2013年9月23日月曜日

<振り返りレビュー グランセイザー第二部・インパクター編>


【ついに出揃う12人のグランセイザー】

第二部でようやく水のトライブが揃う。 全員が覚醒し、さらに超星神も四体揃うのだが
そこまで実に15話。第二部開始から考えたら僅か3話だが、かなり速く集結してしまった感じすらある。

その水のトライブだが、誠を中心として彼等独自で固まっているようで、
当初は主に天馬と対立して、あくまで自分達だけでインパクターに対抗しようという気持ちも見られた。
そうした意識が仇となり、二十話では自分達の焦りから来るミスでロギアを逃すという失態も犯す。
結果的には天馬が一喝したことで何処となく打ち解けるようになってはいくが
この「自分達だけで何とかしようとするトライブと、それをいさめる天馬」という図式は
第一部にて合流して間もなかった風のトライブとの関係とダブるところはある。

第一部振り返りレビューで書いたが、「ヒーローとしての自覚」という意味では三組中風のトライブが一番高かった。
第二部ではやや形が異なるものの、意識自体は水のトライブも負けず劣らず高かった。
ただ風のトライブとの最大の違いは「以前騙されていた自分達が、グランセイザーとして認めてもらえるかどうか」
というある種メンツに関わる部分も働いていたため、観てる側にも若干緊張感もあったが
水のトライブの場合はただ漠然と他のトライブとはあまり関わろうとしていなかったようにしか感じられなかった。
それは誠特有の性質なのだろうが、この作品は誠に限らずキャラクターの内面を掘り下げていくような
作風ではない為、結果的にはただの反抗のように感じられたのはマイナスポイントだろう。


【インパクターの人間模様】

一方でロギアを中心としたラディア、ルシアの三人によるインパクター星からの
地球滅亡計画実行部隊にはキャラクタードラマが幾つも展開されており
ロギアに嫉妬し、ルシアに気があるようなラディアに
ロギアに対して部下と上司とは違う感情を持っているようなルシア
そしてそんな二人のことを友人としながらも、あくまで上司と部下という立場を崩さなかったロギア…
二人が倒され、またウォフ・マナフから任務を解かれ何も残されなかったロギアが
自分の意思ひとつでグランセイザー…天馬と一騎討ちを演じ、最期は自爆で終わる。
最初は天馬もろとも死ぬつもりが、最後に自分のプライドを守る方向へ心が動いたのか
結局自分だけで死んでいった姿に美学を感じる。

こうもインパクター側の描写が濃い一方で、グランセイザー側の描写が若干薄味なのが
ますます浮き彫りになったようなシリーズとなっているのは皮肉な話である。
そのあたりは次のシリーズで若干フォローがなされていくわけだが。


【アケロン人との比較・地球滅亡作戦】

第一部のアケロン人は、グランセイザー同士の潰しあいを画策していたが
(カリンが劇中明らかにしていないものの)恐らくはグランセイザーが倒れてから自分達で地球を滅亡させるつもりだったのかもしれない。
一方今回のインパクター星人は、最初から自ら手を下して超星神を破壊・グランセイザー抹殺に動いている一方で
上司のロギアはガントラスを奪い、太陽に突っ込ませることで爆発を起こし太陽系を壊滅させようという
二段構えの作戦を執っている。
こういう二面作戦を執る敵役というのは、アケロン人との差別化であると同時に
ストーリー的にもただのヒーローVS敵という構図の中に若干ながら変化が加わって良い。
また、ガントラスを奪うまでのロギアは和久井博士の部下として常に帯同しており
グランセイザーの動向をある程度は監視できる立場に居た点も特徴だろうか。

惜しむらくはそのインパクター星人自体が少ないことだろう。
一応数の不足を、今回から登場したギグファイターが補ってはいるのだが
ラディア、ルシア以外にももう一人居たほうがグランセイザーとの戦いにバリエーションが増えたのではないかと。

さらにラディア、ルシアと違いロギアに巨大化能力が備わっていないというのは若干引っかかりを覚えなくも無い。
色々な都合がロギアにはあったとはいえ、少々設定の齟齬が見られるのは疑問が残った。
ただし、ダイロギアンに乗り込んだロギアは「神経を直結させているのでは?」という堀口博士のフォローが入っていたように
スタッフ側でも若干設定の相違を埋めようとする努力の跡が見受けられる。


【特撮的な見どころ】

CGやVFXについては第一部と比べると、さほど無理のある映像は減ったように思える。
もっともゴルビオン初登場&初必殺技時の映像はちょっといただけないが…

一方、巨大特撮・・・ つまりアナログ特撮の部分においては
第一部がわりとシチュエーション豊富だったのに対して、第二部では若干その幅が狭まってしまった。
ちょっと水辺というか、海に関係する場所での戦闘が多いかな?
少し肩透かしだったのが第十五話で、案外決着が早かったのが惜しまれる。
ラディアの武器をミキサーの如く切り裂いてしまう映像は良いんだけど…

個人的には二十二・二十四話が良いと思う。 次いで十八・十九話もいいんじゃないかなと。


【ウォフ・マナフ】

宇宙的組織であるこのウォフ・マナフ。
インパクター星人を裏で操っているわけだが、彼等の存在は第三部においては実はそれほど色濃く現れていない。
せいぜい「色んな星からグランセイザー抹殺のための刺客を送り込んでいる」程度でしかない。
だが彼等が地球を敵視し、壊滅せんと企んでいる訳は何処にあるのだろうか?
また、劇中幾度となく出てきた古代戦争とも何か関わっているだろうが、
過去に地球とウォフ・マナフの間になにがあったのか?
そうした謎が残されたたまま、第三クールへともつれ込んでいく…

そしてグランセイザーに目を向けると、
突如蘭だけが、何かの声を聞き取れるようになったのだが
これがダイセイザーの登場と何か密接な関係もあるのだろう。
グランセイザー側にも、ちょっとした謎が現れたのもこの第二部である。