2015年8月19日水曜日

今にして思えば・・・

blogタイトルを、より内実に沿ったものに変更しての第一弾更新。
とはいえ、ほぼ雑記的なものと言うか、ここ最近当シリーズについて様々おもったことをつらつらと
書き流すだけの記事である。


セイザーXのレビューも折り返し、いよいよ拙blogもひとまずレビューが終えられそうな気配が漂ってきた。
一応グランセイザーの初期回だけ更新し直す・・・ 今のレビュー形式との整合性を持たせるためのリテイクを細かく行うつもりでもあるが。
初期回、とくにアケロン人編の時はテンションだけでただひたすら無駄を削ぎつつ目を引いた部分だけを書く形式だったのだが
「今頃しっかり見返す人ってどれくらいいるんだろう?」と思いなおし、ストーリーをある程度詳細に書きつつ、最後に【レビュー】【特撮の見どころ】という小さいコーナーで感想を述べる形にしたのが
インパクター編から。
以降はこのフォーマットでレビューを続けている。


今思うとこのblogを勢いで立ち上げたのは、自分自身が何故このシリーズだけは熱心にスキと言い続けられたのかという疑問と、その感情を抱え込むのがしんどくなったからでもあるが
それゆえに今冷静になってみると、当シリーズを俯瞰して見つつも、ヒーロー物というものもそれとなく俯瞰することになったところが出てきた。
ジャスティライザーのレビューはそんな心情の変化がストレートに現れたものばかりである。
一方、セイザーXは今見てもそれなりにストーリー・ドラマ上の注目点が多く
これはこれで纏めるのに苦心する事も感じてはいる。

そして、グランセイザーのレビュー当時はいかに自分が能天気に
「ネタ扱いされる部分以外での注目点は絶対にある」
「そこに隠された面白さはある」
と信じて書いていたのかを思い知らされた。
#上記二つのレビューの方針は、今も継続している。

ただ、それは本当の意味で能天気な部分に過ぎない。
今は創作物としての本シリーズをシビアに見るという視点が加わっているために
グランセイザーの後半からは徐々に「いい部分も悪い部分も併記するべき」という発想も生まれていた。


そんな中で色々「今にして思うとなんでそこまで入れ込んでたんだろう?」という疑問点が幾つも出てきたのだ。
少し述べると・・・


例えば文芸面のクオリティの低さ。
基本設定の周知というか地固めがうまく出来ていないのか、出来てはいるけど
ドラマとして目を引くためにあえて崩した部分があるのか判断しかねる点が多い。
グランセイザーで言えばウォフ・マナフの扱いとボスキート。
ジャスティライザーで言うならジャスティパワーやライザーパワーの設定全般に、
カイザーハデスと魔神ダルガの設定全般。
セイザーXは現在保留。

確実に一つ言えることは
「特撮のクオリティだけで連続ドラマを作るというのは、実は視聴者側からすると退屈」
という問題。
特に本シリーズに関しては、平均して月に1度か2度しかやらない巨大戦のためだけに
毎週毎週見続けられる視聴者がどれだけ居るのか?という疑問が生まれている。
#このあたりは、東映の戦隊や仮面ライダーも追いかけているという視聴者がついでに見る分には有効な価値観かもしれないのだが・・・。


放送当時のジャスティライザーやグランセイザーのレビューで
「特撮だけはいい」という評価が目立っていたことを思い出したのが、この疑問を抱くキッカケではある。
ストーリーにしろドラマにしろ、あまりにも単調さが目立つこのシリーズ。
個人的には巨大戦をイベント的に扱うならもっとストーリー・ドラマ両面に密接に関わらせたほうが良かったはずなのだが
これは(若干改善されているとはいえ)セイザーXに至っても省みられなかった部分だった。


続いては脚本家・河田秀二について。
現在業界からは身を引いた彼だが、放送当時は過大な期待を彼に寄せていた自分が居たのは事実。
文芸スタッフの中では唯一といっていいくらい高く評価していたのだが、今レビューで見返すと
ジャスティライザーの頃はかなり酷い部分が目立つ。
ネタを必要以上に仕込み過ぎるというか、ジャスティライザー全体で見てやや浮いた部分があった。
#浦沢義雄以外の、他の脚本家があまりに地味な話ばかり作っているせいでもあるだろうが・・・。

それがセイザーXになってからは驚くくらいにシリーズ構成・林民夫とは息のあった仕事を連発。
実は林民夫と河田秀二だけでほとんどの回を担当していることからも
本作においてはこの二人が文芸では重要な位置についていたことがうかがい知れる。
#一応ジャスティライザーの時も本数はそこそこ多かったのだが。

当人のblog(現在削除されているが、実はアーカイブ自体は検索すれば出てくる)を見た上で思うことは
「インディース映画撮ってたときの意識そのままでメジャーに来ちゃった人」
「その上で勝手に商業の世界に失望して勝手に逃げ出した人」
「なのに未だに映像作品に対して未練の強い人」
というネガティブな評価を下してしまうところがあるが、それはあくまで河田秀二本人に対してのもの。
少なくとも「超星神シリーズで数少ない、注目できた文芸スタッフ」という視点では未だに
様々な思いもある人物であることには変わりは無い。


そして川北紘一。
川北は基本巨大戦の演出メインのはずだが、先述の河田個人の日記などを思い返すと
ある程度は文芸にも口を挟んでいたんじゃないか?という気もしている。
特技監督は特撮だけやればいい、とか極端な事は言わないが
どの程度まで本編に口を挟んでいたのかは割りと気になっている。

また川北本人の特撮の仕事も、案外適当な点が目立つところがある。
ヒーロー側ロボットはハデにやられまくるが逆にヒーローロボの活躍は酷く地味だったり
合成やVFXの部分のチェックもどこまで関わっているのかわからない点も気になった。
酷い合成やCGの回も1クール分に1回は見受けられるからだが。


後は・・・ スポンサー・コナミについて気になったところもあった。
川北紘一「特撮魂」でも書かれているが、このシリーズのために3年枠を抑えていたのがこのコナミ。
今の時代から考えたら信じられないような大盤振舞なのだ。

ゲームメーカースポンサードの特撮ヒーロー番組と言えば
過去にはカプコンが東宝と組んでガイファードを、セガが東映と組んでシャンゼリオンをそれぞれ作ったがいずれも1年未満。
それを思うとコナミの3年枠を特撮ヒーローのために確保したという話は景気が良い。
セガは元々セガトイズがあったから判るが、カプコンは・・・。
その上で、コナミはわざわざ玩具事業部を(本シリーズに先行して)立ち上げてまで特撮ヒーロー物および男児玩具の世界に参入してきたのだから
その力の入れようはすばらしいものがある。

あるのだが、これが実は東宝を初めとした製作スタッフに油断を招いたところがあったんじゃないかと思うところがある。
何でもそうなのだが、期間が決まっている上に長いとなるとあまりマジメに取り組まない部分は人間出てくるものだ。
しかも連続ドラマにはどう見ても不慣れそうなメンツばかりが揃っているためか
演出面、文芸面での微妙なつまらなさの一端は、こうした締まりのなさにあるんじゃないかと思う。


「特撮魂」で川北は「コナミからは特になにも言われなかった」と語っていたが、実はアニメにおいても
コナミというスポンサーはあまり口出ししなかったという噂がネット上では見受けられる。

噂をそのまま信じるのは問題があるが、川北の発言を考えるとなるほど真実味がある。
そして、その口出しをしないという点が問題としては大きいような気もする。
商品展開の微妙な部分も込みで、実はあまり玩具事業および映像事業に気乗りしていないんじゃないかと思わないでもない。
#たまたまドール的な文化が入り込んだせいで細々長生きできた武装神姫も込みで。


ざっと、これだけ気になる点が今になって出てきた。
今にして思えばこれら四つの要素のうち最初の文芸面においては、まだ不慣れなスタッフばかりという点は確かに気にしていたが
それゆえに東映・円谷とは違う方向性のストーリーを見せてくれるかもという期待もあった。
#当時は特撮ヒーロー物への熱が冷めてきた頃でもあった。
その中で河田秀二という掘り出し物を見出した。
川北紘一の手がけた特撮もさすがのものがあった。
そして、コナミが三作完走したことについても個人的には感謝の気持ちすらあった。

それが時を経て、自分自身の心情が変化したことを受けてか能天気に評価する空気がなくなった。
今それらを踏まえて率直な感想を述べれば「今の扱いの悪さは妥当」である。
blogを立ち上げるまでは「何でこんなに評価されないんだろう」という気持ちで一杯だったのだが。


とはいえそれだけで終わらせたくもないという心情もある。
隠れてしまっていていまいち語られにくい良い部分を掘り返すという行為も、実は楽しい。
ひとまず全話レビューが終わってからは、いくつか総論的なものを各要素ごとにまとめてみたい。