり
トロイアスへ攻撃を浴びせ撃退した。
その一部始終を見つめ、ヒザを落とすブライトンであった。

突如として現れ、自分の意思で戦ったクラウドドラゴンとガントラス。彼等は何をグランセイザーに告げようとしているのか。


<調和>

国防省。ルビーと辰平の治療が行われている。
ルビーのほうは2、3日もすれば回復するという医者の言葉に安堵する蘭。

病室から離れ、辰平以外の11人がロビーで話し合う。
前回の蘭の行動について思うところのある面々と、蘭に同調した愛や豪たちの間で言い争われる。
戦い以外にもこの状況を解決する手段はないのか。 この一連の揉め事を見ていた天馬は思い悩む。
直人が「ウォフ・マナフに直訴でもするのか?」と言い出した時、天馬もそれに同意するが
しかしその方法が判らない。 一体どうすればウォフ・マナフに自分達の意思を告げることが出来るのか?
その時、博士が水晶板を持ち出して現れた。
水晶板は情報伝達装置という役割のほかに超古代の意志────宇宙の意思とも繋がっていると皆に語る。

辰平の病室へ全員が赴く。
水晶板を辰平の上に掲げ、他の全員が水晶板に手をかざした時
水晶板の中へ、12人全てが光となって吸い込まれていった。

12人が、クラウドドラゴンの中へ入り込んだ。
そして「クラウドドラゴンの電子頭脳に記憶された何者か」が、グランセイザーへ語りかける。

四億年前にボスキートに滅ぼされた超古代の人々は、その遺伝子をクラウドドラゴンの中に遺した。
それから四億年もの長い時間をかけ、地球に再び文明が根付き発展していった。
クラウドラゴンはその過程をずっと見守り続けていたのである。
しかし、過去と同じく宇宙規模の戦争が繰り返されつつある現代。
グランセイザーが覚醒し現代に蘇った時、ウォフ・マナフは地球人をボスキートの子孫だと疑いだし
今度はウォフ・マナフの手で地球を滅ぼそうと攻撃の準備を整えつつあった…。

どうすれば戦争は止められるのか。
それは既にグランセイザー12人が答えを導き出している。 
グランセイザーは、地球・宇宙の調和を保つために生まれたのだ。
そして、地球人を代表してグランセイザー12人が意思をウォフ・マナフに伝えるのだが
その役目を持った人物が、蘭。
12人が心をひとつにすれば、地球を救い宇宙の調和を取り戻すことは可能である。
────その言葉を聴いた次の瞬間、再び12人は病室へ戻ってきた。

博士が皆に、再び異星人が攻めてきたことを教える。
炎のトライブと洸以外の風のトライブはその異星人・アルゴウルと戦うために駆け出す。
アルゴウルの現れた現場では、国防省の隊員がなぎ倒されており
グランセイザーが駆けつけた頃にはほぼ全滅といっていい状態であった。
タリアスたち五人が対峙したが、その近くにはブライトンの姿が。
それをタリアスが追いかけ、残りの四人でアルゴウルへ必殺技を叩き込み倒すことに成功。

ブライトンを追い詰めたタリアス。 だがブライトンが突然土下座し
これまでのことは全てベルゼウスに騙されてやったことで、ボスキート探知機もウソだったのだと
タリアスに許しを乞いだした。
歩み寄ったとき、ブライトンの手から出た波動を浴びせられ倒されてしまうタリアス。
蘭の命の代わりにグランセイザーのリーダー格である天馬の命を奪おうとしていた。
そこに、ロギアが銃撃を浴びせブライトンを射殺。

天馬を助けたわけではなく、自分の復讐心の為にブライトンを殺したロギアに天馬は問う。
何のために戦うのか?
生きがい、と言えなくも無いと答えたロギアに、そんなことをして何が残るんだと言い返すが
あと二日しかないのにこんなことを言い合っている余裕があるのか?とロギアが言い放つ。

この戦いを終わらせるためには、命を落とそうが宇宙の平和を取り戻してみせる
そう叫ぶ天馬にロギアは不敵な笑みを浮かべ、立ち去る。

ウォフ・マナフによる宇宙総攻撃までのこり2日…。
それまでに、グランセイザーは戦う意思のないことを伝えることが出来るのだろうか?


【レビュー】

前回までのグランセイザー間の不協和音から一転し、「戦いを終わらせるために」グランセイザーの結束が固まる回。
超古代の遺伝子を積み込んだクラウドドラゴンが彼等12人に対して結束を呼びかけることで
ドラマ的には12人の結束がさらにわかりやすく描写されている。

その前のシーンにて、11人がウォフ・マナフの総攻撃を前に対処方法でもめていた言い合いの中で出てきた
「ウォフ・マナフへ直訴して、戦いをやめさせるように言えばいいのか?」というくだりがこの団結へ向けてのキーポイントとなっており
更に、一番強硬派と思われがちな天馬自身から出た言葉によって全員が「戦いを止めたい」という意見に固まりつつあったのも
何気にドラマの上では大きな一因ともなっている。

蘭自身もここにきてようやく落ち着きを取り戻し、改めて自分自身のなすべきこと…
ウォフ・マナフへ自分達の意思を伝える役目を自覚し、これにより12人が改めてチームワークを取り戻すのもわかり易い。

一方で、ロギアは復讐心のためだけに戦いを続ける意思を崩しておらず
彼と天馬の問答も結末に向けてのワンポイントとなっていると言っていいだろう。

ただ、ストーリーやドラマの盛り上がりに反して映像面は少し物足りなさというか
前回以上に手抜き感を覚えてしまうのが残念ではあった。
特に、アルゴウルへ必殺技を浴びせるシーンは久しぶりに絶句してしまった。
上手に四人の攻撃を順に喰らうリアクションを取っているアルゴウルを配置して、彼を軸に
カメラを横回転させて四人の必殺技を浴びせるというシーンなのだが
アルゴウルが上手で蠢いているだけにしか見えず、どうにもダラダラした印象が強い。
演出意図自体は判らなくもないのだが…。

戦闘シーンで絶句というのは、第八話の棒を使って回転キックを浴びせた未加以来だろうか。

東宝的な画作りの、欠点といえる部分がストレートに出てしまったシーンである。


【特撮の見どころ】

・次々と撃退される超星神とグランビークル
・破砕されるユウヒ
・久しぶりに戦うガントラスとクラウドドラゴン
・水晶板へ吸い込まれていく12人

前半パートは巨大戦主体。それゆえ特撮的には見応えもある。
軽快なフットワークや身のこなしで光線をかわすトロイアスが印象的である。
転がってまで回避するほどにその運動能力は高いのだが
攻撃力も相当のもので、ドルクルスやガルーダを中破、果てはユウヒを再起不能にまで陥れたのだが…
そのユウヒの破砕シーン、背景では黒煙がたちこめている情景なのに
その煙がどう見ても静止画なのである。
2カットほど使ってユウヒが破砕していく過程を見せており
事実そのCGモデルは中々見応えがあるのだが背景が静止画になっていたせいか
どうにも「書割背景」感が強すぎたのが残念なところだ。
その煙の発生個所ももっと多ければ、かつ近隣でも煙を吹いている最中の建物などがあれば良かったのだが。
遠い距離のものだけが煙を吹いている画なせいで、上記感想を抱いてしまうのは辛い。



水晶板に吸い込まれていくシーンや、クラウドドラゴン内での「声」との会話シーンでの合成はわりと丁寧なだけに
肝心な部分でしょうもないミスを犯しているのはフォローできないところだ。
(前回の踏み潰される1BOXもそうだが)