2013年6月2日日曜日

グランセイザー・第二話

第二話「発動!ドルクルス」
●<グランセイザー>弓道天馬、獅堂未加、獅堂剣、伝通院洸、雨宮涼子、秤谷仁
○<ゲストなど>堀口博士、佐伯カリン


<グランセイザーに関わりたくない天馬>

第二話序盤。とある病院。
伝通院洸が勤めているが、彼は院内では指折りの名医と評価されている。
屋上に来た洸が、佐伯カリンと電話で会話する。
前回覚醒した天馬は、まだ自分がグランセイザーである事実を中々受け入れられないから戸惑っているのだろうと洸。
しかし、平和を愛する風のトライブである洸たちと違い天馬は好戦的な炎のトライブ。
自分の使命すら理解しようとしない天馬は、地球を破滅に導くだろうと断言するカリンに対し
とにかく自分に任せて欲しいと電話を切る。  そして、レムルズへ装着しいずこへと飛び去る。


天馬の下宿。  剣が直々に呼び出しに行くもそれを追い払う天馬。
未加たちと会ってほしいと詰め寄る剣だが、それを振り切って逃げていく天馬。
廃工場で隠れ、うまく巻いたのだがバイト(ジェット便)に遅刻してしまい落胆。
しかしその直後、レムルズの攻撃を受け足止めを食う。
そこに雨宮涼子も現れ二対一となってしまう。

自分の運命を受け入れろと天馬に告げるレムルズだが、それを拒絶。
やがて涼子もヴェルソーへ装着し、天馬へ攻撃を仕掛ける。
セルクロスを投げつけ、あわやのピンチに未加・・・セイザーミトラスも駆けつける。

状況は二対一のまま、天馬はこの戦いを傍観するのみ。
ヴェルソーとの戦いに気をとられているミトラスへ向け、ファイナルジャッジメントを叩き込もうとするレムルズに気づいた天馬が
レムルズへ石を投げつけ攻撃をそらす。  のだが、ファイナルジャッジメントはミトラスを掠めてしまい吹き飛ばされる。

装着が解けた未加を見て怒りに震える天馬。そしてタリアスへ装着しレムルズ・ヴェルソーへ戦いを仕掛ける。
セルクロスを、タリアスがバーニングファルコンで叩き落したところで風のトライブ二人は退却。

戦闘後、気づいた未加と天馬が会話を交わすが
何故自分がグランセイザーになってしまったのか、その理由を明かすべく天馬を再度
兜山遺跡へ連れ出す未加。



<超古代文明の遺した物>

兜山遺跡では、堀口博士が天馬を待ち構えていた。
訝しがる天馬に博士があるモノ・・・ 水晶板を見せ、それを触るよう促す。
そして天馬達の周りが急変。映像が投影されたのだろう。
超古代文明が残した情報伝達装置、と説明する博士。

数億年前の地球には、今とは比べ物にならない高度な文明が栄えていた。
さらに進歩を願った超古代人は、やがて「超星神」を生み出すことになったが
何者かが宇宙から現れ、古代地球へ攻撃を仕掛ける。
その攻撃から地球を守るべく超星神が出撃し立ち向かうが、結局は敗れ・・・
地球文明は、一度滅亡してしまった。

しかし、古代人類は再び地球に危機が訪れたときを見越して
超星神とグランセイザーを遺したという。
地球を守るために、 古代人類の遺伝子を持つ人間たちに地球の守りを託した。
その上、グランセイザーには複数のトライブが存在しており、各トライブには3人が存在。
3人揃ったとき、トライブごとの超星神が起動すると博士。

炎のトライブは天馬と未加の二人が居るが、あと一人が居ないと炎のトライブ用の超星神が起動しない。
天馬にはグランセイザーの遺伝子があり、今の地球を守るために天馬の力を必要としていると力説する博士。
だが、当然ながら地球を守るなんて話は荒唐無稽な上に規模が大き過ぎると断る。
未加と口論する天馬は、未加に自分の生き方は自分で決めるだけだと叫ぶ。
自分の生き方とは?と詰め寄る未加はさらに自分勝手だとなじる。
平行線となる言い合いを強引に切り上げ、立ち去る天馬。


<兜山遺跡に現れる巨大な神>

カリンのアジト。
炎のトライブより先に超星神を見つけたい涼子たちの前に、一人の男が姿を現す。
彼の名は秤谷仁。  彼もまたグランセイザー。
つまり、風のトライブは三人揃ったのだ。 これにより超星神を起動させられると判断した洸は
二人を連れて兜山遺跡へ急行する。

それを見守るカリンは、地球の言語とは思われない言葉を喋り、宇宙空間に待機していた宇宙船と交信する。
佐伯カリン。彼女もまた何者なのか・・・?


バイクで兜山から去ろうとする天馬だったが、博士や未加の言葉が頭に残ってしまい
一度停止すると、次の瞬間には山が大きく揺れだす。
遺跡発掘現場では、三人の風のトライブがナックルライザーを合わせ光を放出。
その光は、遺跡の中のある一点へ降り注がれ――――――

ついに、風の超星神・ドルクルスが起動した。

天馬が遺跡へ戻ると、風のトライブ三人が宣言する。
お前達炎のトライブにもはや勝ち目は無い。超星神の本当の力を見せてやろう。
そういってレムルズがダイヴイン。 天馬たちへ攻撃を仕掛ける。
怒り心頭、天馬と未加が揃って装着を果たしドルクルスへ立ち向かう。

ドルクルスの雷撃をかわし駆け出すタリアス・ミトラス。戦いの行方やいかに?


【レビュー】

第二話はアナログ特撮の部分は少ない代わりにデジタル特撮の比重が高い回であろう。
そして巨大ロボ戦はもうしばらく後となるので、この1、2話は地味に映るが
これまた地味なところで特撮をアピールしているあたりは意地の様なものが感じられる。
物語だが、ここでは天馬がグランセイザーとしての戦いを受け入れていく話となる。
これでようやく天馬を中心としたグランセイザーの物語が進んで行くというわけだ。

風のトライブ側が早速三人揃い、超星神ドルクルスが起動してしまう。
三人目である秤谷仁は、今回こそまだ大人しいもののこれから話が進むにつれて
独特な「チャラ男」キャラで物語に緩急の「緩」をつける存在となっていくのである。
しかし先に敵対している側の超星神が起動してしまうあたり、一筋縄じゃ行かない作品だ。

話のほうは、視聴者そして劇中の天馬たち炎のトライブたちにも
超古代文明の存在と滅亡、そして超星神とグランセイザーの存在の理由について明かされることとなる。

今回は前回からは若干要素に対しての謎が明らかになり、その中でグランセイザーの力に戸惑う天馬が
やがてグランセイザーとして戦うことを決意するに至るドラマを描いている。
この当時のヒーロー物(主にクウガからの平成ライダー四作)で割と前面に押し出されていた
「何故この力を持ったのか?」「この力でナニをすべきか?」という問いかけは本作でも行われるが
天馬についてはだいぶ勢いでグランセイザーとして戦う道を選んでしまっており
このあたりが当時は「バカキャラ」扱いされる一端となってしまっている。


もっとも、後の話になるにつれてただ直情径行なだけじゃない一面も地味に提示されていくのだが
まだこの時点ではそうした細かい部分は出てこない。
ただし、天馬自身の発言・・・  「殴られたら殴り返す。 殴ってこなければ戦いは終わりだ」
は、既にこの時点で自身の口から語られている。
#実際は「殴られたら殴り返す」の部分だけ。後半は後の話に出てくる。 本作においてある意味重要な価値観である。


【特撮の見どころ】

・水晶板からの投影映像
・炎のトライブVS風のトライブ
・バーニングファルコン、ファイナルジャッジメント他の技
・遺跡から飛び立つ超星神・ドルクルス
・カリンと交信する宇宙船

水晶板・・・博士が天馬を促して触らせた際に現れた映像のシーンだが
ここでは実景が消え、CGによる宇宙…そして第一話アバンが天馬たちのバック(?)で繰り広げられている。
(ただし天馬が石版に触れてから数秒と、博士の会話が終わる直前の数秒のみ)
地味だが、合成にも力が入っていることを現すシーンと言っていいと思う。
人物との境界もほとんど違和感なくつなげられてることもポイントは高い。


レムルズ他とタリアス他の殺陣は東宝作品・・・特に超星神シリーズ特有の画作りが見られることに注目。
具体的には
「引きの画で、なるべく全体を見せる」
「カットを最小限に抑えたシーンの演出」
「ひとつのカットをやや長めに見せる」
といった画作りの傾向があるようだ。

これが東映となると
「全体はさっと見せる程度で終える」
「カット多用により、シーンのメリハリを付ける」
「カットは短い。またどちらかといえば役者やキャラの顔などをアップにした会話シーン多し」
これくらいの違いがあるようである
(ただしこれも戦隊とライダーで若干の差異がある)

今回の殺陣も、タリアスのパンチをかわすレムルズの会話シーンも横からやや引き気味に写していたり
そのレムルズがタリアスのキックを後方ジャンプでかわすシーンを1カットで見せたりしている。
また、アクション中や別の人物が会話している際に画面外から他人物が会話に入ったりと、
あまり他社作品では見ないパターンの演出が多い。
(東映などでもあるにはあるが、大抵敵や仲間を呼びつける時などに用いられている。)

細かい部分ではあるが、上記のような演出の方向性はセイザーXまで徐々に変化しつつも残っていったものでもある。
最後まで残ったアキレス腱とも言えるが・・・。

ドルクルス起動についてはノーコメント。
特撮としての見所といえば…強いて言うとドルクルスが起動しだすシーンの、瓦礫の中から飛び出そうとするシーンくらいか。

風のトライブ三人を兜山遺跡へ向かわせた後、ペンダントを片手に何かの言葉を呟きながら
大気圏外の何かに通信をしているシーン。
このへんも引きの画であるからかいまいち地味目に映る。