2013年6月6日木曜日

グランセイザー・第六話

第六話「激突!風と炎と大地」

●<グランセイザー>弓道天馬、獅堂未加、獅堂剣、伝通院洸、雨宮涼子、秤谷仁、松坂直人、神谷豪、早乙女蘭
○<ゲストなど>堀口博士、佐伯カリン 

監督:村石宏實      脚本:大川俊道


<セイザーヴィジュエル、覚醒>

カリンのアジト。
大地のトライブのうち二人まで仲間になったら不味いと洸。
しかし蘭が居る限りは超星神起動はムリだろうとカリンが言うと、ジュンヤ救出の約束が果たされていないことで訝しがる蘭。
結局蘭は飛び出していくことになる。  追いかける仁。


交番。
勤務中の豪に、蘭が大地のトライブかもしれないんだと天馬が言うのだが
グランセイザーの使命より地域の安全を守ることが大事なんだと、取り合おうとしない豪。
そこへジュンヤから連絡。 自首したいということで、自分の居場所を教えたところで連絡が切れる。
リュウジが、ジュンヤを殴り飛ばして金を積んだ車の場所を聞き出そうとする。

蘭から連絡が入り、それを受けるリュウジ。
廃車置場に今居るとうっかり答えた蘭。 そこへジュンヤと向かうと言い残し連絡を切る。
だがジュンヤは殴り飛ばされ気絶してしまう。

しばらく後でジュンヤと落ち合う天馬と豪。
北町の廃車工場にリュウジが居ると教えられ、豪は一人向かう。


廃車工場に来たリュウジだが、蘭は息を潜め隠れている。
そこへ豪も合流。 ジュンヤは既に保護し、強盗殺人の件も実行犯ではないことを蘭に告げる。
安堵する蘭だが、それをリュウジが発見し銃を向ける。
豪が庇うが、スクラップの下敷きになってしまう。
トドメを刺されそうになる豪を庇おうと蘭が立ちはだかる。
リュウジを許さないと怒りながらつぶやく蘭の左手甲にはホロスコープ。

さらに電撃が蘭の体を包むと、セイザーヴィジュエルへ装着。
リュウジの銃撃を跳ね返し、旋風脚で蹴り倒すヴィジュエル。 気絶したリュウジ。
豪が手錠をかけようとする。 そこへ天馬も合流。
天馬は蘭に、俺たちと同じグランセイザーだと説明。 安心したのか笑みがこぼれる蘭。
その一部始終を車から眺めていたのが仁。


<獅子王砂丘~ドルクルス強襲>

警察病院。
リュウジ逮捕後、炎のトライブと豪・蘭の五人は堀口博士に呼ばれ獅子王砂丘へ。
さらにカリンのアジトでは、先ほどの一件を報告する仁。
三人の大地のトライブが覚醒した以上、一刻の猶予もないとカリン。
ドルクルスを使ってでも全員抹殺しろと命令が下った風のトライブも獅子王砂丘へ向かうことに。


夕暮れの迫る獅子王砂丘。
しばらく砂丘を歩く五人が博士と落ち合ったその時 ドルクルスが飛来し攻撃を加える。
迎撃のため五人が装着し、ウォーリアモードへ変形したドルクルスと対峙。

炎のトライブは超星神・ガルーダを召還。
ここでウォーリアモードに初変形するガルーダ。遂にロボット戦が開始される。
殴り合いから距離をとってキャノン砲で攻撃するドルクルス。
そして再び接近する両者。  砂塵を上げながら詰め寄りまた殴りあう。

ガルーダがドルクルスの角を握ると電流が走り、幾度となくたじろぐ。
距離をとったガルーダが必殺技「ファイヤーバード・スラッシュ」を放つ。
ダメージを負ったドルクルスは奥の手・セイザーギアを装備。 これはレムルズの手持ち武器
「アイアンゲイル」を超星神でも使えるモードである。
そこからは圧倒的な火力に押される一方のガルーダ。
撃たれながらもホバーで横へ逃げるガルーダ。 次第に攻撃があたる回数が増える。
レムルズの必殺技「ファイナルジャッジメント」を放つドルクルス。 大ダメージを受けるガルーダ…。


<一方、残りの風のトライブVS大地のトライブ二人>

砂丘では博士と共に逃げるヴィジュエルとトラゴスだが、そこへヴェルソーとダイルが立ちはだかる。
博士を逃がし、2VS2の戦いへもつれ込む。
その四者が入り乱れて戦っている一方、逃げる堀口博士の目前に直人が佇む。
彼はガルーダとドルクルスの戦いを静観しているようである。
博士は叫ぶ。 仲間が待っているんだ。 早く合流して大地の超星神を召還するんだ、と

猛攻により防戦一方のガルーダ、不意に足元の砂丘が突如崩落して体勢を崩す。
堀口博士が直人に再度超星神召還を促すと、タウロンへ装着。 他二人が戦っている地点へ姿を現す。
そして遂に大地の超星神・ガンシーサーの召還となった。


空へ延びた光芒が、途中で三方向へ分れ砂丘へ落ちる。
落ちた地点から砂柱が舞い上がり、三つの砂柱が交わったときにガンシーサーが姿を現す。

ドルクルスへ砲撃・体当たりを仕掛けるガンシーサー。
ドルクルスが怯んだスキに立ち上がるガルーダ。
そしてガンシーサーもウォーリアモードへ変形。
最後はガルーダの爪攻撃によりドルクルス撃退。

戦闘後、ガルーダから飛び出すタリアス。ガルーダの胸から光が飛び出し、地上へ着地するとタリアスが現れる。

ラストはガルーダ・ガンシーサー両機が夕日をバックに立ち尽くすカット。


【レビュー】

ストーリーとしてはついに大地の超星神・ガンシーサーが登場する重要な回ではあるが
一方で前回からの話の流れが大胆にも一気にぶった切られてしまっている。
まあ今回はガンシーサー登場に話題が持っていかれているので、仕方ないのだが。

ただウォーリアモードに変形しただけのガンシーサーと
ウォーリアモード初変形なのに見せ場が地味なガルーダと
第二話から出てきているからか活躍が目覚しいドルクルス。
何か引っかかるものはあるが、この回は久々にミニチュア特撮によるバトルが展開された回。
舞台が砂丘ということで地味な印象は拭えなかったがイベントを織り交ぜることで、退屈させないように
配慮もなされた回ではなかろうか。

アイアンゲイルによる攻撃シーンは、ドルクルスの主観映像を交えながらガルーダを追い詰めるという
シチュエーションを巧く演出している。



【特撮の見どころ】

・ガルーダVSドルクルス
・ガンシーサー初登場

ドルクルスが砂丘にてキャノン砲で天馬他四人を攻撃する画があるが、ここで着弾時に舞い上がる砂柱が細かいながら
しっかり砂丘での戦いであることをアピールしていて良い。
(他社なら恐らく普通の爆発エフェクトを使っているであろう)

そして今回はガルーダの初ウォーリアモード変形。
空から飛んできて砂丘へ近づくと同時に変形・着地するガルーダだが
その勇姿はかなりアッサリ目に見せる程度で、直後にタリアスがダイヴイン→戦闘へ移る。
意外なくらい簡単に見せてしまったガルーダの初ウォーリアモードであった。
ドルクルスのほうがもう少ししっかり見せていた気もしただけに、若干肩透かしを食らったような。
しかしロボット戦はかなりの迫力である。
移動時はなんと両者ともホバー移動。 砂丘であることを考えればベターな移動方法かもしれない。

ファイヤーバードスラッシュを初めて放つガルーダだが、
両前腕から延びた爪を、手を挙げながら展開するカットのVFXが中々カッコイイ。
(ガルーダの背面に炎の羽のエフェクトが一瞬燃え上がる)
さらに、ファイヤーバードスラッシュを振るう際、爪の光をガルーダのボディにも反射させていることが目を引く。
おそらくスポットライトを用いて、暗めに光を当てているのだろう。

セイザーギア装着後のドルクルスの攻撃を浴びた際、ガルーダのコクピット後部視点に移るのだが
ここでモニターにノイズが走るという演出も芸が細かい。


さらに今回は、大地のトライブ用超星神・ガンシーサーも登場。
ガンシーサーは基本ミニチュアだが、タウロンがダイヴインして起動してからはCGも織り交ぜている。
(ダイヴイン直後の咆哮はCG。ドルクルスへ攻撃するカットはミニチュア)
そして、ドルクルスへ向かって駆けて行くガンシーサーはミニチュアを合成している。
このとき砂塵をCGによって表現している。
また、ガンシーサーが吼えるカットがあるが良く見ると唇?がそれにあわせて動いている。
このあたりの合成が細かい。

昔はこのシーン、ネット上で「超獣戦隊ライブマン」のランドライオンが駆けるバンクと比較されたこともあり、
その当時はライブマンのそれより評価が低めだったのを覚えているが
今見返すと中々悪くない。 砂丘のセットとの色調も違和感は薄い。
そもそもランドライオンの特撮シーンは「地面を動かして、脚を動かすランドライオン」という見せ方であり
ガンシーサーはいわゆる「コマ撮り」、もうちょっと専門的に言えば「ストップモーション」であるため
見せ方の違いが露骨に印象の差として現れただけに過ぎない。



巨大戦はさておいて、問題は他の合成。
第五話の蘭がパトカーから飛び出すシーンの合成もややチープだったが
この旋風脚のシーンもコマ撮りのような感じでヴィジュエルが回転しており
前回よりもさらにチープな合成になってしまったように感じた。

また、グランセイザーで特に見られた問題点として「情景をよく見せすぎる」という点がある。
上記の旋風脚もそうなのだが、東宝は基本的に「カメラは引き」で画作りをしているせいか
その状況によってはかなりチープな画ヅラになってしまう欠点もある。
とは言え、欠点も含んだこうした特長を強く打ち出す姿勢は悪いものではない。
無意識でそう演出している部分もあるだろうが。