2015年12月8日火曜日

セイザーX・第三十四話

第三十四話「12個集結?コスモカプセル」

[ネオデスカル:ネオデスカル]

 演出:米田興弘    脚本:河田秀二


<佳境・コスモカプセル争奪戦>

前回からの続き。
アクアルの振り上げた杖から発生した衝撃波は、拓人とブレアードを縛ったチェーンへ当たり
二人を解放してしまう。
そのスキに装着する拓人だが、バレーダが拳銃を撃つ。
だが・・・

ライオン1が拓人の眼前でバリアを展開。
守られながらライオへ装着する。
しかしいつの間にかブレアードの手元にあったスタッグ7はブレアードを守らない。

バレーダは口から吹雪を吹き出し、ライオとブレアードを氷付けにしようとする。
そこへビートルがスピアー8で防ぎ、さらにイーグルとレミーがバレーダに向け射撃。
しかし格闘であっと言う間に差を詰め、レミーに銃口を向けるバレーダ。
だがパトラが拳銃を蹴り落としたことで怯み、バレーダはネオデアークへ逃げていく。


助かった拓人は、アドたちに命令違反だけどいいのか?と言うのだが
拓人を信じることにしたとレミーが返す。
ブレアードはグズグズしていられないぜ、と山頂へ行くことを促す。
アクアルの情報が確かなら、サイクリードは山頂に何かを仕掛けているはずだが
それを信じていい物かブレアードも悩み出す。
だが先ほどの攻撃で自分たちを解放したのはアクアルだろう、と拓人は返す。
拓人も、そしてレミーもまたブレアードやアクアルを信じると言う。

全員で山頂へ行こうとする拓人だが、アドはネオデアークも地上に降りているはずだと推察。
そこで二手に分かれて山頂班とネオデアーク班で行動することに決める。
サイクリードの企みとコスモカプセルの奪取、両方を果たす絶好のチャンスである。

拓人とケイン、レミーはネオデアーク探索へ、そしてアドとブレアード、パトラが山頂へ向かうことになる。


ネオデアーク。 二班の状況をモニターしていたネオデスカルとバレーダ。
戦力が分散した今一気にケリをつけるチャンスだとネオデスカルは言うのだが
バレーダが拓人たちと落ち合うアクアルを発見。

そのアクアルに手を差し伸べる拓人だが、突如ケインと拓人を突き飛ばしレミーを捕縛。
二人を抵抗させずにネオデアークへ連行していくアクアル。


アクアルはネオデスカルに三人を突き出した。
この状況下でもなおアクアルを信じ、そんな自分も信じると言う拓人だったが、突如ライオン1を強奪しネオデスカルに差し出そうとするアクアル。
ところが。

アクアルの企み・・・ コスモカプセルを差し出すことで、残りの3つの隠し場所も知ろうとしていた事を見抜くネオデスカル。
切りかかるアクアルを弾き飛ばした上に三人の両手を縛りあげてしまった。
そして、俺に勝てれば残り三つはくれてやると言い放ち、残り三つを出現させたネオデスカル。
アクアルは斬撃を放つのだが消滅させられた上に衝撃波に打ち付けられてしまう。


山頂では、ダークアルマーがほぼ完成している状態だった。
アドたちはそれを認め、破壊に向かうがサイクリードの不意打ちを受ける。
サイクリードの相手をブレアードに託して先を急ごうとすると、今度はバレーダ。


<もう一つの、未来への道筋>

そしてネオデアーク。  
更に痛めつけられるアクアルだが、レミーは訝しがる。
先祖であるアクアルを殺せば自分たちの未来が滅茶苦茶になるのにどうして?

それに答えたネオデスカル曰く。
Xデイで三将軍がコスモカプセルを12個集め地球は闇に覆われ、宇宙全域に広がったその力によって今の自分たちに至る血筋は増殖していった。
しかし、現在それが阻止された以上・・・
ネオデスカル自らが現代に赴き、ダークアルマーで闇を発生させ地球と宇宙を闇に包めば結果は同じである。
すなわち、闇の力さえ発生させてしまえば三将軍やコスモカプセルなど問題ではない。

トドメを刺そうとエネルギーを溜め込み、アクアルへ放つネオデスカルだが
その脇をツインセイザーが駆け抜けアクアルを救出、そして拓人たちも解放した。
話は後だとケインたちを促すツインセイザー。 二人は装着して立ち向かう。
同じ頃山頂では、今度はゴルドも合流しパトラの危機を救う。


セイザーXの戦力が殆ど出揃ったところで、ライオとビートルはネオデスカルに戦いを挑む。
しかし手の前で攻撃を止められてしまい、弾き飛ばされるビートルは装着が解除してしまう。
ツインセイザーに三つのコスモカプセルを奪取させ、実際それはあっけなく成功した。
これで12個がセイザーXの手元に揃った。
ネオデアークから脱出する一同。

外へ飛び出したが・・・  更にネオデスカルは追いかける。
ライオが、レミーたちを先に逃がそうとする。
コスモカプセルを集めることが最優先であると、レミーたちを促す。
アクアルがライオン1を差し出し、これが助けてくれるとつぶやくとレミーがそれをライオに投げ渡す。


コスモカプセルによって作られた未来のルート。
しかし今はXデイも過ぎ、未来のルートは大幅に変わりつつある。
ならばダークアルマーで再度未来のルートを強引に引き戻せばいいだけの話。
それを、歴史を塗り替えるという表現で説明するネオデスカル。
当然、自分たちも消えることになる。

判っていたらどうしてそんな事を企む?とライオが反問するが・・・
ネオデスカルの返事はライオを困惑させるものだった。


<シャークの運命、未来の運命>

自分たちが消えるということはすなわち、宇宙海賊と人間のハーフであるシャークも消える。
ネオデスカルから告げられた話はライオにはショックが大きすぎた。
ウソだと思うのなら12個のコスモカプセルで願いをかなえてみればよかろうと挑発するネオデスカルへ切りかかろうとするライオだが・・・。


山頂ではバレーダの攻撃に苦戦するイーグルとゴルド、パトラ。
バレーダが吹雪攻撃を仕掛け、更に銃撃を浴びせようとしたその時、何者かの攻撃が横切り
バレーダは怯んでしまう。
そのスキにイーグルタイフーンを放ったイーグルだが、バレーダの吹雪がギリギリのところで食い止める。
しかし結局貫かれそうになり、間一髪かわしたところで脱出。
先ほどの攻撃の主は・・・。


そしてライオとネオデスカル。
ライオが弾き飛ばされ、ライオン1が転がり落ちてしまう。
それを引き寄せ、手元に収めたネオデスカルはシャークが何を考えているかわからんからなと言い放つ。
そろそろ消えてもらう、と吐き捨て歩み寄るネオデスカルだが
間一髪、シャークが駆けつける。

二対一となり形勢逆転かと思われたが、潮時のようだなと言い残して撤退するネオデスカル。


装着を解いた二人。 拓人に歩み寄るシャーク。
先ほどのネオデスカルの話があったからかためらいがある拓人だったが、そこへレミーが駆け寄る。
ケインたちは既にアドたちと合流・ダークアルマーの破壊へ向かっていた。

ブレアードと戦うサイクリードは、スキを衝かれパトラとイーグルに捕まえられる。
そしてツインセイザーとゴルドが、ダークアルマーの装置の一部に爆弾を仕掛け爆破に成功。


ひとまず、ダークアルマーの撃破に成功し当面の危機を脱したセイザーX。
パトラと仲直りするゴルド。
アクアルは、また昔のように三人で宇宙を旅したいだけだと言い放つ。
ブレアードは素直じゃねえなあ、と呆れる。
サイクリードも合流することになったが・・・。


セイザーXの行動はパトラに逐一報告させていたのだ、とシャークは艦内で話をしていた。
そんな時、レミーが命令違反を詫びる。
アドはそれを率先して行ったのだから処分は自分に・・・ といった所でシャークはそれを拒否。
それどころか命令を無視してでも仲間を信じて行動したことを労うシャーク。
この時代に来て変わったアドたちを誇りに思うとまで讃えた。

表情が明るくなる未来のメンバー。
しかし、先ほどから表情が硬い拓人が切り出す。
あなたは本当に、宇宙海賊の末裔なのか、と――――――――――――


【レビュー】

コスモカプセル集結・・・ かと思われたが、ライオン1だけがネオデスカルに奪われてしまう。
これが最終回に向けてのワンクッションとなる。
さらには三将軍もセイザーX側に合流するのだが・・・。

そしてネオデスカル側も、自分の目的は「自分たちの未来と同じように、この時代の地球と宇宙を闇に包めばカプセルなどどうでもいい」としており
もはや戦いの焦点は「コスモカプセルによる未来創生」から「闇の力による未来創生」へと間口が広まっていった。
その中で、コスモカプセルではない力で未来を作る以上自分たちも消えるだろうと示唆、
その際シャークも消えることになることが明かされてしまう。

ドラマ面で言えばどの道シャークの消滅は免れないことも表している。
それは、ネオデスカルが終盤説明していた下りでも提示されている。
「お前たちがシャークの存在を消すのだ」 と言った後にお前たちの手で未来を変えて見せろと挑発をしているネオデスカルだが、
実のところ、既にXデイで地球を闇に包んでいない時点でネオデスカル側も、シャークも
「存在が不確定なものたち」となりつつある。

このあたりの、ストーリー面ギミック面では突っ込み所がないこともないが細かいことは総評に譲る。
だが、ドラマ面だけで言えばシャークの消滅が既にXデイ阻止の時点で確定しつつあり、これが終盤に向けてのもう一つのドラマ上の波となっている。
その一方で三人揃ってまた宇宙の旅がしたいだけ、と言うアクアルたち三将軍の一種明るい部分がコントラストとなっている。


そしてこの回を以って脚本家・河田秀二の本シリーズでの仕事は終了となる。
ファンサイトでの日記に「林民夫さんとの仕事は楽しかった」と書いていたとおり
本作における彼の仕事は非常に充実したものであったと、視聴者側から見ても感じられる。
構成的な部分では最後までツメが甘いところのあった河田脚本だが、明らかに前二作よりは進歩も見られるものだった。

セイザーX終了からもうすぐ10年経つ今、河田秀二は本シリーズのことをどう思っているのだろうか。


【特撮の見どころ】

・山頂に聳え立つダークアルマー

このカット、何処と無く「七星闘神ガイファード」にも類似のシチュエーションがあったことを思い出させる。
同作第一部終盤、崖の上にある基地のカットがそれである。
断っておくが、ライブフィルムを使っているということではない。

恐らくピーカンの映像に合成しているせいだろう。 ガイファードでもピーカンのカットだった。
あんまりおどろおどろしくない雰囲気になっているが、本シリーズは大体において重い雰囲気の演出が弱い傾向がある。
東映や円谷はこれが上手く出来ているのだが。
本作最終回は流石にそれなりのところまでできつつあったのだが、この「重い雰囲気」が苦手な面は
東宝のテレビヒーロー物らしいといえばそうなのだろうか・・・?


ガイファードをひきあいに出したので、ダークアルマー爆破シーンも触れておくが
ガイファードではミニチュア発破だったのに対して本作はCGによる爆破。
爆破後の状況もCGによるもので、これは悪くない。