2015年5月2日土曜日

セイザーX ・第八話

第八話「由衣の休日」

[宇宙海賊デスカル]
宇宙海賊サンドストーム
ガダル星人 登場

演出:池田敏春    脚本:古怒田健志


<小型ソナー完成>

冒頭。ライオキャリアー内では前回の通信録画を眺め物思いに耽るレミー。
カプセイザーG2も困ったようなリアクションを取る。  そこへ拓人が、今日はもう帰るとレミーに告げ自宅へ。

自宅の自室では、シャークの一件でまだ考え込んでいるレミーについて拓人も何か思っていたようだが
そこへ由衣がCDを借りに現われる。 拓人の表情を察しレミーのことだろうと言い当てる。
女の子の悩みならあたしに任せてよねと由衣が飛び出していってしまう。
その途中、自分が明日は用事がないことを思い出し、ガレージへ下りる由衣。

ガレージでは、宗二郎とケインが徹夜で作り上げたコンパクトタイプのコスモカプセルソナーがあった。
性能は三割増しだが、これなら車に乗っていても街中をパトロールしつつ捜すことは可能となる。
由衣があたしも手伝う、と言って工具を差し込むと突如ショートしてしまった。
また徹夜だな、とこぼす宗二郎。

ケインに追い出される由衣だったが、自分もみんなの役に立ちたい一心での行動だったのだ。


翌日、朝のガレージではケインと宗二郎が眠っていた。
車の中に据え付けられたソナーだが、早速反応を検知していた。
これをこっそりガレージに忍び込んでいた由衣が見つけ、パネルに表示されている場所を確認。
ソナーの電源を落とした上で自転車に乗って反応のあった場所へ行ってしまう。

その直後、レミーを連れ出し拓人がドライブに行こうとする。
ケインたちを見て呆れる拓人だが、デスク上のメモ帳へ何かを書置きして出て行く。


<由衣の冒険>

とある建築会社の作業場へたどり着いた由衣だが、どう捜していいものか思案しているとそこにアドが現われる。
由衣は、拓人は日曜日だから休みだしケインは宗二郎と徹夜だから・・・と言葉を濁しながら答える。
呆れるアド。セイザーパッドでアイン・ツバインを呼ぶも応答はない。
その二人も安藤家で入浴中であり、脱いだ服にパッドは付いていたのだが春子が洗濯に持っていってしまう。

ゴルドからの通信では、反応が移動していることを知るアド。
馬鹿なとつぶやくアドだが、その背後を通ったダンプカーの荷台に積まれた土にコスモカプセルがあったことを由衣が見つける。
俺たちの仕事だからお前は帰れ、とアドに促されるもみんなの役に立とうと意気込む由衣は結局ダンプカーを追って移動。


バルガレオン艦内では、当然の如くダンプカーとコスモカプセルに気づく三将軍。
ブレアードが自ら行こうとするがアクアルが無視してサイクリードに行かせる。
戦いは性に合わないんだけどなあ、とつぶやくサイクリードがサンドストームを伴って出撃しようとするが
その前に武器商人のガダル星人が現われる。
何か商品を手にしていたが、以前買った商品が不良品だったことを覚えていたサイクリードは
ガダル星人の商談を切り出させる間もなく拒絶し出て行く。 それを追いかけるガダル星人。


一方アドは道に迷っていた。
埒が明かないと判断したアドは一度艦内へ転送・最近反応のあった場所へ再度転送させるようゴルドに指示をだす。
転送された場所は砂利や土を保管する場所。 由衣も合流していた。
土の中に埋もれているかもと由衣が保管場所を指差す、ゴルドからの通信で既にそこにはないことが明らかになる。
ついでに近くで聞いていたサイクリードもそれを知り、サイクリードは移動してしまう。

そのコスモカプセルは近くの公園で子供がボールとして投げ合って遊んでいたのだが、どこかに飛ばしてしまう。
道路を転がっていくコスモカプセル。
そんなこととは知らずに、拓人は由衣に教えられたレストランにレミーを連れ出したのだがメニューの高さに焦り出て行く。
拓人を見かねたのか、レミーが拓人に連れて行ってほしいところがあると言う。


<カプセルとの追いかけっこ>

道路を延々転がって行くコスモカプセル。 アドとサイクリードもそれを追いかける最中出くわす。
すわ戦闘かと思いきや横を転がっていくコスモカプセルを見つけまたも追いかける。
ガダル星人がサイクリードを引きとめ、商品を薦めようとするのだが
その商品だけをもぎ取られ蹴り倒されてしまう。
家族のためとはいえ何たる屈辱、とぼやきながら立ち上がるガダル星人。ペンダントを落としたことに気づかず立ち去る。
それを拾ってみてみる由衣。 それはガダル星人の家族のホログラフィが記録されていた。
家族のために頑張っているらしいガダル星人。 由衣も改めてみんなの役に立とうと張り切る。


拓人とレミーは、海に来ていた。
未来の海は汚染されており、触ることすら出来ない。 素足で海に触れるレミーは嬉しそうだ。
拓人にお礼を言うレミー。
車の中に戻ってみると、拓人のヒジがソナーのスイッチを押すことでようやくソナーに気づく二人。
パネル上にはすぐ近くにコスモカプセルの反応を検知しており、レミーと拓人の表情が引き締まる。


そのカプセルが停止した場所にはサイクリードとサンドストームが先回り。
しかしアドもすぐに追いつき奪い合いとなる。
装着して戦うがサンドストームの攻撃でコスモカプセルが吹き飛んでいってしまう。
さらにサンドストームから放たれた砂嵐に身動きが取れないイーグル。


そんな最中、先ほど落としたペンダントを捜していたガダル星人の目の前にコスモカプセル。
サイクリードが渡すように命令するが、足蹴にされたことを根に持っていたため金を要求する。
だが少額のためにさらにヘソを曲げていたところ、由衣が現われる。
先ほど落としたペンダントをガダル星人に返し、コスモカプセルを渡して欲しいと頼む。
あなたにとって家族が大事なように、私にとってもそれが大事なの。
そんな言葉に感じ入ったのかガダル星人は由衣にコスモカプセル・ホエール12を渡した。
そのまま消え去ってしまうガダル星人。

サイクリードが由衣へにじり寄るが、タイミングよくライオとビートルが合流。
レミーも現われたところでサイクリードは撤退、残りはサンドストームのみとなる。
イーグルへ由衣がコスモカプセルを手渡す。
風属性のサンドストームに対し、属性上不利なホエール12の攻撃を用いサンドストームへ一撃を浴びせると
トドメはイーグルタイフーンで刺す。

戦後、由衣が居たことを問いただそうとする拓人だが
アドが彼女のおかげでコスモカプセルが手に入ったから、となだめる。
しかし、今回だけだぞとも由衣に釘を刺すアド。

安藤家ガレージでは、宗二郎に怒られている拓人。
その様子を眺めていた由衣とレミー。 レミーは由衣に、アドは戦いしか知らない星に生まれたから
由衣のような人を戦いに巻き込みたくないから冷たくしていることを判ってあげてと話す。
そんな話のすぐ近くでは、やはり由衣を戦いに(結果的に)巻き込んだことに対して宗二郎が説教中。土下座して謝る他無い拓人だった。


【レビュー】

今回はやや趣が懐かしい感じの話・・・  古いヒーローものやアニメではちょくちょく見受けられた
「ヒーローの戦いに、協力しようとする子供」というネタで話が作られている。
当時はちょっと古臭いなあ、と思っていたのだがよくよく見ると、過去作品のそれと違って
由衣がそもそも中学生であることと、セイザーX側のメンバーたちも由衣を巻き込みたくないという思惑だけは一致しており、それは今回のオチにもそのまま現われている。
ここでの由衣は、ヒーローものにありがち・・・というより小さな子供には割とありがちな
「親や家族のために何かしてあげたい」という気持ちが行動原理になっているようだ。
それが、今回ゲスト的に現われたガダル星人との好対照となっており面白い。

ガダル星人と言えば前々作グランセイザーにもウォフ・マナフ側として出てきたことを覚えている視聴者も居るかもしれない。
グランセイザーにおける彼はウォフ・マナフに依頼されて人間を生物兵器に作り変えようとしていたのだが
今作ではただの宇宙商人として登場。さらに家族が居ることが明かされていたり
商品の目利きはあまり良くないような描写もされている。
ウォフ・マナフとの関係はないようなので、今回のガダル星人は別個体であることを念のため付け加えておく
#グランセイザーレビュー・第三十五話を参考されたし。
#グランセイザーの時は別個体が個人的にウォフ・マナフと契約していたのだろう。
そういえばグランセイザーでは稲葉一広が脚本を執筆した回で登場していたが今回は古怒田健志脚本での登場である。
古怒田氏はやはりグランセイザーでも脚本を手がけていた(ジャスティライザーは不参加)。


今作では今回初めてメガホンを執った池田敏春監督。
超星神シリーズで唯一、全作の演出ローテーションに加わっている池田監督だが
今回に関しては前二作以上にテンポの良い演出とコミカルなシーンの挿入が印象に残る。
池田監督自身はシリーズ内でも1、2番目くらいにキャリアの長い監督だが柔軟さを感じさせる。
何故か2階建ての事務所の屋上に立ってコスモカプセルを捜すアドや
走っているときは何故か紫のオーラを纏いながら風の音を立てて走るサイクリードなど
ところどころに妙な描写が入っていて面白い。

一方で、土砂保管所でゴルドの通信を聞いているアドのカットは約90度ほどアドを中心にカメラを公転させて見せるカット(終着点には奥にサイクリードたち)など
東宝ならではの長カットとカメラ移動を効果的に見せるなどしており、ここまで二作手がけていた経験値がものを言うカットもあって興味深いものがある。


【特撮の見どころ】

・消えるガダル星人
・ガダル星人の家族のホログラフィ
・ホエール12による必殺技

全部VFX・CGによるもの。
見どころに挙げなかったが、サンドストームの攻撃で吹き飛んだコスモカプセルのCGなどもある。

一方、レミーと拓人が埠頭にいるシーンの合成は適当さが漂う。
ぱっと見は普通なのだが、よく見ると海の映像にそのまま埠頭をかぶせているだけなので違和感はある。
ちなみに、似た様な合成はグランセイザーの第十四話などでも見られた。
合成の綺麗さについては度々レビューで褒めていたが、その中でも画として適当な合成もたまに見受けられるのが本シリーズの問題点の一つでもあろう。

さりげないシーンですら合成を駆使して(若干無理矢理気味に)画を作る点は東宝作品によくあるものだが、このあたりは
合成自体は雑な代わりに可能な限り合成に頼らない東映作品との対比として見比べるのも面白いかもしれない。
#東映作品の場合は(特に戦隊シリーズで)漫画やアニメっぽい感じのアクションシーンの画が欲しいときに合成を用いることは多い。 
#ただ、平成ライダーは全面的に合成頼りであり、CGなどの合成で作られた画は多いのだが・・・。