2015年5月5日火曜日

セイザーX・第十二話

第十二話「決戦は空の彼方で」

[宇宙海賊デスカル]
グローザ登場

演出:米田興弘    脚本:林 民夫


<最後の戦い>

冒頭。 ライオキャリアー内ではアドたちが前回のルーエ星の件はネオデスカルの仕業だろうと断定していた。
ワームホールを占拠し、さらに2500年の情報をリアルタイムで伝えるデータパッドまで作るほどの技術力を持っている人間について、ケインは何かを察していたようだが。

そんなケインは、自分たちの星のことを心配していた。
ルーエ星がやられたのは自分たちが2005年で戦っていることを知っているからで
見せしめとばかりに自分たちの星もターゲットにされているのだろうと。
その可能性は否定できないな、とアドが答えるが・・・。
パネルには、突如炎の塊が街中に現われたことを示していた。
それに気づくアド。 急いで拓人とレミーを呼び戻す。


バルガレオン内では、コスモカプセル3つを乗せた装置を使いサイクリードとアクアルが何かをやっていたようだ。
前回グローザに教わったある策・・・ それは、コスモカプセルのエネルギーを誰かに照射することで巨大戦士を作り出すこと。
三人のうち誰かに浴びせようということになり、それには一番強い奴がいいとアクアル。
色々あってブレアードがその任に就く事になり、結果が――――――――――――

巨大なブレアードが街中を暴れまわっていた。
三戦艦も街へ現われるが、この状況に首をかしげる拓人。
バルガレオンでは心配そうに見つめる二人だったが、グローザがいつの間にか乗り込んでおり
大丈夫に決まってるじゃないと言い切る。

流星神マグナビートへ合神、遠距離からの攻撃で圧倒しようとするが身軽にかわされる。
間合いをあっという間に詰められ倒されてしまう。
マグナビートから緊急離脱しコアブレイバーへ変形・ブレアードを怯ませた後にグレートライオへ合神。
ライオジャベリンでブレアードをなぎ倒し、ハウリングクラッシュの準備を促すレミー。
ブレアードを回収しようとバルガレオンが頭上まで飛来していたが、立ち上がったブレアードの剣が突き刺さりエンジンが故障してしまう。

そのスキにハウリングクラッシュを浴びせかけるグレートライオ。
ブレアードが駆け出すのだが、途中で縮んでしまう。
どうやら巨大化は時間制限があったようだ。 急いでブレアードを回収するバルガレオン。


<宇宙大戦争>

エンジンがやられているバルガレオンを追撃しようと提案するアドだが
ツインセイザーが先ほどの戦闘で負傷しているため、追撃は難しいと判断するケイン。
体勢を立て直すしかないようだ。
が、ツインセイザーは自分たちは大丈夫だから追撃してくれと頼み出す。

アドは全員に言う。
自分たちの使命はコスモカプセルを集めることだが、ここで宇宙海賊を撃破すればカプセルを集めなくても未来の悲劇は起こることはない。
この時代の戦いに勝つために自分たちはここに来たのだと。
拓人もまた、もう躊躇せずにここで戦いを終わらせることを決心する。

宇宙へ飛んでいく三戦艦。
安藤家の上空を飛んでいくのを見つめる安藤家の面々。


宇宙へ退避したバルガレオン。
サイクリードがもう地球制圧なんて止めにしようと言いだす。
元々ロボットであるバーダー船長の言い出したことなんだし・・・と言ったところでグローザが剣を向ける。
必ず勝つことが約束されている三将軍を、再度奮い立たせようとしていた。
ここで彼らが逃げ出すことは、自分たちの未来が狂ってしまうからでもあった。


ようやくバルガレオンを捕捉した三戦艦。
アドルイーグルをなるべく肉薄させ、ビートバイザーは遠距離砲撃による援護。
そしてライオキャリアーは、エネルギーを再チャージすることとなった。
バルガレオンも三戦艦へ向き直り、いよいよ宇宙空間での艦隊戦となった。

苛烈なバルガレオンの砲撃を受け、ゴルドもダメージを受けてしまう。
しかしなおもアドルイーグルの動きを止めないゴルド。
ビートバイザーもエネルギーが切れ、援護射撃が終わってしまう中
耽々とエネルギー充填を続けるライオキャリアー。

何故拓人は出てこないと叫ぶブレアードだったが、アドルイーグルがバルガレオンの前面から退避した次の瞬間
ライオキャリアーのセイザー砲が発射され、バルガレオンを貫いてしまう。
爆破四散するバルガレオン。

ようやく、長い戦いは終わったのだ。
勝利をかみ締めるセイザーXの一同。 青い地球が一同を出迎える。

しかし――――――――――――
歴史はまだ、変わってないわよとグローザがどこかでつぶやく。
デスカルは倒されたと思われたのだが・・・?

●コスモカプセル →  セイザーX:7  デスカル:3


【レビュー】

実質デスカル編最終回と言える今回。 そんな大きな話を飾るように巨大戦メインとなった。
前半は巨大ブレアードとの戦いを、後半は宇宙での艦隊戦と
過去二作以上にそのシチュエーションの充実が図られていることが大きなトピックだ。

巨大ブレアード自体は、巨大クワガタの恐獣(ビグスタッグ)が居たため、それの応用とわかる。
自分たちを巨大化させようという発想が無かったデスカルの面々も面白いが
今回は巨大戦でまさかの金的が繰り出されていた。
ジャスティライザーではウンザリするくらい見せられたこれだが、今セイザーXで見ると
蹴られて萎縮するブレアードと周りのリアクションが笑いを誘う。
#それはそれとして金的か・・・ という疑問はまあ残るのだが。

後半の艦隊戦だが、絵面としてはどうしてもカットの多用で遠距離攻撃をし合う映像になってしまう為
改めて見返すと地味さは拭えない。
仕方の無いことだが、巨大感もあまり出ていない部分も気にはなる。


ここでデスカル編は終わり、次回を挟んでいよいよネオデスカル編となるが
それを予告するかのようにグローザが「歴史はまだ変わっていない」とつぶやくカットが印象的だ。


【特撮の見どころ】

・巨大ブレアードVS流星神
・バルガレオンVS三戦艦

前半戦は今作特有のコミカルタッチが随所に盛り込まれている。
コミカルとは毎回セイザーXのレビューで書いているが、他社作品とは違う質のコミカルさである。

本作に関しては映像処理をほとんど使わず流れややり取りの上で笑いを取るというパターンが多く、これはバラエティ番組的なウケ狙いというよりは
落語や漫才、コント的な「やりとりの中での笑い」と言える。

今回だとコアブレイバーが放った蹴りがたまたま金的になったくだりや
ブレアードが突如起き上がって剣を振り上げたら上にバルガレオンが居たくだり、
そして突撃した途中で急に縮むブレアードなど。
全部戦いの流れの中で、それを断ち切らない程度に盛り込まれているために不意をつかれた形で笑ってしまう。
他の話では第二話や第五話が判りやすい例だろう。


後半の艦隊戦は、いくら流星神が戦艦とは言えどバルガレオンとのサイズ差が歴然としている。
セイザー砲射出直前にバルガレオンを横切るアドルイーグルを見れば判るが明らかにバルガレオンが大きすぎる。
しかしセイザー砲の一撃で撃破という画は、中々に見ごたえのある破壊シーンだ。