2015年8月27日木曜日

セイザーX・第二十六話

第二十六話「レミーの涙、G2の心」

[ネオデスカル:ガレイド]

 演出:舞原賢三    脚本:河田秀二


<グローザの置き土産>

冒頭。ガレイド艦内では未来からの通信でネオデスカルの大艦隊が襲来準備・コスモカプセルを12個集めなければ「声の主」自らがガレイドを始末すると通告。
ガレイドはうなだれてその声を聞くのみであった。

その通信を傍受していたジャッカルとブレアード。
もしネオデスカル全部隊が襲来すればシャークといえどひとたまりもないなとジャッカル。
未だにシャークにこだわりつづけるジャッカルの真意が判らないブレアード。
ネオデスカルを裏切ったシャークを許さないと言うジャッカルだったが、実はジャッカル自身を裏切ったことが許せないんじゃないのか?とブレアード。
憮然とした表情で顔を背けるジャッカル。


ライオキャリアー内では、カプセイザーG2のスペックアップを行うレミー。
拓人は戦わずに済むかもしれないよな?と一同に問いかけるのだが、そんな拓人をG2は
「雷将軍の影響を受けている」と言っているとレミーが通訳する。

このカプセイザーG2、レミーが生みの親であり、G2の名前の由来はガイ・バスター二世とケインが説明する。
ガイ・バスターというのはシャークの本名。 つまりシャークはコードネームである。
アドがイーグル、ケインがビートルと言うように。

一方シャークベースでは、宗二郎の通信を深刻な顔で聞くシャーク。
何かを作らせていたようだが、あと24時間は最終チェックに時間がかかるという。


そしてガレイド艦内。 アクアルとサイクリードが、グローザのよく入り込んだ場所に立ち入っていた。
ガレイドを倒す為の何かしらの秘密兵器を探っていたようだが、直後にガレイドも同じ目的で入ってくる。
もっともガレイドはセイザーX打倒の秘密兵器を探しに入り込んだのだが・・・ すると、コスモカプセルのようなものを発見する。
マンタの画が描かれたそれは、偽者のコスモカプセルだった。


直後、ライオキャリアーでコスモカプセル反応を検知。
発信源へ向かうとそこに本物のコスモカプセル。 芸がねぇなと拓人がこぼしつつも三人が装着してカプセル奪取に向かった。
護衛はデスメードのみ。 楽勝かと思われたが、混戦の中デスメードはガレイドの持っていた偽カプセルへ差し替えてしまう。
それに気づかず、ライオがすぐさまカプセルを手に入れてしまう。  あっさりしすぎだと警戒するイーグルだったが
直後にガレイドが登場、セイザーXの三人へ牙を剥いた。


崖の上で見守っていたシャークが加勢しようとするが、背後からジャッカル。
そして二人の戦いもここに始まった。


<レミーの涙>

セイザーXとガレイドの戦いは続く。
最中に偽カプセルを落としてしまうライオだが、そのカプセルを自発的に転送するG2。
今までに無い行動に驚くセイザーXだが、体内に収納した直後G2に異変が。
不敵な笑みを浮かべるガレイドに、ライオがライオン1転送を指示するのだが
レミーからの通信で、G2が突如動かなくなったことが伝えられた。
火花を上げてショートするG2。 

偽カプセルには接触したマシンを停止させる仕組みがこめられていた。
宗二郎が艦内で修理しようとするが、コンピューターウイルスみたいなものでCPUが侵されていると判断。
必死に抵抗しているG2に対して自分の手には負えないとサジを投げる。

グローザは、以前グレートライオに侵入した際にこの仕掛けを思いついたのだろう。


セイザーXとガレイド、シャークとジャッカル。
戦い続けなければならない運命なのか・・・。 ブレアードがつぶやく。


イーグルが状況打破のために、レミーにG2を連れてこいと指示。
何をするのかとライオたちが見つめると、イーグルブラスターをG2に向け出す。
しかし、ウイルスに侵されているだけで今必死にたたかっているのだからなんとかもちこたえて欲しいとイーグルの提案を拒否するレミー。
仕方なく、セイザーXは再度ガレイドへ挑むことになる。 時間稼ぎのうちにG2は復活できるのだろうか?

しかし。
やはりなぎ倒されていく一方のセイザーX。コスモカプセルぬきでは太刀打ちできないのだろうか?
レミーがG2に願う。 このままじゃ皆倒されてしまう。
だから目を覚まして・・・   レミーの目から涙がこぼれ、G2へ落ちた。

やがてガレイドがレミーとG2に向き直る。
グローザの調査で聞いていたG2を、手中に収めればコスモカプセルは全て手に入ると豪語。
レミーへ槍を向け、投げつけた。 なすすべなく倒れこんだままのセイザーX。
ジャッカルと戦闘中で気づいていないシャーク。 レミー絶体絶命。
すると――――――


<G2の心>

レミーの眼前で槍が止まった。
そして、槍が突如消えては向きをかえてガレイドへ放たれていく。
不思議がるレミーだが、背後のG2がなんと復活していた。
G2の転送機能を活用しての難関突破であった。


一方、シャークとジャッカルの戦いもいよいよ終わりを告げつつあった。
生身となって戦おうとするジャッカル。同じくこれ以上やるなら容赦しないと立ち上がるシャーク。
そんな二人にブレアードが割り込む。
ブレアードがシャークへ叫ぶ。    
ネオデスカルを裏切ったとき、何故コールドスリープしていたジャッカルを一緒に連れて行かなかったのか。

それをすればジャッカルも裏切り者となってしまうから、連れて行けなかったとシャーク。
うろたえるジャッカル。 やっぱり理由はあったんだな、とブレアードが言うのだがそれを無視して
俺にはコレしかないんだ!と叫んでシャークへ突進・一撃を浴びせようとする。
シャークもまた迎撃する。   その結果は――――――――――――


そしてセイザーXも立ち上がり、いよいよコスモカプセルによる必殺技をガレイドに叩き込むことに。
三人がガレイドを取り囲み、各々の必殺技をガレイドへ放つ。
回転しながら防御したガレイドだが、それでもダメージは通ってしまった。
退却するガレイド。
勝利を喜び分かち合うセイザーXとレミーだった。


夕暮れ時・・・
もう一つの戦いが、静かに終わっていた。
ジャッカルを背負い歩くブレアード。 ジャッカルの左手からドッグタグが落ち、拾い上げると
シャークの名前が入ったネオデスカルの紋章が刻まれていた。
大ダメージを負ったジャッカルの顔を見るブレアード。 その心境やいかに。

ガレイドも艦内に戻り、最後の戦いに向けて闘志を燃やしなおすのだが
背後のドアにはアクアルとサイクリード。 グローザの部屋から持ち出した武器を向けつつあった。


そして、シャークベース内では・・・
トビーからの通信で、ネオデスカルの大艦隊がワームホールへ突入しつつあることが伝えられる。
Xデイまで1日を切った。
果たしてセイザーXとネオデスカル、未来を「守る」のはどちらだ!?


【レビュー】

今回は2ラインのドラマが進行していたためわかりにくい面があるが一応紹介すると
一つはG2がらみのガレイドによる作戦と、レミー。
そして、因縁の対決と言えるシャークとジャッカルの戦いがクライマックスに差し迫っての前哨戦。

前者についてはちょっと微妙な点があるというか、ややベタ過ぎるかなというのが率直な感想。
レミーの涙で復活するG2、そしてレミーがG2の生みの親というのを思い返すと
過去にもそういう作品があったなぁ・・・というのは感じた。
#具体的には東映作品の「特捜ロボ ジャンパーソン」。 あっちは確かキスだった記憶。
#仮にジャンパーソンの印象がないとしても、いまいち地味というかベタな展開かなーと。
#なお、涙があたって云々というネタ自体はグランセイザーでも行われている。
とはいえ、G2にスポットライトを当てた回ということで特筆できる回とも言える。

後者についてはこれが一番の大ネタな気がする。
気がするのだが前者と平行したせいもあってかイマイチ感慨が薄いように感じた。
劇中でシャークが、ジャッカルも連れて行くと同じ裏切り者となってしまうから連れて行けなかったと告白したあたりはさておいても
やっぱり俺にはこれしかない!と切りかかっていったジャッカルだが、あまりに早い戦いの結末であったとしか思えなかった。
そして次回に決着は持ち越されることに。


ネタだけ見ると「過去の因縁のあるもの同士の決着」「ボスとの決戦」「重要アイテム保管ユニットの破壊」がある。
なんだか他社作品ならそれぞれ独立した話が作れたんじゃないかなぁ、という気はしたが・・・。
本作のみ三クールということもあるため、どうも展開を詰め込み気味な面は否めない。

総評でも触れるつもりだが、本作は1話につき2、3個くらいのドラマのラインを最後まで平行して動かす傾向があり
これはこれで独特でいいのだが、やっぱりウルトラやライダー、戦隊と比べるとゴチャゴチャして判りにくい感じも受ける。
大人の評価は高い本作だが、このへんについてはどう思っているのだろうか、正直判らない。


そして一番気になるのは、大ネタを投入している割にはイマイチ消化不良の感のある回だったということ。
# 次回へのタメと考えれば・・・ とは思うのだが、しかしロケーションの地味さが足を引っ張っている。
これも上記のように、ドラマを2ライン並行させていたせいでもあろうか?
とは思ったが、本シリーズは伝統的に他社でやれば間違いなく盛り上がるネタがかなり平凡なまま終わってしまう傾向がある。
セイザーXに至るまで直らなかった問題のひとつではあった。


前回のレビューでも述べた「戦隊みたいにポーズをつけての名乗り」は今回見られる。
そして今回に関しては監督が舞原監督だからなのか、なんだか戦隊シリーズっぽさを覚えたロケーションでもあった。
ある種郷愁を覚えずには居られない場所での戦いだったのだが、戦隊と違って火薬やガソリンを使って爆発させているわけじゃないので
そういう面を期待すると肩透かしを食うだろう。 だいぶ地味な画の戦いばかりになっている点は注意だ。
一応演出では可能な限りカメラを動かすなどで印象を変える努力は見られるが・・・。
#本シリーズは巨大戦以外で、火薬やガソリンを使った爆発で敵を倒す描写をすることは稀。 というかほぼ無い。


また今回、グローザの部屋で物色中のアクアルたちのシーンだが
グランセイザーに出てきたオメガが1カット分登場していることに気づいたファンは居るだろうか。
セイザーXはところどころにグランセイザーのネタが散りばめられており、現場側でも
割と愛着のあった作品だったことが伺えるところだ。
前々回、サイクリードがアクアルに渡した銃についても「宇宙商人から手に入れた」としていたが
これもガダル星人なのだろうか?とニヤっとさせられる。


【特撮の見どころ】

・G2誕生シーン

CG合成のみ。
まあ今回はヒーローたちの戦闘主体なのでしょうがない。