2013年11月29日金曜日

グランセイザー・第三十九話

第三十九話「プロジェクト・オメガ」
●<グランセイザー>弓道天馬、獅堂未加、伝通院洸、雨宮涼子、秤谷仁、松坂直人、神谷豪、早乙女蘭、反町誠、魚住愛、三上辰平
○<関係者・ゲストなど>堀口一郎、御園木篤司、沖田総一郎
★<敵>オメガ


<終りが始まる>

冒頭。仁と豪が合流した瞬間、裏手で爆発音が響く。
そこではバーニングファルコンを弾いたオメガが立ち尽くしていた。
タリアス、リオンの攻撃はことごとく受け止められ、弾かれて行く。 ミトラスがオメガに体当たりして食い止めるのだが
あえなく首をつかまれ持ち上げられてしまう。

しかし、少ししてその手をはなし・・・ 人間の姿へ変化。
彼は言う。貴方達は滅ぼすべき存在に思えない。 私の考えをウォフ・マナフ最高会議へ報告すればあなた方と戦う必要はなくなるだろう、と。
そうしてオメガは立ち去ってしまった。

いつもの研究室。
前回までの六人が、オメガへの対処について話し合う。
剣と蘭はすぐにでも見つけ出して倒すべきだと主張。まだ六人としか会っていない状態で
あの戦闘力なのだから、そのうちに倒してしまうべきだと。
しかし未加は、オメガは自分の頭で考えて行動できている。プログラムにしたがって
動いているだけのロボットというわけではないのだと。
それゆえ未加は、オメガとの戦いには消極的な態度を示していた。

国防省兵器研究所。
御園木がオメガ探索の指示を沖田たちに出している。
グランセイザーを全員そろえられない以上、場合によってはユウヒを投入してでもオメガを破壊しようとする考えのようだ。

研究室。
オメガから未加の携帯に連絡が入る。ウォフ・マナフの決定を全員に伝えたいので
グランセイザーを集めてきて欲しいと。
連絡を受けたあと、未加は一人でオメガに会おうとする。
危険だと剣たちが制止するのだが、結局は未加が押し切ってオメガに会うことに。

公園と思しき場所で、オメガを捕捉した沖田達特殊部隊。
包囲したもののあえなく撃退され、沖田もオメガによって国防省の機密などを全て吐かされてしまう。
ますます強力になっているオメガに対して、もはや国防省では手の打ち様がなくなってしまった。

ある寺の境内。オメガに会いにきた未加。
彼は言う。自分をオメガという名前で呼ぶのは正しくない。
オメガという名称、それはグランセイザー殲滅プロジェクトの名称であると。
そしてウォフ・マナフ最高会議の決定は、「方針に変更はナシ」
────つまりグランセイザーを殲滅する計画は続行される。
既に12個すべての封印を解除された状態で戻ってきた彼は、自律思考回路が遮断されており
もはやただの殺戮ロボットへと変貌してしまったオメガ。

やむを得ず、装着して戦うこととなった未加。
しかし前回同様オメガの力に圧倒され、歯が立たない。
そこへタリアスとリオンがフレイムトライバーに乗り駆けつける。
炎のトライブが揃って再度オメガに立ち向かうのだが、リオンの飛燕斬を防ぎきるなど
三人揃っても太刀打ちできないほどに強力になっていた。

今度はダイル、トラゴス、ヴィジュエルの三人が合流しオメガと戦う。
あっけなくヴィジュエルとダイルが吹き飛ばされてから、今度は六対一のハンディキャップマッチへ。
しかしその不利をものともせずに全ての攻撃を受け流していく。
タリアスの飛び蹴りからのバーニングファルコン相殺で流れがにわかに六人へ傾くが
「グランセイザー全員を引きずり出してやる」と言い出したオメガは、突如消えてしまう。



<最後の最期>

後半、突如としてオメガが巨大化し怪獣のような姿へ変貌する。
近くにあった国防省の施設を破壊しながら、ユウヒの格納庫へと近づいていく。
グランセイザーをおびき寄せるためにユウヒを破壊しようという考えのようだ。
この事態に炎のトライブはガルーダを召還、ミトラスが搭乗する。
それに続いて各グランビークルたちが合流。これでグランセイザーが全員揃う

そのあと各トライブの超星神を召還するも攻撃があまり効かないようで、タリアスのアドバイスにより
ダイセイザーへの合神を行う四人。
最初こそややリードを許したものの、ミトラスの操縦によりじょじょに主導権を握り返す。
攻撃を畳み掛け、ハイパーバーストで最終的にトドメを刺す事に成功した。

戦後。 未加が大破したオメガの元に駆けつける。
炎のトライブに看取られながら、「未加、あなたを殺さずに済みました」とつぶやくオメガ。
そこへ残りの九人が駆けつけたのだが、その時胸のランプが全部赤に染まり
オメガの頭が輝きだした。

とっさに未加たちから離れ、駆け出すオメガ。
しばらく後──── 未加たちの見守るなかで、オメガは自爆してしまった。
グランセイザー全員と会ったことで道連れするために自爆するプログラムが仕込まれていたのだが、
最後に自律思考回路の働きが蘇り、グランセイザーから離れて自爆する道を選んだ。

十二人はその光景を、力なく見つめていた。
ウォフ・マナフの卑劣な手段に怒りを露にする天馬。 
そして、ここからがもっと大きな戦いの始まりとなろうことも皆感じ取っていたようでもあった。


【レビュー】

第三部ラストに向かう今回は、プロジェクト・オメガという「グランセイザー抹殺計画」を軸にした物語。
前回のレビューでも触れたように、やはり未加は話の添え物程度に終始してしまった印象が強い。
一応それなりにオメガと未加の関わりは提示されては居るのだが、それ以上に
プロジェクト・オメガという大きな話の流れに埋もれてしまったのは惜しい。
せめてもう少し、未加とオメガの交流を描いていればこの回での関係の描写も意味が強くなるのだが・・・。

そして巨大戦が久々に行われたのだがこちらもかなりあっさり。
ラピッドセイザー(背中のキャノン砲)、ブラストプレッシャー(右腕でのパンチ)、
ストームスピアー(目からのビーム)など、劇中でようやく出てきた技名や技が登場する以外は
いまいち物足りない戦いとなってしまったのは残念。

しかし、その話のできはさておきこれでいよいよ第三部ラストへ雪崩れ込むことになる


【特撮の見どころ】

・爆破されていく国防省施設
・オメガVSダイセイザー

同じく前後編であったロギア復活編と比べると、どうにも特撮の見どころも減少してしまっている。
第一部・第二部の最終エピソードでももっと見どころがあったはずなのだが。
あと、国防省施設が爆破されていくのはともかく、あるカットで発破時にミニチュアの施設フェンスがグラグラゆれてしまっており
ここらへんは初期回の心配りを見ているとちょっと息切れを感じずに居られない部分だ。
あと、細かい部分だが今回ダイセイザーに合神した際、いつもタリアスがガルーダに乗っていたのだが
今回はミトラス。そのため合神時のホロスコープマークがちゃんとおひつじ座になっていた点は見逃せない。



さて、今回は地上でのグランセイザーVSオメガ編で気になったところがひとつ。

今回に限らず、グランセイザーの集団戦闘は東映のヒーロー物と違い
一糸乱れぬコンビネーションやそれぞれの見せ場をはっきり提示した上で組み合わせるコンビネーションという方向からは
かなり違う種類のコンビネーションを見せている。
今回で言うなら、二度目の戦闘でミトラスと合流した後のタリアス、リオンの殺陣や
さらにその後のダイル、トラゴス、ヴィジュエルたちが入り乱れての殺陣。

東映の作品になれた人から見ると非常にゴチャゴチャして見づらい印象を受けるだろうが
一度東映作品の、綺麗な殺陣を頭から取り去った上で見てみると
動きの流れを止めずに、緻密に組み合わさった殺陣であることがお分かりいただけるかと思う。
また、大抵東映作品でのコンビネーションは敵怪人に対してヒーロー側絶対有利の状況で見せられるものなのだが
本作においては、どちらかといえばグランセイザー側が戦いのリードを奪うべく奮闘している
その一貫としてのコンビネーションという意味合いが強く感じられる。

見かたによっては複数でも全く太刀打ちできないグランセイザー、というやや弱い印象すら与えかねない演出になるが
敵怪人が強力であるため、集団でなんとか立ち向かわなくてはならないという意味ではいい演出だと思う。