2013年11月18日月曜日

グランセイザー・第三十二話

第三十二話「宇宙飛行士の悪夢」

●<グランセイザー>弓道天馬、獅堂未加、伝通院洸、魚住愛
○<関係者・ゲストなど>堀口一郎、御園木篤司、沖田総一郎、ヘンリー若杉、リサ(ヘンリーの娘)、マイク唐木
★<敵>フェドラ


<父娘へ降りかかる怪>

OP前。 洋服店で父に服の見立てをするリサ。
父・ヘンリー若杉の誕生日プレゼントのためである。
「もうリサが大人になったなんてなぁ」としみじみつぶやくヘンリー。

駐車場で談笑しながら車に向かうが、ヘンリーがふと立ち止まる。
そしてその姿を柱の陰から見守る謎の男・・・。

OP後、駐車場にバイクを停めた天馬がリサの叫び声を耳にして駆けつけると
そこにはリサに襲い掛かろうとした怪物の姿が。
装着して小競り合い、あっさり撃退したタリアス。
戦闘後・・・ 「パパ!パパ!」と錯乱状態に陥るリサ。そして駐車場の階段踊り場で倒れこむヘンリー。
この父娘を襲った怪物の正体は何なのだろうか?

伝通院の勤める病院。
鎮静剤によって眠っているリサ。そうとう興奮していたようだ。
病室の外へ出て、ヘンリーに当時の状況を詳しく聞きだそうとする天馬だが
ヘンリーは手を上げてしまい、何も思い出せないといった表情を浮かべる。
若杉さんも疲れているのだろう、と伝通院は気遣い翌日に改めて聞きなおすことになる。
病院から去ろうとする天馬の後ろを、再び謎の男が見張っていた。彼は怪物と何かかかわりがあるのだろうか。


<宇宙飛行士の悪夢>

いつもの研究室。
ヘンリー若杉は去年フロリダで打ち上げられたスペースシャトル「スターライト」の船長であったと
堀口博士が天馬に説明する。
日系人では初のスペースシャトル船長で、当時ニュースにもなったと言う。
その説明の際未加が当時の新聞のプリントを天馬に渡すのだが
ここの内容が意外と細かいところが面白い。
(日本人初の宇宙飛行士である毛利衛氏について言及されている点に注目)

しかし、そのスターライト号が帰ってくるとそんな華やかな話から一転する。
乗組員は心臓麻痺により死亡、当のヘンリーもまた、記者会見にて不可解な言動を口走り
────宇宙空間で幽霊を見た。 そう語った彼はそのまま宇宙飛行士を引退してしまった。
アメリカの病院で療養していたのが、いつの間にか日本に戻っていたという事だが・・・。

病室。
リサは寝言で父親を呼んでいる。
愛と洸が見守っているが、外で謎の異音が発生。 音の元へ近寄ると
タリアスと戦ったあの怪物が病院駐車場に現れていた。
レムルズへ装着し戦うも、またもあっさり撤退する。 その怪物が居た場所に何かが落ちていた。
皮膚の一部か何かか──────── 
堀口博士に分析を依頼するよう、天馬に伝えたのだが次の瞬間愛の叫び声。
謎の男がリサの病室のまわりをうろついていたようである。
先に回りこんで道を塞いだ天馬はその男に誰何すると、彼はNASAからのエージェント・マイク唐木と名乗る。
彼も日系人のようである。

研究室。
当時ヘンリーに装備されていたボイスレコーダーをマイクが取り出し、天馬たちに聞かせる。
英語による状況説明の後、「怪物が現れた!うわあああ!!」とヘンリーの叫び声が聞こえたが
その直後、謎のノイズがレコーダーに入る。   天馬や洸が聞いた、怪物が現れたときに聞いた音と同じだという。


<幾億年の怨霊>

リサの病室。
目覚めたリサは洸たちにあることを伝える。
その後天馬と洸がそれぞれに得た情報を交換。 すると「ヘンリー若杉は怪物に身体を乗っ取られている」
という事実が浮かび上がってくる。
異星人が成りすましているかもしれない。つまりヘンリー若杉の意識は既になくなっているかもしれないと洸は語るのだが。

父は、悪夢に苛まれているという悩みを抱えているとリサが語り
天馬は「お父さんのことは俺が助けるから心配いらない」と力強く約束し、外へ出て行くと・・・
御園木とマイク唐木が病室へ向かっていた。
「捕獲、それが出来なければ抹殺するほかない」と言うマイク。そして
身柄を拘束するほかないと御園木が告げるのだが天馬はそれを承服せず、怒りを露にして飛び出していく。
洸は言う。「俺も天馬と同意見です。 若杉さんを見捨てる前にやるべきことがあるんじゃないですか?」

一方研究室。
洸が手に入れた謎の物質に反応して水晶板が光り輝く。
博士は、超古代の物質を近づけたことで新しい情報が得られたのだろうと推察。
そして博士達の眼前に広がった──── あの蝶古代の戦争の光景。
しかし、いつもと違うのは・・・ 天馬たちが対峙したあの怪物の姿も見られた点。
宇宙空間に放り込まれ、魂だけとなって何億年もの間地球の軌道をさまよい続けた。
それが、現代になって・・・。


<父娘の絆>

屋外舞台。 ここはリサとヘンリーの思い出の場所らしい。
ヘンリーは、リサが小さな頃よくここに連れて来たのだと言う。
そして彼の口から語られる。
──── 宇宙空間で、得体の知れない怪物に襲われ、私の体の中に怪物が入り込んだのだ、と。

娘に危害を加えてしまった以上生きては居られないというヘンリーの前に
御園木の率いる特殊部隊が現れ、包囲する。
反発する天馬の後ろで、ヘンリーは苦しみ・・・ やがて姿を変えてしまった。
異星人となったヘンリーは特殊部隊をなぎ倒し、いずこかへ逃げ去っていく。
俺に任せてくれと御園木に頼み、急いで追いかけていった天馬を見た御園木は沖田に攻撃を中止するように指示。

猛反発するマイクへ御園木は言い放つ。「NASAに地球が守れるか?地球を守れるのは、グランセイザーだけだ」
それを聞いてただ、憮然とするマイク。

水晶板を持ち現場に駆けつける博士達と合流した天馬。あの異星人の正体はフュドラという異星人だと告げる。
だが彼は自分が死んだことを知らずに、超古代からの命令・・・地球人を滅ぼせという命令により動いている。
水晶板を使って、成仏させることを提案する博士だがつぎの瞬間フェドラが現れ不意打ち。

しばらく小競り合いの後、水晶板でフェドラの攻撃を跳ね返させると
彼の頭の中に超古代の戦争の記憶が入り込んでいき・・・ やがて苦しむ。
リサたちが駆けつけ、その目の前でバーニングファルコンをフェドラの目の前で分散・破裂させたタリアス。
気絶したフェドラは、みるみるうちにその姿をヘンリーのものへと戻していった。
フェドラが消滅したのである。

意識の戻ったヘンリーとリサが抱き合ったところでEND.


【レビュー】
ウォフ・マナフの単語こそ出てこなかったものの、恐らくフェドラはウォフ・マナフに参加していた異星人だろう。

話そのものはSFホラーの雰囲気を湛えており、地球人に危害を加えた以上抹殺も止むなしとするマイクと
ヘンリーは乗っ取られただけであり、なんとか救い出す方法があるはずだと食い下がる天馬たちが
ドラマの軸となっていたのだが・・・。
やや話のギミック(超古代の戦争で、死んでしまったフェドラが気づかずに宇宙空間をさまよっていた)に
頼りすぎの感が見られ、あまり話そのものの完成度は高いとは言えない。

また、「ヴェルソー暴走!」に続いて異星人憑依モノとなってしまった点も引っかかる。
普通同じような傾向のネタ・・・ここでは異星人憑依モノだが・・・を短期間に繰り返すことは稀なのだが、それを
(先述の回とは話そのものが違うとはいえ)行ってしまうあたりどうもシリーズ構成に息切れが生じたように思えて仕方ない。
そして「SFホラー」という部分においても
第二十六・二十七話が先にあったためか、イマイチ今回の全体的な完成度の低さが目に余ってしまう。
(決して二十六・二十七話の完成度が高いというわけではないが)

繰り返しになるが構成の甘さが露呈してしまった回になってしまった感が否めない。


【特撮の見どころ】

・研究室で、ケースのスキマから漏れる水晶板の光

強いて言えばこれくらいになるだろう。
このシーン、シャーレの中に入っていた謎の物体のカットの次に映されるのだが
この光が漏れて、ケースを開けてシャーレを水晶板に近づけるまでの動作を1カットで見せている。
東宝的な長い1カットなのだが、こういうシーンにおいては淡々としながらも印象深さを与えてくれる。
(もし東映なら3、4カットで表現するシーンだろう)

今回、特撮とは関係ないが殺陣のシーンでやや気にかかる部分として
「戦闘中、細かくズームアウトを繰り返す」
「細かくカメラがブレる」
というのがレムルズVSフェドラで見受けられた。
この回に限らず、実はちょくちょくグランセイザーでは見かける画なのだが、これがどうにも
画としての不安定さというか、アクションのキレを損なう要因になってしまっているのは否めない。
こうした部分はジャスティライザー、セイザーXと徐々に解消されていくので
気になった方は殺陣のカメラワークも注目しながら見てみるのもいいかもしれない。