2013年6月15日土曜日

グランセイザー・第九話

第九話「戦慄!カリンの正体」
●<グランセイザー>弓道天馬、獅堂未加、獅堂剣、伝通院洸、雨宮涼子、秤谷仁、神谷豪、早乙女蘭
○<ゲストなど>堀口博士、御園木篤司、佐伯カリン 


<謎の龍の正体>

ホテルの一室にて、堀口博士と御園木が謎の龍について話し合っている。
NASAの研究者によると、昔から衛星軌道上には巨大な龍が居ると噂されていたと言う。
様々な憶測が出てくる中博士は「あれはクラウドドラゴンだ」と結論付ける。

一方そのクラウドドラゴンは、前回回収したガルーダを修理していた。
ガルーダの破砕した羽も、クラウドドラゴンによる修復が完了しているようだ。



<カリンと涼子>

一方、涼子はカリンと決別する方針を固めていた。
仁がそれを追うところを謎のサングラスの男が見つめているのだが
次のシーンでは御園木が「作戦を実行しろ」と指示を出している。

ある場所にてカリンと遭遇する涼子と仁。 サングラスの男はそれに気づき身を隠す。
そして烏森にある別の隠しアジトと思しき場所へ風のトライブとカリンが集まり言い争う。
カリンの制止を振り切ろうとする涼子が装着しようと身構え、続いて洸も構えた次の瞬間
謎の特殊部隊がアジトへ乗り込んでくる。

銃声が轟く中、カリンはペンダントからの怪光線により兵士たちを倒し
またヴェルソーも特殊技「ヴェルソーイリュージョン」を用いて兵士の一群の気を失わせ
アジトから脱出する。


<御園木の正体>

先ほどまで風のトライブたちの居たアジトへ赴く堀口博士。
御園木によって呼ばれたのだが、そこで彼の正体が明かされる。
国防省・特命課課長と名乗った彼は グランセイザーの力を国防の為に利用すべく
今まで堀口博士に資金援助を行っていたのだ。

しかし堀口博士は「宇宙からの侵略者から地球を守るためのグランセイザー」という立場から
御園木の方針に反発。
アジトから飛び出そうとしたところで後のレギュラーとなるキャラ…沖田により制止される。
先ほどの風のトライブのアジトへ部隊を仕掛けたのも御園木の差し金であったが
彼は風のトライブよりはカリンを敵対視しているようだ。


<博士の行方、そしてカリン>

博士を待つ炎のトライブ一同の居る研究室に御園木が現れる。
「風のトライブは内部分裂を起こした」
「博士とは連絡が付かなくなったが、通信端末を残していった」
「恐らく風のトライブが博士を捕まえているだろうから、見つけたら端末で知らせるように」
そう伝えて立ち去る。

豪に協力を仰ぎ捜索に出る炎のトライブ一同。

その豪が、仁の乗っていた車の前で倒れていると仁と涼子が戻ってきて
謎の人物と対峙。
仁は吹き飛ばされ涼子と1対1となるが、声でカリンと気づく涼子。
彼女の正体は「アケロン人」を名乗る。

天馬と未加が合流し、続いて豪も目覚め4対1となる。
トラゴスが一撃を食らわせた後、背後からタリアスがバーニングファルコンで乱れ撃ち。
吹き飛んだカリンが起き上がると、アケロン人としての姿とカリンの姿が入り乱れる。
光線を一撃食らわせた後に空へ逃げるカリン。

そして素顔に戻る一同は打ち解けあい、ラストはそれぞれの乗り物に乗って移動するシーンで〆。


【レビュー】

この回は巨大戦が無い上に等身大の戦闘自体も短めで若干物足りなさも感じるかも知れないが
話がここで大きく動く、物語上重要な回である。
とりわけ御園木および国防省が物語に関わり出す点は無視できない。
何故なら今作においては彼等が影のファクターと化してくるからだ。

御園木が作中中盤、堀口博士を軟禁する下りはじょじょに結束しつつある炎と大地のトライブの演出に一役買っているが
同時に、御園木(国防省)と堀口(グランセイザー側)のそれぞれの立場の相違によるストーリーの揺らぎも注目点と言って差し支えない。

後々の話になってしまうが、実は全話通して観ると国防省とグランセイザーは同じ
「異星人の脅威に対処する」方向性自体は同じでも
国防省はあくまで日本そのものの防衛のための組織であることと、
グランセイザーは地球自体を守るために戦うグループという大きな差異があり、
既にこの回と次回でその食い違いが見られる。


従来のヒーローものでも、公的機関とヒーローの共闘はいくつも見られた。
仮面ライダーではFBI所属の滝和也が、そして2000年の仮面ライダークウガでも一条刑事を初めとした警察側の人間たちが代表的であるが
劇中の彼らはヒーローへの協力者のひとつという位置づけになりがちではあった。
クウガの時は特に、警察が積極的に協力している構図が目立つ。

そして本作。 
パッと見ではそれら従来の作品達となんら変わらないように見えるのだが先ほども述べたように
守る側としての立場の相違によって一種超えてはいけない一線というものが表現されていることに注目できる。
もっともその真価は、のちの話になっていかないと見えてこない部分でもあるが・・・。
#具体的には13話以降、そうした点を注目して観てみると興味深い。


またドラマ面はもう一つ。 ついに風のトライブのうち涼子と仁が炎・大地のトライブ側へ組することになる。
第七話から涼子はカリンの行動について疑念を抱いていたためこれは納得のいく流れだが
仁の、気軽に涼子と一緒についていく点が面白い。

そして涼子たちにそう決意させるに至ったカリンの正体・・・ アケロン人。
第一部のストーリーとドラマは、グランセイザーの結束・異星人の侵略に対する地球側の団結というストーリーラインをもって加速していくことになる。


【特撮の見どころ】

・クラウドドラゴンによる修理を受けるガルーダ

このシーンのクラウドドラゴンおよびガルーダはCGだが、それぞれが動くごとに光源が
しっかり変わっているあたりが細かく、また太陽光が強いため影も当然強い。

ここでの戦闘は腕の伸びるカリンや、カリンの放った光線で破砕されるゴミ箱などにVFXを使用。
遠景の多い東宝の画作りにはよくマッチした映像である。