2015年5月10日日曜日

セイザーX・第十六話

第十六話「超流!シャークリーガー」

[ネオデスカル:ガレイド]
未来恐獣デスバー登場

演出:市野龍一    脚本:河田秀二


<ブレアード出奔>

冒頭。
これまでの経緯を確認するシャーク。
カプセイザーG2にカプセルを保管していることが知れている事をアドが報告。
場所を変えてはと提案するが、シャークは敵の裏を掻くためそのままにせよと指示。
続いて拓人は未来―――――― ルーエ星はどうなったのかと尋ねるが、既に消滅したことが改めて伝えられる。
他の星のことについても、未来からの通信が回復するまで待つように伝え去るシャーク。

海底のドームに退避していたライオキャリアー内では、レミーと拓人が会話中。
あまりにそっけない態度を取るシャークに疑問を持つ拓人。ルーエ星のこともなんとも思っていないように見えていたようだが
レミーは意に介さず、シャークさえここに居れば問題ないと言う。


ネオデスカル戦艦内。
次の作戦を練るグローザ。 コスモカプセルを複数個用いてデスバーを強化しセイザーXへ仕向けようという内容。
その実行にはサイクリードが割り当てられていた。

戦艦の別の場所では、捕まってがんじがらめにされているブレアードをなじるアクアル。
そこへサイクリードが現われ、先述の作戦のためにコスモカプセルを四つほど持ち出していた。
アクアルは納得がいかないようでグローザの元へ立ち去ってしまう。
サイクリードが、ブレアードにスタッグ7を返させようとするが縛られているためとりあえず解けと言う。
このスキに逃げ出すんじゃないだろうなと言われ、なるほどなとつぶやいたブレアード。


ライオキャリアー内部では、未来からの通信が回復していた。
トビーによる現状報告の中に、ジャッカルによる奇襲の可能性を示唆していた。
現在未来ではネオデスカルによる攻撃がなされておらず、不審がっているトビー。
しかし、未来の歴史は間もなく変わり平和が訪れると報告を〆る。

ジャッカルとは何者か。
シャークは語る。そのジャッカルにより奇襲を受けたシャークは、そのスキにガレイドたちが
ワームホールへ侵入し2005年へワープした。
アドは、セイザーXが揃った今こそ逆に奇襲をかけるべきと提案するも
傷ついた身体を休めておくようにシャークは指示。
一連のやりとりを見て拓人は隊長のイメージと違うと吐き捨てるがケインは拓人と違って色々考えがあるんだとフォロー。

シャークベースの甲板に立ち、思案するシャーク。
ゴルドへコマンドパッドを用い何かを指示していたようだ。
艦橋内ではレミーがシャークの背後に立っていた。 いつぞやの、自分のことについてシャークへ尋ねようとしていたことが頭をよぎる。
シャークから声をかけられたが、何もないといって立ち去るレミー。
シャークは、レミーを見送るが・・・。


<新たなる潮流>

安藤家ガレージの前で、アドは難しい顔をして立ちすくんでいた。
宗二郎が手伝えとアドに促す。 戦艦の修理を続行していたのだ。
自分たちはこんなことをしていていいのか?とアドは言うのだが、宗二郎は
心配しなくても敵のほうから動いてくるだろうし、シャークはそれを待っているんだといってなだめる。

そんな中、コスモカプセル反応を察知する拓人。
ブレアードが五つのコスモカプセルを持ち出し出て行っていた。
激昂するガレイドだが、既にブレアードには発信機がつけられている。 セイザーXに奪われる前に取り返させると言い放つグローザ。


ライオキャリアー他の戦艦が、反応のある場所へ移動するが
通信ではアドが俺たちをおびき寄せるワナかもしれんと警戒しているが、ワナかどうか俺が判断するとシャークが割り込む。
G2からの報告では反応は複数。 おびき寄せるなら1つで充分と判断したシャークは
全員へ出撃命令を下す。  

その直後、ガレイドの戦艦からデスバーが現われる。
陽動作戦を怪しんだシャークは、グレートライオにデスバーを任せアドルイーグルとビートバイザーはその援護に
イーグル・ビートルの二人にはコスモカプセルを担当させた。
そして巨大戦の火蓋が切って落とされる。
肩の目玉にライオカッターを突き刺すが全く通用せず、ライオインパクトにより体内の弱点と思しき箇所へダメージを与えたと思いきや、一度解けて再度蘇るだけで特にダメージを受けていない。

一方地上でも、ブレアードと対峙するイーグル・ビートルだが苦戦中。
それを眺めるアクアルとサイクリードは、弱ったブレアードからコスモカプセルを奪おうと画策。


グレートライオがピンチに陥っていたその時、シャークベースが突如現われ変形。
流星神・シャークリーガーの姿を現す。
デスバーへすばやく攻撃を浴びせ、ハイドロスラッシュにより撃破に成功。
あっけに取られるライオに、切り札は最後までとっておくものだと諭すシャーク。
そして、イーグルとビートルの援護へ向かうように指示。

すぐさま合流するライオ。
ブレアードがなかなかカプセルをわたさないことに業を煮やす二人だったが、ライオは
そんならこいつごと戦艦に連れて行けばいいと提案。三人がかりでのしかかった後に転送させ、
まんまとブレアードごとコスモカプセル奪還に成功してしまう。
焦るアクアルとサイクリード。


シャークリーガー艦橋では、宗二郎が拓人について尋ねていた。
戦いに必要なのは立ち向かう勇気と諦めない強さ。 何も心配していないさとシャークは評していた。
宗二郎は安心したのか、よろしく頼むと言い残す。
続いてレミーが現われ、ブレアードを確保したことを報告。

シャークは、ルーエ星を守れなくてすまなかった。よく堪えてくれたとレミーに謝罪。
レミーの表情が和らいだその時、アドから通信が入る。
ワームホールからもう一隻の戦艦。

ジャッカル。
シャークはその戦艦の主を悟ったかのようにつぶやく。
ジャッカルとは何者か?


【レビュー】

シャークリーガー登場回であり、ブレアードが遂にネオデスカルから離脱する回。
もっとも最初から感情的な部分で不信感が強かったブレアードだったので、必然とも言える。
シャークの冷静沈着な性格の描写が徹底された一方、終盤ではレミーを気遣う発言もあり
拓人言うところの「隊長のイメージと違う」という人物像では括れない部分も見られる。

更に今回は、ワームホールへネオデスカルが先んじて侵入した原因であるジャッカルの存在が明らかになる。
どうやらシャークとは何かしらの因縁があるようだが・・・?


今回はシャークリーガーの戦いぶりを堪能できる回・・・ とは言うが、このシリーズ伝統ともいえる
ヒーロー側のアッサリした勝利という点はいかんともしがたい。
むしろ相変わらずのやられっぷりに目が行ってしまう。

この巨大戦、デスバーの弱点が肩の目だろう、とライオが言いだしたあたりはそれまでのシリーズの傾向を考えると一種メタなネタに思える。
川北自身によるネタなのか、河田秀二の織り交ぜたものかは不明だが、前二作から見ているファンからするとニヤっとする箇所だ。


また、今回は河田担当回だが前二作と違いメインの話の流れをしっかり受けた話のつくりをしていることに注目したい。
第七話(林民夫脚本回)での、レミーからのシャークへの問いを回想形式とは言え拾っていたりするのだが
実は河田秀二が、他の脚本家の回を受けた話を作ったのはこれが初めてでもある。
恐らくは林民夫と綿密な打ち合わせをしていたのだろうか。

他社作品を見慣れているヒーロー物ファンからすると「そこのナニがトピックなの?」と思いそうだが
このシリーズ、演出家はおろか文芸スタッフ間での協調がとれているように見えない回が多かったため
セイザーXで初めて他の脚本家同士での連携が取れているのは、それだけでも十分意味としては大きい。
#グランセイザーの野添梨麻氏や、ジャスティライザーの浦沢義雄氏といった例外もなくはないのだが。
#この二人はスポット的な起用にとどまっている。


もっとも、その協調が取れていないと見做せるのが大体河田秀二回なのはなんともいえないのだが・・・。


【特撮の見どころ】

・シャークベース
・デスバーVS流星神
・シャークリーガー変形バンク

山中での戦い。ここは特筆するべき部分は見当たらないが
ヘドラを思わせるデスバーの溶解液攻撃や、ライオカッターを突き刺しても通用しない体は第十四話でも見られたとおり。

ここでは初めて出てきたグレートライオの技(名称不明のバリアーと、胸のライオンから放たれるライオインパクト)が目を引くが
前二作と違い、ライオインパクトの発射時に技の説明がナレーションで行われている。
こういう部分は、確実に前二作の反省を踏まえた部分と見做せる。

シャークリーガーのハイドロスラッシュにより凍りつかされたデスバーの氷結描写は着ぐるみに塗料を吹き付けたものだろう。


シャークベースの甲板に立つシャークや、シャークベースが宙を浮いているカットを見るとちょっと輪郭がボヤけている。
合成の違和感を可能な限りなくそうという処置の一環だろうか。


今回初登場のシャークリーガーだが、三体の流星神と違いミニチュアによる変形シークエンスが描かれている。
後から加入していることもあるが、この流れはグランセイザーのリヴァイアサンをも髣髴とさせる。
グランセイザーでもやはり、最初の三大超星神はCG変形だったがリヴァイアサンだけミニチュア変形だった。
偶然の一致かもしれないが、これはこれで印象に残る差別化だろう。
#リヴァイアサンもシャークリーガーも水関係であることに注意されたい。