2013年11月21日木曜日

グランセイザー・第三十六話

第三十六話「さらば相棒!」
●<グランセイザー>弓道天馬、獅堂未加、秤谷仁
○<関係者・ゲストなど>堀口一郎、中尾真司、アジャンテ星人・フリード
★<敵>クリミネル

【仁個人エピソード回】

<相棒>

OP前および後。仁は友人の真司とドライブに出かけている。
普段PCを使っての仕事が多い真司は、体力がほとんど無い様で
仁の持っていた握力トレーニング器材をまったくといっていいくらい握れなかった。
「別に今時マッチョなんかもてないだろ?」と真司は呆れた口調で仁に話す。
そんなやり取りの真っ最中、突如車の前に落雷が落ちる。

しばらくすると、謎の紅い異星人が仁たちに向けて銃を向ける。
だがその直後に蒼い異星人が落雷と共に登場し、二人の異星人は戦いに突入。 彼等の目的は何なのだろうか?
目の前の状況に錯乱した真司は、車から逃げ出す。 
それを紅い異星人が狙い撃とうとするが、蒼い宇宙人がそれを庇う。
吹き飛ばされた蒼い異星人は、真司にぶつかり二人とも気絶。
仁が駆けつけると、蒼い異星人の体が白化・光となって消滅し その光が真司の身体へ入り込んでしまった。

目覚めた真司は紅い異星人に向かって戦闘体勢に移るが銃を持っていては分が悪く
さらにその近くを通った警察のパトカーをも破壊し、その燃え上がるパトカーの炎を吸い取って何処かへ消え去って行く。

真司の身体に入り込んだ光は、先ほどの蒼い異星人。 真司の体に憑依したのだ。
はやく車を出して追いかけなければ真司の身体を破壊すると脅す異星人に、仁は仕方なく車を急発進。
警察官二人を振り切ってその場から離れてしまう。




<宇宙刑事と宇宙犯罪者>

「彼」はアジャンテ星人の宇宙刑事と自己紹介。
紅い異星人はクリミネル。 そのクリミネルを追って地球まで来た。
クリミネルが地球に来た理由は、豊富なエネルギーを得られると睨んだからであり
「彼」は一刻も早く捕まえるなり処分しようと考えていた。
しかしクリミネルも「彼」も、ウォフ・マナフとは何ら関係がなく
仁はそんなことをしている場合じゃないのにとこぼす。

一方いつもの研究室。
そこへ仁の事務所から電話が来て、先ほどのパトカー爆発事件の現場から仁が逃げ出したことを説明される。
その場に仁が居たために、警察からマークされてしまったようだ。
仁が爆破したのかと勘違いする天馬を未加が軽くあしらうが、事態は急を要する。
そこで未加とともにバイクで仁を探しに出かける天馬。

仁たちは電力会社の敷地内に入り込む。 施設内の鉄塔から電気を吸い取っているクリミネルを発見。
「彼」が立ち向かうがあっけなく倒され、血を流してしまう。
その血を見て呆然とする彼に、仁は今までのお前の体とは違うんだと一喝。
続いて、仁が装着してクリミネルと戦う。

互角に渡り合う両雄は一進一退の攻防を繰り広げており
ダイルの大旋風波がクリミネルの銃撃を貫き、さらにとっさに張ったバリアすら消滅させる。
その光景を目の当たりにして驚愕した「彼」。
アックスタッガーの一撃を受け銃を落としてしまったクリミネルは、たまらず退散。
火の玉となって逃げ去ったクリミネルを、天馬たちが捕捉し追跡する。

クリミネルの落とした銃を拾った「彼」。
仁を脅迫し再び追跡させる。 大旋風波を出せる自分をここで殺していいのか?とたずねる仁に
撃たなくても済むように、私の命令に従えとその姿勢を崩さない「彼」。
そして、クリミネルの元へと車を走らせる。


<相棒への想い>

未加は博士から、パトカーを破壊したのは紅い異星人であると電話で教えられる。
調子のいい事を言う天馬に呆れながらも、再びバイクで移動。

一方の仁だが、車がエンストしてしまったために一度停止。
人間も機械も脆いことを嘆く「彼」に、仁はだからその体(真司)も大事にしろよなと返す。
そして自分が真司と違って強いわけは、グランセイザーという存在だからだとも。
やがて車が治り、急いでクリミネルを追跡。

そのクリミネルは別の場所にある変電所の鉄塔から電気を吸い取っていた。
現場に駆けつけた天馬と未加は急いでクリミネルを食い止めるが生身では二人がかりといえど分が悪く
装着して再度挑むことになる。

変電所近くへたどり着いた仁たち。 車を停止させたスキに銃を奪い、一人で行こうとする。
握力トレーニング器を構えて仁を制止させようとする「彼」に、何故そこまで必死になるんだと問う仁。
クリミネルによって自分の仲間が殺されてしまい、クリミネルが持っていた銃はその仲間のものだと言う。
そしてその銃でクリミネルを倒して仲間の弔いを果たそうとしている。
事情を聞き入れた仁は、銃と器材を交換し合い、そこで初めて自分の名前を名乗る・・・フリード。
カートリッジ内の弾はのこり一発しかない為、外すわけには行かなくなったフリードは
この戦いが終われば、身体を真司に戻して成仏すると仁に約束する。


<さらば、相棒>

タリアス、ミトラスとクリミネルが戦っている。装着してもなお互角の戦いとなっており
バーニングファルコンをバリアで防ぎつつ、そのエネルギーすら吸収してしまうクリミネル。
炎の塊をぶつけられた二人は装着が解けてしまう。

再び鉄塔から電力を吸い取ろうとするクリミネルに立ち向かうダイル。
大旋風波をバリアでガードさせたスキに、フリードの銃撃を浴びせることに成功し、クリミネルは爆破四散。
戦いに勝利した仁とフリードだが、直後にフリードが気絶。
しばらく後に意識が戻るが、既にフリードとしての意識が無くなっていた。
それは、フリードが「昇天」したことを表していた。

夕闇迫る空へ叫ぶ仁。
その時フリードの声が、空から響いてくる・・・ 星の戦士達よありがとう、と。
それを聞いて、天国の相棒へヨロシクなとつぶやいた仁。 
後ろでは、意識の戻った真司が体中を痛がりながら仁のもとへ近寄る。
そんな彼に、仁は握力トレーニング器を手渡し、「お前やっぱ体、鍛えたほうがいいわ」とこぼすのだった。


【レビュー】

仁エピソード回。 個人的には一番思い入れの深い回である。
なにより、超星神シリーズ全てに関わった数少ない文芸・演出スタッフの一人である河田秀二の初脚本回でもあるため
改めて見返すとキャラクターのやりとりの軽妙さなどに感心することしきりであった。

今回は「相棒」をテーマにした話であり、よくよく見ると仁と真司、天馬と未加、最初に現れた警察官二人
そしてフリードとその仲間と、テーマに沿った人物配置の妙も光る。
特に仁が最後まで真司の身体を気遣っていた点は一貫しており、話の縦軸が最後までぶれていなかったのも好印象だ。
前回までと違いグランセイザー側の人物を3人に絞ったのも、結果としては話を散漫なものにしていないのも良い。
また、久方ぶりに未加の生身のアクションが堪能できる回としても記憶してもいいかも知れない。

しかし一方では、今回のギミック・・・ 「異星人憑依」がここまで短期間で3回も連続してしまった部分は少し苦しいものがある。
「宇宙飛行士の悪夢」レビューでも書いたが、似たような傾向のネタを繰り返してしまうのはあまり構成上宜しくないように思える。
「ヴェルソー暴走!」とあわせて、三本とも話の内容こそ違うと言えば違うのだがやはりネタは若干捻ったほうが良かったのではないかと思わされてしまった。

話が変わって私見だが、最初に出てきたフリードのスーツ。
頭を見ているとどうも「電脳警察サイバーコップ」のジュピターのヘルメットを改造しているように見えるのだが・・・。
【特撮の見どころ】

・爆発炎上するパトカー

意外にも序盤のこのシーンくらいしか印象に残らなかった。
大体、車が爆発するカットを表現する際、従来の作品であれば炎のエフェクトを被せるか
爆薬を仕掛けて本当に爆発させてしまうかのどちらかというところだが
前者はどうしてももとの素材(車)が透けて見えてしまい興ざめしてしまうし
後者も後者で爆発が大げさになりすぎる傾向がある。

今回については、ボンネットが吹き飛び爆発する部分はCGモデルによる合成だろう。
ひょっとしたら爆発してから炎上したパトカーまで、CGモデルで見せているかもしれない。
流石にやや引いたカメラでの撮影になっていたものの、違和感のない合成といってもいい。

見どころとしてあげなかった部分でも、
OP前~直後のドライブシーンでの、後部座席側からのカメラ視点
(実景と車に乗ってる二人の合成)、大旋風波でバリアをかき消されるカット、
二度目の逃走~火の玉となって別の地点へ逃げるクリミネル
最後の戦いで、銃撃を受けて爆破四散するクリミネルなど、地味ながらVFXや合成も魅せてくれる。


さて今回も、演出の部分で気づいた点をひとつ。
グランセイザーにおいては、よくフレーム外から人物の声が飛びだすことがあり
(単に呼ばれる以外でもちょくちょく出てくる)
今回ももちろんそういうカットはあったのだが
フレーム外で装着解除するというカットも、今回に限らず今までの回でも何度か出てくる。
装着解除時に独特の効果音が流れるため、視聴者からは「ああここで装着が解けたんだな」とすぐにわかるのが良い。
と同時に、装着解除のカットを入れないことでドラマ進行がスムーズに行われる利点もあるため
特に今回のように内容が詰まっている回においては充分な効果をあげているのも見どころだろう。