2015年8月28日金曜日

セイザーX・第二十七話

第二十七話「Xデー・戦いの果て」

[ネオデスカル:ガレイド]

 演出:舞原賢三    脚本:河田秀二


<決戦・未来のために>

トビーの通信により、ネオデスカルの大艦隊がワームホールを突破しつつあることが伝えられた。
そして2500年の宇宙空間では、まさにネオデスカル旗艦が艦隊を率いてワームホールへ突入しようとしていた。
トビーは2500年においては副艦長。つまりシャークの部下。
対ネオデスカル連合艦隊の、シャークの居ない現在における最高指揮官とも言える彼。

彼はあるスイッチのロックを解除する。
それは、ワームホール発生装置の自爆スイッチ。
しかしワームホールを消滅させれば援軍は二度と送れなくなる。
躊躇うトビーに対してアドが、構わず破壊しろ。 シャーク隊長が指示したはずだと言う。
しばしの懊悩。    だがネオデスカル艦隊が近い。
戸惑いを振り切るようにワームホール自爆スイッチを押すトビー。

消失しつつあったワームホールだったのだが、そこへ紅い巨大な戦艦が一隻入り込んだ。
トビーたちが追撃するも間一髪でワームホールは消失。 戦艦も消えた。
2005年へ唯一一隻もぐりこませたことをシャークたちに詫びるトビー。
アドは、未来は俺たちが必ず守るから安心しろと返した。


ガレイド艦では、再びグローザの部屋にてガレイドが物色中。
やがて、あるケースを発見し開いてみると・・・?
高笑いを浮かべるガレイド。 その正体やいかに。

地上ではブレアードとジャッカルが野営中。
ジャッカルの脳裏には、ドッグタグをコールドスリープ中の自分のカプセル上に置いて去ったシャークが思い浮かばれた。
死ぬまで戦うつもりなのか?とブレアード。
しかしそれに答えず同じ内容の反問をするジャッカル。

ブレアードは迷っていた。 この世界で戦う以外にも色々いいモノを見てしまった故に
自分が何をしたいのかが判らなくなったと返す。
お気の毒にな、と答えるジャッカル。


<ある戦いの終わり>

シャークベース内。 いよいよ決戦の日。
ワームホールを抜けた艦は異空間へ呑まれた可能性は高いが、仮にすり抜けたら・・・。
シャークの言葉に拓人は、覚悟は出来ていると返す。
そして宗二郎も急いで最終チェックを終わらせようとしていた。

そして市街地。
ガレイド艦がミサイルやビームを街に放ち破壊活動を開始。
セイザーXをおびき寄せるつもりのようだ。 用心するよう各艦に促すシャーク。
航行中のシャークベースが、ジャッカルの頭上を飛来。
直ちにジャッカルもドリルアングラーへ向かう。


セイザーXの艦隊がガレイド艦へ近づく。
ガレイドが、グローザの部屋から持ち出した装置をマニュアルを眺めつつ操作すると、
突如戦艦が変形。 ガレオキングに変形した。
グレートライオに合神して立ち向かうライオ。

シャークベースの側面を、ドリルアングラーが吶喊。
こちらも互いに変形して戦闘に雪崩れ込む。
しかし傷の深いジャッカルは、それまでとは違い余裕のない中での戦いを強いられていた。
ソードプレッシャーの斬撃を受けて倒れるドリルアングラー。
そしてジャッカルも力尽きつつあった。 彼はもはや精神力だけで生きていた。
ブレアードが心配して駆け寄る。
シャークもまた、ジャッカルを案じていたのだが・・・。


<巨大な力の集結>

ガレオキングの防御力と攻撃力は絶大で、窮地に陥るグレートライオ。
ガレイドを暗殺するべく待ち伏せるアクアルもガレオキング内で振り回されていた。
グレートライオのピンチにシャークリーガーが援護に回る。 二対一かと思われたが
シャークリーガーの背後からドリルアングラーが突進。

ドリルアングラーを操縦していたのは、ブレアード。
ジャッカルのために戦おうとしていたのだ。 バカな奴だと吐き捨てるジャッカルだったが、息も絶え絶え。
結局グレートライオのみでガレオキングと対峙することになるも絶体絶命。
やっぱりXデイは変えられないのか? 絶望の声が上がるライオだったが・・・

宗二郎が叫ぶ。まだ諦めるなと。
シャークベースの格納部のスイッチを宗二郎が押すと・・・ なんと二機のコアキャリバーが現れた!
シャークから依頼されていたものは、この二機のコアキャリバーだった。
イーグルとビートルがそれぞれダイヴイン、合神を果たす。
ここに三大流星神がそろい踏みすることとなった。


グレートライオ、ウインドイーグル、マグナビートの一斉放火がガレオキングを襲う。
大ダメージを負うガレオキング。 うろたえるガレイドだったが三機の流星神へフルパワーの砲撃を浴びせ、形勢を立て直す。
これから逆転しようとする時、 アクアルの銃撃がガレイドの胸を貫いた。

ガレオキングのコントロールが喪われる。
自動操縦で戦艦へ変形し、脱出しようとしたのだが更に流星神の攻撃を浴びせられる。
大気圏外へ脱出できそうにないほどのダメージを負うガレイド艦だった。


そしてドリルアングラー。
シャークリーガーへ打撃を負わせ倒してしまう。 艦内ではジャッカルに喜びの声を上げるブレアード。
しかし。 ジャッカルはその声に答える事はもうない。
慟哭するブレアード。
ジャッカルの死に気づいたシャークもため息を漏らす。

そしてガレイド艦を追った三機の流星神。
アドルイーグル内のゴルドが負傷していたため、イーグルはマンティス11を転送しヒーリングマンティスでゴルドを回復させる。
目を覚ますゴルドだったのだが、直後に開いたワームホールからネオデスカル旗艦が現れる。
ライオキャリアーとビートバイザーは回避したがアドルイーグルがまきこまれてしまい、ワームホールへ飲み込まれてしまった。


そしてガレイド艦では怒りに狂ったガレイドがアクアルを殺そうと首に手をかける。
身の危険を悟ったアクアルだったが、直後にガレイドが倒れてしまう。
その背後には、金色の人物が立っていた。 彼の正体は?
そして、ガレイド艦が爆破四散してしまった。

一方ワームホールが消失してしまい、アドルイーグルは呑まれたままとなった。
異空間に飲み込まれてしまったアドルイーグル。 通信は通じない。
アドとゴルドの運命やいかに?


夕暮れ。
ブレアードはファングソーを使ったジャッカルの墓を立てていた。
ブレアードはつぶやく。  死ぬまで戦って、お前は一体何が残ったんだ・・・。
ジャッカルとシャークのドッグタグが仲良く風に揺らめいていた。


そしてネオデスカルの旗艦・・・ネオデアーク。
先ほどの金色の男がアクアルとサイクリードを様付けで呼ぶ。
一瞬たじろぐアクアルとうろたえるサイクリード。
そして物陰からは一人の女性がその光景を眺める。

いくつかの戦いが終わり、そして新しい戦いが始まろうとしていた。


【レビュー】

ガレイド編ラスト。
前回はヒーローと敵の直接対決だったが今回は巨大戦によるオーラス。
巨大戦で小シリーズを終える傾向は本シリーズの特色とも言える。

ここまで最終決戦に向けてのテンションが高まっていたところでの巨大戦も迫力はあるが、
ガレイドVSセイザーXとシャークVSジャッカルの二つのドラマが並行しての戦いでもあった前回と今回。
今回は特に二機のコアキャリバーとそれによって生まれた三大流星神のそろい踏みというギミックが目を引く。
#名乗りがエスカレートすると二回前のレビューで書いたが、今回がその名乗りの終着点。
#三大流星神を使っての「セイザーX!」という名乗りだが、流石にこれは戦隊シリーズでも見かけなかった。

巨大戦艦がロボに変形するというギミックのガレオキングも注目度は高い。
ぱっと見はカメ型の巨大ロボ。何処と無くメカガメラといった風情だが、ジャスティライザーのジュウライザーのようでもある。
そして三大流星神による一斉砲撃や必殺技集中砲火は、グランセイザー第一部のアケロン人編ラストを髣髴とさせた。


そんなわけで巨大戦メインの話となった今回だが、もう一つの戦い・・・
シャークVSジャッカル決着というドラマも展開されていた。
ドリルアングラーという変形する巨大戦艦を持つジャッカルは、それまでの他社作品や似たパターンの創作物に慣れていると
「どうせ味方になるんでしょ?」という予測もされたキャラだったのだが、実際は戦いに敗れ死んでしまった。

ジャッカルは最後まで自分を裏切ったシャークを許せなかった。
それゆえにシャークを付けねらい、最後はその刃に散った。
前回シャークが告げた「一緒に連れて行けば同じく裏切り者になってしまう」という言葉以降
ジャッカル自身にスカした余裕が無くなった点を考えると中々興味深い。


そして今回と前回を手掛けたのは河田秀二。
ジャッカルとシャークの直接対決ということで、一つ当時の河田による日記で思い出した話がある。
確かこの二回分の何処かで、ブレアードのセリフとして「ジャッカルはシャークのことが好きだったんだよ」というものが本来あったのだが
これは現場(プロデューサーか監督かは不明)の判断によって削除されたと言う。
理由は「同性愛を匂わせるところがあるから」と、河田が削除理由を書いていた。

まあ気持ちは判らなくもない。 異様なまでにシャークに拘るジャッカルを考えると
もしそのセリフが通っていたらなんとなくそんな感想も抱きそうな気もする。


更にガレイド。
アクアルの手によって深手を負い、最後に現れた謎の男によって始末された彼だったが
最後まで状況と人間に恵まれなかった幹部だったと思える。

どうでもいい話だが、今回だけガレイドの声が二又一成氏の声に聞こえないような気がする。
エフェクトをやたら強くかけているからか、氏特有の声に聞こえない。
しかし三将軍とサンダーラよりキャリアの長い二又氏にまで声のエフェクトをかけるか・・・。


【特撮の見どころ】

・ガレオキング登場
・三大流星神そろい踏み
・ネオデアーク
・決着、シャークリーガーVSドリルアングラー


見どころは目白押し。 第二十五話と込みで考えると相当に大盤振舞しているのがここ三回。
変形中のガレオキングはCGかと思ったがミニチュアをそれっぽく変形させてるようにも見える。
このガレオキング、ガレイド艦と流星神(戦艦形態)のスケールを考えるとグレートライオ他よりは巨大になるはず。
あまり差がないのは残念ではあったが、防御力と攻撃力の高さによる強大さがそれを感じさせなかった・・・はず。

三大流星神がそろい踏み、名乗りを上げるシーンが印象的だが
前作ジャスティライザー終盤のライゼロス二号三号の印象がなくなってないうちの大ネタの一つでもある。
ただしライゼロス二機は「スペア」としての存在だったのに対して
コアキャリバー二機に関しては宗二郎がシャークの依頼でガレイド編の間ずっと作り続けていたもの。
冷静に考えたら別の意味で「そんなのありか?」なのだが、ライゼロスの時に比べたらまだ納得できる形での登場ではある。
その戦いぶりについてはレビューに書いたのでそちらへ。


ネオデアークはそれまで出てきたガレイド艦他の同型艦のリペイント・リデコレーションといった風情。
その威容に拙レビューでは「旗艦」という表現を使わせていただいた。
(本編テロップでは「ネオデスカル戦艦」)
そしてガレイド艦など以上に巨大な艦となったネオデアーク。 やや安直感も否めないがネオデスカル戦艦というインパクトはそれなりにある。


最後の決着、実は前回を見るとあれで決着だったんじゃないの?と思った視聴者も居たのだが
実際は今回、重体の状態で本当の最終決戦に挑むことになったジャッカル。
ここはやや蛇足感がある。
冷静に考えたらあまりジャッカル当人のドラマはしっかり描かれていないので、今回である程度は補おうとしたのだろうか?

このシャークリーガーVSドリルアングラーだが、前半は手負いのジャッカル操縦であったために
冷静さを欠いた戦い(これは前回終盤同様の流れ)に終始してしまい、あっけなく倒れる。
ところが後半、ブレアード操縦に切り替わってからはがむしゃらに食って掛かるがダメージは確実に負わせていた。
飛び膝蹴りをヒットさせてシャークリーガーを倒すカットなどは目を引いた。