2013年6月5日水曜日

グランセイザー・第四話

第四話「死闘!大地の戦士」

●<グランセイザー>弓道天馬、獅堂未加、獅堂剣、伝通院洸、雨宮涼子、秤谷仁、松坂直人
○<ゲストなど>堀口博士、御園木篤司、佐伯カリン 

監督:鈴木健二    脚本:石井博士


<新たなるトライブ>

テレビニュースによって前回の山火事は「落雷による山火事」扱いになったことを知る炎のトライブ一同。
ひと段落ついたところで堀口博士は協力者・御園木と連絡を取り
「ああいうことにしておいた」とその御園木が語る。
また、風のトライブとそれを裏で操る謎の女・佐伯カリンについての情報も収集中とのことだが
このマスコミを通じての情報操作すら容易く行える御園木という男は一体…?


ジェット便で仕事中の天馬。 走行中その目前にセイザータウロンが突如立ちふさがる。
勝負だ!と言い放つタウロンについていき装着、戦うタリアスだったのだが
格闘戦では圧倒的に分が悪く、戦いの主導権を得ることなく敗北してしまう。
装着が解けた天馬に、大したことないなと吐き捨て退場。

研究室では、負傷した天馬に対して博士が風のトライブにやられたのか?と問うが
見たことの無いグランセイザーだったと言われ、いつまでこんなことが続くんだ!と激昂する博士。
先の見えないグランセイザー同士の潰しあいに怒りを隠せない。


洸の普段の職業は医師。 勤め先の病院へ現れる「松坂直人」。
看護師たちの噂話によれば松坂は格闘家である。 しかし最近は試合をしていないとのことだ。
そんな直人が、洸を呼び出す。 左手甲にホロスコープが輝くのを認めた洸は
牡牛座・・・大地の戦士!と驚愕、屋上へ。

気が進まない洸だが、赤いヤツはもうちょいマシだったぜと吐き捨てる直人。
そして、このグランセイザーの力は一番強い奴を証明するためにあるんだろう?と言った後
タウロンへ装着を果たす。
次いで洸もレムルズへ。 屋上から平原へ舞台を移し戦う二人。

格闘戦ほぼ互角の戦いとなった両者。アイアンゲイルを使うレムルズだったが
ビクともしないタウロン。 仕返しとばかりにブルキャノンを出してくるのだが
そこへヴェルソーとダイルが現われ、続いてカリンも登場し戦いが終わる。


カリンは、力を授けられた者同士仲間である。 あなたにもグランセイザーとしての使命があるのだから、と直人に言う。
炎のトライブはその使命を理解していないから戦っているまでとも説明。
俺にもその使命とやらがあるのか?と直人はカリンに問うと、もちろんと返す。


未加の道場。   天馬が未加に稽古をつけてもらうのだが全く歯が立たない。
闇雲に殴りつけようとする天馬を軽くいなしつつ的確にダメージを与えていく未加。
不意打ちすら不発で、うなだれる天馬に対して未加は相手の動きを良く見るのとアドバイス。

急に使命感に目覚めるような人間じゃない。 やられたのが悔しいだけでしょ?と未加が冷やかす。
怒りを露にもう一本稽古をつけてもらう天馬。


<佐伯カリンが語る、古代地球人の戦争>

直人を自分達のアジトへ呼び寄せ、「記憶装置」を使って『グランセイザーの使命』を説くカリン。
第二話にて天馬が観た、古代文明人対宇宙連合の戦いが
「古代の地球人同士による戦争」と説明した上でグランセイザーは「選ばれた存在」と語る。
グランセイザーに選ばれた人間は、超古代人の遺伝子を持つ存在でもある。

ドルクルスの格納庫に場面が変わる。
直人はカリンから、大地のトライブにも超星神があると語る。
操縦者の技量でその性能は大きく変わる、それが超星神。
さらに「炎のトライブは地球を壊す害虫」扱い…すなわち敵と断言したカリン。


ジェット便事務所。
天馬への客だといわれ、天馬が逢ったのは直人。
場所を移しての会話にて直人が覚醒した話を語る。
前回、鳳凰山近辺まで赴いていた直人はトレーニングしようとそこまで来ていたのだが
鉄橋から覗いた超星神同士の戦いを偶然目撃。 
その時急に覚醒し出した直人はタウロンに装着。 河原のほうまで移動すると炎のトライブと風のトライブが戦っていたのだが
それを眺め感嘆の声を上げるタウロン。

そしてグランセイザーの力は、あくまで強さを追い求めるためにあると考える直人だったのだが
カリンに諭された直人は、グランセイザーとしての使命のため炎のトライブを抹殺しようと考える。
しばらく会話の後、互いに装着して戦闘。

少し殴りあった後、場面転換で採石場へ。 カリンが遠くで見つめている。
稽古の成果か、タウロンへ攻撃を当てられるようになっていたタリアス。
戦況が膠着しかかったところでドルクルスによる雷撃でジャマが入る。
タリアス・タウロン二人とも猛攻撃の中砂利に埋もれてしまう。

ドルクルスが去りカリンも消えた次の瞬間、砂利の中から出てくる天馬と直人。
風のトライブによる攻撃を目にした直人は、彼等との共闘を取り消すことに。
堀口博士の研究所で傷を手当てされている天馬と炎のトライブの会話でEND。


【レビュー】

今回も第二話同様、アナログ特撮よりデジタル特撮の比率の高い回であるが
放送当時と今見比べた感想のズレとして、思った以上に合成が自然で意外と特撮的な見所はある回という印象を受けた。
当時は陸橋のシーンなどは普通に流し見していたので、それだけ自然な合成だったという事・・・だろうか。

物語、今回から大地のトライブの一人である直人が登場。
今見返してもこの作品の、キャラクターの登場テンポは妙に速い。
ただ、今はこの性急なキャラクターの扱い方もやむなしとも思えるのは
これより先、話の規模が膨らむにつれて個人回などをじっくりやるようなスキがないからだろう。

原っぱでの戦闘シーンでは殴り合い→互いの武器を取り出すところまでで1セットだが
殴り合いのシーンはおおよそ流麗とは言えない殺陣である。
がしかしこれが一種リアリティのある戦いを思わせて、悪くない。
タウロンの、若干総合格闘技を思わせるような攻め方がポイントだがここらへんは同社の「七星闘神ガイファード」を
少しだけ髣髴とさせる。


タウロン「もっとも強い男が誰か教えてやるぜ。 付いて来い!」 
天馬「何?」              タウロン「恐いのか?」
天馬「ふざけんな!」

ここまでのセリフをカットで繋がず一気に見せきる。  
その直後

タウロン「ぶっ潰してやる!」
タウロン、天馬に飛び蹴り → 天馬のけぞり、タウロン歩み寄る → タウロン、歩きながら二発蹴る

ここまでも1カットで見せる。
第二話レビューでも書いた「東宝は1つのカットが長い」という部分がよく判る回でもある。
演出家によっては若干差異はあるものの、会話シーンにせよアクションシーンにせよ
「二人以上が会話している時に、やや引き気味に喋っている人間たちを映しながら一気に会話シーンを見せる」
という、ヒーローものとしてはやや独特な演出が特に初期は見受けられるようである。
東映なら上記2つの会話シーンの場合は最低でも2つ3つカットで区切りつつ喋っている人物をクローズアップして
映すパターンが多いが、こうした違いを意識しながら見ると同じヒーロー物でも
見せ方の違いで随分異なることが判って面白い点だと思う。

割と雑な感想として、東宝は怪獣映画風の撮り方でヒーロー物を撮っているとも言えるし
(放送の尺が違うのに)一般ドラマみたいな長いカットが目立つとも言える。
これは基本的には三作共通している特徴でもあった。

【特撮の見どころ】

・なし

強いて言えば、前回居合わせていた直人の回想シーン。
回想映像では、陸橋の上から第三話で見られたドルクルスが起動前のガルーダに攻撃を加えるシーンを
別アングルから捉えたものを遠景として合成。 ここも陸橋の鉄骨との自然な合成が目を引く。