2015年8月26日水曜日

セイザーX・第二十三話

第二十三話「ミッションX!艦長を救え」

[ネオデスカル:ガレイド]
アリゴード登場

 演出:池田敏春    脚本:稲葉一広


<妨げられた装着>

冒頭。安藤家の庭でおにぎりを食べる面々。
シャークリーガーの修理はまだまだ時間がかかると宗二郎。
シャークも傷が深いようで、まだ復帰には程遠い状態であった。

一方のドリルアングラー。修理中のジャッカルに対して何故そこまでシャークに拘るのかとブレアード。
答えないジャッカルに対してそれだからシャークに勝てないんだとこぼしたブレアードだが
それに対しては刺々しく返すジャッカル。

シャークリーガー内のシャークは点滴を打つほどに衰弱していた。
レミーは絶対安静を告げるがその強い調子に性格がキツくなってないか?とシャーク。
拓人相手じゃこうもなると返すが、そのうち一人前になるだろうからそれまで拓人の事を頼むとシャークはレミーに告げる。

とは言うものの拓人に艦長の自覚がないことを嘆くレミー。
それを聞いたゴルドが、拓人を半人前扱いするから何時までも自覚が芽生えないんだと指摘。
アイン、ツバインとケインやゴルドとアドらはそれぞれに信頼関係があり、だからこそ
ケインもアドも艦長らしい自覚があるのだとも言う。
しかしレミーは、拓人にもそんな自覚が生まれるのだろうかと悩んでしまう。


ガレイド艦では、新たなる兵器・時空シールダーを用いた作戦指揮を願い出るアクアル。
傷も癒えて来たグローザも志願するが、意外な事に今度の作戦はガレイド自らが乗り出すことになった。
アリゴードを率いての作戦、それはどのような内容なのか?


コスモカプセルの反応が認められた地点へセイザーXの三人が訪れる。
するとアリゴードがカプセルを持って待ち構えていた。
ナックルクロスを出現させ装着しようとする三人だったが、そこへガレイドが現れ次元シールダーを発動。
ナックルクロスにシールドを施してしまい、装着不可能の状態にしてしまった。
そして――――――――――――


<艦長たちを救え>

レミーやゴルドが呼びかけるが、拓人たちは応答が無い。
すると艦内モニタにガレイドの通信が入る。 三人を助けたければ数時間後にセイザーXの持つコスモカプセルを全て渡すように。
人質か。 
その通信をドリルアングラー内でも傍受しており、ジャッカルは鼻で笑う。
だが卑怯な真似に怒り心頭のブレアード。
俺たちはどうしようか?とジャッカルに尋ねたが俺には関係ないとそっけなく修理に戻ってしまう。


レミーが副官たちを前に、拓人たちを救出する案を告げる。
カプセルを渡すわけには行かないがシャークも動けない状況となれば、自分たちが出て行って助ける以外にない。
しかし場所は何処にあるのか判らないとアイン。
そこへ、ブレアードが通信で割り込んでくる。
ガレイドを嫌う彼は、レミーたちに拓人たちが捕まっている場所が御影山ふもとの廃墟であると教えた。

ワナかも知れないとゴルドは訝しがる。しかし今の情報を疑えるほどの余裕はない。
自分たちに救出が出来るだろうかと更にゴルドは言うのだが、
出来るか出来ないかじゃなくて、やるしかないと拓人なら言うとレミーは返す。
艦長をサポートするのがクルーの役目、私一人でも行くわと飛び出していく。

その御影山ふもとでは。
囚われた拓人もまた、こんな所で凹んでたらレミーに何言われるかわからねぇと苛立つ。
果たしてレミーによる救出は成功するのだろうか?


そしてブレアードは、うなだれていた。
お節介の終わった彼にジャッカルが、修理を手伝ってくれと言うとブレアードは立ち上がってドリルアングラーの修理にとりかかる。


<信頼と勝利>

御影山ふもとの廃墟前では、レミーが単独で廃墟入口を探っていたのだが
デスメードによる警護があり中々近づけない。
そこへゴルドとツインセイザーが合流。アインは出発前に調査をしていたようで
地下がアジトとして改造されており、拓人たちはその中心部に囚われていると言う。

まずはゴルドが強引に地下入口のデスメードを排除し、地下へ突入。
レミーとアインが中心部のドアへ近づくが内側からカギがかかっている。そこでアインがガス状になって隙間から内側へ侵入・ドアのカギを開けてしまう。
副官たちがそれぞれに作戦行動に移っているその最中・・・

拓人たちを捕らえていたガレイドは時間を決めるんじゃなかったとぼやく。
仮に自分たちを倒したところでシャークたちが必ずガレイドを倒す。人質の人選を誤ったようだなとアドが毒づくと
電撃を浴びせ制裁するガレイド。
そこへアリゴードが、ツバインの抜け殻を回収したことを伝える。

その一方、レミーは火薬庫に時限爆弾を設置し、しばらく後に爆発させていた。
うろたえるガレイドだが、そこへツバインの中身が戻り奇襲。
続いてアイン、ゴルドとレミーが合流。ガレイドの杖を破壊すると時空シールダーも解除された。
形勢逆転と見るや地上へ脱出するガレイドたち。
セイザーXも装着を果たすと地上へ。


追いつかれたガレイドはデスメードを出現させ対応させるのだが、その背後からゴルドたちが現れアリゴードを捕捉。レミーがコスモカプセルをアリゴードから引き剥がす。
カプセルを奪い合う副官たちとデスメードだが、結果はレミーの手に渡りそのまま駆け出す。
アリゴードが追いかけ、次いでライオも後を追う。
残されたガレイドへイーグル・ビートルと副官たちが立ちはだかる。
スワン6とスタッグ7を転送させ、全員の攻撃を強化し放つ。マントによって守ったもののガレイドは捨てゼリフを吐いて撤退。

アリゴードに追いつかれたレミーだが、すぐにライオが合流しアリゴードを撃破する。
その一部始終を、病室から抜け出してシャークが見ていた。
戦いの後、拓人を中心に談笑する一同でEND。


【レビュー】

副官たちによるそれぞれの艦長救出劇という変わったシチュエーションで展開された今回。
ヒーローものとしては珍しい話となったが、拓人を通じて副官としての立場を語る一同に
やっぱり拓人はまだまだ頼りないなぁ、とするオチなど
副官メインの話と考えると、色々突っ込み切れていない気もするが
救出作戦ありきの話として見れば中々見どころのあるいい話だと思う。

今回初めて登場した設定としては、アイン・ツバインの実態はガス状であるという点。
これは序盤の安藤家での風呂シーン(抜け殻)を思い出すと、改めて面白い。
そしてこの二人は終盤でも活躍することになる。

今回脇に回っていたジャッカルだが、ドリルアングラーの修理を行っていたため目だった行動はなし。
シャークベースも故障中。これはこれで来る決戦へのタメになっていると今更ながら感じた。

そういえばグローザが改めて三将軍をなるべく戦闘に出したくないと述べていた。
一応忘れられがちなタイムパラドクス・・・  自分たちネオデスカルの祖先である三将軍が倒されては自分たちの存在も消えてしまうことを再度提示しているわけだが
(少なくとも対象視聴者である幼児が)忘れかけそうな頃に基本設定の再提示を行うあたり、本作は案外丁寧すぎるくらい丁寧な造りをしている。
伝わっているのかどうかは判らないが。


前回と今回のみ、グランセイザーとジャスティライザーに参加していた稲葉一広による脚本。
この人は別の記事でも書いたが、メインとして脚本を書くと面白くない反面
サブとして・・・ つまり本筋からはちょっと外れてのキャラドラマに注力した話は割と悪くないことが散見される。 今回もそんな話ではある。
メイン(ジャスティライザー)での仕事ぶりを考えると、おそらくヒーロー物よりは普通のドラマを手掛けた方がそこそこ無難な仕事が出来る人なんじゃないの?とも思ったが。


【特撮の見どころ】

・アジトで捕まっている拓人たち三人に張り巡らされたシールド

拓人たちが見えないシールドを叩くときに一瞬、ブロックが敷き詰められたような効果が見える。
後ろでケインやアドが叩いているときにもちゃんと合成を入れている点は細かくてよい。


殺陣の進歩についてはたまに触れているレビューなのだが、今作はフェイントを織り交ぜた殺陣も散見される。
今回で言えばビートルがデスメードに対してビートルホークを振り上げたと思ったら寸止め、
受けの体勢を整えていたデスメードへ前蹴りを放っていたカット。

またフェイント以外にも、デスメードの後ろからの攻撃を振り返らずにライオブレイカーで受け流すライオなど
テンポのいい殺陣を織り交ぜる点は面白い。
アリゴードから奪ったコスモカプセルを副官たちがパスしあうシーンなど、明らかに前二作から見せ方が進歩している殺陣が目立つのが本作だ。