2015年12月8日火曜日

セイザーX・第三十六話

第三十六話「闇の侵蝕・ダークアルマー」

[ネオデスカル:ネオデスカル]
暗黒恐獣ダークゲラン登場

 演出:市野龍一    脚本:林 民夫


<最後の戦い>

ライオキャリアー内では、ライオン1の反応を検出できず焦る拓人。
しかしアドが願いをすぐにかなえるわけにいかないと拓人をなだめる。
闇に侵蝕される未来を変えるということはシャークが消滅することであり、レミーが気に病んでいることを思えば、
アドもケインも心の整理をつけさせてからがいいだろうと判断していた。

そしてネオデアーク。 月の地下にて建造していたダークアルマーが遂に完成・姿を現す。
ライオキャリアー、アドルイーグル、ビートバイザーが月面へ向かう。
地球が闇に侵蝕されてしまえばコスモカプセルの力は喪われてしまうとケインが説明。
既にダークアルマーは発動しているが、まだ地球へは闇のエネルギーは到達していない。
更に地球上に居るネオデアークからは恐獣・ダークゲランが登場。

そこでシャークが、シャークリーガーとグレートライオでダークゲランを
ダークアルマーはアドとケインでそれぞれ対処するよう指示。


ダークアルマーへ攻撃を開始するイーグルとビートルだが、ダークアルマー近辺には既に
大量のメガリオンが配備されていた。 対空砲撃によりアドルイーグルとビートバイザーを寄せ付けない。
そして地球ではダークゲランに苦戦するシャークリーガー。
武器を腹の口で食べ尽くした上、頭の口でもシャークリーガーの腕を食べようとする。
そんなダークゲランの背後へ、ライオキャリアーの砲撃。
ようやくシャークと合流を果たすライオ。 グレートライオに合神し戦うのだがやはり武器を溶かされた上に
ビーム攻撃も吸収してしまう。


それぞれにラチのあかない状況下、イーグルはダークアルマーへ突撃することを提案。
ビートルたちに止められるが、拓人に影響されたかなと苦笑。
しかしメガリオンの防衛網が厚い状況を打開するにはこれしかなく、アドルイーグルが突撃を敢行。
ビートバイザーは援護に回る。

そして地上でもシャークがライオにネオデアークへ突入・ライオン1を奪還するしか勝ち目はないと指示。
ライオキャリアーが離脱し、ライオン1の反応を頼りにネオデアークへ向かう。


<闇の降下>

ダークアルマーの闇発動を停止させたアドルイーグルだが、停止してしまう。
突如アドルイーグルが輝き出す。
すわ爆発か、と思われたがその光はコスモカプセル・イーグル2によるものだった。
再度アドルイーグルを、コスモカプセルが守ったのだ。
ケインがアドに、泣きそうになりながら叱るとアドも謝る。

地球上では何が起こっているのか判らない二者だが、ダークアルマーを撃破した以上
先ほど放出された闇の到達地点さえ撃破できれば良いと、アドとケインは地球へ急ぎ戻る。

そして地球では。
ネオデアークを捕捉したライオキャリアーだが、突っ込もうとする拓人に対して慎重に行くよう諭すレミー。
しかしじっくり機会を狙う猶予はない。 
結局拓人の独断でネオデアークへ突撃・強引に艦首を貫通させることで内部に侵入することに成功する。

ダークゲランに捕まり、いよいよ破壊されかかるシャークリーガーだが
背後からドリルアングラーが救出。 操縦席には三将軍が並び立っていた。
サイクリードも意識を取り戻したのだが、安藤家でブレアードが洗脳装置を見つけこれを解除。
ようやく正気を取り戻した彼を含めて救援に向かった。

シャークはむやみに組みかかるなと注意を促すが、既に目前まで来ていたドリルアングラー。
あわやという所でアドルイーグルとビートバイザーが合流し援護射撃。
俺はもうダメだと、シャークリーガーが起動不能であることを告げる。


ネオデアークでは、バレーダが剣を携え始末に向かった。
一人艦橋に残ったネオデスカルだったのだが、拓人が乗り込んできた。
何故闇雲に突っ込める?命は惜しくないのか?とうろたえるネオデスカルに
命が惜しくないわけねーだろ!と返した。

今と未来の地球を救う使命のために、ライオン1を返せと啖呵を切る拓人。

放出された闇は地球へ向かいつつある。

最後の戦いが今、始まった。


【レビュー】

最終決戦三部作の1。
巨大戦主体で進んでおり、前回までの数話分のフラストレーションを発散するかのような回となった。
月面と地球上の二面作戦だが、またも終盤恒例の突撃が描かれる。
グランセイザーではガルーダが、ジャスティライザーではケンライザーが
そして今作セイザーXではアドルイーグルとライオキャリアーがそれぞれ担当。

まさか三作全部でメカの突撃が行われるとはおもわなかったのだが・・・。
(ガルーダだけやや状況が異なる)
ライオキャリアーはネオデアークに突き刺さっただけだが、特にダークアルマーに突っ込んだアドルイーグルにはデジャヴを覚えた。
ただし、今作ではアドルイーグルに対してコスモカプセルの加護があったために
前二作と違って謎の生還が行われているわけではない点が異なる。

ライオキャリアーはともかくアドルイーグルがそういう立ち位置になったのは恐らく
前二作と関連性をもたせたかったのだろうか?
ガルーダもケンライザーも鳥型メカ(の合神・変形形態)なので・・・。
よく考えるとイーグルセイザーもタリアスやグレン同様赤いヒーローでもあった。


そういう小ネタをレビューで触れていることから判るように、今回は内容としては触れるべき点はない。
最終決戦の火蓋が切って落とされた回、ということくらいしか大書すべき部分がないからだ。
ただ、サイクリードが正気を取り戻してようやく三将軍が合流したこと、
そして安藤家では宗二郎や春子、由衣が心配そうにニュースを通じて最終決戦での安否を気遣うシーンが挟まれるなど
ドラマ面もクライマックスに差し掛かり、緊迫感と安心感がない交ぜになっているのは目を引いた。

あとは・・・ それまでやや悩むようになってしまった拓人がこの最終決戦で元の無鉄砲さが戻ったのがトピックになるだろうか。


ただし。
今回序盤であらためてアドとケインによってダークアルマーによる闇の侵蝕とそれによるコスモカプセルの力が失われることが触れられているシーンがあるが
ここで改めて、ネオデスカルはとにかく闇に侵蝕させれば良いのだろうとアドが説明しているのがやや違和感。
さらにコスモカプセルは要らないってことか?と拓人が返しているのだが・・・。
これには「闇に侵蝕されればコスモカプセルは力を失うんだ」とケインが返している。
#これは次回でのドラマに関わるポイントとなる。

ネオデスカルが闇に拘る点は第三十四話でネオデスカルがライオに話していた描写があり、あらためてセイザーXサイドで
ネオデスカルの企みを推察したという事なのだろう。
この回で、ネオデスカルがカプセルに拘らなくなった理由がセイザーX側にもようやく判るのだが
いかんせん会話シーンでのやりとりで少々腑に落ちない部分が見えた。
複数話に跨って、小出しにして話の全容が見える形式は本作に限らずよくある書き方ではあるのだが・・・。

内容が詰まりに詰まっている本作だが、やや描写が慌しいというか、しっかり見てないと判らない程度にさりげなく提示する描写手法は
シリーズ通してのネックであり、本作に至るまで踏襲してしまっているのは惜しい。
もう少し話数があれば、セイザーX側で敵の目論見を纏めて今後の方針を策定する回を設定して
そこで改めて視聴者に提示も出来たのだろうか・・・。


【特撮の見どころ】

・ダークゲランVSシャークリーガー、グレートライオ、ドリルアングラー
・月面のダークアルマーとアドルイーグル、ビートバイザー、 そしてメガリオン軍団


前者は地球上、後者は月面上での戦い。
今回が月面戦ラストとなる。 メガリオン軍団は切った貼ったの合成。
とはいえダークアルマー防衛網としては充分なボリュームを表現できている。
ジャスティライザー終盤に続き、最終決戦で大活躍したメカと言える。

そしてダークゲラン戦。
高速道路を手前に配しての山岳地帯での戦いとなった。
腹にも大きな口を持つダークゲランはシャークリーガーやグレートライオの武器を喰らい
更には闇に侵蝕しようとするなど最終決戦の恐獣として相応しい猛威を振るう。
胸部などへのビーム攻撃は吸収してしまうなど、防御もスキがないように思える一方
三度ほど、背後からの攻撃に対して対応できてないところが愛嬌だろうか?


最初のダークゲランとの戦いで両腕を破壊されたシャークリーガーが、胸部のビーム(クロスバスター)を放つ際
両腕がぶら下がっているだけだった点も芸が細かい。