2013年11月4日月曜日

グランセイザー・第三十話

第三十話「ヴェルソー、暴走!」

●<グランセイザー>弓道天馬、獅堂未加、伝通院洸、雨宮涼子、秤谷仁、神谷豪
○<関係者・ゲストなど>堀口一郎、御園木篤司、沖田総一郎、川島巧(ストーン星人・ジャド)、鹿沼幸次郎
★<敵>ストーン星人・ラモン


【涼子メインエピソード回】

<事件>

仁の仕事場。
仁が製作したドレスを着てご満悦の涼子。大学のサークル仲間との同窓会があると言う。
「もう友達に会うことなんて無いと思ってたから」とつぶやく涼子に
そこに居合わせた天満も仁も、グランセイザーとしての自分達の立場上
それが叶わないことを判っていたからこそ共感を覚えたのである。
「ヒーローは孤独だもんね」とこぼした仁。

コーヒーを飲む涼子。その時ラジオからニュースが流れてくる。
富士見湖湖畔にて、小型飛行機の事故により死亡した人物が発見されたことを伝えていた。
名前は川島巧。
その名前を聞いた途端、コーヒーカップを落としてしまうほど動揺する涼子。

一方宇宙開発局。
堀口博士はある一室にて鹿沼博士とともにある物質・・・ 「マッドストーン」について語り合う。
これは一昨年、ペルーで見つかった物質とのことで、超古代の異星人の置き土産らしい。
N29星雲にて惑星が消滅するほどの大爆発が起こったらしく、
その際にこれと良く似た物質が観測されたと鹿沼博士が語る。
これはプルトニウムに良く似た性質を持っているらしく、そこから爆弾ではないかという推測がなされていた。
そしてマッドストーンを守るため国防省から沖田の指揮する防衛部隊が派遣され
厳重な警備体制を敷いている。

御園木はマッドストーンについての対応を講じる必要があると堀口博士と話をするが
この時点ではまだ爆弾であるかどうか決めかねていたようだ。
しかし「はるか宇宙のかなたへ運び去って、爆破させるしかない」とその対処を考えており
博士はその危険性は小さいものではないことを感じ取っており、マッドストーンの扱いには慎重な態度を見せる。


<巧との再会>

涼子は昔、大学でNGOのボランティア活動に参加していた。
自身もボスニアで戦火を逃れた経験もあってか難民へのチャリティーなども活発に行っていたと言うことが
博士や未加によって、天馬へ語られる。

その涼子は山梨まで車で向かおうとするも心配する仁が運転を引き受けようとして若干言い合いになる。
そこへ、一人の男が現れる・・・ 川島巧。
涼子たちの目の前で気絶する巧を、洸の勤める病院へ運び治療を受けさせる。
しばらく後、ベッドの上で目覚める巧に洸が幾つか質問を投げかけるのだが、
事故当時の記憶がないようで、頭を抱え何も答えられずうずくまる巧。

一度外に出た三人。 そこへ豪が合流し巧についての情報を告げる。
山梨県警によると事故自体は本当に起こっているのだが、飛行機から脱出した形跡はなく
湖で遺体も発見されたにも関わらず、その遺体が消えてしまった。
死んだことが確認されていた人間が消滅、それが東京へ瞬時に移動していることになるが
何故そんなことになったのだろうか・・・。


<異変>

宇宙開発局。
鹿沼博士がマッドストーンを眺めているのだが、その背後から何者かが襲いかかる。
首筋に掴みかかり何かを行っているようだが・・・。

一方病室。涼子は巧に昔話をしていた。
一緒にアフリカに行って、独立したばかりの国で小学校を直したり、
授業の手伝いをしたいと巧が誘っていたことを話す。
涼子にも色々な悩みがある中、港へいく直前に──────── 涼子は佐伯カリンと出会った。
地球を守る使命を告げられた涼子は、それまでの仲間と離れて地球を守る使命のために
グランセイザーとして戦うことに決めた。

しかしグランセイザーとしての自分の秘密を語るわけにも行かない涼子は、無断で
仲間達から離れてしまったことに対して思い悩んでいた。

一通り話を終えた涼子に巧は 「俺は川島巧ではない」とつぶやき・・・
姿を変えた。


<涼子・疾走!>

病室から出てきた涼子は、洸たちに対して巧が何処かへ消えてしまったと告げる。
その巧を病院内で手分けして探す涼子たちだが。
地下駐車場で仁の叫び声が響き、涼子がそこへ駆けつけると 巧が仁の側に居た。
自分のことを「ストーン星人・ジャド」と名乗った「巧」は
かつて祖先がこの地球へ持ち込んだマッドストーンを取り戻しに来たのだ。
そして仁の命と引き換えにマッドストーンを持ってこいと涼子に取引を迫る。
期限は今から1時間後。
持ってくる代わりに巧の身体からも出て行くよう約束を取り付けた涼子は
仁の車を使い一路宇宙開発局へ向かう。

現地にて、防衛部隊ともみ合いになる涼子は強引に突破し
銃火の中をヴェルソーへ装着し、マッドストーンを強奪することに成功。

この事件は直ちに国防省に伝えられ、御園木から博士に連絡が舞い込む。
グランセイザーの突然の暴走に戸惑いを隠せない両者だが、そこに居合わせた天馬が
涼子を捕まえに行くと言い残し出て行ってしまう。


<巧との別れ>

ほどなくして天馬が涼子と合流。 それぞれに持っている情報を言い合うと
涼子の意見に折れた天馬は、後から追ってくる国防省を自分ひとりで引き受けようと道を塞ぐ。
のだが、数の不利には敵わない天馬。

一方病院地下駐車場。 約束どおりマッドストーンを持ってきた涼子。
約束どおり仁を渡しはしたものの、巧の体を解放することを拒否するジャド。
その理由は、ジャドとの衝突の際に既に死亡しているから。
そんなジャドは今、巧とともに生命力を補いながら生きている程度に過ぎない。

涼子の手からマッドストーンを取り返すジャドの前に、鹿沼博士が現れるが・・・
既に鹿沼博士は死んでいる、と「鹿沼博士」の口から語られる。
そして「地球を爆破することはウォフ・マナフの命令だ」と詰め寄る。
「この星を潰す権利はない、考え直す必要がある!」と叫ぶジャドだが
その言葉を聞き入れず本来の姿へ変化する「鹿沼博士」・・・ラモン。
そして涼子がヴェルソーへ装着し戦うが敵の格闘能力に圧倒されてしまう。

戦いは屋外へ舞台を移す。
逃げるジャドの背後へ攻撃を浴びせ、倒すラモンだがトドメを刺そうとした所へヴェルソーのセルクロスで妨害される。
そのヴェルソーを一蹴し、もう一撃喰らわせようとした背後からタリアスが駆けつけ攻撃を浴びせる。
タリアスとラモンの一騎討ちが始まるが、少しの差でバーニングファルコンを浴びせ、タリアスが勝利。

戦いの後。
川島巧として目覚めた巧。涼子はアフリカ行きの寸前で合流しなかったことを詫びるが
巧自身は、涼子の言葉のおかげでアフリカ行きを決めたことに感謝しており
その時の仲間も涼子に合いたがっていると告げたが、体がストーン星人のものへ変化してしまった巧。
もう二度と会えないが、君の事は忘れないと言い残すジャドは、マッドストーンとともに空高く舞い上がる。
遠い夜空で、小さく何かが爆発・火花が散って・・・桜の花びらが涼子へ降り注ぐ。


【レビュー】

涼子メイン回。
エピソードとしては涼子の過去と絡めたものであり、その意味では人物像を掘り下げていると言える。
涼子が巧たちとアフリカへ行かなかった理由が、グランセイザーとして活動をすることになったからであり
自然と「それまでの日常」から「グランセイザーとしての日常」へ変わっていく様が伺える。
それは序盤の、同窓会なんかいけるはずが無いと思っていた涼子のつぶやきにも象徴されるように
もはやグランセイザーとしての生き方しかないと思われていた涼子にとって
巧との再開は少し複雑な心境だっただろう。

ただ、終盤巧とのやりとりは若干引っかかる部分もあり(涼子の言葉のおかげでアフリカ行きを決めた、という下り)
既に出来上がった本編を見るだけでは想像するほか無いが、実際いくつか削った話もあったのだろうかと思わせられたりする。
せめて、前半巧と会話していたシーンでそういうエピソードを語っていれば判りやすかった気もするが・・・。

ストーン星人ジャドは、まるでウルトラマンのような状況で巧に乗り移ったわけだが
ウルトラマンと違う点は「互いに生命力を補い合わなければいけない」部分だろうか。
しかし、第三クールは単発エピソードが増えたのはともかく
全体的に無理のある話もやや散見されるのが惜しいところではある。
第一・第二クールはそれぞれアケロン人、インパクターが軸になって話を動かしていただけに
ウォフ・マナフに所属する各星人が一話ごとに続々出てくるスタイルはそれまでの話の造りを考えると
どうしてもとっ散らかった印象すら与えてしまう。

ただし異星人の攻撃、というストーリーの縦軸よりも第三クールはグランセイザー個々のエピソードを掘り下げるシリーズであるため
見方をそっちに変えれば実は悪くないシリーズかもしれない。


【特撮の見どころ】

・空中で飛び回るセルクロス
・タリアスとラモンの、走りながらの撃ちあい
・夜空から舞い降りる桜の花びら

全てVFX・CG関係である。
セルクロスはちょっと不自然すぎるものの、2つ目のラモンとタリアスの撃ちあいは中々良いシーン。
バーニングファルコンで決めるところは走りながらでももうすこし疾走感とタメがあれば良かったのだが
シーンそのものに文句は無い。

第三クールになるとVFX・CGのほうも少しこなれてきたのか
地味な部分での合成をそれとなくアピールしているシリーズでもある。