2015年12月8日火曜日

セイザーX・第三十七話

第三十七話「拓人、闇の中へ」

[ネオデスカル:ネオデスカル]
暗黒恐獣ダークゲラン登場

 演出:市野龍一    脚本:林 民夫


<撃破と奪取>

前回からの続き。
ネオデスカルがビームを放つと、回避しつつ装着する拓人。
ライオン1を取り戻すべく立ち向かうライオ。
バレーダも後から戻ってくるがすぐにレミーも駆けつける。


ダークゲラン戦はウインドイーグルとマグナビート、ドリルアングラーの三体が担当。
既に動けなくなったシャークリーガーから離脱するシャーク。
組み付かれた状態のドリルアングラーだったが、ドリル攻撃が効果絶大であることに気づくビートル。
それに気づいたシャークはイーグルとビートルに、サイドから援護射撃するよう指示。
着実にダメージを重ねていく。


ネオデアーク内部では苦戦するライオとレミー。
怪我が治りきってないレミーが怯み、ライオもスキを見せてしまうとネオデスカルの攻撃を喰らってしまう。
全く歯が立たない状況下だが、そのスキにパトラがライオン1を奪取。
一度レミーの手元にゆだねられたのだが、シャーク消滅が気になったためにカプセイザーG2への転送を躊躇ってしまう。

怯んだレミーの手元から強引にコスモカプセルを引き寄せるネオデスカル。


<決戦・ダークゲラン内部>

そしてダークゲランは、ドリル攻撃とツイスターシュート、ビートバスターを両側から受けたことで爆破四散。
うろたえるバレーダ。 闇の侵蝕が止まってしまった以上地球を闇に包めないことに焦りを見せるが
ネオデスカルはそんな彼女を殺してしまう。
そして・・・
本当の戦いはこれからだと言い残し何処かへ消え去るネオデスカル。

と同時に、一度爆破したダークゲランの破片が突如再結集。
なんとダークゲランの体内に転送・同化した上さらに巨大化してしまう。
それによって大気圏近くの闇も再び動き出した。
ウインドイーグルが頭上で攻撃を試みるが、迎撃され墜落。
ダークゲランに咬みつかれ侵食されてしまう。
ドリルアングラーに救援されたものの、再起不能に陥ってしまう。


ネオデアーク内部では、ネオデスカルが使った転送装置を前に拓人が考える。
多分これまだ使えるだろうから、ネオデスカルのもとに行こうと決意。
シャークたちから止められるのだが、戻って来れなくなることを心配する一同。
レミーも一緒に行こうとするが、誰がグレートライオを操縦するんだよと引き止める拓人。

夕飯前までに戻ってくる、そういい残して転送装置を使って移動する拓人。

そして巨大化したダークゲランへ、マグナビートとドリルアングラーが攻撃を放つ。
体内から拓人が、体外からも自分たちが攻撃すれば撃破できるかもしれないと願いながら。
やがてネオデアークから離脱したグレートライオも合流し、攻撃に参加。
ネオデアークは墜落・爆発した。


ダークゲラン内部では、拓人に対してネオデスカルが「お前のような異物はこの世界に不要だ」と吐き捨てる。
その後・・・   黒いライオセイザー・ブラックライオが拓人の目の前に現れる。
既に実体はなくしたネオデスカルが拓人に見せた姿である。

お前たちの目的は何なのか?何をやりたいのかと問いかけるブラックライオ。
コスモカプセルを消滅させることが目的だと返す拓人に、ならば私と目的は同じだと言う。
地球を闇に侵蝕させれば、コスモカプセルが効力を失う。
それはすなわち闇によって宇宙は一つになり、コスモカプセルを巡る争いすらなくなるということである。


既に闇が地球を覆いつつあった。
マグナビートも機能を停止してしまい、ダークゲランの猛威になすすべのないセイザーX。
この状況を打破するべく、ブレアード自らが体内に入って自爆することを提案。
自分たち宇宙海賊が消えれば全て丸く収まるんだというのだが
レミーはこれ以上悲しみを重ねないでとひきとめる。
まだ、拓人がダークゲラン内部にいるのだから・・・。


<>

闇によって全てが一つになれば争いのない世の中になる。
古代から人類が望んでいた理想の世界が、闇によって実現する。

しかし拓人は反論する。
それは全部ネオデスカルそのものになるということだろう。
未来の人間たちや宇宙海賊たちと出会う中、最初は衝突もしたけれど
考えが違おうが、敵であろうが、違った価値観を持っていても心を一つに通い合わせることが出来る。
だから全部が一つになるなんて間違っているんだと返す。

皆それぞれ違うから対立したりケンカもするけど、だからこそ判り合えた時の喜びは大きい。
他の何よりも。 それをこの戦いで学んだんだ。

違う人間ばかりだから世界から争いは無くならない。だから全てがひとつの価値観に染まれば争いは消えるとなおも反論するが、
時に喧嘩するとしても、アドやケイン、シャークやレミー、ブレアードたちも居る世界のほうを選ぶと力強く返した拓人。


やはりお前には消えてもらうしかないな。
そう言い放つブラックライオ。 拓人も、これ以上は話をしても無駄と悟ったか装着して立ち向かう。


<最後の作戦>

外ではアドが、ダークゲランをセイザーパッドで分析中。
恐らくだが、体内と体外から同時に攻撃を浴びせれば撃破できるかもしれない。
しかし拓人にどう伝えるのか?

ゴルドが、ウインドイーグルのコアブレイバーならまだ無事だと言うのだが
ダイヴインできる状況に無い。 そこでツインセイザーが正体・・・ ガス状の姿になり
ウインドイーグル内部へ侵入する。
と同時に、グレートライオは遠距離からの攻撃を続けるようにシャークが指示する。


ウインドイーグル内部に入ったものの、闇の侵蝕が進んでおり先に進めないツインセイザー。
そこへパトラとゴルドが合流する。 果たしてコアブレイバーは起動できるのか?


そしてダークゲラン内部。
いつまでも体内に居られると思っているのか?と不敵に笑うブラックライオ。
その胸には、自ら取り込んだライオン1が輝いている。
俺がたとえ朽ち果ててもお前の好きにはさせない、外には俺の仲間たちが居る。
俺は、仲間たちを信じる!

ゴルドが侵入路を開け、やっとコアブレイバーも離脱する。
コアブレイバーへ乗り込むのはアドとケイン、そしてブレアード。
俺が行こう、といいかけたシャークを、いつの間にか駆けつけた宗二郎が引き止める。
未来を作る若者達にまかせよう、と。

そしてアドとケイン、ブレアードはコアブレイバーへ乗り込む。
これが本当に最後の戦いね。 レミーも決意する。
ライオも叫ぶ。  お前のいう未来にはさせない、未来は俺たちが作るんだ!



【レビュー】

最終決戦三部作の2.
今回は拓人とブラックライオのやり取りがすべてと言っていいだろう。
勿論ダークゲランとの闘いもトピックではあるが。

やり取りについては本編紹介で書いたので特に繰り返すことは無い。
よくあるキャラクタードラマの王道的流れとしての、最初は衝突していたが徐々に仲間として結束を固めるという話も
ここまでの本編を見ていれば充分伝わるものである。
他社の過去作品などを見ても大抵雰囲気で流す傾向が多い中、ここまでじっくり描ききったことについてはもっと評価されてもいいし
見返した自分からしても中々納得の行くものであった。

ジャスティライザーにおける翔太とユカの関係性のように、本シリーズはグランセイザーを除いては
ドラマ面をじっくり丁寧にやろうとする傾向がある。
本作はそれがかなりのところまで完成度を高めたといってもいい。

終盤、宗二郎たちが合流していくのもこの作品ならではのクライマックスの演出だろうが、
実は次回更に・・・。


物語は、「安藤拓人の成長物語」という空気をたたえつつ最終局面へ突入していく。

そして今回、序盤でネオデスカルの攻撃を回避しながら装着するカットが入るなど
本シリーズでは珍しい描写もあった。
最後ということもあって、他社で見られるような演出なども躊躇なく取り入れた本作だが
これであらかたやれるだけのことはやった感もある。


なお、今回ラストの最終回予告はそれまでの予告と違い音楽なし・ナレーターも情感を込めたナレーションを行うなど
前二作とも違う演出がなされていることに注目したい。
河田秀二をはじめ、スタッフ内では評価が高いであろうことが窺える本作。
視聴率も後半から徐々に伸びていた事実もあり、現場側でも盛り上がっていたテンションに相応しい最終回予告だ。


【特撮の見どころ】

・ダークゲラン撃破(1回目)
・巨大化ダークゲラン

前回同様山の中での戦いなので、ミニチュアワークの上で大書することはない。
とはいえ巨大化したダークゲランの猛威はよくあらわれており、
爪で吹き飛ばされるグレートライオや、空中のウインドイーグルを撃墜~噛み付くシーンなど
可能な限り見せ場を多く持たせている。

そして今回グレートライオ以外が再起不能となったのだが・・・。