2013年11月22日金曜日

グランセイザー・第三十七話

第三十七話「イルカの日」
●<グランセイザー>弓道天馬、獅堂未加、獅堂剣、伝通院洸、反町誠、魚住愛、三上辰平
○<関係者・ゲストなど>堀口一郎、御園木篤司、沖田総一郎、マユ、紀子
★<敵>ゴルフィン星人

【辰平個人エピソード回】

<イルカと辰平>

OP前。 辰平の勤める水族館にてショーが行われている。
アシカの首へ輪投げをする愛、それを見て微笑む天馬、そしてシロイルカとともにショーに現れる辰平。
イルカたちの芸に場内からは歓声が上がるが、その中で一人だけ少女が佇んでいた。

OP後。ショーの後のプール沿いにて天馬と愛が辰平と会話。
辰平のそばにはシロイルカのミックが居る。彼は辰平が最初に水族館に勤めたときから世話をしているのだとか。
ミックとともに自分は水族館のスタッフとして成長し、一人前になれたと辰平は言う。
そんな彼は水族館の全イルカのリーダー格でもあった。
イルカの「会話」能力と言われているもの・・・超音波によって仲間同士で会話をする点を説明する辰平。
さらに、イルカには人の心を癒す力も秘められていると説明しかけたところで
ミックたちが先ほどのショーで佇んでいた少女のもとへ近寄って行った。 彼女はいつの間にかプール近くに来ていた。

少女の名前はマユ。 よく一人でミックたちのショーを見に来ていると言う。
そんな彼女の声をまだ辰平は一度も聞いたことがない。 家でもあまり喋ったことがないらしいのだが
母親いわくミックとだけは「会話」が出来る、のだとか。
そんな特殊能力があるなんて、まさかという一同に対して辰平は「あるかもしれないよ」と返す。
ミックに笑顔を見せるマユへ、ミックは頷いているかのようだった。



<異星人襲来>

水族館バックヤード。
そこに突如現れた謎の異星人。 怪音波を職員にぶつけ気絶させてしまった。
その現場に居合わせた辰平は異星人を追いつめるが、ギグファイターを呼び出し応戦する。
装着して立ち向かう辰平だが、異星人はギグファイターに任せ立ち去る。
逃げ去った異星人は、イルカのプールを見下ろして不気味な笑いを浮かべている。

洸の勤める病院。
先ほど異星人に襲われた職員は、全身の神経が麻痺してしまっているらしい。
内耳を酷く損傷しており、これに異常をきたすと平衡感覚を失うため、人間が運動する上では重要な部位。
これを怪音波をぶつけたことで損傷させたのだろう。
状況としては、耳の奥の神経が超音波か何かで焼ききられたような状態だったと言う。
しかし何故辰平の勤める水族館を狙ってきたのだろうか。

そして同じ頃。 水族館でイルカを眺めている客達。
イルカの目が紅く輝いたとき、怪音波が場内へ響き渡り、観客達が一斉にうずくまってしまう。
次々と病院送りにされてしまう観客達の阿鼻叫喚が聞かれるイルカコーナー。
その惨状を唯一、マユだけは物陰に隠れながら見つめていた。

所変わっていつもの研究室で御園木がこの事件の状況を説明。
イルカの生息地および飼育されている水族館に居るイルカから発せられた超音波が直接の原因となり
一般市民が次々と被害に逢ってしまっている。
その状況を看過出来ない政府は、被害拡大を防ぐべく該当生息地域から人々を引き離し
さらに全国の水族館の閉鎖を行うこととなった。
しかしイルカが何故超音波を使って事件を起こしたのか、その原因がわからない。

天馬は推理する。 先日辰平が遭遇した異星人がイルカの能力を利用しているのではないかと。
だがその異星人を目撃したのが辰平しか居ない以上、不確定情報の域を超えず
御園木も現状をどうにかしようとすることで手一杯のようだった。
また、沖田がPCを使ってイルカの被害状況を報告。 イルカの生息地を中心に、共鳴しあうかのように超音波の被害が広がっており
このままでは全世界でイルカによる被害により人類が滅亡しかねないと言う。

その前にグランセイザーの力を借りてこの事態を打開しようと言う御園木。
超音波発信源を逆探知で突き止めた結果・・・ シーパラダイス。辰平の水族館へとたどり着く。


<マユとイルカ>

再び辰平の勤める水族館。 そこでマユの母親が国防省の隊員ともみ合いになる。
イルカを見に行くといったきり帰ってきていないのだとか。
辰平がそれを聞いて警備を乗り越えていくと、怪音波が流れ辰平たちが悶絶する。
しかし無理やりマユを探そうと館内を必死に歩き回る辰平。

研究室では、飼育されているイルカのうち一頭がその怪音波の発信源であろうと推測がなされ
ただちにその一頭を捕獲・隔離しなくてはならないと作戦の方向が定まるのだが
グランセイザーといえどその怪音波に耐えられる保障はない。
それでも行くしかないだろうと天馬がシーパラダイスへ向かおうとする。 それに誠と愛も加わる。
万が一グランセイザーでもどうしようもなくなったなら、ユウヒを使い水族館ごとイルカを処分すると言う御園木。

そこへ沖田が、現地からの連絡を受ける。 少女が一人水族館に取り残されているとのこと。
辰平がマユを助けに行こうとしていることも伝わっており、辰平との合流を急ぐ三人。
しかし水族館にたどり着くと怪音波により三人も悶絶させられてしまう。

館内。 装着して少しは怪音波の影響から逃れようとする辰平は
マユを下の階で発見、助け出そうとするのだがマユは逃げ出してしまう。
イルカのプールまで逃げ込んだマユだが、ギャンズが立ち入るとプールから怪音波が轟きだす。
その発信源はミック。
やがて装着が解けてしまう辰平。
このままでは死んでしまいかねないピンチに、マユがミックへ声を出して呼びかける。
その声を聞いたミックは意識を取り戻し、それと同時にミックから光が飛び出す。

ミックに憑依していたゴルフィン星人がたまらず飛び出したのだ。
そのゴルフィン星人を追いかけたギャンズだが、怪音波により苦しめられてしまう。
天馬たち三人はマユを助け出す。 しかしギャンズがゴルフィン星人に苦しめられていることを知り
天馬と誠は愛をマユのもとに残してギャンズのもとへ駆けつけようとする。
合流したタリアスとゴルビオンだが、やはり怪音波により苦しめられることとなりピンチが続いてしまう。

正気を取り戻したミックは、マユと顔をあわせた瞬間に超音波を発する。 その超音波は近くのイルカたちにも伝わり
その伝播した超音波がゴルフィン星人の怪音波を打ち消していく。
やがて身動きが取れるようになったタリアスたちだが、戦いはギャンズが引き受けることになる。
イルカを悪用したことへの怒りがギャンズを突き動かす。
ハルニコスを構え、必殺技の大海嘯切断を浴びせゴルフィン星人を倒したギャンズ。
ミックへ勝利を告げ、ミックもまた喜んでいるようだ。

後日。
イルカショーを見つめる天馬たちとマユ。
ミックがマユへ何かを語りかけると、マユもミックの名前を呼び応える。
「ミックがね、ずっと友達でいようって!」と、天馬たちに教えたマユは、無意識のうちに人と喋れるようになっていた。
和やかなムードのままEND.


【レビュー】

辰平メイン回である。
今回はマユとシロイルカのミックとの絆が解決への突破口となった話だが
むしろ今回は、イルカにまつわる話や怪音波による被害で、耳の内側が損傷を受けるという医学的なネタなど
全体的には生物・医学的な知識が散りばめられて話が進行している印象が強い。
もっともただのウンチクに終わらず、話のスパイスとして有効に働いている点は評価が高い。

そしてこの怪音波騒ぎに対する国防省および政府の対応や
御園木の、辰平以外が異星人を見ていない以上不確定情報であると断じた点や
いざとなればユウヒを使ってでも発信源のイルカを処分すると言い切る部分など
ヒーローものの中では比較的現実的な対応で話を進めているのも印象的だ。

だが、後半になると超音波で人が倒れる描写もやや説得力の欠ける部分が出ており
(マユの母親が、駆けつけた天馬の呼びかけに普通に答えてしまうくだりなど)
ややツメの甘い箇所があるのは残念。

今回、ようやくギャンズの必殺技がお披露目となっている。
ゴルビオンのデ・ストームと同じ方向性のエフェクトに注目。


【特撮の見どころ】

・大海嘯切断

デ・ストームと同様、ギャンズの背後から波飛沫の合成が入り見た目のインパクトは上位に食い込む。 
というより水のトライブだけやけに必殺技の描写が優遇されている気がしなくもない。
今回強いて言うなら超音波の描写のエフェクトが、空気をゆがめているモノとなっていたり
何かしらの光芒を持った波だったりと若干統一性に欠けてはいるが映像としては悪くない。


今回も気になる部分がひとつ。
本作は細かい演技の部分も注目できる点だろう。
前回「さらば相棒!」の仁と真司(フリード)のやり取りもそうだが
あまりオーバーリアクションというか、判り易い演技ばかりで押す会話だけではないのが良い。
今回で言うなら、序盤で愛がマユにはじめて声をかけるシーンで、横にいた辰平が顔を背け視線を下げてしまうカットと
研究室での天馬が推理した後で未加の突っ込みにたいして天馬が返したあとの未加の表情など
意外と会話を受けた演技がところどころで散見されるのが面白い。
初期に比べたら、キャストたちや監督たちも細かい演技を入れる余裕が出てきたということだろう。